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パースリの町パート2
しおりを挟む私達は、急いで食堂へ降りていった。
「寝ているところ、ごめんなさい。緊急事態なもので」
「パースリの町が、ゴブリンに占拠されたって、本当ですか?」
「はい。本当みたいです。先ほどトメイトの村から、報告がありました。パースリの町へ、ゴブリンの大群が押し寄せ、占拠されたらしいです」
「いくらゴブリンが大群で、押し寄せても、そんなに強くないはずだ。パースリの町は、大きな町なので、たくさんの衛兵がいる。しかも一般市民でも、ゴブリンなら、なんとか対応できるはずだが」
「パースリから、逃げてきた人によると、ジャイアントゴブリンが数体いたそうです。」
「ジャイアントゴブリンですか、それなら納得がいきます。かなり手強いと思います。」
「パースリには、私の息子が逃げて行ったと思います。ジャイアントゴブリンの討伐とまで言いませんが、パースリの状況を確認してもらえませか?」
「たしかに、パースリの状況は気になります。その依頼受けましょう。」
「ありがとうございます。でもあまり無理はしないでください。あくまで状況確認で、かまいません。トメイト村から、領主様の町へ、討伐要請をお願いしてると思います。パースリには、領主様が建てられた孤児院が、あるますので、すぐに、討伐しに来られると思います」
「わかりました。私たちは、討伐部隊が来るまでの、偵察要員というとこですね」
「はい。そうです。息子のことも心配ですが、パースリの町の状況、それに、もしかしたら、キャベッジの町、トメイトの村にも、侵攻してくるかもしれませんので、偵察をお願いします」
「そしたら、今すぐに向かいます」
「ありがとうございます。お気をつけて」
私たちは、馬車に乗り込み、急いでパースリの町へ向かった。
「ジャイアントゴブリン、キマイラに比べたら弱いが、ゴブリンの大群を抑えつつ、戦うとなると、面倒になりますね」
「そうだな。今回もルシスに、支援してもらった方が良いな。頼むぜルシス」
「はい。わかりました」
「偵察の依頼だが、町の人が心配だ。俺は速攻で乗り込むぜ」
「わかったわトール。でも危ないと感じたら、逃げるわよ」
「わかってるぜ。とりあえず、飯にするか」
私たちは、急いでパースリに向かったが、ちゃんと町の宿屋で、お弁当を買っていた。
この世界は、電子レンジはないが、魔法で冷えた弁当も暖める事ができる。魔法が使える人は、収納魔法も習得してる人が多いので、収納ボックスに収納しておけば、腐りもしない。魔法は、とても便利なものである。
私たちが、馬車の中で、食事を終える頃には、パースリの町に到着していた。
私たちは馬車を降りると、パースリの町の門に向かった。
「パースリの町の中から、たくさんの魔獣の魔力を感じます。大きな魔力が6体、小さな魔力が500体です。人間の魔力は20体ほど感じます」
「ゴブリンが500体、ジャイアントゴブリンが6体ということだね」
「はい。そうです。ただ1体は、ジャイアントゴブリンではないと思います。その魔獣はさらに魔力が高いです」
「その魔獣が、このゴブリンを率いているボス魔獣だね」
「はい。そうだと思います」
「生き残ってる町の人は、1つの場所に監禁されていると思います」
「生存者は20人。多くの町の人は、殺されたみたいですね」
「町の人の救出が先か、魔獣のボスを倒すが先か、どうしますか」
「ボスを倒すぜ。その方が確実だ。町の人は、監禁されているなら、すぐには殺さないはずだ。先に救出しても、逃げる時に殺されたら意味がないからな」
「そうですね。その作戦でいきましょう」
「ルシス、ボスの位置はわかるか?」
「はい。町の中央にいると思います。そこを守るようにジャイアントゴブリンがいると思います」
「よしわかったぜ。町の中央まで一気に駆け抜けるぜ。ロキと俺で、ジャイアントゴブリンを倒す。その間に周りのゴブリンの相手を、ルシスとポロンに任せるぜ」
「はい。わかりました」
「ルシスちゃんの支援魔法はすごいけど、戦闘は大丈夫なの?」
ポロンさんは心配そうにいう。
「あんなすげー支援魔法使えるなら、攻撃魔法もかなり強力だろ?」
トールさん適当に言う。
「ポロンお姉ちゃん、心配してくれてありがとうございます。私は支援魔法より攻撃魔法のが得意です。ゴブリンくらいなら、容易く倒せます」
私はかなり控えめに言った。本気を出さなくても、私1人で、この町の全ての魔獣を、倒すことができるのである。
しかし、本気を出して、大ごとになることは控えなければいけない。異世界アニメを、たくさん見てきた私は知っている。大きな力を見せてしまったら、国王や、権力者から囲い込まれて、面倒になる事を。
私の今の目標は、魔界へ戻る方法を探す事、そして異世界冒険を楽しむことである。国の権力争いや、国家間のイザコザに巻き込まれるのは、避けておきたい。
「よし決まりだな。俺が突撃するから、みんな着いてこい」
私が、みなさんに支援魔法をかけると、トールさんは、勢いよく飛び出して、町の門をハンマーで、壊して町の中へ入っていった。
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