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契約書
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「昴君、お金の心配をしているのね。それなら問題ないわ。シルバー事務所の社長である笑のお母さんは契約金を出すと言っているわ」
「私のヒモになれるぞ!」
「契約金?」
笑さんの言葉はスルーする。契約金とは気になるワードである。正直お金は今すぐにでも欲しい。磯川高校は公立の高校なので学費は私立に比べたら高くはない。しかし、俺が高校に通う為に母親は二つの仕事をしている。俺は少しでも母親の負担を減らしてあげたい。
「契約金は300万円用意すると言っているわ。仕事もすぐに用意するしマネージャーを付ける事にもなっている」
「私がマネージャー!」
「笑、余計な事を言わないの。昴君気にしないで。笑をマネージャーにしたらとんでもない事になるから、私が昴君のマネージャーをすることになっているの」
「その話は本当なのでしょうか。俺をからかっているのではないのでしょうか?」
あまりにもうまい話である。鼓さんを信用しないわけではないが、何か裏があるのか不安になる。
「笑が盗み撮りした昴君の写メをみた社長が、どうしてもシルバー事務所に欲しいと言ってるの。それにトップデザイナーである桜花院 妃(おうかいん きさき)さんもショーで起用したいと言ってる。昴君の未来は確定しているわ」
笑さんの母親である銀 金(しろがね こがね)さんの本業は美容整形の医師であり多数のタレント、モデルの整形をしている。テレビで大活躍しているタレントの半数は金さんの作品だとも言われている。一重を二重にするプチ整形から顔を別人に変える整形まであらゆる整形をほどこす神の手を持つ医師として業界内では有名だ。金さんは美容整形だけでなくモデル事務所も経営している。
桜花院 紫雨さんの母親である桜花院 妃さんは、世界で活躍するデザイナーであり金さんとは古い友人でありビジネスパートナーである。日本のあらゆるものが集まるのが東京だが、今はモデルに関しては大阪が一番である。それは、妃さん主催のファッションショー【エボリューション】は大阪でしか開催しないからである。そして、妃ブランドも日本では大阪でしか買えないので、ファッションの中心は今は大阪になったので、自然とモデルも大阪を拠点にするようになった。最先端の妃ブランドの洋服はシルバー事務所のモデルが優先的に着る事ができるので、シルバー事務所に所属したい人は後を絶たない。
そんな事は全くしらない俺は、事の重大差に全く気付いていないどころか、鼓さんの話を怪しんでいる。
「・・・」
「昴君、不安な気持ちもわかっているわ。でも、これは千載一遇のチャンスなのよ。シルバー事務所に入りたい人は星の数ほどいるわ。でも、シルバー事務所に入る事ができるのは選ばれし幸運者のみ。昴君は選ばれたのよ」
「鼓は落ちた。クックっク」
「笑、余計な事は言わないの!それに笑も落ちたじゃないの」
「ガー―ーン」
鼓さんは小柄で巨乳の可愛い女性だし、笑さんは背も高く細身で妖艶的な美しい女性だ。しかも、シルバー事務所に縁もあるのにモデル試験では不合格になっている。それほどシルバー事務所の採用試験は厳しい。
「俺、モデルの仕事をします」
契約金の300万円。これは俺にとってありがたい話だ。高校生の俺が300万を稼ぐのは不可能なので母親も喜んでくれるに違いない。しかし、簡単に300万円も貰えるなんてうまい話は存在しない。俺がシルバー事務所に所属する事で、300万を超える利益が生じるから、金さんは素人の俺に契約金を用意したのであろう。それが何かなのか俺にはわからない。でも、断る理由もないので受け入れることにした。この選択は俺の人生を左右する重大な決断であった。
「嬉しいわ。今から契約書にサインをしてもらうわ。きちんと内容も説明するから、わからない事があったら言ってね」
鼓さんは契約書を5枚用意する。そして、書いてある全ての内容を読み上げてくれる。契約書の内容は、金銭のことからプライベートの内容まで多岐にわたっている。アイドルのような恋愛禁止という文言はなかったが、彼女ができれば事務所に報告するように書かれていた。
俺は全てを理解したうえで契約書にサインをする。しかし、サインをしている時に違和感を感じた。契約書は5枚だったのにいつの間にか6枚になっている。そして、サインは合計で3枚の書類に書くことになっていたが、4枚に増えていた。俺は違和感を感じながらも3枚目の書類にサインをして最後の書類を見た。書類に書いてある文字に目を通す。書類には鼓さんからは説明を受けていない、モデルとしての心構えが書いてあった。
俺は変な書類ではないし、鼓さんがこの1枚だけ説明し忘れたのかと思いサインする事にした。
「昴君、ちょっと待って」
鼓さんは3枚の書類にサインをするはずなのに、4枚目の書類にサインをする事に違和感を感じた。
「その書類ちょっと見せてもらえるかしら」
鼓さんは俺から書類を受け取って内容を確認する。
「あれ?おかしいわね。こんな書類私は用意してないわ。笑、知ってる?」
「すぐにサイン」
笑さんは不適な笑みを浮かべていた。
「何か怪しいわね」
笑さんの不適な笑みを見て、鼓さんの疑いが確信に変わる。
「もしかして」
鼓さんは書類の端を軽く擦る。すると書類の下にもう一つの書類が現れた。
「わかった。書類が二重になっているのね」
鼓さんが上に貼り付けてある書類を剥がすと下から婚姻届が出てきた。
「チェッ、見つかった」
笑さんが小声で呟く。
「笑、これは大事な書類なのよ」
「これも大事な書類」
「結婚は18歳からじゃないと出来ないの。もう少し我慢しなさい」
いや、怒るのはそっちかよ!と俺は心の中でツッコミを入れた。
「私のヒモになれるぞ!」
「契約金?」
笑さんの言葉はスルーする。契約金とは気になるワードである。正直お金は今すぐにでも欲しい。磯川高校は公立の高校なので学費は私立に比べたら高くはない。しかし、俺が高校に通う為に母親は二つの仕事をしている。俺は少しでも母親の負担を減らしてあげたい。
「契約金は300万円用意すると言っているわ。仕事もすぐに用意するしマネージャーを付ける事にもなっている」
「私がマネージャー!」
「笑、余計な事を言わないの。昴君気にしないで。笑をマネージャーにしたらとんでもない事になるから、私が昴君のマネージャーをすることになっているの」
「その話は本当なのでしょうか。俺をからかっているのではないのでしょうか?」
あまりにもうまい話である。鼓さんを信用しないわけではないが、何か裏があるのか不安になる。
「笑が盗み撮りした昴君の写メをみた社長が、どうしてもシルバー事務所に欲しいと言ってるの。それにトップデザイナーである桜花院 妃(おうかいん きさき)さんもショーで起用したいと言ってる。昴君の未来は確定しているわ」
笑さんの母親である銀 金(しろがね こがね)さんの本業は美容整形の医師であり多数のタレント、モデルの整形をしている。テレビで大活躍しているタレントの半数は金さんの作品だとも言われている。一重を二重にするプチ整形から顔を別人に変える整形まであらゆる整形をほどこす神の手を持つ医師として業界内では有名だ。金さんは美容整形だけでなくモデル事務所も経営している。
桜花院 紫雨さんの母親である桜花院 妃さんは、世界で活躍するデザイナーであり金さんとは古い友人でありビジネスパートナーである。日本のあらゆるものが集まるのが東京だが、今はモデルに関しては大阪が一番である。それは、妃さん主催のファッションショー【エボリューション】は大阪でしか開催しないからである。そして、妃ブランドも日本では大阪でしか買えないので、ファッションの中心は今は大阪になったので、自然とモデルも大阪を拠点にするようになった。最先端の妃ブランドの洋服はシルバー事務所のモデルが優先的に着る事ができるので、シルバー事務所に所属したい人は後を絶たない。
そんな事は全くしらない俺は、事の重大差に全く気付いていないどころか、鼓さんの話を怪しんでいる。
「・・・」
「昴君、不安な気持ちもわかっているわ。でも、これは千載一遇のチャンスなのよ。シルバー事務所に入りたい人は星の数ほどいるわ。でも、シルバー事務所に入る事ができるのは選ばれし幸運者のみ。昴君は選ばれたのよ」
「鼓は落ちた。クックっク」
「笑、余計な事は言わないの!それに笑も落ちたじゃないの」
「ガー―ーン」
鼓さんは小柄で巨乳の可愛い女性だし、笑さんは背も高く細身で妖艶的な美しい女性だ。しかも、シルバー事務所に縁もあるのにモデル試験では不合格になっている。それほどシルバー事務所の採用試験は厳しい。
「俺、モデルの仕事をします」
契約金の300万円。これは俺にとってありがたい話だ。高校生の俺が300万を稼ぐのは不可能なので母親も喜んでくれるに違いない。しかし、簡単に300万円も貰えるなんてうまい話は存在しない。俺がシルバー事務所に所属する事で、300万を超える利益が生じるから、金さんは素人の俺に契約金を用意したのであろう。それが何かなのか俺にはわからない。でも、断る理由もないので受け入れることにした。この選択は俺の人生を左右する重大な決断であった。
「嬉しいわ。今から契約書にサインをしてもらうわ。きちんと内容も説明するから、わからない事があったら言ってね」
鼓さんは契約書を5枚用意する。そして、書いてある全ての内容を読み上げてくれる。契約書の内容は、金銭のことからプライベートの内容まで多岐にわたっている。アイドルのような恋愛禁止という文言はなかったが、彼女ができれば事務所に報告するように書かれていた。
俺は全てを理解したうえで契約書にサインをする。しかし、サインをしている時に違和感を感じた。契約書は5枚だったのにいつの間にか6枚になっている。そして、サインは合計で3枚の書類に書くことになっていたが、4枚に増えていた。俺は違和感を感じながらも3枚目の書類にサインをして最後の書類を見た。書類に書いてある文字に目を通す。書類には鼓さんからは説明を受けていない、モデルとしての心構えが書いてあった。
俺は変な書類ではないし、鼓さんがこの1枚だけ説明し忘れたのかと思いサインする事にした。
「昴君、ちょっと待って」
鼓さんは3枚の書類にサインをするはずなのに、4枚目の書類にサインをする事に違和感を感じた。
「その書類ちょっと見せてもらえるかしら」
鼓さんは俺から書類を受け取って内容を確認する。
「あれ?おかしいわね。こんな書類私は用意してないわ。笑、知ってる?」
「すぐにサイン」
笑さんは不適な笑みを浮かべていた。
「何か怪しいわね」
笑さんの不適な笑みを見て、鼓さんの疑いが確信に変わる。
「もしかして」
鼓さんは書類の端を軽く擦る。すると書類の下にもう一つの書類が現れた。
「わかった。書類が二重になっているのね」
鼓さんが上に貼り付けてある書類を剥がすと下から婚姻届が出てきた。
「チェッ、見つかった」
笑さんが小声で呟く。
「笑、これは大事な書類なのよ」
「これも大事な書類」
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