4 / 57
第4話 先読みの魔女
しおりを挟む
私はロベリアを見て頭の中が真っ白になり呆然と立ち尽くす。私がこれほどまでにも驚いているにはきちんとした理由がある。それはゲームではロベリアに何度も殺された強敵だからである。まさか占い館【フルール】の店主がロベリアだとは想像もしなかった。知っていたらここには来なかっただろう。
「リーリエ様、今日は占いをしに来たのではないのでしょうか」
私が黙り込んでいる姿を見たメローネは、独特の雰囲気のある占い館に戸惑っていると勘違いして、助け舟を出すように代わりに答えてくれた。
「そう……だったわ」
私はメローネの言葉にあわせる。
「……占って欲しいのなら席に座るがよい」
フードで隠れたロベリアの顔は口元だけしか確認はできないが、口角が上がり笑みを浮かべているように感じた。しかし、その笑みは微笑むというよりも怯えている私をあざ笑っているように感じた。
「……はい」
私は「はい」と返事するしか道は用意されていなかった。私は覚悟を決めて椅子に座る。
「お嬢さん、私はお客様の守秘義務を第一に考えている。だから、このエリアには隠蔽魔法が掛けられていて、付き添いの方には恋の悩みを相談しているように聞こえるのじゃよ。なので安心して本心を告げるがよい」
ロベリアはまるで私の心を見透かしているように呟く。私の目的は占いではなく呪いのアイテムが欲しいのである。
「……」
「お嬢さん、何を怯えているんだい」
私は恐怖でロベリアの姿が大きく見える。まるで私はロベリアの掌に乗せられている気分である。
「話したくないのら話さなくても良い。その代わりにこの水晶へ手をかざしてごらん」
テーブルの上には30㎝ほどの灰色の水晶が置かれている。私は手をかざすか迷っていると、吸い込まれるように手が水晶に向かって動き出した。ゲームでのロベリアの別称は【先読みの魔女】、闇魔法を使って相手の考えを読み解くことができる。ゲームでの戦闘はターン制のバトルなので、先を読むことができるロベリアの回避率は100%と設定されている。その為、何度攻撃をしても全てミスになり全く攻撃が当たらない。攻略方法をしらなければ絶対に勝てない相手であった。ちなみに余談であるがローゼの場合は、光魔法で闇魔法を無効化できるのであっさりと倒すことが可能なのである。
ゲームと同じ世界ならロベリアは闇魔法を使って相手の考えを読み解いて占いをしているのだろう。そう考えると私の目的は既に知っているのかもしれない。水晶に手をかざすという行為は演出に過ぎないと考えた方が妥当であろう。私は考えが読まれているかもしれないと思うと全身から汗がにじみ出る。この場所に呪いのアイテムを探しに来たことは既にバレているかもしれないが、私が転生者であることだけは絶対にバレではいけないと防衛本能が訴える。私はあえて呪いのアイテムが欲しいと強く願いながら水晶に手をかざす。
「……。お嬢さんは占いではなく、これが欲しいのだね」
ロベリアは薄気味悪い笑みを浮かべながら椅子から立ち上がりアイテムが並んでいる棚に向かう。そして、2つのアイテムを手にして椅子に座る。
「これはお嬢さんが欲しがっている呪いのアイテムだよ。これで存分に恨みを晴らすがよい」
ロベリアの言葉尻だけ捉えると私が呪いのアイテムを欲しいことは先読みされたが、自分に使いたいことは先読みされていないと思い少しホッとした。ロベリアは禍々しい黒いオーラを放つ不気味なブレスレットとリングを私に手渡す。私は目当ての品だけではなくもう1つ呪いのアイテムもゲットすることになる。
「占い師さん、ありがとうございます。これで私の未来も晴れることになると思います。でも、呪いのアイテムなど使わずにきちんと話し合えば理解してもらえるのかもしれませんね」
ロベリアが私に呪いのアイテムを手渡した時、一瞬だけ禍々しい笑みが消えて、暖かみのある笑みを浮かべていた。その笑みを見た瞬間にこの言葉が自然と出てしまった。
ゲームでロベリアと直接対峙するのは、私がフォルモーント王立学院2年生の時である。終わりの森から魔獣が大発生して王都を襲う。ロベリアはその混乱に乗じてフォルモーント王国の国王レーヴェ・シュテルネンナハトの暗殺を目論むのである。
