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33.おやつ抜きと情報収集
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「お忙しい中度々お時間をいただき申し訳ありません」
前回同様コナー氏と護衛を連れたフォレスト公爵様でしたがコナー氏も護衛の方達も、今日はわたくし達が座った席からかなり離れた場所に待機しておられます。
部屋の隅に並ぶ護衛達の元に連れて行かれたターニャはコナー氏と睨み合いを続けていますが、さりげなくコナー氏に蹴りを入れたのは見逃しません。
明日はオヤツ抜きの刑ですね。
「こちらこそ⋯⋯少し時間がかかり申し訳なく思っています」
フォレスト公爵様は相変わらず端正なお顔立ちをしておられます。
ターニャが調べた情報では3年近く前に相手側からの希望で婚約を解消され、現在は独身で婚約者もおられないそうです。
血筋も爵位もトップクラスで数々の武勲と戦争終結の立役者⋯⋯その上これ程容姿端麗なのですから、アリシア様やビビアン様がチャンスを狙おうと鼻息を荒くしていたのは少し理解できる気が致します。
わたくしは参戦しませんよ。
煌びやかな社交界を生き抜いておられる猛⋯⋯女性達に勝てる気など皆無ですし、今後のわたくしの人生設計に『結婚』は含まれておりませんの。
あ、セルゲイ爺ちゃんは別です。
このように個別でフォレスト公爵とお会いしている事がバレないように徹底的に注意しなくては皆様からのご不興を買ってしまいますね。不要な関心など引いてしまってはトラブルの元ですからお会いするのは今回で最後にしたいと思っています。
「先ずはマーベル伯爵家について報告させていただきますが、まだ公表されていない内容ばかりなので口外されないようお願いします」
わたくしはしっかりと頷きました。逮捕される前に知られて逃亡などされては許せませんから。
「マーベル中尉は公文書偽造と幼児虐待の容疑で軍法会議にかけられ、懲役刑が確定すると思われます。
マーベル伯爵夫妻とビビアンさんはマーベル中尉と同じ容疑で通常裁判にかけられます。加担していた比重が違うため伯爵夫妻は罰金刑、ビビアンさんは懲役刑になるかと思われます。
アリシア嬢は任意同行の予定ですが、恐らく罰金刑が課せられると思います」
「伯爵夫妻も虐待での罪に問われるのですか?」
屋敷に来る前に既に何か関わりがあったのでしょうか? ステファン様とビビアン様が子供達に関わらないようにとメイド達に指示しておりましたが、伯爵夫妻にも注意が必要だったかもしれないと少し慌ててしまいました。
「伯爵夫妻は書類の偽造理由が子供達を貶めるものだと⋯⋯少し強引な理由付けをしました。公文書偽造だけであれば裁判官によっては軽微な罪で終わらせる可能性がありますから少しでも反省を促せればと。
彼等は情状酌量を狙ってあちこちの貴族の間を駆け回っているので、手の者に醜聞を広げています」
実は今回の件では色々と気になっている事があります。
公文書偽造という言ってみれば軽微な犯罪でわざわざフォレスト公爵様がマーベル伯爵家にいらっしゃったのが不思議でならないのです。戦争は終結したばかりですから様々な仕事がおありでしょうし、それにプラスして爵位を継がれたばかりであればどれほどお忙しいかわたくしなどには想像もつきません。
そのような方が部下のしでかした事と言っても『わざわざ出向いて』まで手を下す必要があるようには思えないのです。
その後わたくしが幼児虐待の証拠をお渡し致しましたので状況は変わってきておりますが、それは後付けの理由ですし⋯⋯。
何か別の思惑でもあるのではないかと勘繰ってしまっても仕方ないのではないでしょうか。と言い訳をしつつフォレスト公爵様に探りを入れてみようと心に決めました。
「⋯⋯マーベル伯爵は以前からわたくしの叔父とかなり親交が深いのですがご存知でいらっしゃいますか?」
「ラングローズ子爵の兄ソラリス侯爵ですね。リリスティア様の婚約・婚姻の際にも立ち会われたと聞き及んでおります」
まさかの情報に驚いてしまいました。
「叔父は確か司法省に強いコネがあると言っておられた気がします」
叔父とマーベル伯爵が人身売買などと言う犯罪に手をつけたのは『いざとなれば助けて貰える』と安直な考えでいるからではないかと思っています。
軍法会議会議という言葉に慌てふためいていたステファン様は兎も角として、毎日青息吐息でマーベル伯爵が走り回っているのは余罪を調べられないように隠蔽工作をしているのでしょう。
フォレスト公爵様やその他の方々はどの辺りで線引きされるおつもりなのか⋯⋯どう言えばそれを上手く聞き出せるのか、対人スキルを磨いておくべきでした。
