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第三章
44.今でも友達だよ?
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アルフヘイムがダメならグロリアと一緒に行きたいとただをこねたロズウェルはジェニに医務室を叩き出された。
4人とバルドルを連れてジェニ達がフロディの部屋に転移すると、ポカンと口を開けたセティが持っていたクッキーをぽろっと落とした。
「な、何?⋯⋯えーっと、え? 父様が人間界にいらっしゃる⋯⋯はずは」
「自分達のしでかした事、しようとしていた事と向き合うこともせずいつまで情けない姿を晒しているのですか!? 元神族としての誇りはどこへやってしまったのですか!」
「ででで、でもわた、私は⋯⋯あっ、漏れ」
「(グウッ⋯⋯プスッ)」
「ああ伸びるぅ伸びてるぅ⋯⋯見ないでぇ」
「こ、こいつらのせいでぇこ~んな目に遭ってるのよん。アタシ達が⋯⋯いやん⋯⋯タラッタッタ、タラッタッタ⋯⋯踊りたくないのぉぉぉ、足が勝手にぃ、うふん」
「⋯⋯ゴ、ゴホン! 自分達があの時した事を思い出せばその罰を受けているのだとハッキリわかるはずです。フレイヤに意思を奪われていたなど言い訳にすぎませんからね!
元神族としての力を残していると自覚していたのにも関わらず、魔導具なんかでその力を悪用されるなど言語道断! そんなゆるゆるなら全ての力を捨て人として生きるべきです⋯⋯ブチブチ、ネチネチ⋯⋯君達は自覚が⋯⋯」
「キラキラさん、時間がないんじゃなかったですかぁ? そろそろ終わりにしないとお話の全部が自分に返ってきてますよ~」
「ウグッ! そうでした、そろそろヘズが騒ぎ立てているでしょう。私は神界に帰りますが、君達は私の許可があるまでアルフヘイムを出てはなりません。よろしいですね!」
「父様、一体どうされたんですか? 非常事態だからフロディ達を助けにきたのではないのですか?」
「彼等には反省の気持ちがありませんからね、当分このままで自らを見直すべきだと決めました。それまでは他からの影響の及ばないアルフヘイムにいるべきです」
フロディの主導で4人がアルフヘイムに消えていきバルドルはグロリアに小さく頭を下げた。
「もっと早くこうするべきでした。申し訳なかったと心から詫びを言います」
「人間界に呼び出した事、謝りませんよ? 神罰なんて言われたら即ボコし⋯⋯」
「も、もちろん言いません」
引き攣った笑みを浮かべたバルドルがセティに向かって小さく頷いて消えていった。
「どう言う事? 何がどうなってるの?」
「それを話そうと思ってたんだけどよお、ヘルからセティへ伝言があるんだわ。
『元司法神フォルセティ、貴様にはヘルヘイムへの転移他一切の関わりを禁じる。ヘルヘイムを治めし女神ヘルの決定に従わぬ者には相応の罰が下されるであろう』
だとよ。身に覚えがあるよな」
「ええ!? ない、僕何もしてな⋯⋯あ、まさかイズンの事?」
「分かってんじゃねえか」
イズンとはアース神族に永遠の若さを約束する黄金の林檎の管理人で、フレイヤに匹敵するほど美しく無邪気でお人好しな性格をしている。
数日前、イズンが突然セティを訪ねてきたが話しているうちにセティの母ナンナの話になった。
『ナンナ様に一度でいいからお会いしたいわ、とてもお優しい方だったものね』
『うーん、母様はヘルヘイムにおられるから難しいよね。あ、伝言なら伝えられるよ?』
『フォルセティは会えるのでしょう? 一度だけでいいんだけど、連れて行ってくれないかしら。行けるかどうか試すだけでもいいの』
「でも、結局入れなかったんだし⋯⋯それに、あのイズンだよ? 優しくて悪意のかけらもないイズンなら問題ないって思ったから⋯⋯ちょっと試しただけだし、母様に会わせなくするなんて酷すぎるよ!」
「イズンならいいとかって、それを決める権利はお前にはねえんだよ! その意味が分かってちゃんと反省するまで出入り禁止だとよ。
大体、イズンが本物かどうかもわかんねえだろうが。突然ここに会いにきた? どうやってお前がここにいるって知ったんだ? ここにくるなら普通はフロディに会いにくるんじゃねえの? フロディを飛び越してお前に会いにきた理由はなんだ?」
「それは⋯⋯たまたまって言ってた。アース神族の気配を感じて懐かしくなって声をかけたって」
「気配ねえ⋯⋯随分と曖昧なもんを信じたもんだ。例の『神族全員善良自慢』ってやつか?
くだらねえ。間抜けですぐに騙されるお前がそれを信じてる間は、俺達はお前を信じるわけにはいかねえ。
何が起きてるとか何をしてるとかお前に話してその秘密が守られるとは思えんから、当面の間会いに来ることはねえ。特定の種族は疑わずにマルっと信じる元司法神とか危なくて怖すぎだわ。
残念だが、今のお前は敵でも味方でもない」
「そんな! グロリア、僕達友達だよね。ずっと仲良くしてたし」
「うん、今でも友達だとは思ってるよ? でも、信用してない部分はあるかも。あの4人もそうだけどセティって自分の力を過信してるとこがあると思うんだ。
今度イズンさんが来たら気をつけた方がいいよ、多分その人イズンさんじゃないから」
ジェニが少し目を細めてグロリアの顔を覗き込んできた。
(そっか、部屋に漂う異質な気配に気付いたのは私だけなんだ⋯⋯あ、グリちゃんなら気付いてそう)
この部屋に来たのは初めてだが転移してすぐに感じたそれはごく微量の獣臭のようなものだった。澱んだ空気が異臭を放っているようなその臭いは今もソファの辺りに沈澱している。
(初めて会った頃のエルにゃからしていた臭いに少し似てるんだよなぁ。禍々しい悪意を纏った魔物の臭いって感じ⋯⋯まさかと思うけどエルにゃ以外にも異世界転移してきた悪魔がいたり? それだと結構ヤバいよね。
はぁ、エルにゃを連れてくれば良かったかも)
「セティにはイズンさんが昔知ってたイズンさんに見えたんだよね」
「うん、昔の事も覚えてて話に齟齬なんて何もなかったもん。あの頃のままのイズンだったよ? 幻術とかだって何もかかってなかったし」
「セティの力を超えた幻術がないと信じてるだけかも、それかセティの知らない種類の幻術とかかも」
「そんな事ないって。司法神として虚偽を見極める目は持ってるからね。この世界で僕を騙そうとか⋯⋯」
「散々騙されてるじゃねえか、どの口が言うんだっつうの」
苛立たしげに舌打ちしたジェニがセティを睨みつけた。
「それは⋯⋯」
「兎に角、この部屋に最近訪れてしばらくあのソファに座ってた誰かが元神族じゃないのは間違いないからね。
かなり注意した方がいい相手だし、それがイズンさんなら目的はヘルヘイムへの伝手を作るとか侵入できる道筋を作る事なんじゃないかな?」
(セティへの伝言をヘルから聞いた時はそれほど深刻そうじゃなかったが、ヘルでさえ見抜けてなかったってやつだとヤバすぎんだろ⋯⋯。
ヘルヘイムへ入りたがる理由として考えられんのは⋯⋯フウェルゲルミルの泉の水ならリンドの手先だが、奴にそこまで高等な力はねえ。って事は新しい魔導具か?)
4人とバルドルを連れてジェニ達がフロディの部屋に転移すると、ポカンと口を開けたセティが持っていたクッキーをぽろっと落とした。
「な、何?⋯⋯えーっと、え? 父様が人間界にいらっしゃる⋯⋯はずは」
「自分達のしでかした事、しようとしていた事と向き合うこともせずいつまで情けない姿を晒しているのですか!? 元神族としての誇りはどこへやってしまったのですか!」
「ででで、でもわた、私は⋯⋯あっ、漏れ」
「(グウッ⋯⋯プスッ)」
「ああ伸びるぅ伸びてるぅ⋯⋯見ないでぇ」
「こ、こいつらのせいでぇこ~んな目に遭ってるのよん。アタシ達が⋯⋯いやん⋯⋯タラッタッタ、タラッタッタ⋯⋯踊りたくないのぉぉぉ、足が勝手にぃ、うふん」
「⋯⋯ゴ、ゴホン! 自分達があの時した事を思い出せばその罰を受けているのだとハッキリわかるはずです。フレイヤに意思を奪われていたなど言い訳にすぎませんからね!
