33 / 59
第33話 浄化の力
しおりを挟む
あのイベントはローゼが入学して3か月が経過した日に起こった。シュバインはローゼをハーレム部へ入部させるために、いつも通りの第3王子というチート級の圧力を利用する。シュバインは王族主催のパーティーの招待状をローゼに送り付けて断ることのできない状況を作り出し、第4王子のマルスが邪魔をしないように、シュバインを溺愛する王妃を利用して、マルスをフォルモーント城へ帰還させて万全の体制を整える。
ローゼは渋々パーティーへ参加することになるが、この時頼もしい味方と一緒に行くこととなる。その味方とはイーリスである。シュバインの怪しげなパーティーに参加できるのは女性のみであり、ローゼのハーレムパーティーであるフラムが同行できない代わりにイーリスが同行した。
「リーリエ、作戦を立てるのは良いと思うが、何か秘策でもあるのか」
「秘策と言える案ではありませんが、予防策のような案を思いつきました」
私はローゼがシュバインに怪しげなパーティーへ招待された時のことを参考にして、とある案を思いつき兄たちに説明した。
「とても良い案だと思います」
真剣な眼差しでローゼが私の案に賛同してくれた。
「私も賛成です。もしもリーリエさんの予測が当たっていれば、今までのシュバインの悪行にも納得がいきます」
イーリスも賛同する。
「もちろん、俺も賛成だ。さすが我が妹だ」
兄は一番うれしそうな顔で私の案を褒めてくれた。こうして、私はとある案を用意して生徒会室へ向かった。
教室棟別館の前に着くと明らかに異様な雰囲気を感じる。この辺り一帯だけが異質の空気に汚染されているようにひしひしと伝わってきて緊張感が走る。
「嫌な空気だな。みんな慎重に行動しよう」
兄もすぐに異様な雰囲気を察知してみんなに声をかける。みんなも声を揃えて返事をした。
「私が先頭で入ります」
ローゼが先陣をきると宣言する。
「任せたぞ」
兄はローゼに先陣を託す。敵地に乗り込むなら先陣をきるのは騎士の兄が妥当であるが、これも私のとある案の一端をであった。ローゼは慎重に教室棟別館の扉を開く。すると、心地よい香りが鼻を刺激する。やはり私の思った通りのイベントが発生した。この香りの正体は魅惑の香である。心地よい甘い香りで脳を混乱させて精神異常をきたす魔法具だ。教室棟別館の1階を魅惑の香で充満させるには、1個や2個では無理である。かなりの数の魅惑の香を用意する必要があるが、それを可能にできるのはシュバインが第3王子という無双の肩書の恩恵である。
「リーリエの言った通りの展開だな」
兄は自慢げに言う。
「さすがリーリエさんです」
ローゼは羨望の眼差しで私を見る。
「私が見込んだだけのことはありますね」
3人は私を褒めてくれるが、これは私が考えたのではなくて、ゲームの知識を利用しただけである。ゲームでは、ローゼとイーリスが2人で怪しげなパーティーへ参加するために教室棟別館へ来ると、1階フロアーでは異様な光景が待ち受けていたのである。ローゼ以外にも強制的に招待された女生徒たちが、まるでゾンビのように歪な顔をして、フロアー内を徘徊しているのである。女生徒たちは魅惑の香を吸い込んだことにより自我を失い夢遊病者のようになったのだ。幸いにもローゼとイーリスはデバフ・バフ効果を無効化する特殊スキルが備わっているので、魅惑の香の効果はなく、シュバインの目論見は簡単に破られるのである。
私はゲームの知識を利用してデバフ対策をした。ローゼとイーリスはスキルがあるので問題はないが、私と兄はスキルがないので魅惑の香の餌食になる。そこで、ローゼに光魔法で聖なる結界を張ってもらいデバフ効果を無効にしてもらい、無敵のデバフ耐性を持つローゼに先陣をきってもらい状況確認をお願いした。
「ローゼ、光魔法で魅惑の香を浄化してもらえないかしら」
