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第20話 天翔ける騎士メーヴェ
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「メッサー様、部員の失礼な態度誠に申し訳ございません」
イーリスは左膝を付いて頭を下げる。
「どうぞお顔をお上げください。あなたは何も悪くはありません。こちらこそ平等の判定をして頂き本当にありがとうございます」
「それは当然のことです。それにお礼を言いたいのは私の方です。魔法士と騎士は共に協力し合うべきだと思っていますので、騎士の実力を新入生に示してくださってありがとうございます」
イーリスは立ち上がり再び深々と頭を下げる。
「今回の模擬戦の結果はフラムのおごりと怠慢によって得た勝利です。彼が冷静に模擬戦に挑んでいれば結果は変わっていたかもしれません」
兄は冷静に勝敗の分析をしていた。
「それも含めての模擬戦です。この模擬戦で学ぶべきことは多いはずですが、どれだけの新入生が学べたかは疑問です」
観客席を見れば一目瞭然だった。たった3分という短い時間の決着に納得していない新入生が多数を占めていた。土煙によって視界が悪く、何が起きたのか理解できず結果に納得しないのも当然かもしれない。フラムの言い分を聞いて同調する者も多いが、第1魔法研究部の部長にヤジを飛ばせるわけもなく、言いたいことを言えずにフラストレーションを貯めているようだった。
「そのように言ってもらえるのは光栄です。共に技術の研鑽に励みましょう」
兄はイーリスに一礼をして闘技台を後にした。
「みなさん、素晴らしい模擬戦の勝者に拍手を持って感謝の意を示しましょう」
闘技台を降りる兄にイーリスは拍手をするが、観客席からはまばらの拍手しか聞こえなかった。
「お兄様、おめでとうございます。相手の考えを読み解き、闘技台の破壊も視野にいれた完璧な立ち回りは圧巻の一言です。良い勉強になりました」
「ありがとう、リーリエ。しかし、今日のフラムの様子はあきらかにおかしかったから勝利を手にすることができた。もし、彼が落ち着きを取り戻して再戦を望むなら同じ手は通用しないだろう」
ゲームとは違い兄は相手へのリスペクトも忘れないとても優しい人である。
「メッサー様、模擬戦の勝利おめでとうございます」
ローゼが天使のような可愛い笑みで兄を祝福すると兄もまんざらでないような笑みを浮かべる。
「ありがとうローゼ嬢。フラムはあなたに固執しているようなので気を付けた方が良いだろう」
「ご忠告ありがとうございます。フラム様は昨日私が困っている時に親切に声をかけてくださったとても優しい方だったのですが、今日のフラム様はすこし怖く感じました。何が原因であのような憎しみに満ちた態度へ変貌したのか気がかりでなりません」
ローゼはゲームの設定通りの純粋な心の持ち主であるが、フラムの気持ちには気付いていないようだ。
「リーリエ、すまないが当分はローゼ嬢と共に過ごしてほしい。あの常軌を逸した目はこのままでは終わらせないという強い意志を感じた。今後は1人での行動は避けた方が良いはずだ」
「それはとても良い事だわ」
可愛いローゼと一緒に暮らすのも悪くないと私は思い素直に喜んだ。
「そんな気を使わなくても大丈夫です。これ以上リーリエさんにご迷惑おかけするわけにはいきません」
「ローゼ、私は堕落令嬢よ。金銭面のことなら気にしなくてもけっこうよ」
私は自虐ネタで遠慮がちなローゼの気持ちをほぐすことにした。
「ローゼ嬢、リーリエの言う通り金銭面は気にしなくても良い。リーリエは自分のことを堕落令嬢と言っているが、新しい食べ物などを開発して領内の収益アップに貢献をしているので、寮費の全てを自腹で賄っているのだ。寮の規則では、借り部屋には学生2人とメイド1人までは許可されているから遠慮をする必要は全くないのだ」
ローゼは少し考えてから答えを出す。
「わかりました。一緒に住まわしていただきます。その代わりに私もメローネさんと一緒に家事や掃除を手伝わせてください」
「わかったわ。メローネと一緒にがんばってね」
人一倍優しいローゼの性格から察すると多少の労働を与えた方が納得するだろうと思い、私はローゼの気持ちを尊重することにした。