元神族としての力を残していると自覚していたのにも関わらず、魔導具なんかでその力を悪用されるなど言語道断! そんなゆるゆるなら全ての力を捨て人として生きるべきです⋯⋯ブチブチ、ネチネチ⋯⋯君達は自覚が⋯⋯」
「キラキラさん、時間がないんじゃなかったですかぁ? そろそろ終わりにしないとお話の全部が自分に返ってきてますよ~」
「ウグッ! そうでした、そろそろヘズが騒ぎ立てているでしょう。私は神界に帰りますが、君達は私の許可があるまでアルフヘイムを出てはなりません。よろしいですね!」
「父様、一体どうされたんですか? 非常事態だからフロディ達を助けにきたのではないのですか?」
「彼等には反省の気持ちがありませんからね、当分このままで自らを見直すべきだと決めました。それまでは他からの影響の及ばないアルフヘイムにいるべきです」
フロディの主導で4人がアルフヘイムに消えていきバルドルはグロリアに小さく頭を下げた。
「もっと早くこうするべきでした。申し訳なかったと心から詫びを言います」
「人間界に呼び出した事、謝りませんよ? 神罰なんて言われたら即ボコし⋯⋯」
「も、もちろん言いません」
引き攣った笑みを浮かべたバルドルがセティに向かって小さく頷いて消えていった。
「どう言う事? 何がどうなってるの?」
「それを話そうと思ってたんだけどよお、ヘルからセティへ伝言があるんだわ。
『元司法神フォルセティ、貴様にはヘルヘイムへの転移他一切の関わりを禁じる。ヘルヘイムを治めし女神ヘルの決定に従わぬ者には相応の罰が下されるであろう』
だとよ。身に覚えがあるよな」
「ええ!? ない、僕何もしてな⋯⋯あ、まさかイズンの事?」
「分かってんじゃねえか」
イズンとはアース神族に永遠の若さを約束する黄金の林檎の管理人で、フレイヤに匹敵するほど美しく無邪気でお人好しな性格をしている。
数日前、イズンが突然セティを訪ねてきたが話しているうちにセティの母ナンナの話になった。
『ナンナ様に一度でいいからお会いしたいわ、とてもお優しい方だったものね』
『うーん、母様はヘルヘイムにおられるから難しいよね。あ、伝言なら伝えられるよ?』
『フォルセティは会えるのでしょう? 一度だけでいいんだけど、連れて行ってくれないかしら。行けるかどうか試すだけでもいいの』
「でも、結局入れなかったんだし⋯⋯それに、あのイズンだよ? 優しくて悪意のかけらもないイズンなら問題ないって思ったから⋯⋯ちょっと試しただけだし、母様に会わせなくするなんて酷すぎるよ!」
「イズンならいいとかって、それを決める権利はお前にはねえんだよ! その意味が分かってちゃんと反省するまで出入り禁止だとよ。
大体、イズンが本物かどうかもわかんねえだろうが。突然ここに会いにきた? どうやってお前がここにいるって知ったんだ? ここにくるなら普通はフロディに会いにくるんじゃねえの? フロディを飛び越してお前に会いにきた理由はなんだ?」
「それは⋯⋯たまたまって言ってた。アース神族の気配を感じて懐かしくなって声をかけたって」
「気配ねえ⋯⋯随分と曖昧なもんを信じたもんだ。例の『神族全員善良自慢』ってやつか?
くだらねえ。間抜けですぐに騙されるお前がそれを信じてる間は、俺達はお前を信じるわけにはいかねえ。
何が起きてるとか何をしてるとかお前に話してその秘密が守られるとは思えんから、当面の間会いに来ることはねえ。特定の種族は疑わずにマルっと信じる元司法神とか危なくて怖すぎだわ。
残念だが、今のお前は敵でも味方でもない」
「そんな! グロリア、僕達友達だよね。ずっと仲良くしてたし」
「うん、今でも友達だとは思ってるよ? でも、信用してない部分はあるかも。あの4人もそうだけどセティって自分の力を過信してるとこがあると思うんだ。
今度イズンさんが来たら気をつけた方がいいよ、多分その人イズンさんじゃないから」
ジェニが少し目を細めてグロリアの顔を覗き込んできた。
(そっか、部屋に漂う異質な気配に気付いたのは私だけなんだ⋯⋯あ、グリちゃんなら気付いてそう)
この部屋に来たのは初めてだが転移してすぐに感じたそれはごく微量の獣臭のようなものだった。澱んだ空気が異臭を放っているようなその臭いは今もソファの辺りに沈澱している。
(初めて会った頃のエルにゃからしていた臭いに少し似てるんだよなぁ。禍々しい悪意を纏った魔物の臭いって感じ⋯⋯まさかと思うけどエルにゃ以外にも異世界転移してきた悪魔がいたり? それだと結構ヤバいよね。
はぁ、エルにゃを連れてくれば良かったかも)
「セティにはイズンさんが昔知ってたイズンさんに見えたんだよね」
「うん、昔の事も覚えてて話に齟齬なんて何もなかったもん。あの頃のままのイズンだったよ? 幻術とかだって何もかかってなかったし」
「セティの力を超えた幻術がないと信じてるだけかも、それかセティの知らない種類の幻術とかかも」
「そんな事ないって。司法神として虚偽を見極める目は持ってるからね。この世界で僕を騙そうとか⋯⋯」
「散々騙されてるじゃねえか、どの口が言うんだっつうの」
苛立たしげに舌打ちしたジェニがセティを睨みつけた。
「それは⋯⋯」
「兎に角、この部屋に最近訪れてしばらくあのソファに座ってた誰かが元神族じゃないのは間違いないからね。
かなり注意した方がいい相手だし、それがイズンさんなら目的はヘルヘイムへの伝手を作るとか侵入できる道筋を作る事なんじゃないかな?」
(セティへの伝言をヘルから聞いた時はそれほど深刻そうじゃなかったが、ヘルでさえ見抜けてなかったってやつだとヤバすぎんだろ⋯⋯。
ヘルヘイムへ入りたがる理由として考えられんのは⋯⋯フウェルゲルミルの泉の水ならリンドの手先だが、奴にそこまで高等な力はねえ。って事は新しい魔導具か?)
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