95 / 99
95.如実に現れる性格の違い
しおりを挟む
包みを開けるたびに目を見開き『ちゅごい』や『かっくいい』を連発するグレッグと次のプレゼントをグレッグの元に運ぼうと奮闘するチェイスに全員の目が潤んできました。
「にぃ、こえ」
「まっててね、いまこえをあててるかなね」
グレッグの作業は遅々として進みませんが皆のんびりと待っています。
何しろプレゼントを開けて驚いた後の作業がたくさんあるのです。
ラッピングに使われていたリボンをたたみ包装に使われていた布や袋を何度も納得いくまでたたみ直して、誰からのプレゼントなのかを確認します。
「あいあとね、おくはぷででんと、うれちいでちゅから、いーこちてあげまちゅ」
立ち上がりパタパタと小走りで近付き、嬉しそうにしゃがみ込んだ人の頭を丁寧に撫でてから頭を下げます。
「あいあとでちゅ、ぼうちちゅちでつもんね」
「こういうところにも性格が現れるんですね。チェイスならあっという間に分解してそうです」
ノア様の仰る通りですね。グレッグが不器用なのではなく、彼の性格によるものです。
ステファン様の性格はよく分かりませんが、研究好きで細かい作業の好きなグレッグを見ていると『やっぱり父親は別の人?』と思ってしまいます。
元々産まれるまでの月数も怪しいですからね。調査ではステファン様とビビアンさんが付き合いはじめてからグレッグが産まれるまでの期間が少し短すぎるので、ほぼ黒確定のグレーゾーンなのです。
「わあ、おぱなのほんでちゅ!」
ぼんやりと考え事をしていると今日一番のグレッグの嬌声が耳に飛び込んできました。誰のプレゼントかすぐに分かりました。
表情筋に力を入れておられますが口元がニヤけておられますもの。
「のあたま、あいあとでつ、じいちゃといっちょのおぱななまかにちてあげまつ」
「リィの好き好き仲間は?」
「え~! そりはむいかなぁ、こいのらいばゆらからねえ」
首を傾げたグレッグのドヤ顔はノア様の苦笑いと全員大爆笑を誘いました。
「グレッグ、ワシはお前を応援しておるからの。ライバルに負けるなよ?」
「ん? おちげのじいちゃ、おうえんなんで?」
「そりゃ、リリスをどこぞの馬の骨に取られ⋯⋯ゴホン! いや、気にせんでもええから、プレゼントを開けなさい」
トーマス司教様の背中にブルス助祭様の手が添えられた途端言葉が途中で止まりました。もしかしてトーマス司教様はブルス助祭様の調教済みとか?
「リィ、うまのぽねってなあに?」
まずいですね、ポヤポヤしておりましたらわたくしの方に流れ弾が飛んできてしまいました。
「プレゼントを開け終わったらもう一度聞いてみましょうね」
「うん、またまたいっぱいもんね。ふう、おくはきょう、いっぱいおちごとねえ」
出てもいない額の汗を右手の甲で拭う仕草は間違いなくセルゲイ爺ちゃんの真似ですね。
「そ、そうだな。頑張ってくれ」
笑いを堪えて口元をヒクヒクさせてしまった全員の代弁をお父様がして下さいました。
わたくしのプレゼントの木箱は蓋が閉まらないほどになりました。帽子やハンカチや靴に少し大きめの服、グレッグが特に喜んだのは本や黒板とチョークでした。
「これはお絵描きにも使えるし字を覚える練習もできるんだ」
「おえかきちゅちのなから、うれちいでつ。なにをおもえるの?」
「それは後で教えてあげようね、リリスの名前が書けるようになればきっと喜ぶぞ?」
「リィよろこむの? おくおもえるでつ、おじたまちゅちでつ、あいあとね」
お父様もかなりポイントを稼いだようですが、わたくしを利用したのは流石年の功ですね。
