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完全復活
しおりを挟むここはエスパースだ。何日ぶりだろう。
「お嬢ちゃん、やっと力を授ける時がきたね。」
目の前にミカエル様、そして他の6人の天使様が現れた。
「はい。やっと力を自由に使える時がきました。」
「完全にお嬢さんの魔石を、浄化できたので、今から、魔石に魔力を注ぎ込むね。」
そう言うと、7大天使様は、私に向けて手をかざした。手のひらからは、7色に輝く光線があらわれて、私の体内に、注ぎ込まれていく。
注ぎ込まれた私の体は、光り輝き、魔石に魔力が完全に注ぎ込まれると、光も消えてしまった。
「これで終わりだよ。」
「ありがとうございます。」
魔石を通じて、全身に魔力が、流れているのがわかる。この魔力の流れにより、魔人としてもとからある、身体の強度も取り戻した。
あの門兵がいくら蹴飛ばしても、傷一つつけることさえできない。これが本来の私の力である。
「お嬢さんの魔石は、全ての属性を持ったゴールドになっているよ。ゴールドの魔石は、人界には存在しないので、白の無属性の魔石にカモフラージュしとくね。」
「はい。わかりました。」
「今日から、新たな人生を楽しんでね。」
そう言うと7大天使様の姿は、消えてしまった。
私は宿屋のベッドに寝転んでいる。この感覚はエスパースで訓練していた時、いやそれ以上の魔力の流れを感じる。訓練した成果を早く試したい。だから、必ず討伐には参加させてもらおう。
やっと朝がきた。私は魔力が復活した嬉しさで、あまり寝付けなかった。
「ルシスちゃんもう起きてるの?」
「はいポロンお姉ちゃん。」
「早起きはいいことですよ。トールにも見習って欲しいですわ。」
トールさんはまだまだ爆睡中だ。昨日たくさん飲んでいたから、なかなか起きないだろう。
「2人とも早いな。」
ロキさんも目覚めたらしい。
「ルシスちゃん?なんか昨日と様子が、ちがうんじゃない?」
「そうですわ、なにか魔石から感じるオーラが違いますわ。昨日は魔石から何も感じとる事は出来なかったはずですわ」
「そのことで、お話しがあります。」
これはある程度きちんと、説明しといた方がいいと思った。そうしないと、今日の討伐に参加させてもらえないはず。
「実は私は、呪いで魔力を封印されていました。その呪いの効果は5年です。そして今日がちょうど5年目になり、呪いがとけて、もとの魔力に戻りました。」
「まじなのかーー」
さっきまで寝ていたと思ってたトールさんが大声で叫んだのである。
「俺らは結構有名な冒険者で実力もある。だから相手の魔力量、魔石の属性などは、ある程度検討がつく。」
「ルシスから感じる取れる魔力量はかなりすごいぜ。」
実は私が使える魔法の1つで、ステイタスをごまかせる魔法がある。その魔法を使って、実際の魔力量よりも、かなり下回る数値を感じ取らせるようにしている。
「私は生まれつき魔力が高く、それを利用しようとする者もいます。なので、私の力を悪用されないように、呪いをかけられました。」
「ルシスちゃんは、小さい頃からいろいろ苦労しているんだね。」
「はい。でも大丈夫です。今はお姉ちゃん達とパーティーも組めて、今日から魔力を使って、楽しい日々を過ごしたいと思ってます。」
「それで、今日は討伐に参加してもいいですか。」
「ダメです。」
やっぱりポロンさんがダメ出しをした。
「いいじゃないか。こんなに魔力が高いのだから、問題ないやろ」
「いえ、ダメです。討伐は何がおきるかわかりません。魔力がいくら高くても、実戦は違うのです」
私はたくさん訓練してきたし、7大天使様にも勝利した。だから問題はない。でもそのことは言えないし、どうしよう。
「私は支援魔法が得意ですので、危なくないところから支援します。だから参加させてください。お願いします。」
「・・・」
ポロンさんは考え混んでいる。
「ポロン、ルシスちゃんを連れて行こう。危険だと感じたら、私がルシスを連れて逃げることにするから。」
「ロキが言うなら、連れていきましょう。」
「ルシスちゃん、危険だと感じたら、ロキと一緒に逃げるんだよ。」
「はい。わかりました。」
やった。これで討伐に参加できる。
それから、朝ごはんをすませ、ベアーウルフの討伐に出かけることになった。
この町を出るには、あの門兵とまた出会うことになる。でももう怖くない。今の私はチート能力で、負ける気はしない。
町の門に近づくと、昨日と同じ門兵がいた。
私達に気づくと何も言わずに通してくれた。でも明らかに不機嫌そうな顔をしている。
そして私達が通り過ぎると小さな声で、
「あいつら、ベアーウルフに食べられたら面白いのになぁ。」
「そうだな、亜人をかばう冒険者なんて、死んでしまえばいいのだ」
そう言って門兵達は笑っていた。
「言いたいは言わせてかまわない。あんなどうしようもない人間に、関わる必要はない。」
ロキさんはそう言うと、門兵に戯言を無視して、ベアーウルフの森へ進むのであった。
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