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第16話 ご指名
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「ローゼ……本当にいいの」
兄と同様にローゼの強い意志を感じたので反対することはできなかった。そもそも、ローゼだけに魔王討伐を任せて、自分はのうのうとスローライフを堪能しようと思っていた私は正に堕落令嬢だ。ゲームでのローゼとは、所詮作られた主人公であり感情も意志も歴史もないデータだ。だからこそ私はローゼの気持ちを思いやることもなく全てを託すことにした。しかし、今、目の前にいるローゼは私と同じ意思のある人間だ。これまでいろんな苦労を乗り越えて今があり、これからもいろんな苦労が待ち受けているだろう。昨日私は決めたはずだ。後ろに隠れるのではなく、隣に立ってローゼに協力すると。
「もちろんです」
ローゼは嬉しそうに微笑んだ。
「ローゼの入部を許可するわ。一緒に料理を作りましょうね」
「はい」
ローゼの嬉しそうな笑みを見て私の心は癒される。ゲームでも抜群の可愛さを誇っていたが、現実のローゼはさらにその上をいく可愛さである。さすがイケメン四天王を虜にしてハーレムパーティを率いるだけの美貌の持ち主だ。そんな素敵なローゼの笑みを見た兄がローゼに見惚れていたことに私は気づいていなかった。
闘技場に到着すると既に観客席には多くの新入生が席に座っていたので、私たちは後方の空いている席に座る。
10分後、部活発表会が始まる。中央にある円形の大理石の闘技台には東西から水晶のような透明の石の通路が設置されていて、その通路から戦う選手が入場する。基本は東からの入場は権威のある者が優先されるので、部活発表会でも東から入場することが許されるのは、第1魔法研究部だけである。
部活発表会の開始のアナウンスが流れる前に東側の通路から金色のマントを羽織ったガマガエルのような醜い顔のまるまると太った男が、際どい水着姿の女性を数名を侍らかして登場した。この男はフォルモーント王立学院生徒会長のシュバイン・シュテルネンナハトである。
※シュバイン・シュテルネンナハト フォルモーント王国第3王子 男性 17歳 フォルモーント王立学院3年生 身長176㎝ 体重120㎏ 金髪のボサボサの髪、小太り爺さんのような頬が垂れたガマガエルに似た顔、全身が贅肉の塊で樽のような体系。
シュバインは見習い魔法士にも合格できなかった落ちこぼれだが、国王の特別推薦枠で入学した特待生である。他の兄弟姉妹とはあまりにも容姿が似ていないので、王妃の浮気相手の子供だとも噂されているが、ゲームをすすめると浮気相手の子供だと判明する。第3王子という肩書以外は無能力に近く魔法もほとんど使えないが、チートに近い肩書を利用して、無理やり美女を侍らかすクズ男である。シュバインは男っぽい風貌の私には全く興味を示さないが、可愛いローゼを自分の女にしようと数々の悪だくみを仕掛けるので、ローゼにとっては害悪なキャラである。
「ブヒヒヒヒ、ブヒヒヒヒ」
闘技台に仁王立ちしたシュバインは、新入生を物色するように見渡すと気持ち悪い笑みを浮かべる。
「ブヒブヒブヒブヒ、新入生の諸君、ご入学おめでとうブヒ。むさ苦しい男子共はどうでもよいが、可愛い新入生の女の子は、俺のハーレム部に入部するブヒ。今後じっくりと見学して勧誘を行うので、勧誘された可愛い女の子は絶対に入部するブヒ」
シュバインは口からよだれを垂らしながら満足げな笑みを浮かべて闘技台から去っていく。新入生の女生徒たちは背筋が凍るような恐怖を感じていた。
「リーリエ、ローゼ嬢、アイツが勧誘してきたら俺にすぐ連絡しろ。相手が第3王子だろうがお前達に手を出すヤツは俺が許さない」
