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逃げるが勝ち
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さっきまで怖くて足が動かずに這いつくばって逃げていた私だが、今度は私の意思とは真逆に足が勝手に動き出す。
『いまさら戻っても無駄よ。サミュエル君はサージュオークに殺されているのよ。だから、オレリアン君達は必死に逃げているのよ』
私は自分に言い聞かせる。しかし、もう1人の私が私に問いかける。
『本当にそう思っているの?サミュエル君は、みんなを逃がすために命がけで戦っているのじゃないの。ストーカーのようにサミュエル君達を背後から見ていたあなたならわかっているでしょ』
『そうかもしれない。でも、私はみんなをおいて、真っ先に逃げたのよ。いまさら戻っても遅いわ』
『遅いかどうかなんてあなたにわかるの?まだサミュエル君が1人で戦っている可能性があるかもしれないのよ』
『そうかもしれない。でも、私がもどったところで何が出来るのよ!姿を消す事しかできないのよ!』
『姿を消す事ができるじゃないの!そのギフトでサミュエル君を助けるのよ』
『姿を消しながらどうやって助けるのよ。私は逃げることしか出来ないのよ』
『そうよ、逃げるのよ!逃げて逃げて逃げまくればいいのよ』
『・・・』
私は自問自答していると答えが見つかった。そして、気付いたら繋ぎ場に戻っていた。繋ぎ場に戻ると、左足を失ったサミュエルが地面に倒れ込んでいて、その隣で、サミュエルの足を持っているサージュオークの姿が目に入った。
サージュオークは骨付きチキンを食べるようにサミュエルの足首を持ち、太ももを美味しそうにかぶりついていた。先ほどはパンジャマンが同じようにサージュオークに食べられている姿を見て、私は気が動転して逃げてしまったが、今は冷静に現状を受け入れることが出来た。
「おい!サージュオーク。次は私が相手をしてやる!」
私は姿を見せて大声で叫ぶ。しかし、サージュオークは私の方をチラ見しただけですぐにサミュエルの足をしゃぶりつく。
「私なんて眼中にないのね・・・私の事をなめないで!」
私はサージュオークにかけより、魔核めがけてエタンセルを発射する。
『バン・バン・バン・バン・バン・バン』
私は間髪入れずに発射した。しかし、サージュオークは両手をクロスにして魔核をガードした。
「グオォォォォーー」
サージュオークは雄たけびを上げて私の方へ向かって来る。
「こっちへ来い」
私は半身になってサージュオークを確認しながら走って逃げる。
「ウォォォォー」
サージュオークは近くのある木を掴み根っこから引き抜いた。
「やばいわ」
私はすぐに姿を消す。
サージュオークは目をキョロキョロさせて辺りを見渡す。しかし、私の姿が見当たらず困惑した表情をしている。
「こっちよ!」
私は姿を現し大声で叫ぶ!
サージュオークは声がした方向に振り向く。しかし、振り向いたと同時に私は姿を消す。
「こっちよ!」
再度、サージュオークがキョロキョロしたのでまた姿を現す。
私は何度も何度も繰り返した。すると、サージュオークはイライラしだして、手あたり次第、木を引っこ抜き、声のする方向に木を投げ出した。弾丸のように飛んで来る木に当たれば即死なのは間違いない。私はそれでも姿を見せては消えるを繰り返す。
サージュオークは木を投げつけながら、声のする方向へゆっくりと進んでいく。
『できるだけサミュエル君から引き離すのよ。サミュエル君ならきっと自己治癒をして傷を塞いで死を免れるはず』
左足を引きちぎられ多量の血を流しているサミュエルが意識をある可能性は0に近い。本当なら私が側に行って傷口を塞いで、出血を止める必要があるのだが、サージュオークを引き付けるので精一杯である。私はサミュエルの底力に願いをかけた。
サミュエルからサージュオークを1kmほど引き離し、私は緑地エリアでも見晴らしの良い場所に来た。見晴らしが良いということは、私が姿を見せた時に、サージュオークに簡単に姿を見られるってことである。しかし、森林エリアのような木々がたくさん生い茂る場所では、得物である木がたくさんあるので、あえて私はこの場所を選んだ。
「どこに木を投げているの!私はこっちよ」
私はさらにサージュオークを挑発する。しかし、サージュオークは私の方を見ると背を向け引き返しはじめた。
「私に恐れをなして逃げるの!」
私は大声で叫ぶ。しかし、サージュオークは私の事を無視して戻って行く。
「どうしよう。このままではサミュエル君が危ないわ」
サージュオークはただ逃げるだけの私を追いかけるのをやめて、腹ごしらえをするためにサミュエルのところへ戻るようである。
「私がサミュエル君を守るのよ」
私は姿を消してサージュオークに向かっていく。
「レザーアーマーが破壊されていて首の繋目がまる出しになっている。あそこを狙えば、もしかするとサージュオークを倒せるかもしれない」