建物の中へ入るにつれて魅惑の香の濃度が高くなり、視界は薄気味悪い紫色の靄で覆われている。ローゼとイーリスは視界を確保できるが、私と兄は10㎝先も確認できないくらいに視野が無くなっていた。
「わかりました」
ローゼは両手を組んで祈りを捧げる。
「浄化の神ライニグング様、私にお力をお貸しください。原初の神カオス様が生命の糧としてお与えくださった清きエネルギーを、愚者の蛮行により汚れたエネルギーへと変貌してしまいました。身勝手なお願いになりますが、清きエネルギーへと戻してください」
ローゼが浄化の神ライニグングに願いを捧げると、ローゼの体から眩い光が溢れ出て、薄気味悪い紫色の靄を消し去ってくれた。
「ローゼ、ありがとう」
「これも、イーリスさんの指導のおかげです」
イーリスが兼部してくれたことは効果絶大であった。ゲームでは、第1魔法研究部へ入部してイーリスとフラムの指導を経て聖女として成長する。だが、リアルではローゼは料理研究部に入部することとなる。しかし、イーリスが兼部を申し入れたことにより、ローゼはイーリスから光魔法を学ぶことができた。ここでもゲームとは過程は違うが結果は似たような道を辿ることとなった。
ローゼは渋々パーティーへ参加することになるが、この時頼もしい味方と一緒に行くこととなる。その味方とはイーリスである。シュバインの怪しげなパーティーに参加できるのは女性のみであり、ローゼのハーレムパーティーであるフラムが同行できない代わりにイーリスが同行した。
「リーリエ、作戦を立てるのは良いと思うが、何か秘策でもあるのか」
「秘策と言える案ではありませんが、予防策のような案を思いつきました」
私はローゼがシュバインに怪しげなパーティーへ招待された時のことを参考にして、とある案を思いつき兄たちに説明した。
「とても良い案だと思います」
真剣な眼差しでローゼが私の案に賛同してくれた。
「私も賛成です。もしもリーリエさんの予測が当たっていれば、今までのシュバインの悪行にも納得がいきます」
イーリスも賛同する。
「もちろん、俺も賛成だ。さすが我が妹だ」
兄は一番うれしそうな顔で私の案を褒めてくれた。こうして、私はとある案を用意して生徒会室へ向かった。
教室棟別館の前に着くと明らかに異様な雰囲気を感じる。この辺り一帯だけが異質の空気に汚染されているようにひしひしと伝わってきて緊張感が走る。
「嫌な空気だな。みんな慎重に行動しよう」
兄もすぐに異様な雰囲気を察知してみんなに声をかける。みんなも声を揃えて返事をした。
「私が先頭で入ります」
ローゼが先陣をきると宣言する。
「任せたぞ」
兄はローゼに先陣を託す。敵地に乗り込むなら先陣をきるのは騎士の兄が妥当であるが、これも私のとある案の一端をであった。ローゼは慎重に教室棟別館の扉を開く。すると、心地よい香りが鼻を刺激する。やはり私の思った通りのイベントが発生した。この香りの正体は魅惑の香である。心地よい甘い香りで脳を混乱させて精神異常をきたす魔法具だ。教室棟別館の1階を魅惑の香で充満させるには、1個や2個では無理である。かなりの数の魅惑の香を用意する必要があるが、それを可能にできるのはシュバインが第3王子という無双の肩書の恩恵である。
「リーリエの言った通りの展開だな」
兄は自慢げに言う。
「さすがリーリエさんです」
ローゼは羨望の眼差しで私を見る。
「私が見込んだだけのことはありますね」
3人は私を褒めてくれるが、これは私が考えたのではなくて、ゲームの知識を利用しただけである。ゲームでは、ローゼとイーリスが2人で怪しげなパーティーへ参加するために教室棟別館へ来ると、1階フロアーでは異様な光景が待ち受けていたのである。ローゼ以外にも強制的に招待された女生徒たちが、まるでゾンビのように歪な顔をして、フロアー内を徘徊しているのである。女生徒たちは魅惑の香を吸い込んだことにより自我を失い夢遊病者のようになったのだ。幸いにもローゼとイーリスはデバフ・バフ効果を無効化する特殊スキルが備わっているので、魅惑の香の効果はなく、シュバインの目論見は簡単に破られるのである。