どのプレゼントも喜んでいだふたりでしたが今は部屋中を逃げ回るグレッグをチェイスが追いかけ回しています。
原因はトーマス司教様のプレゼントです。一度包みを開いた後、チェイスのキラキラ光る目を見たグレッグが急いで包み直し両手で抱えて走り出したのです。
「にぃ! やぁの!」
「こえはおくのなからね! チェチュにはあげれないかなね、おくだけのなから!」
「はっはっは! ワシのプレゼントがいちばんの人気じゃな!」
ドヤ顔のトーマス司教様の喜びように、『なかま』宣言をされたノア様もようやく『ちゅち』と言われたお父様も苦笑いを浮かべておられました。
「その手がありましたか⋯⋯これは流石に勝てませんな」
「確かに⋯⋯アレは俺も欲しいです」
ノア様が『今度俺も作って部屋に』などと戯言を言っておられますが、わたくしとしてはとても複雑です。
「トーマス司教様、一体いつの間にわたくしの絵姿など作られたのですか?」
絵姿など描いていただいた覚えも頼まれた記憶もありませんのに、パッと見ただけですがかなり似ていたように思います。
「ワシだけの秘密じゃな。グレッグ、絵が傷んでしまうからこっちに持っておいで」
トーマス司教様の言葉を聞いたグレッグが大慌てで戻ってきました。
「おちげのじいちゃ、たちゅててくだたい、おくのたかなもの、まもってくたたい」
「にぃ、こえ」
「まっててね、いまこえをあててるかなね」
グレッグの作業は遅々として進みませんが皆のんびりと待っています。
何しろプレゼントを開けて驚いた後の作業がたくさんあるのです。
ラッピングに使われていたリボンをたたみ包装に使われていた布や袋を何度も納得いくまでたたみ直して、誰からのプレゼントなのかを確認します。
「あいあとね、おくはぷででんと、うれちいでちゅから、いーこちてあげまちゅ」
立ち上がりパタパタと小走りで近付き、嬉しそうにしゃがみ込んだ人の頭を丁寧に撫でてから頭を下げます。
「あいあとでちゅ、ぼうちちゅちでつもんね」
「こういうところにも性格が現れるんですね。チェイスならあっという間に分解してそうです」
ノア様の仰る通りですね。グレッグが不器用なのではなく、彼の性格によるものです。
ステファン様の性格はよく分かりませんが、研究好きで細かい作業の好きなグレッグを見ていると『やっぱり父親は別の人?』と思ってしまいます。
元々産まれるまでの月数も怪しいですからね。調査ではステファン様とビビアンさんが付き合いはじめてからグレッグが産まれるまでの期間が少し短すぎるので、ほぼ黒確定のグレーゾーンなのです。
「わあ、おぱなのほんでちゅ!」
ぼんやりと考え事をしていると今日一番のグレッグの嬌声が耳に飛び込んできました。誰のプレゼントかすぐに分かりました。
表情筋に力を入れておられますが口元がニヤけておられますもの。
「のあたま、あいあとでつ、じいちゃといっちょのおぱななまかにちてあげまつ」
「リィの好き好き仲間は?」
「え~! そりはむいかなぁ、こいのらいばゆらからねえ」
首を傾げたグレッグのドヤ顔はノア様の苦笑いと全員大爆笑を誘いました。
「グレッグ、ワシはお前を応援しておるからの。ライバルに負けるなよ?」
「ん? おちげのじいちゃ、おうえんなんで?」
「そりゃ、リリスをどこぞの馬の骨に取られ⋯⋯ゴホン! いや、気にせんでもええから、プレゼントを開けなさい」
トーマス司教様の背中にブルス助祭様の手が添えられた途端言葉が途中で止まりました。もしかしてトーマス司教様はブルス助祭様の調教済みとか?