「フラム対策も決まったとこだし、残りの部活を見学しよう」
「はい。お兄様」
「わかりました」
闘技台は、フラムによって一部が壊されたので、部活発表会は一旦中止していたが、闘技台の仮の修復が終わり部活発表会は再開した。
「見学中申し訳ありませんがサインをください」
1人の女生徒が顔を真っ赤にして大声で兄に声をかける。私は兄に声をかけた女生徒に見覚えがある。
「え!サイン?俺のか」
兄は目を大きく開いてビックリしている。兄はイケメン四天王と呼ばれるほど女生徒の中ではかなり人気があるのだが、剣一筋の性格なので女性徒は怖くて寄って来ないらしいとメローネから聞いている。
「もちろんです。天才魔法士と呼ばれるにっくきフラムを倒した姿は気分爽快でした。私もメッサー様のような立派な騎士になりたいのです」
女生徒は瞳を星のように輝かせながら兄の勇士を讃える。
「あの模擬戦でのフラムは実力の半分も出せず終わってしまった。あまり魔法士を甘く見ない方がよい」
兄は剣一筋の性格なので、女生徒の気持ちを察知することが出来ずに騎士としての心構えを説く。
「もちろんです。でも、エアステップを習得しているメッサー様なら、フラムが魔法の軌道を変えることも想定していたはずです。決闘に大事なことは技術と戦略なので、バカなフラムがメッサー様に勝つのは不可能なのです」
エアステップとは空中で方向転換する高難度のステップである。実際兄はフラムとの戦いの中でエアステップを使用してフラムの背後をとった。しかし、土煙で視界が悪く高難易度の技の為、気付いていたのはイーリスだけである。だが、この女生徒ならエアステップを使用したことを見抜くことが出来て当然である。なぜならば、この女生徒こそ、私のハーレムパーティで天翔ける騎士と呼ばれるメーヴェ・ヴァンダーファルケだからである。
ゲームのメーヴェは、フォルモーント王立学院へ入学前に上級騎士の試験に合格して、私の次に将来を有望視されていた騎士である。得意技はエアステップを多用した空中歩行だ。ターン制バトルでは、空中歩行は2回攻撃になるので頼りになる仲間であった。
※メーヴェ・ヴァンダーファルケ 15歳 フォルモーント王立学院1年生 身長158㎝ 青髪のショートカット 二重の大きな青い瞳 丸顔の可愛いらしい顔。
イーリスは左膝を付いて頭を下げる。
「どうぞお顔をお上げください。あなたは何も悪くはありません。こちらこそ平等の判定をして頂き本当にありがとうございます」
「それは当然のことです。それにお礼を言いたいのは私の方です。魔法士と騎士は共に協力し合うべきだと思っていますので、騎士の実力を新入生に示してくださってありがとうございます」
イーリスは立ち上がり再び深々と頭を下げる。
「今回の模擬戦の結果はフラムのおごりと怠慢によって得た勝利です。彼が冷静に模擬戦に挑んでいれば結果は変わっていたかもしれません」
兄は冷静に勝敗の分析をしていた。
「それも含めての模擬戦です。この模擬戦で学ぶべきことは多いはずですが、どれだけの新入生が学べたかは疑問です」
観客席を見れば一目瞭然だった。たった3分という短い時間の決着に納得していない新入生が多数を占めていた。土煙によって視界が悪く、何が起きたのか理解できず結果に納得しないのも当然かもしれない。フラムの言い分を聞いて同調する者も多いが、第1魔法研究部の部長にヤジを飛ばせるわけもなく、言いたいことを言えずにフラストレーションを貯めているようだった。
「そのように言ってもらえるのは光栄です。共に技術の研鑽に励みましょう」
兄はイーリスに一礼をして闘技台を後にした。
「みなさん、素晴らしい模擬戦の勝者に拍手を持って感謝の意を示しましょう」
闘技台を降りる兄にイーリスは拍手をするが、観客席からはまばらの拍手しか聞こえなかった。
「お兄様、おめでとうございます。相手の考えを読み解き、闘技台の破壊も視野にいれた完璧な立ち回りは圧巻の一言です。良い勉強になりました」
「ありがとう、リーリエ。しかし、今日のフラムの様子はあきらかにおかしかったから勝利を手にすることができた。もし、彼が落ち着きを取り戻して再戦を望むなら同じ手は通用しないだろう」
ゲームとは違い兄は相手へのリスペクトも忘れないとても優しい人である。
「メッサー様、模擬戦の勝利おめでとうございます」
ローゼが天使のような可愛い笑みで兄を祝福すると兄もまんざらでないような笑みを浮かべる。
「ありがとうローゼ嬢。フラムはあなたに固執しているようなので気を付けた方が良いだろう」
「ご忠告ありがとうございます。フラム様は昨日私が困っている時に親切に声をかけてくださったとても優しい方だったのですが、今日のフラム様はすこし怖く感じました。何が原因であのような憎しみに満ちた態度へ変貌したのか気がかりでなりません」
ローゼはゲームの設定通りの純粋な心の持ち主であるが、フラムの気持ちには気付いていないようだ。
「リーリエ、すまないが当分はローゼ嬢と共に過ごしてほしい。あの常軌を逸した目はこのままでは終わらせないという強い意志を感じた。今後は1人での行動は避けた方が良いはずだ」
「それはとても良い事だわ」
可愛いローゼと一緒に暮らすのも悪くないと私は思い素直に喜んだ。
「そんな気を使わなくても大丈夫です。これ以上リーリエさんにご迷惑おかけするわけにはいきません」
「ローゼ、私は堕落令嬢よ。金銭面のことなら気にしなくてもけっこうよ」
私は自虐ネタで遠慮がちなローゼの気持ちをほぐすことにした。
「ローゼ嬢、リーリエの言う通り金銭面は気にしなくても良い。リーリエは自分のことを堕落令嬢と言っているが、新しい食べ物などを開発して領内の収益アップに貢献をしているので、寮費の全てを自腹で賄っているのだ。寮の規則では、借り部屋には学生2人とメイド1人までは許可されているから遠慮をする必要は全くないのだ」
ローゼは少し考えてから答えを出す。
「わかりました。一緒に住まわしていただきます。その代わりに私もメローネさんと一緒に家事や掃除を手伝わせてください」
「わかったわ。メローネと一緒にがんばってね」
人一倍優しいローゼの性格から察すると多少の労働を与えた方が納得するだろうと思い、私はローゼの気持ちを尊重することにした。
「フラム対策も決まったとこだし、残りの部活を見学しよう」
「はい。お兄様」
「わかりました」
闘技台は、フラムによって一部が壊されたので、部活発表会は一旦中止していたが、闘技台の仮の修復が終わり部活発表会は再開した。
「見学中申し訳ありませんがサインをください」
1人の女生徒が顔を真っ赤にして大声で兄に声をかける。私は兄に声をかけた女生徒に見覚えがある。
「え!サイン?俺のか」
兄は目を大きく開いてビックリしている。兄はイケメン四天王と呼ばれるほど女生徒の中ではかなり人気があるのだが、剣一筋の性格なので女性徒は怖くて寄って来ないらしいとメローネから聞いている。
「もちろんです。天才魔法士と呼ばれるにっくきフラムを倒した姿は気分爽快でした。私もメッサー様のような立派な騎士になりたいのです」
女生徒は瞳を星のように輝かせながら兄の勇士を讃える。
「あの模擬戦でのフラムは実力の半分も出せず終わってしまった。あまり魔法士を甘く見ない方がよい」
兄は剣一筋の性格なので、女生徒の気持ちを察知することが出来ずに騎士としての心構えを説く。
「もちろんです。でも、エアステップを習得しているメッサー様なら、フラムが魔法の軌道を変えることも想定していたはずです。決闘に大事なことは技術と戦略なので、バカなフラムがメッサー様に勝つのは不可能なのです」
エアステップとは空中で方向転換する高難度のステップである。実際兄はフラムとの戦いの中でエアステップを使用してフラムの背後をとった。しかし、土煙で視界が悪く高難易度の技の為、気付いていたのはイーリスだけである。だが、この女生徒ならエアステップを使用したことを見抜くことが出来て当然である。なぜならば、この女生徒こそ、私のハーレムパーティで天翔ける騎士と呼ばれるメーヴェ・ヴァンダーファルケだからである。
ゲームのメーヴェは、フォルモーント王立学院へ入学前に上級騎士の試験に合格して、私の次に将来を有望視されていた騎士である。得意技はエアステップを多用した空中歩行だ。ターン制バトルでは、空中歩行は2回攻撃になるので頼りになる仲間であった。
※メーヴェ・ヴァンダーファルケ 15歳 フォルモーント王立学院1年生 身長158㎝ 青髪のショートカット 二重の大きな青い瞳 丸顔の可愛いらしい顔。
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