私はゲームの知識を利用してデバフ対策をした。ローゼとイーリスはスキルがあるので問題はないが、私と兄はスキルがないので魅惑の香の餌食になる。そこで、ローゼに光魔法で聖なる結界を張ってもらいデバフ効果を無効にしてもらい、無敵のデバフ耐性を持つローゼに先陣をきってもらい状況確認をお願いした。
「ローゼ、光魔法で魅惑の香を浄化してもらえないかしら」
建物の中へ入るにつれて魅惑の香の濃度が高くなり、視界は薄気味悪い紫色の靄で覆われている。ローゼとイーリスは視界を確保できるが、私と兄は10㎝先も確認できないくらいに視野が無くなっていた。
「わかりました」
ローゼは両手を組んで祈りを捧げる。
「浄化の神ライニグング様、私にお力をお貸しください。原初の神カオス様が生命の糧としてお与えくださった清きエネルギーを、愚者の蛮行により汚れたエネルギーへと変貌してしまいました。身勝手なお願いになりますが、清きエネルギーへと戻してください」
ローゼが浄化の神ライニグングに願いを捧げると、ローゼの体から眩い光が溢れ出て、薄気味悪い紫色の靄を消し去ってくれた。
「ローゼ、ありがとう」
「これも、イーリスさんの指導のおかげです」
イーリスが兼部してくれたことは効果絶大であった。ゲームでは、第1魔法研究部へ入部してイーリスとフラムの指導を経て聖女として成長する。だが、リアルではローゼは料理研究部に入部することとなる。しかし、イーリスが兼部を申し入れたことにより、ローゼはイーリスから光魔法を学ぶことができた。ここでもゲームとは過程は違うが結果は似たような道を辿ることとなった。
1
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!
るっち
ファンタジー
土砂降りの雨のなか、万年Fランクの落ちこぼれ冒険者である俺は、冒険者達にコキ使われた挙句、魔物への囮にされて危うく死に掛けた……しかも、そのことを冒険者ギルドの職員に報告しても鼻で笑われただけだった。終いには恋人であるはずの幼馴染にまで捨てられる始末……悔しくて、悔しくて、悲しくて……そんな時、空から宝石のような何かが脳天を直撃! なんの石かは分からないけど綺麗だから御守りに。そしたら何故かなんでもできる気がしてきた! あとはその石のチカラを使い、今まで俺を見下し蔑んできた奴らをギャフンッと言わせて、落ちこぼれ冒険者から脱却してみせる!!
一人息子の勇者が可愛すぎるのだが
碧海慧
ファンタジー
魔王であるデイノルトは一人息子である勇者を育てることになった。
デイノルトは息子を可愛がりたいが、なかなか素直になれない。
そんな魔王と勇者の日常開幕!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
引きこもりが乙女ゲームに転生したら
おもち
ファンタジー
小中学校で信頼していた人々に裏切られ
すっかり引きこもりになってしまった
女子高生マナ
ある日目が覚めると大好きだった乙女ゲームの世界に転生していて⁉︎
心機一転「こんどこそ明るい人生を!」と意気込むものの‥
転生したキャラが思いもよらぬ人物で--
「前世であったことに比べればなんとかなる!」前世で培った強すぎるメンタルで
男装して乙女ゲームの物語無視して突き進む
これは人を信じることを諦めた少女
の突飛な行動でまわりを巻き込み愛されていく物語
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる