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10.予想通りの結果
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「着替えに行かせていただきますので、お子様達のお手伝いは致しかねます!」
「アリシア様にお気遣いありがとうございますと伝えてね。ここは大丈夫だから」
少し嫌味を加えたわたくしの言葉にムッとした様子のベスが『役立たずのお飾りのくせに』と聞こえよがしに呟いて出て行った。
「さてさて、ハンナはチェイスをお願いね。グレッグはわたくしにお世話させてくれるかしら。ここのお風呂ならチェイスと一緒にお湯遊びできると思うわ。
その後約束のお菓子を持ってきてあげるわね」
既に服を脱がされているチェイスをお風呂に入れてしまわなければ風邪をひいてしまいますもの。お菓子のくだりはハンナに聞こえないように気をつけました。
餌付けしてると言われたら恥ずかしいですものね。
グレッグ達のお風呂と約束のお菓子⋯⋯ハンナにはバレてしまいました⋯⋯を渡して後を任せ、漸く料理長の元にやってきました。
「今日はどうもありがとう。明日のパーティーの準備もあるのに大変だったでしょう?」
「お二人がとても喜んで召し上がられたとメイド長から聞きました。もしグレッグ様達の苦手な物などがわかれば工夫してお出しするようにいたします」
「ありがとう。子供の食事の注意点なんてわからないから、料理長がビルで良かったわ」
「はっはっは、これでも2人の子持ちですから安心してお任せ下さい」
厨房は既に片付けも終わり明日の仕込みもほぼ終わりのようです。
「明日の準備で足りないものはないかしら?」
「今の所大丈夫だと思います。先日若奥様が仰られたように今回も予定のメニュー以外にも準備しております」
「明日も忙しいと思うから少しでも身体を休めて下さいね」
「お気遣いありがとうございます。もう少しで今日は終わりますので」
明日はステファン様が無事に帰還された事と勲章をいただいたお祝いのパーティーで、親族と親しい友人の方々がお見えになられる予定です。
幅広い人脈を持つマーベル伯爵家の方々ですから招待したお客様の数も多いのですが、親族の方々もご友人の方々もとてもフレンドリーな方が多いのです。つまり⋯⋯招待状のないお友達をお連れになる事が多いのです。
結婚した当初は予想より多い料理やお酒の準備に首を傾げましたが今ではそれが当たり前になってしまいました。
名前のわからない方々が屋敷内を歩き回るのは当たり前にありますし、客室で勝手に盛り上がっておられたり熟睡しておられたり⋯⋯警護は大丈夫なのかと不安になってしまいますがマーベル伯爵家のルールのようですから気にしてはダメですね。
名前のわからない酔客ほど下品に絡んでくると学習してからはパーティーの間はターニャから絶対に離れないようにしております。お花摘みの時でさえ単独行動は致しませんの。
想像以上に慌しかった今日もようやく終わり、自室に戻ったわたくしはターニャが淹れてくれたお茶で一息つきながらメイド長との打ち合わせをはじめました。
「やはりでしたか?」
メイド長も虐待を疑っていたようです。
「ええ、お腹や背中など見えないところを狙ったのでしょう。新旧とり混ぜた傷やアザが複数ありました」
「チェイス様もなのですか?」
「いえ、チェイスにはそれらしい怪我などは見受けられませんでした。ただ、身体を触られるのを極端に嫌がる様子からすると⋯⋯何もなかったとは思えないわ」
「あんな小さな子供になんて事を! ビビアン様は癇癪を起こしたグレッグ様や泣き叫ぶチェイス様に無関心だったとメイド達から報告を受けております」
「子供達の事を『アレ』って言ったの。それだけでどんな扱いをされていたのか分かるわ。ステファン様も関心がなさそうだったし。
ターニャ、子爵家から医師を派遣していただくよう連絡をしてくれるかしら。いつものようにお義母様達にバレないようにしなくてはいけないから⋯⋯明日の午後のパーティーの時にしましょう。
グレッグやチェイスはパーティーには出ないはずだからその間がチャンスね。ターニャはお医者様のことお願いね」
「パーティーが終わり屋敷内の点検が終わるまではリリスティア様のお側を離れるわけにはまいりません! 以前のような不埒な輩がいたら死んでも死にきれません!!」
ターニャが死んだら困ります。
「アリシア様にお気遣いありがとうございますと伝えてね。ここは大丈夫だから」
少し嫌味を加えたわたくしの言葉にムッとした様子のベスが『役立たずのお飾りのくせに』と聞こえよがしに呟いて出て行った。
「さてさて、ハンナはチェイスをお願いね。グレッグはわたくしにお世話させてくれるかしら。ここのお風呂ならチェイスと一緒にお湯遊びできると思うわ。
その後約束のお菓子を持ってきてあげるわね」
既に服を脱がされているチェイスをお風呂に入れてしまわなければ風邪をひいてしまいますもの。お菓子のくだりはハンナに聞こえないように気をつけました。
餌付けしてると言われたら恥ずかしいですものね。
グレッグ達のお風呂と約束のお菓子⋯⋯ハンナにはバレてしまいました⋯⋯を渡して後を任せ、漸く料理長の元にやってきました。
「今日はどうもありがとう。明日のパーティーの準備もあるのに大変だったでしょう?」
「お二人がとても喜んで召し上がられたとメイド長から聞きました。もしグレッグ様達の苦手な物などがわかれば工夫してお出しするようにいたします」
「ありがとう。子供の食事の注意点なんてわからないから、料理長がビルで良かったわ」
「はっはっは、これでも2人の子持ちですから安心してお任せ下さい」
厨房は既に片付けも終わり明日の仕込みもほぼ終わりのようです。
「明日の準備で足りないものはないかしら?」
「今の所大丈夫だと思います。先日若奥様が仰られたように今回も予定のメニュー以外にも準備しております」
「明日も忙しいと思うから少しでも身体を休めて下さいね」
「お気遣いありがとうございます。もう少しで今日は終わりますので」
明日はステファン様が無事に帰還された事と勲章をいただいたお祝いのパーティーで、親族と親しい友人の方々がお見えになられる予定です。
幅広い人脈を持つマーベル伯爵家の方々ですから招待したお客様の数も多いのですが、親族の方々もご友人の方々もとてもフレンドリーな方が多いのです。つまり⋯⋯招待状のないお友達をお連れになる事が多いのです。
結婚した当初は予想より多い料理やお酒の準備に首を傾げましたが今ではそれが当たり前になってしまいました。
名前のわからない方々が屋敷内を歩き回るのは当たり前にありますし、客室で勝手に盛り上がっておられたり熟睡しておられたり⋯⋯警護は大丈夫なのかと不安になってしまいますがマーベル伯爵家のルールのようですから気にしてはダメですね。
名前のわからない酔客ほど下品に絡んでくると学習してからはパーティーの間はターニャから絶対に離れないようにしております。お花摘みの時でさえ単独行動は致しませんの。
想像以上に慌しかった今日もようやく終わり、自室に戻ったわたくしはターニャが淹れてくれたお茶で一息つきながらメイド長との打ち合わせをはじめました。
「やはりでしたか?」
メイド長も虐待を疑っていたようです。
「ええ、お腹や背中など見えないところを狙ったのでしょう。新旧とり混ぜた傷やアザが複数ありました」
「チェイス様もなのですか?」
「いえ、チェイスにはそれらしい怪我などは見受けられませんでした。ただ、身体を触られるのを極端に嫌がる様子からすると⋯⋯何もなかったとは思えないわ」
「あんな小さな子供になんて事を! ビビアン様は癇癪を起こしたグレッグ様や泣き叫ぶチェイス様に無関心だったとメイド達から報告を受けております」
「子供達の事を『アレ』って言ったの。それだけでどんな扱いをされていたのか分かるわ。ステファン様も関心がなさそうだったし。
ターニャ、子爵家から医師を派遣していただくよう連絡をしてくれるかしら。いつものようにお義母様達にバレないようにしなくてはいけないから⋯⋯明日の午後のパーティーの時にしましょう。
グレッグやチェイスはパーティーには出ないはずだからその間がチャンスね。ターニャはお医者様のことお願いね」
「パーティーが終わり屋敷内の点検が終わるまではリリスティア様のお側を離れるわけにはまいりません! 以前のような不埒な輩がいたら死んでも死にきれません!!」
ターニャが死んだら困ります。
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