【完結】子供を抱いて帰って来た夫が満面の笑みを浮かべてます

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4.念のため確認しただけでしたが

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「ビビアンはステファンの第二夫人でグレッグとチェイスはステファンの子供よ。そんな事も分からないの?」

 お義母様の言葉の後でわたくしの後ろから殺気が飛んできましたが、恐らくわたくし専属侍女のターニャでしょう。

「えー、今までの話を聞いててわかんなかったとか? リリスティアって相変わらず鈍すぎね」

「第二夫人はわたくしの許可がないと認められないはずですが?」

 この国の法律では高位貴族は妻が認めれば第二夫人を娶ることができますが、妻の了承もなく第二夫人を娶る事は出来ません。これは第一夫人の権利を守る為と、夫人同士のいざこざや跡取り問題などでのお家騒動回避の為です。

 因みに庶子は養子縁組をしても後継にはなれません。一般的には後継になる事のできる嫡子しか正式なお披露目などしないのですが、マーベル家の方達は全く問題視していないようです。これもマーベル家独自のしきたりなのでしょうか。

 今からピンクさんを第二夫人にしてもあの子供達は婚姻前に生まれた子供達⋯⋯庶子であることは変わらないのです。



「ステファンの子供はこのマーベル伯爵家の後継なのよ。まさか子供と親を引き離すつもりなの!? なんて身勝手で冷酷なのかしら」

 『身勝手・冷酷』宣言はそのままお返ししますけれど、後継云々に関しては予想通りでした。

「では第二夫人ではなくビビアン様を正妻にされてはいかがでしょうか」

 離婚が近付いてきてる気がしてワクワクが止まりません。にやけそうになる顔を引き締めなくては!

「あら、リリスティアが第二夫人になるって事? 珍しく謙虚な態度だけどね、ビビアンは平民だから正妻には出来ないのよ」

「リリスティアは一応貴族の端くれだから正妻にしてやったが平民では社交界の笑い物になってしまう。マーベル伯爵家の血を受け継いだ子供を2人も産んでくれたのに正妻にしてやれんのは可哀想だが仕方あるまい」

「ビビアンは第二夫人で我慢するって言ってるしね。お兄様に愛されてるからいいんだってー」

 義妹のアリシア様が口を歪めてニマニマと笑っています。高位貴族が平民を正妻にする事は出来ますが、お義父様の仰る通り社交界でかなり悪評を立てられる可能性があるのは確かです。でも⋯⋯。


 婚姻前に庶子を2人も作る
 本宅に第二夫人を連れ込む
 庶子を正式にお披露目をする


 既に3つも醜聞を作る気満々の方達の言葉とは思えません。

 口を出しても話を聞いていただける気もしませんのでスルーしておきます。伯爵家の忠臣である能面執事に頑張ってもらう方が良さそうですから。

 少しの間様子をみてみましょう。元々はできるだけ波風立てずに離婚できれば良いと思っていましたが、即日離婚の文字が浮かんできました。

 ステファン様やビビアン様の言動次第では『ざまぁ』もしちゃおうかなどと思ったり⋯⋯それまでは存分にフリートークを楽しんでいただければと思います。



「まぁビビアンの教育次第ではリリスティアを第二夫人にするのも良いわねえ。ステファンの武功を考えれば正妻が平民だなんて些細な事ですもの。
ステファンがどちらを夜会にエスコートしたいかによって決めるのはどうかしら」

 扇子で口元を隠していますが下劣な品性が見えてます。

「リリスティアなんてこの5年一度も社交してないじゃない。それを考えたらビビアンでも良いわよね」

 お茶会も夜会も禁止したのはマーベル家の方達でしたし、わたくしに届いた招待状を使ってお茶会などに乗り込んで顰蹙をかったのはアリシア様でしたのに?

「まあ、下位貴族なぞ平民に毛が生えたようなものだから大した違いはないしな。ステファンの希望通りにしてやれば良かろう」

 選民意識の強いお義父様らしい意見が出ました。ステファン様とわたくしの結婚をゴリ押ししたくせに何かと言うと下位貴族を蔑むのがお好きなお義父様です。

 商売などと言う下賎な事に手を出す輩は平民と同じ品性下劣な者達だと言うのがお義父様の表向きの持論ですが、資産を持ち裕福な暮らしをする彼らを妬んでの発言だと知っています。

 そろそろステファン様達も降りて来られるでしょうから、子供達の様子と食事の準備の確認を口実にこの場を離れる事にいたします。

「子ども達の様子を見てまいります」

「そろそろわたくし達も着替えましょう。
ステファンとビビアンが来たらわたくし達は食事をはじめますからね。遅くならないように食堂にきなさい」

「はい、そのようにさせていただきます」



 今日の食事場所が分かり一安心です。

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