ロベリアがレーヴェ国王の命を狙う理由、それはロベリアがレーヴェ国王の元彼女だからだ。20年前、第1王子であったレーヴェとロベリアは恋に落ちる。しかし、自分の娘をレーヴェ王子に嫁がせたい当時の宰相は、ロベリアを言葉巧みに騙して、終わりの森の洞窟に誘い出して酷い目にあわす。この悪行はロベリアと別れたいレーヴェ王子の指示だと聞かされたロベリアは生きる意味を失った。その後、洞窟に監禁されて死を待つだけのロベリアに手を差し伸べたのは、終わりの森に住む終焉の魔女であった。終焉の魔女は生きる屍状態だったロベリアに生きる希望を与える。それは、己の若さと引き換えに闇の魔法を授けレーヴェ王子に復讐をするチャンスを与えたのである。ロベリアが40歳なのに80歳前後の老婆に見えるのは、闇の魔法を手にした代償である。闇の魔法を手にしたロベリアは20年以上の歳月を費やし憎悪の種を集めて、多量の魔獣を発生させて復讐をする。
このまま何もせずに4年が過ぎれば、憎悪の種を集めたロベリアは魔獣を多量発生させて王都を襲うことになる。もちろん、その目論見はローゼもしくは私によって食い止められるはずだ。私は主人公の座を放棄するので、実際はローゼが食い止めることになるだろう。しかし、本当にそれで良いのだろうか?ロベリアを救う方法はないのだろうか?と私はロベリアの暖かみのある笑みを見た時に感じたのである。だから、私は「でも、呪いのアイテムなど使わずにきちんと話し合えば理解してもらえるのかもしれませんね」と言ったのである。その真意は、きちんと話し合うことの大事さをロベリアに伝えたかったのである。
ゲームでは私もしくはローゼに敗れたロベリアは、闇の魔法から解放されて本来の姿に戻る。その姿を見たレーヴェ国王は人目もはばからずに涙を流してロベリアを抱きしめる。お互いに真実を知った時、ロベリアは息を引き取り死を迎える。もし、ロベリアが復讐でなくレーヴェ国王ときちんと話し合えば未来は変わるのかもしれない。私はその可能性に賭けたのであった。
「リーリエ様、今日は占いをしに来たのではないのでしょうか」
私が黙り込んでいる姿を見たメローネは、独特の雰囲気のある占い館に戸惑っていると勘違いして、助け舟を出すように代わりに答えてくれた。
「そう……だったわ」
私はメローネの言葉にあわせる。
「……占って欲しいのなら席に座るがよい」
フードで隠れたロベリアの顔は口元だけしか確認はできないが、口角が上がり笑みを浮かべているように感じた。しかし、その笑みは微笑むというよりも怯えている私をあざ笑っているように感じた。
「……はい」
私は「はい」と返事するしか道は用意されていなかった。私は覚悟を決めて椅子に座る。
「お嬢さん、私はお客様の守秘義務を第一に考えている。だから、このエリアには隠蔽魔法が掛けられていて、付き添いの方には恋の悩みを相談しているように聞こえるのじゃよ。なので安心して本心を告げるがよい」
ロベリアはまるで私の心を見透かしているように呟く。私の目的は占いではなく呪いのアイテムが欲しいのである。
「……」
「お嬢さん、何を怯えているんだい」
私は恐怖でロベリアの姿が大きく見える。まるで私はロベリアの掌に乗せられている気分である。
「話したくないのら話さなくても良い。その代わりにこの水晶へ手をかざしてごらん」
テーブルの上には30㎝ほどの灰色の水晶が置かれている。私は手をかざすか迷っていると、吸い込まれるように手が水晶に向かって動き出した。ゲームでのロベリアの別称は【先読みの魔女】、闇魔法を使って相手の考えを読み解くことができる。ゲームでの戦闘はターン制のバトルなので、先を読むことができるロベリアの回避率は100%と設定されている。その為、何度攻撃をしても全てミスになり全く攻撃が当たらない。攻略方法をしらなければ絶対に勝てない相手であった。ちなみに余談であるがローゼの場合は、光魔法で闇魔法を無効化できるのであっさりと倒すことが可能なのである。
ゲームと同じ世界ならロベリアは闇魔法を使って相手の考えを読み解いて占いをしているのだろう。そう考えると私の目的は既に知っているのかもしれない。水晶に手をかざすという行為は演出に過ぎないと考えた方が妥当であろう。私は考えが読まれているかもしれないと思うと全身から汗がにじみ出る。この場所に呪いのアイテムを探しに来たことは既にバレているかもしれないが、私が転生者であることだけは絶対にバレではいけないと防衛本能が訴える。私はあえて呪いのアイテムが欲しいと強く願いながら水晶に手をかざす。
「……。お嬢さんは占いではなく、これが欲しいのだね」
ロベリアは薄気味悪い笑みを浮かべながら椅子から立ち上がりアイテムが並んでいる棚に向かう。そして、2つのアイテムを手にして椅子に座る。