レアとサミュエルが命がけでサージュオークの弱点を保護するレザーバンダナとレザーアーマーを破壊してくれていたので、私にほんのすこしだけ勝機が見えた。しかし、この判断は間違っていたことにすぐに私は気づく事になる。
『いまさら戻っても無駄よ。サミュエル君はサージュオークに殺されているのよ。だから、オレリアン君達は必死に逃げているのよ』
私は自分に言い聞かせる。しかし、もう1人の私が私に問いかける。
『本当にそう思っているの?サミュエル君は、みんなを逃がすために命がけで戦っているのじゃないの。ストーカーのようにサミュエル君達を背後から見ていたあなたならわかっているでしょ』
『そうかもしれない。でも、私はみんなをおいて、真っ先に逃げたのよ。いまさら戻っても遅いわ』
『遅いかどうかなんてあなたにわかるの?まだサミュエル君が1人で戦っている可能性があるかもしれないのよ』
『そうかもしれない。でも、私がもどったところで何が出来るのよ!姿を消す事しかできないのよ!』
『姿を消す事ができるじゃないの!そのギフトでサミュエル君を助けるのよ』
『姿を消しながらどうやって助けるのよ。私は逃げることしか出来ないのよ』
『そうよ、逃げるのよ!逃げて逃げて逃げまくればいいのよ』
『・・・』
私は自問自答していると答えが見つかった。そして、気付いたら繋ぎ場に戻っていた。繋ぎ場に戻ると、左足を失ったサミュエルが地面に倒れ込んでいて、その隣で、サミュエルの足を持っているサージュオークの姿が目に入った。
サージュオークは骨付きチキンを食べるようにサミュエルの足首を持ち、太ももを美味しそうにかぶりついていた。先ほどはパンジャマンが同じようにサージュオークに食べられている姿を見て、私は気が動転して逃げてしまったが、今は冷静に現状を受け入れることが出来た。
「おい!サージュオーク。次は私が相手をしてやる!」
私は姿を見せて大声で叫ぶ。しかし、サージュオークは私の方をチラ見しただけですぐにサミュエルの足をしゃぶりつく。
「私なんて眼中にないのね・・・私の事をなめないで!」
私はサージュオークにかけより、魔核めがけてエタンセルを発射する。
『バン・バン・バン・バン・バン・バン』
私は間髪入れずに発射した。しかし、サージュオークは両手をクロスにして魔核をガードした。
「グオォォォォーー」
サージュオークは雄たけびを上げて私の方へ向かって来る。
「こっちへ来い」
私は半身になってサージュオークを確認しながら走って逃げる。
「ウォォォォー」
サージュオークは近くのある木を掴み根っこから引き抜いた。
「やばいわ」
私はすぐに姿を消す。
サージュオークは目をキョロキョロさせて辺りを見渡す。しかし、私の姿が見当たらず困惑した表情をしている。
「こっちよ!」
私は姿を現し大声で叫ぶ!
サージュオークは声がした方向に振り向く。しかし、振り向いたと同時に私は姿を消す。
「こっちよ!」
再度、サージュオークがキョロキョロしたのでまた姿を現す。
私は何度も何度も繰り返した。すると、サージュオークはイライラしだして、手あたり次第、木を引っこ抜き、声のする方向に木を投げ出した。弾丸のように飛んで来る木に当たれば即死なのは間違いない。私はそれでも姿を見せては消えるを繰り返す。
サージュオークは木を投げつけながら、声のする方向へゆっくりと進んでいく。
『できるだけサミュエル君から引き離すのよ。サミュエル君ならきっと自己治癒をして傷を塞いで死を免れるはず』
左足を引きちぎられ多量の血を流しているサミュエルが意識をある可能性は0に近い。本当なら私が側に行って傷口を塞いで、出血を止める必要があるのだが、サージュオークを引き付けるので精一杯である。私はサミュエルの底力に願いをかけた。
サミュエルからサージュオークを1kmほど引き離し、私は緑地エリアでも見晴らしの良い場所に来た。見晴らしが良いということは、私が姿を見せた時に、サージュオークに簡単に姿を見られるってことである。しかし、森林エリアのような木々がたくさん生い茂る場所では、得物である木がたくさんあるので、あえて私はこの場所を選んだ。
「どこに木を投げているの!私はこっちよ」
私はさらにサージュオークを挑発する。しかし、サージュオークは私の方を見ると背を向け引き返しはじめた。
「私に恐れをなして逃げるの!」
私は大声で叫ぶ。しかし、サージュオークは私の事を無視して戻って行く。
「どうしよう。このままではサミュエル君が危ないわ」
サージュオークはただ逃げるだけの私を追いかけるのをやめて、腹ごしらえをするためにサミュエルのところへ戻るようである。
「私がサミュエル君を守るのよ」
私は姿を消してサージュオークに向かっていく。
「レザーアーマーが破壊されていて首の繋目がまる出しになっている。あそこを狙えば、もしかするとサージュオークを倒せるかもしれない」
レアとサミュエルが命がけでサージュオークの弱点を保護するレザーバンダナとレザーアーマーを破壊してくれていたので、私にほんのすこしだけ勝機が見えた。しかし、この判断は間違っていたことにすぐに私は気づく事になる。
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