兄は怒りをむき出しにしていた。ゲームでは兄とシュバインは仲が良く様々な悪だくみに加担していた。あんな糞のような人物と大好きな兄が友達でなくてホッとした。シュバインのせいで闘技場内が重い空気に包まれたが、その空気を一瞬で吹き飛ばす人物が東の通路から姿を見せる。その人物は第1魔法研究部の部長イーリス・ブルーメンブラッドである。長い金色の美しい髪をなびかせながら、凛とした佇まいで歩く姿は芸術品のように荘厳な雰囲気を醸し出していた。イーリスの姿を見た新入生は目を輝かせて食い入るように注目する。
イーリスは闘技台に立つと左膝を付いて頭を下げた。
「生徒会長の失礼な発言をお許しください。あのような不謹慎な発言を止めることが出来なかったのは全て私の責任です。もし、無理やり入部させられそうになった時は私に相談してください。私は相手が第3王子であろうと正義の行動をします」
イーリスの言葉に全ての新入生がスタンディングオベーションで讃える。ゲームでもイーリスはシュバインの嫌がらせからローゼを守ることになる。
「それでは本題に入らせていただきます」
イーリスは立ち上がり力強く話し出す。
「新入生の諸君、ご入学おめでとうございます。フォルモーント王国の発展の為にはあなた方の力が必要になります。この学院で賢者とういう頂きを目指すならば第1魔法研究部に入部してください。しかし、第1魔法研究部は定員数が決まっていますので、毎年厳しい試験が用意されています。入部試験は明日の10時この闘技場にて開催いたします。高みを目指す新入生諸君、明日お会いできることを楽しみにしています」
イーリスは深々と頭を下げると新入生は拍手でお礼をする。
「最後に1つだけ言わさせてください」
新入生は拍手を辞めて静かにする。
「ローゼ・アイネミリオーン、あなたを特別推薦枠で第1魔法研究部にご招待いたします。これは私の独断ではなく全部員の総意であります。お返事を聞かせてもらってよろしいでしょうか」
イーリスは奥の席に座っているローゼの目を見て叫ぶ。突然の発表にローゼは驚いているが、私はゲーム通りの進行だったの想定内である。しかし、ローゼは第1魔法研究部ではなく料理研究部を選んでしまったので、この先は私の知らない世界が待っている。私は心臓をバクバクと鳴らしながら事の成り行きを見守るしかできなかった。
兄と同様にローゼの強い意志を感じたので反対することはできなかった。そもそも、ローゼだけに魔王討伐を任せて、自分はのうのうとスローライフを堪能しようと思っていた私は正に堕落令嬢だ。ゲームでのローゼとは、所詮作られた主人公であり感情も意志も歴史もないデータだ。だからこそ私はローゼの気持ちを思いやることもなく全てを託すことにした。しかし、今、目の前にいるローゼは私と同じ意思のある人間だ。これまでいろんな苦労を乗り越えて今があり、これからもいろんな苦労が待ち受けているだろう。昨日私は決めたはずだ。後ろに隠れるのではなく、隣に立ってローゼに協力すると。
「もちろんです」
ローゼは嬉しそうに微笑んだ。
「ローゼの入部を許可するわ。一緒に料理を作りましょうね」
「はい」
ローゼの嬉しそうな笑みを見て私の心は癒される。ゲームでも抜群の可愛さを誇っていたが、現実のローゼはさらにその上をいく可愛さである。さすがイケメン四天王を虜にしてハーレムパーティを率いるだけの美貌の持ち主だ。そんな素敵なローゼの笑みを見た兄がローゼに見惚れていたことに私は気づいていなかった。
闘技場に到着すると既に観客席には多くの新入生が席に座っていたので、私たちは後方の空いている席に座る。
10分後、部活発表会が始まる。中央にある円形の大理石の闘技台には東西から水晶のような透明の石の通路が設置されていて、その通路から戦う選手が入場する。基本は東からの入場は権威のある者が優先されるので、部活発表会でも東から入場することが許されるのは、第1魔法研究部だけである。
部活発表会の開始のアナウンスが流れる前に東側の通路から金色のマントを羽織ったガマガエルのような醜い顔のまるまると太った男が、際どい水着姿の女性を数名を侍らかして登場した。この男はフォルモーント王立学院生徒会長のシュバイン・シュテルネンナハトである。
※シュバイン・シュテルネンナハト フォルモーント王国第3王子 男性 17歳 フォルモーント王立学院3年生 身長176㎝ 体重120㎏ 金髪のボサボサの髪、小太り爺さんのような頬が垂れたガマガエルに似た顔、全身が贅肉の塊で樽のような体系。
シュバインは見習い魔法士にも合格できなかった落ちこぼれだが、国王の特別推薦枠で入学した特待生である。他の兄弟姉妹とはあまりにも容姿が似ていないので、王妃の浮気相手の子供だとも噂されているが、ゲームをすすめると浮気相手の子供だと判明する。第3王子という肩書以外は無能力に近く魔法もほとんど使えないが、チートに近い肩書を利用して、無理やり美女を侍らかすクズ男である。シュバインは男っぽい風貌の私には全く興味を示さないが、可愛いローゼを自分の女にしようと数々の悪だくみを仕掛けるので、ローゼにとっては害悪なキャラである。
「ブヒヒヒヒ、ブヒヒヒヒ」
闘技台に仁王立ちしたシュバインは、新入生を物色するように見渡すと気持ち悪い笑みを浮かべる。
「ブヒブヒブヒブヒ、新入生の諸君、ご入学おめでとうブヒ。むさ苦しい男子共はどうでもよいが、可愛い新入生の女の子は、俺のハーレム部に入部するブヒ。今後じっくりと見学して勧誘を行うので、勧誘された可愛い女の子は絶対に入部するブヒ」
シュバインは口からよだれを垂らしながら満足げな笑みを浮かべて闘技台から去っていく。新入生の女生徒たちは背筋が凍るような恐怖を感じていた。
「リーリエ、ローゼ嬢、アイツが勧誘してきたら俺にすぐ連絡しろ。相手が第3王子だろうがお前達に手を出すヤツは俺が許さない」
兄は怒りをむき出しにしていた。ゲームでは兄とシュバインは仲が良く様々な悪だくみに加担していた。あんな糞のような人物と大好きな兄が友達でなくてホッとした。シュバインのせいで闘技場内が重い空気に包まれたが、その空気を一瞬で吹き飛ばす人物が東の通路から姿を見せる。その人物は第1魔法研究部の部長イーリス・ブルーメンブラッドである。長い金色の美しい髪をなびかせながら、凛とした佇まいで歩く姿は芸術品のように荘厳な雰囲気を醸し出していた。イーリスの姿を見た新入生は目を輝かせて食い入るように注目する。
イーリスは闘技台に立つと左膝を付いて頭を下げた。
「生徒会長の失礼な発言をお許しください。あのような不謹慎な発言を止めることが出来なかったのは全て私の責任です。もし、無理やり入部させられそうになった時は私に相談してください。私は相手が第3王子であろうと正義の行動をします」
イーリスの言葉に全ての新入生がスタンディングオベーションで讃える。ゲームでもイーリスはシュバインの嫌がらせからローゼを守ることになる。
「それでは本題に入らせていただきます」
イーリスは立ち上がり力強く話し出す。
「新入生の諸君、ご入学おめでとうございます。フォルモーント王国の発展の為にはあなた方の力が必要になります。この学院で賢者とういう頂きを目指すならば第1魔法研究部に入部してください。しかし、第1魔法研究部は定員数が決まっていますので、毎年厳しい試験が用意されています。入部試験は明日の10時この闘技場にて開催いたします。高みを目指す新入生諸君、明日お会いできることを楽しみにしています」
イーリスは深々と頭を下げると新入生は拍手でお礼をする。
「最後に1つだけ言わさせてください」
新入生は拍手を辞めて静かにする。
「ローゼ・アイネミリオーン、あなたを特別推薦枠で第1魔法研究部にご招待いたします。これは私の独断ではなく全部員の総意であります。お返事を聞かせてもらってよろしいでしょうか」
イーリスは奥の席に座っているローゼの目を見て叫ぶ。突然の発表にローゼは驚いているが、私はゲーム通りの進行だったの想定内である。しかし、ローゼは第1魔法研究部ではなく料理研究部を選んでしまったので、この先は私の知らない世界が待っている。私は心臓をバクバクと鳴らしながら事の成り行きを見守るしかできなかった。
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