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16.降ってわいた癒しタイム
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エマーソンとの話し合いを終えて使用人の様子を確認に行くとアリシア様やビビアン様が張り切って指示をしておられました。
わたくしが口を出すと使用人達が混乱してしまうかもしれないのでサッサと退散することにしましょう。使用人達はパーティーの準備など慣れていますし、しっかり者の執事とメイド長がいれば問題が起きるとは思えません。
あちこちのパーティーに参加しておられるアリシア様やこことは違う場所で暮らしておられたビビアン様の提案なら、この屋敷のパーティーに新しい風が吹き込むかもしれません。
慣れてくるとどうしてもマンネリ化してしまいますもの。
青の間に行くとハンナが古いおもちゃを使ってチェイスと遊び、メイサがグレッグと追いかけっこをしていました。
「あ、若奥様! 煩かったですか?」
グレッグを捕まえて小脇に抱えたメイサが頭を掻きました。小柄なのにメイサは力持ちですね、片手で抱えられたグレッグは笑いながら必死で逃げようと暴れているのにびくともしていません。
羨ましいです。わたくしも少し身体を鍛えたくなりました。
「この後グレッグ達の新しい服が届くのだけど、既製品だからサイズ合わせをしなくてはいけないから声をかけにきたの」
「わあ、グレッグ様。新しい服です! きっとかっこよくなりますよ~」
床に下ろされたグレッグはメイサに頭を撫でられて四つん這いで逃げ出しました。
「ふく?」
「ええ、届いたら着てみてくれるかしら?」
「⋯⋯う、うん」
「良かった! グレッグは好きな色とかあるかしら?」
「⋯⋯わかんない」
「じゃあ、グレッグの瞳の色に似合うのを選ぶことにしましょう」
「ひとに?」
「瞳⋯⋯グレッグの目の色の事なんだけどどうかしら?」
ペタンと座ったままで首を傾げて悩むグレッグは昨日癇癪を起こしていた時とは別人のような穏やかさです。
予想より早く子供らしさを取り戻しているようでハンナやメイサには感謝です。これからもこの2人がグレッグ達の専属になれるようメイド長に話しておきましょう。
「め?」
「あら、グレッグは自分の目の色を知らないのかしら? それならメイサと一緒に鏡を見てみたらどうかしら? とっても可愛いお顔が見れるわよ」
パタパタと走ってドレッサーから手鏡を持ってきたメイサがグレッグに手渡すと、鏡に顔がくっつきそうになっています。
「⋯⋯うっ、わあ」
真剣な顔をしていたグレッグが変顔しています。うっ、可愛すぎて胸が痛くなりますね。鏡を覗き込んでいるグレッグが気になるのかおもちゃを放り出したチェイスが覚束ない足取りでグレッグに飛びつきました。
「にい~」
ダブル天使です。押し倒されたグレッグは馬乗りになったチェイスに鏡を取られないように必死ですがチェイスの粘り勝ちでした。
涙目のグレッグは『お兄ちゃんは優しいねえ、後でまた見てみようね』とメイサに慰められています。
チェイスはもぎ取った戦利品⋯⋯鏡に興味が湧かなかったのかポイっと投げ捨ててハンナのところに戻って行きました。
兄弟でも見た目も性格が違うので見飽きることはなさそうです。突然降って湧いた暇な時間に感謝です。
元気いっぱいに遊んでいたグレッグ達とのオヤツタイムですが、口いっぱいにクッキーを頬張る2人に笑いが止まりません。
昨日恐る恐るマドレーヌに手を伸ばしたグレッグは両手にクッキーを持って得意満面です。それをジッとガン見していたチェイスはお皿のクッキーよりもグレッグの手にあるクッキーに手を伸ばします。
兄弟喧嘩勃発かとハラハラしましたがグレッグが持っていたクッキーをチェイスに譲ってバトルにもならず終了。優しいお兄ちゃんですが我慢しすぎは良くないのでわたくしのクッキーをグレッグにプレゼントしました。
絨毯の上に置いた子供用の椅子に腰掛けたグレッグはメイサに褒められたくてとてもお行儀よくオヤツとミルクを楽しんでいます。メイサが少し乱暴に頭を撫でるのがお気に入りのようですね。
チェイスはハンナのお膝が大好きのようで椅子には見向きもしません。溶けかけた食べかけのクッキーをハンナに貢ぐチェイスとハンナの攻防はいつまでも見飽きない気がします。
「うちは歳の離れた兄が1人いるんですけど、すっごく世話好きで⋯⋯グレッグ様と遊んでてようやくその気持ちが理解できたと言うか。下の子って可愛いです」
メイサもすごく可愛いです。こんな妹がいたらかまい倒してしまう気がします。
「私は長女なんで弟や妹の世話ばかりしてました。あの頃は面倒だとか思ったりしてましたけど、やっぱり赤ちゃんって可愛いですね。もう少しこのほっぺがぷくぷくになるよう頑張ってお世話させていただきます」
しっかり者のハンナの笑顔も素敵です。わたくしが姉ならいっぱい甘やかしてあげたかったですね。
楽しすぎて忘れていましたがチェイスの瞳の色を確認しなくては。
わたくしが口を出すと使用人達が混乱してしまうかもしれないのでサッサと退散することにしましょう。使用人達はパーティーの準備など慣れていますし、しっかり者の執事とメイド長がいれば問題が起きるとは思えません。
あちこちのパーティーに参加しておられるアリシア様やこことは違う場所で暮らしておられたビビアン様の提案なら、この屋敷のパーティーに新しい風が吹き込むかもしれません。
慣れてくるとどうしてもマンネリ化してしまいますもの。
青の間に行くとハンナが古いおもちゃを使ってチェイスと遊び、メイサがグレッグと追いかけっこをしていました。
「あ、若奥様! 煩かったですか?」
グレッグを捕まえて小脇に抱えたメイサが頭を掻きました。小柄なのにメイサは力持ちですね、片手で抱えられたグレッグは笑いながら必死で逃げようと暴れているのにびくともしていません。
羨ましいです。わたくしも少し身体を鍛えたくなりました。
「この後グレッグ達の新しい服が届くのだけど、既製品だからサイズ合わせをしなくてはいけないから声をかけにきたの」
「わあ、グレッグ様。新しい服です! きっとかっこよくなりますよ~」
床に下ろされたグレッグはメイサに頭を撫でられて四つん這いで逃げ出しました。
「ふく?」
「ええ、届いたら着てみてくれるかしら?」
「⋯⋯う、うん」
「良かった! グレッグは好きな色とかあるかしら?」
「⋯⋯わかんない」
「じゃあ、グレッグの瞳の色に似合うのを選ぶことにしましょう」
「ひとに?」
「瞳⋯⋯グレッグの目の色の事なんだけどどうかしら?」
ペタンと座ったままで首を傾げて悩むグレッグは昨日癇癪を起こしていた時とは別人のような穏やかさです。
予想より早く子供らしさを取り戻しているようでハンナやメイサには感謝です。これからもこの2人がグレッグ達の専属になれるようメイド長に話しておきましょう。
「め?」
「あら、グレッグは自分の目の色を知らないのかしら? それならメイサと一緒に鏡を見てみたらどうかしら? とっても可愛いお顔が見れるわよ」
パタパタと走ってドレッサーから手鏡を持ってきたメイサがグレッグに手渡すと、鏡に顔がくっつきそうになっています。
「⋯⋯うっ、わあ」
真剣な顔をしていたグレッグが変顔しています。うっ、可愛すぎて胸が痛くなりますね。鏡を覗き込んでいるグレッグが気になるのかおもちゃを放り出したチェイスが覚束ない足取りでグレッグに飛びつきました。
「にい~」
ダブル天使です。押し倒されたグレッグは馬乗りになったチェイスに鏡を取られないように必死ですがチェイスの粘り勝ちでした。
涙目のグレッグは『お兄ちゃんは優しいねえ、後でまた見てみようね』とメイサに慰められています。
チェイスはもぎ取った戦利品⋯⋯鏡に興味が湧かなかったのかポイっと投げ捨ててハンナのところに戻って行きました。
兄弟でも見た目も性格が違うので見飽きることはなさそうです。突然降って湧いた暇な時間に感謝です。
元気いっぱいに遊んでいたグレッグ達とのオヤツタイムですが、口いっぱいにクッキーを頬張る2人に笑いが止まりません。
昨日恐る恐るマドレーヌに手を伸ばしたグレッグは両手にクッキーを持って得意満面です。それをジッとガン見していたチェイスはお皿のクッキーよりもグレッグの手にあるクッキーに手を伸ばします。
兄弟喧嘩勃発かとハラハラしましたがグレッグが持っていたクッキーをチェイスに譲ってバトルにもならず終了。優しいお兄ちゃんですが我慢しすぎは良くないのでわたくしのクッキーをグレッグにプレゼントしました。
絨毯の上に置いた子供用の椅子に腰掛けたグレッグはメイサに褒められたくてとてもお行儀よくオヤツとミルクを楽しんでいます。メイサが少し乱暴に頭を撫でるのがお気に入りのようですね。
チェイスはハンナのお膝が大好きのようで椅子には見向きもしません。溶けかけた食べかけのクッキーをハンナに貢ぐチェイスとハンナの攻防はいつまでも見飽きない気がします。
「うちは歳の離れた兄が1人いるんですけど、すっごく世話好きで⋯⋯グレッグ様と遊んでてようやくその気持ちが理解できたと言うか。下の子って可愛いです」
メイサもすごく可愛いです。こんな妹がいたらかまい倒してしまう気がします。
「私は長女なんで弟や妹の世話ばかりしてました。あの頃は面倒だとか思ったりしてましたけど、やっぱり赤ちゃんって可愛いですね。もう少しこのほっぺがぷくぷくになるよう頑張ってお世話させていただきます」
しっかり者のハンナの笑顔も素敵です。わたくしが姉ならいっぱい甘やかしてあげたかったですね。
楽しすぎて忘れていましたがチェイスの瞳の色を確認しなくては。
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