「ついでと言う言い方をするのは問題がありますが、ソラリス侯爵を含め徹底的にやるつもりです。リリスティア様がお聞きになりたかった疑問に対する答えになっておりますか?」
前回同様コナー氏と護衛を連れたフォレスト公爵様でしたがコナー氏も護衛の方達も、今日はわたくし達が座った席からかなり離れた場所に待機しておられます。
部屋の隅に並ぶ護衛達の元に連れて行かれたターニャはコナー氏と睨み合いを続けていますが、さりげなくコナー氏に蹴りを入れたのは見逃しません。
明日はオヤツ抜きの刑ですね。
「こちらこそ⋯⋯少し時間がかかり申し訳なく思っています」
フォレスト公爵様は相変わらず端正なお顔立ちをしておられます。
ターニャが調べた情報では3年近く前に相手側からの希望で婚約を解消され、現在は独身で婚約者もおられないそうです。
血筋も爵位もトップクラスで数々の武勲と戦争終結の立役者⋯⋯その上これ程容姿端麗なのですから、アリシア様やビビアン様がチャンスを狙おうと鼻息を荒くしていたのは少し理解できる気が致します。
わたくしは参戦しませんよ。
煌びやかな社交界を生き抜いておられる猛⋯⋯女性達に勝てる気など皆無ですし、今後のわたくしの人生設計に『結婚』は含まれておりませんの。
あ、セルゲイ爺ちゃんは別です。
このように個別でフォレスト公爵とお会いしている事がバレないように徹底的に注意しなくては皆様からのご不興を買ってしまいますね。不要な関心など引いてしまってはトラブルの元ですからお会いするのは今回で最後にしたいと思っています。
「先ずはマーベル伯爵家について報告させていただきますが、まだ公表されていない内容ばかりなので口外されないようお願いします」
わたくしはしっかりと頷きました。逮捕される前に知られて逃亡などされては許せませんから。
「マーベル中尉は公文書偽造と幼児虐待の容疑で軍法会議にかけられ、懲役刑が確定すると思われます。
マーベル伯爵夫妻とビビアンさんはマーベル中尉と同じ容疑で通常裁判にかけられます。加担していた比重が違うため伯爵夫妻は罰金刑、ビビアンさんは懲役刑になるかと思われます。
アリシア嬢は任意同行の予定ですが、恐らく罰金刑が課せられると思います」
「伯爵夫妻も虐待での罪に問われるのですか?」
屋敷に来る前に既に何か関わりがあったのでしょうか? ステファン様とビビアン様が子供達に関わらないようにとメイド達に指示しておりましたが、伯爵夫妻にも注意が必要だったかもしれないと少し慌ててしまいました。
「伯爵夫妻は書類の偽造理由が子供達を貶めるものだと⋯⋯少し強引な理由付けをしました。公文書偽造だけであれば裁判官によっては軽微な罪で終わらせる可能性がありますから少しでも反省を促せればと。
彼等は情状酌量を狙ってあちこちの貴族の間を駆け回っているので、手の者に醜聞を広げています」
実は今回の件では色々と気になっている事があります。
公文書偽造という言ってみれば軽微な犯罪でわざわざフォレスト公爵様がマーベル伯爵家にいらっしゃったのが不思議でならないのです。戦争は終結したばかりですから様々な仕事がおありでしょうし、それにプラスして爵位を継がれたばかりであればどれほどお忙しいかわたくしなどには想像もつきません。
そのような方が部下のしでかした事と言っても『わざわざ出向いて』まで手を下す必要があるようには思えないのです。
その後わたくしが幼児虐待の証拠をお渡し致しましたので状況は変わってきておりますが、それは後付けの理由ですし⋯⋯。
何か別の思惑でもあるのではないかと勘繰ってしまっても仕方ないのではないでしょうか。と言い訳をしつつフォレスト公爵様に探りを入れてみようと心に決めました。
「⋯⋯マーベル伯爵は以前からわたくしの叔父とかなり親交が深いのですがご存知でいらっしゃいますか?」
「ラングローズ子爵の兄ソラリス侯爵ですね。リリスティア様の婚約・婚姻の際にも立ち会われたと聞き及んでおります」
まさかの情報に驚いてしまいました。
「叔父は確か司法省に強いコネがあると言っておられた気がします」
叔父とマーベル伯爵が人身売買などと言う犯罪に手をつけたのは『いざとなれば助けて貰える』と安直な考えでいるからではないかと思っています。
軍法会議会議という言葉に慌てふためいていたステファン様は兎も角として、毎日青息吐息でマーベル伯爵が走り回っているのは余罪を調べられないように隠蔽工作をしているのでしょう。
フォレスト公爵様やその他の方々はどの辺りで線引きされるおつもりなのか⋯⋯どう言えばそれを上手く聞き出せるのか、対人スキルを磨いておくべきでした。
「ついでと言う言い方をするのは問題がありますが、ソラリス侯爵を含め徹底的にやるつもりです。リリスティア様がお聞きになりたかった疑問に対する答えになっておりますか?」
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