前世が勝手に追いかけてきてたと知ったので

第三章

この醜い世界に

　司法神ヴァーリはオーディンと巨人リンドの息子で、ロキに騙されバルドルを殺したヘズに復讐する為に産まれた。

　今世の名前はボーウス・Ｖ・リンド。

　一夜にして成人し予言通りに腹違いの兄であるヘズを殺した後は司法神として誠実に暮らしていたが、『バルドルの復讐者のアース』『へズの敵で殺し手』と呼ばれ続けた。

　ラグナロクを生き延び世界の滅亡と再生を見届けた。



　ヴィーザルはオーディンと巨人グリーズの息子で、戦神トールに匹敵する実力を持つ。

　今世の名前はヴィッシュ・Ｖ・グリーズ。

　ラグナロクでフェンリルを打ち倒し父の仇を討つと言う予言に語られる彼は生涯訓練に明け暮れ『フェンリル狼の敵で殺し手』の二つ名を持っている。

　持ち物は母親から贈られた鉄製の靴と脛当て。

　寡黙で神々との交流を避け森の中に隠遁していたが、ヴァーリとだけは交流を続けていた。

　神々の悪行を公にしたロキでさえケチをつけられなかった清廉潔白な彼はラグナロクを生き延び、世界の滅亡と再生を見届けた。



　炎の巨人スルトは炎の世界ムスペルヘイムに住み入り口を守っていた。ラグナロクでは燃え盛る炎の剣を手にムスペルヘイムの軍勢を率いて侵攻した。

　虹の橋ビフレストを落とし豊穣神フレイを打ち倒した後、その炎によって全世界を焼き尽くした。



　巨人族のヴァフスルーズニル。

　今世の名前はイーム・Ｖ・ルードニル公爵。魔導塔の筆頭研究者でマルデル提案の魔導具開発の責任者。

　知識豊富であり、命を賭けてオーディンと知恵比べをしたが奸計をめぐらしたオーディンの勝利で終わり命を落とした。



　巨人族の王のひとりウートガルザ・ロキ。

　今世は隣国ミュルクウッド王国のアウル・Ｕ・トラウ公爵。巨人の都の王ウトガルザ・ロキはヨトゥンヘイムにあるウトガルズという都市を治めていた。強力な幻術の使い手で知略にも長け敵を翻弄するのが得意。



　ヒュンドラはフレイヤが愛人オッタルを助ける為に脅迫した気が荒く薄汚れた巫女。

　汚い格好とボサボサの長い髪で洞窟に住んでいた変わり者で、無愛想なくせに口を開けば罵詈雑言で罵ってくる癇癪持ち。巫女としての能力は最強。

　世界樹から知恵を得て全知に近く樹木に対して干渉できる、その生命力や魔力や蓄積された記憶を共有・操作できるとまで言われてた。

　大嫌いなのは『バカとビッチ』と公言するがかなりの臆病者。

　暗唱比べをすることになったオッタルと賞品の黄金に目が眩んだフレイヤに脅されて願いを聞いたこともある。

　周囲には『友』『姉』と言いふらしながら、陰では脅しをかけ望みのものを手に入れようとしてくるフレイヤが大嫌い。