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神守教会との戦いパート4

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 「ケレス団長、夕方には、王都へ着けそうなので、ここで休息をとりましょう。一般兵は、かなり疲労しています」

 「そうだな。だから、太陽騎士団だけで、侵攻すればよかったのにな」

 「確かにそうですが、アポロ公爵様の命令なので、仕方ありません」

 「アポロ公爵様も、教皇に、大きな貸しを、作りたかったのであろう。だが、一般兵など、邪魔なだけで役に立たないのにな」

 「そうでございますが、3000人の兵を見れば、ブラカリの町も、すぐ降伏するかもしれません」

 「油断するなよ、魔王の町だぜ、獣人も多数いるし、魔石技術もすすでいる。侮ると痛い目に遭うかもしれないぞ」

 「申しわけありません。でも魔石技術の軍事利用はしない町なのでは」

 「騙されるな。利用しているに違いない。だからこそ、魔王の町の情報が少ないのだ。魔王の町に潜入した者は、皆、洗脳されて、人が変わったかのように、神守教会を否定するからな」

 「確かに、そうです」

 「よし、この辺りで、休息をとるか。皆に伝えてこい」

 「はい。わかりました」




 「おい、休憩みたいだぞ」

 「やっと、休めるのか」

  
 3000人もの軍勢を移動するのは、かなり大変で時間がかかる。この世界だと、移動手段が、馬やロバを使った馬車しかない。しかし、この移動手段を少し楽にさせたのは、ブラカリの町のヒット商品である。回復の魔石である。

 この、魔石は、馬やロバにつけると。体力の消耗がかなり減り、馬やロバでの移動が楽になったのである。


 「しかし、ブラカリのおかげで、魔法部隊がいなくても、移動が便利になったのに、侵攻する必要あるのか」

 「聖魔教会を、よく思っていない、連中も多いからな」

 「そうらしいな。でも俺は内緒だけど、神守教会の方が、えげつない思想だと思ってるけどな」

 「やめとけ、聞こえたら、殺されるぞ。太陽騎士団の連中は、かなり過激な神守教会の信者だしな」

 「そうだな、神技を極めた、強者の集まりだから、神に対する恩義がかなり高い。なので、聖魔教会を敵視しているよな」

 「ああ、俺たち、普通の男は、生活を便利にしてくれる、ブラカリのが、親近感を持てるけどな」

 「ああ・・・・しかし、なんかすごく眠くなってこないか」

 「確かに・・・・」




 「ケレス団長大変です」

 「どうしたワイアット」

 「兵どもが一斉に寝ています」

 「だから、どうした。疲れて寝ているのだろう」

 「いえ、その・・・」

 「おい、ワイアット何をいきなり寝ている」

 
 ケレスは、何かおかしいと、感じて、馬車から外に飛び出した。するとあたりは、薄っすらなピンク色のモヤが一面を覆っていた。

 「なんだこれは、どうなっている」

 「あなたが、この援軍の指揮官ですか」

 「誰だ。どこにいる」

 「ここです」


 ケレスはあたりを見渡すが、誰もいない・・・


 「上ですよ」


 ケレスは上を見上げる。そこには、白い翼が生えている小さな女の子がいた。


 「お前は何者だ」

 「人に名前を聞くときは、まずは自分から名乗るのが常識でしょ」

 「亜人風情が偉そうに、でも知りたいなら教えてやろう。俺はアポロ公爵様の護衛部隊、太陽騎士団の団長のケレスだ」

 「私は、ラストパサーのメンバーのルシスです。神守教会への援軍を阻止するために、ここに来ました。なので家に帰ってください」

 「何をバカなことを言っている。亜人ごときが、俺に命令するな。いますぐ殺してやる」


 そう言うと、ケレスは、地面に手をあてる。


 「ロックバード」


 地面が砕けて、砕けた岩が、ルシスに向かって飛んでいく。


 「空を飛べる亜人かも、しれないが、俺のロックバードからは、逃れることはできないぜ」



 ケレスは、生まれた時から、神から授かった能力がある。それは大地を操る能力である。



 「うわーーやられる・・・・なんてね」


 ロックバードはルシスの前で、砕けちる。


 「効かないだと・・・それならこれだ、ドッカンボルケーノ」

 
 ケレスは、両手を大地に手をあてて、叫んだ。大地が裂けて、その隙間から、マグマが勢いよく飛び出してきた。マグマは、ルシスを覆い尽くし、激しく燃え上がった。


「これで、終わりか。ドッカンボルケーノを食らったら、骨さえも溶かし尽くして、そこには、何も残らないからな」


 「うーーーやられた」

 「当たり前だ。これを食らって、生きてるわけがないからな・・・・・なぜ、声が聞こえる・・・幽霊か」

 「うらめしやー可愛い女の子を、マグマで焼くなんて、地獄行きだぞー」

 「なぜ・・・生きている」

 「バリアを張っていたからね。それに攻撃もしょぼいし」

 「この化け物が・・・」

 「それで、帰ってくれるのかな」

 「俺は、神に選ばれた男だ。亜人の化け物の言うことなんて聞けるか。これでもくらえ、ドッカンボルケーノファイナル」

 
 ケレスは、両手を地面につけて、叫んだ。大地は先ほどより、大きく裂け、多量のマグマが吹き上がる。しかし、ルシスには全く効果がない。


 「なぜなんだ。神の子が亜人に負けるのか・・・ありえない」

 「もう終わりですか」

 「黙れ、亜人のくせに生意気だぞ。俺は神の子だ。俺は選ばれし人間なんだ。お前ら亜人ごときに負けるわけにはいかない。必ず正義が勝つのだ」

 「あなたには、何を言っても無駄みたいですね。それなら仕方ありません。死んでください」

 「なんだと。亜人のくせに、人間様を殺すだと。亜人なら亜人らしく、森の奥で、逃げるように暮らしておけばいいのだ。人間様に逆らうなんて、神に逆らうのと同罪だ」

 「私は、神より魔王様のが好きなので、同罪でいいですよ」

 そう言うとルシスは、火球をケレス目掛けて、放ったのであった。



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