上 下
14 / 453

完全復活

しおりを挟む
                               

  ここはエスパースだ。何日ぶりだろう。

 「お嬢ちゃん、やっと力を授ける時がきたね。」

 目の前にミカエル様、そして他の6人の天使様が現れた。

 「はい。やっと力を自由に使える時がきました。」

 「完全にお嬢さんの魔石を、浄化できたので、今から、魔石に魔力を注ぎ込むね。」

 そう言うと、7大天使様は、私に向けて手をかざした。手のひらからは、7色に輝く光線があらわれて、私の体内に、注ぎ込まれていく。

 注ぎ込まれた私の体は、光り輝き、魔石に魔力が完全に注ぎ込まれると、光も消えてしまった。


「これで終わりだよ。」
 
「ありがとうございます。」


 魔石を通じて、全身に魔力が、流れているのがわかる。この魔力の流れにより、魔人としてもとからある、身体の強度も取り戻した。

 あの門兵がいくら蹴飛ばしても、傷一つつけることさえできない。これが本来の私の力である。


 「お嬢さんの魔石は、全ての属性を持ったゴールドになっているよ。ゴールドの魔石は、人界には存在しないので、白の無属性の魔石にカモフラージュしとくね。」

 「はい。わかりました。」

 「今日から、新たな人生を楽しんでね。」

 そう言うと7大天使様の姿は、消えてしまった。

 
 私は宿屋のベッドに寝転んでいる。この感覚はエスパースで訓練していた時、いやそれ以上の魔力の流れを感じる。訓練した成果を早く試したい。だから、必ず討伐には参加させてもらおう。


 やっと朝がきた。私は魔力が復活した嬉しさで、あまり寝付けなかった。

 「ルシスちゃんもう起きてるの?」

 「はいポロンお姉ちゃん。」

 「早起きはいいことですよ。トールにも見習って欲しいですわ。」

 トールさんはまだまだ爆睡中だ。昨日たくさん飲んでいたから、なかなか起きないだろう。

 「2人とも早いな。」

 ロキさんも目覚めたらしい。

 「ルシスちゃん?なんか昨日と様子が、ちがうんじゃない?」

 「そうですわ、なにか魔石から感じるオーラが違いますわ。昨日は魔石から何も感じとる事は出来なかったはずですわ」

 「そのことで、お話しがあります。」


 これはある程度きちんと、説明しといた方がいいと思った。そうしないと、今日の討伐に参加させてもらえないはず。


 「実は私は、呪いで魔力を封印されていました。その呪いの効果は5年です。そして今日がちょうど5年目になり、呪いがとけて、もとの魔力に戻りました。」

 「まじなのかーー」


 さっきまで寝ていたと思ってたトールさんが大声で叫んだのである。


 「俺らは結構有名な冒険者で実力もある。だから相手の魔力量、魔石の属性などは、ある程度検討がつく。」

 「ルシスから感じる取れる魔力量はかなりすごいぜ。」


 実は私が使える魔法の1つで、ステイタスをごまかせる魔法がある。その魔法を使って、実際の魔力量よりも、かなり下回る数値を感じ取らせるようにしている。


 「私は生まれつき魔力が高く、それを利用しようとする者もいます。なので、私の力を悪用されないように、呪いをかけられました。」

 「ルシスちゃんは、小さい頃からいろいろ苦労しているんだね。」

 「はい。でも大丈夫です。今はお姉ちゃん達とパーティーも組めて、今日から魔力を使って、楽しい日々を過ごしたいと思ってます。」

 「それで、今日は討伐に参加してもいいですか。」

 「ダメです。」


 やっぱりポロンさんがダメ出しをした。

 
 「いいじゃないか。こんなに魔力が高いのだから、問題ないやろ」

 「いえ、ダメです。討伐は何がおきるかわかりません。魔力がいくら高くても、実戦は違うのです」


 私はたくさん訓練してきたし、7大天使様にも勝利した。だから問題はない。でもそのことは言えないし、どうしよう。


 「私は支援魔法が得意ですので、危なくないところから支援します。だから参加させてください。お願いします。」

 「・・・」


 ポロンさんは考え混んでいる。


 「ポロン、ルシスちゃんを連れて行こう。危険だと感じたら、私がルシスを連れて逃げることにするから。」

 「ロキが言うなら、連れていきましょう。」

 「ルシスちゃん、危険だと感じたら、ロキと一緒に逃げるんだよ。」

 「はい。わかりました。」


 やった。これで討伐に参加できる。

 それから、朝ごはんをすませ、ベアーウルフの討伐に出かけることになった。

 この町を出るには、あの門兵とまた出会うことになる。でももう怖くない。今の私はチート能力で、負ける気はしない。

 町の門に近づくと、昨日と同じ門兵がいた。
私達に気づくと何も言わずに通してくれた。でも明らかに不機嫌そうな顔をしている。

 そして私達が通り過ぎると小さな声で、


 「あいつら、ベアーウルフに食べられたら面白いのになぁ。」

 「そうだな、亜人をかばう冒険者なんて、死んでしまえばいいのだ」


 そう言って門兵達は笑っていた。


 「言いたいは言わせてかまわない。あんなどうしようもない人間に、関わる必要はない。」


 ロキさんはそう言うと、門兵に戯言を無視して、ベアーウルフの森へ進むのであった。

 
 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...