「これはお嬢さんが欲しがっている呪いのアイテムだよ。これで存分に恨みを晴らすがよい」
ロベリアの言葉尻だけ捉えると私が呪いのアイテムを欲しいことは先読みされたが、自分に使いたいことは先読みされていないと思い少しホッとした。ロベリアは禍々しい黒いオーラを放つ不気味なブレスレットとリングを私に手渡す。私は目当ての品だけではなくもう1つ呪いのアイテムもゲットすることになる。
「占い師さん、ありがとうございます。これで私の未来も晴れることになると思います。でも、呪いのアイテムなど使わずにきちんと話し合えば理解してもらえるのかもしれませんね」
ロベリアが私に呪いのアイテムを手渡した時、一瞬だけ禍々しい笑みが消えて、暖かみのある笑みを浮かべていた。その笑みを見た瞬間にこの言葉が自然と出てしまった。
ゲームでロベリアと直接対峙するのは、私がフォルモーント王立学院2年生の時である。終わりの森から魔獣が大発生して王都を襲う。ロベリアはその混乱に乗じてフォルモーント王国の国王レーヴェ・シュテルネンナハトの暗殺を目論むのである。
ロベリアがレーヴェ国王の命を狙う理由、それはロベリアがレーヴェ国王の元彼女だからだ。20年前、第1王子であったレーヴェとロベリアは恋に落ちる。しかし、自分の娘をレーヴェ王子に嫁がせたい当時の宰相は、ロベリアを言葉巧みに騙して、終わりの森の洞窟に誘い出して酷い目にあわす。この悪行はロベリアと別れたいレーヴェ王子の指示だと聞かされたロベリアは生きる意味を失った。その後、洞窟に監禁されて死を待つだけのロベリアに手を差し伸べたのは、終わりの森に住む終焉の魔女であった。終焉の魔女は生きる屍状態だったロベリアに生きる希望を与える。それは、己の若さと引き換えに闇の魔法を授けレーヴェ王子に復讐をするチャンスを与えたのである。ロベリアが40歳なのに80歳前後の老婆に見えるのは、闇の魔法を手にした代償である。闇の魔法を手にしたロベリアは20年以上の歳月を費やし憎悪の種を集めて、多量の魔獣を発生させて復讐をする。
このまま何もせずに4年が過ぎれば、憎悪の種を集めたロベリアは魔獣を多量発生させて王都を襲うことになる。もちろん、その目論見はローゼもしくは私によって食い止められるはずだ。私は主人公の座を放棄するので、実際はローゼが食い止めることになるだろう。しかし、本当にそれで良いのだろうか?ロベリアを救う方法はないのだろうか?と私はロベリアの暖かみのある笑みを見た時に感じたのである。だから、私は「でも、呪いのアイテムなど使わずにきちんと話し合えば理解してもらえるのかもしれませんね」と言ったのである。その真意は、きちんと話し合うことの大事さをロベリアに伝えたかったのである。
ゲームでは私もしくはローゼに敗れたロベリアは、闇の魔法から解放されて本来の姿に戻る。その姿を見たレーヴェ国王は人目もはばからずに涙を流してロベリアを抱きしめる。お互いに真実を知った時、ロベリアは息を引き取り死を迎える。もし、ロベリアが復讐でなくレーヴェ国王ときちんと話し合えば未来は変わるのかもしれない。私はその可能性に賭けたのであった。
1
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~
鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」
未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。
国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。
追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました
まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。
ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。
変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。
その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。
恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる