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7.ストマック辺境伯の憂鬱
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その頃、辺境伯領ではダイアンが頭を抱えていた。
(何であの時領地にいるなんて言ったんだ)
ダイアンは、陛下にアナベルの事を聞かれ、うっかり領地いる方のアナベルの話をしてしまった。
来月アナベルを王宮に連れて行かなくてはいけないが、こっちのアナベルを連れて行ったら一発で別人だとバレてしまう。
しかし、あっちのアナベルを連れて行くと領地にいるのは誰だ! となるだろう。
息子が生まれた話も何処からか流れている様だし・・。
執事が入ってきてダイアンに声を掛けた。話を聞いた執事がにっこり笑って、
「それならなんの問題もありません」
ストマック辺境伯家の執事は先代から引き継いだ古狸の一人。
数年前先代が亡くなり領地管理をすることになったが、辺境伯領はその時から一気に困窮していった。
二進も三進も行かなくなり頭を抱えていたダイアンに、アナベル・ラッセルの事を教えてくれたのがジェームズだった。
アナベル・ラッセルは一流の絵付師としてかなりの高級取り、辺境伯領を立て直すのには最適の人物だと提案してきた。
当時既にアナベル・テイラーと深い仲だったダイアンは、アナベル・ラッセルと結婚して資金援助させてアナベル・テイラーと一緒に暮らすと言うなんともややこしい方法を思いついた。
この方法が上手くいき、潤沢な資金で豪華な生活を送り嫡子にも恵まれ悠々自適の日々を送っていた。
まさか王都で偽物騒ぎが起きているとも知らず、無防備なまま陛下の前に出て大失敗をやらかしてしまった。
妻は体が弱くとかなんとか言っておけば良かったと思うのは後の祭り。
そんな時古狸の執事が、
「それならなんの問題もありません。
アナベル・ラッセルは交渉事を全て兄のトマスに頼んでいるそうで、王宮にも貴族の前にも顔を出していないそうです」
ダイアンはガバッと立ち上がり、
「そうか、ならどっちのアナベルを連れて行っても問題はないと言う事だな」
「アナベル・ラッセルが陛下に拝謁したのは授爵の時に一回きりです。
3年も経っておりますので、大きな違いさえなければバレることはないのではないかと」
「あっちのアナベルはどんな女なのか調べさせろ。
髪の色を似せたらなんとかなるだろう?」
「後は兄のトマスですね」
「奴が何か関係あるのか?」
「もし彼が同時に王宮に参内したら速攻でバレます」
「そうか、不味いな。一時的にトマスを拘束する方法を考えるか」
「トマスには一緒に暮らしているアニーと言う恋人がいる様です」
「?」
「恋人が人質に取られたら・・」
「よし、その手で行こう。俺達が拝謁する3日位前に拘束してしまえばいいだろう。
手配を頼んだぞ」
「畏まりました」
(何であの時領地にいるなんて言ったんだ)
ダイアンは、陛下にアナベルの事を聞かれ、うっかり領地いる方のアナベルの話をしてしまった。
来月アナベルを王宮に連れて行かなくてはいけないが、こっちのアナベルを連れて行ったら一発で別人だとバレてしまう。
しかし、あっちのアナベルを連れて行くと領地にいるのは誰だ! となるだろう。
息子が生まれた話も何処からか流れている様だし・・。
執事が入ってきてダイアンに声を掛けた。話を聞いた執事がにっこり笑って、
「それならなんの問題もありません」
ストマック辺境伯家の執事は先代から引き継いだ古狸の一人。
数年前先代が亡くなり領地管理をすることになったが、辺境伯領はその時から一気に困窮していった。
二進も三進も行かなくなり頭を抱えていたダイアンに、アナベル・ラッセルの事を教えてくれたのがジェームズだった。
アナベル・ラッセルは一流の絵付師としてかなりの高級取り、辺境伯領を立て直すのには最適の人物だと提案してきた。
当時既にアナベル・テイラーと深い仲だったダイアンは、アナベル・ラッセルと結婚して資金援助させてアナベル・テイラーと一緒に暮らすと言うなんともややこしい方法を思いついた。
この方法が上手くいき、潤沢な資金で豪華な生活を送り嫡子にも恵まれ悠々自適の日々を送っていた。
まさか王都で偽物騒ぎが起きているとも知らず、無防備なまま陛下の前に出て大失敗をやらかしてしまった。
妻は体が弱くとかなんとか言っておけば良かったと思うのは後の祭り。
そんな時古狸の執事が、
「それならなんの問題もありません。
アナベル・ラッセルは交渉事を全て兄のトマスに頼んでいるそうで、王宮にも貴族の前にも顔を出していないそうです」
ダイアンはガバッと立ち上がり、
「そうか、ならどっちのアナベルを連れて行っても問題はないと言う事だな」
「アナベル・ラッセルが陛下に拝謁したのは授爵の時に一回きりです。
3年も経っておりますので、大きな違いさえなければバレることはないのではないかと」
「あっちのアナベルはどんな女なのか調べさせろ。
髪の色を似せたらなんとかなるだろう?」
「後は兄のトマスですね」
「奴が何か関係あるのか?」
「もし彼が同時に王宮に参内したら速攻でバレます」
「そうか、不味いな。一時的にトマスを拘束する方法を考えるか」
「トマスには一緒に暮らしているアニーと言う恋人がいる様です」
「?」
「恋人が人質に取られたら・・」
「よし、その手で行こう。俺達が拝謁する3日位前に拘束してしまえばいいだろう。
手配を頼んだぞ」
「畏まりました」
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