「リィ、うまのぽねってなあに?」
まずいですね、ポヤポヤしておりましたらわたくしの方に流れ弾が飛んできてしまいました。
「プレゼントを開け終わったらもう一度聞いてみましょうね」
「うん、またまたいっぱいもんね。ふう、おくはきょう、いっぱいおちごとねえ」
出てもいない額の汗を右手の甲で拭う仕草は間違いなくセルゲイ爺ちゃんの真似ですね。
「そ、そうだな。頑張ってくれ」
笑いを堪えて口元をヒクヒクさせてしまった全員の代弁をお父様がして下さいました。
わたくしのプレゼントの木箱は蓋が閉まらないほどになりました。帽子やハンカチや靴に少し大きめの服、グレッグが特に喜んだのは本や黒板とチョークでした。
「これはお絵描きにも使えるし字を覚える練習もできるんだ」
「おえかきちゅちのなから、うれちいでつ。なにをおもえるの?」
「それは後で教えてあげようね、リリスの名前が書けるようになればきっと喜ぶぞ?」
「リィよろこむの? おくおもえるでつ、おじたまちゅちでつ、あいあとね」
お父様もかなりポイントを稼いだようですが、わたくしを利用したのは流石年の功ですね。
どのプレゼントも喜んでいだふたりでしたが今は部屋中を逃げ回るグレッグをチェイスが追いかけ回しています。
原因はトーマス司教様のプレゼントです。一度包みを開いた後、チェイスのキラキラ光る目を見たグレッグが急いで包み直し両手で抱えて走り出したのです。
「にぃ! やぁの!」
「こえはおくのなからね! チェチュにはあげれないかなね、おくだけのなから!」
「はっはっは! ワシのプレゼントがいちばんの人気じゃな!」
ドヤ顔のトーマス司教様の喜びように、『なかま』宣言をされたノア様もようやく『ちゅち』と言われたお父様も苦笑いを浮かべておられました。
「その手がありましたか⋯⋯これは流石に勝てませんな」
「確かに⋯⋯アレは俺も欲しいです」
ノア様が『今度俺も作って部屋に』などと戯言を言っておられますが、わたくしとしてはとても複雑です。
「トーマス司教様、一体いつの間にわたくしの絵姿など作られたのですか?」
絵姿など描いていただいた覚えも頼まれた記憶もありませんのに、パッと見ただけですがかなり似ていたように思います。
「ワシだけの秘密じゃな。グレッグ、絵が傷んでしまうからこっちに持っておいで」
トーマス司教様の言葉を聞いたグレッグが大慌てで戻ってきました。
「おちげのじいちゃ、たちゅててくだたい、おくのたかなもの、まもってくたたい」
23
お気に入りに追加
2,747
あなたにおすすめの小説
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】愛されていた。手遅れな程に・・・
月白ヤトヒコ
恋愛
婚約してから長年彼女に酷い態度を取り続けていた。
けれどある日、婚約者の魅力に気付いてから、俺は心を入れ替えた。
謝罪をし、婚約者への態度を改めると誓った。そんな俺に婚約者は怒るでもなく、
「ああ……こんな日が来るだなんてっ……」
謝罪を受け入れた後、涙を浮かべて喜んでくれた。
それからは婚約者を溺愛し、順調に交際を重ね――――
昨日、式を挙げた。
なのに・・・妻は昨夜。夫婦の寝室に来なかった。
初夜をすっぽかした妻の許へ向かうと、
「王太子殿下と寝所を共にするだなんておぞましい」
という声が聞こえた。
やはり、妻は婚約者時代のことを許してはいなかったのだと思ったが・・・
「殿下のことを愛していますわ」と言った口で、「殿下と夫婦になるのは無理です」と言う。
なぜだと問い質す俺に、彼女は笑顔で答えてとどめを刺した。
愛されていた。手遅れな程に・・・という、後悔する王太子の話。
シリアス……に見せ掛けて、後半は多分コメディー。
設定はふわっと。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる