前世が勝手に追いかけてきてたと知ったので

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第三章

43.召喚できた、テヘ

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 話し合いの結果、第一候補はアルフヘイムでキラキラやティウ達のひとりでもごねた場合は即監禁する事に決まった。

 リンド側の誰かに悟られないように王都のジェニの屋敷に2人で転移し、久しぶりにピアスとイヤーカフを付けたグロリアが右手を握り拳にして気合を入れた。

「思いっきり言ってやれ、スッキリするぜ~」

 エルにゃの気配を消すために結界で囲みグロリアとジェニはフィスト・バンプして頷きあった。

「今日は村木さんとこのおじちゃんバージョンでいくつもりなんだ。魚屋さんだからいい感じに文句言えると思う」

「よく分からんが面白そうだな」



「んじゃあいっきま~す、キラキラさ~ん起きてますかあ!?」

『んん? この声はまさかグロリア? どど、どうして声が』

「はい、キラキラさんに超絶腹を立て続けてるグロリアで~す」

『は、腹を⋯⋯それにあの、前回も不思議だったのですが何故人間界と神界で声が繋がるのですか?』

「そこは今回もどうでもいいです! それよりも言いたいことがあって連絡したんで聞いてくださいと言うか聞いてもらいま~す!」

『えーっと、はい』

「てめえ! よくも騙しやがったな、このへっぽこ神が! 神界でボケら~としてる神だけしか管理できないなら先に言え~!
揉め事起こしてんのは人間界にいる元神族だろうが! 人間界には関われない!? そんなルール作るなら、人間界に神族をよこすなってんだ。
寝ぼけたこと言ってんじゃねえ。何が最高神だ!? 役立たずの嘘つきめ!
アンタが見逃した元神族に今世でも殺されかけたんだからな! この落とし前どうしてくれるか言ってみやがれっ!
知らないとは言わせないからな、ちゃ~んと性根据えて返事してもらおうじゃん!
はい、どうぞ~」

『⋯⋯は、はい。セティ、フォルセティから詳細は聞き及んでおり⋯⋯その』

「その⋯⋯の次はなんですかねえ。え? 聞こえませんけどぉ~」

『大変申し訳なく思っておりまして、まさかテュール達があのような事をしでかすとは思いもせず⋯⋯』

「そっちからは手が出せないと言いつつ、何が起きてるか知ってますよねえ。
リンド医師とグリーズの2名は異母弟ですよねえ。テュール達の後にまだまだ続いて来てるんですけど、ど~ゆ~事かな~。
他にもヘニル&ロズウェル⋯⋯ ヴィリとヴェーはキラキラのおじさんですよねえ、この2人もなんか面倒ばっかりかけてきますし~。
役にも立たないミーミルだの状況も知らないで喧嘩売ってくるニョルズだの。
百万歩譲って元巨人族の爺さんズは『預かり知らん』で言うかもしんないな~とは思いましたけどお、それもなんだかねえ。
今世の妹がフレイヤの娘のフノスだって知った時は顎が外れちゃうかと思いましたしぃ~」

『もも、申し訳なく思っておりまして』

「責任とってくれるんですよね!」

『し、しかしその⋯⋯人間界には関与できない決まりがあ⋯⋯』

「それって神界と人間界が別の場所にあるからって感じですかねぇ」

『はは、はい。繋がりが一方通行と言いますか』

「でもぉ、セティは行ったり来たりしてますよね~。息子は特別サービスしちゃうけど、自分は動きたくな~いみたいな感じですかぁ」

『あ、いえ。最高神の立場として動いちゃダメみたいな。均衡が崩れるからねって』

「ふーん、ではではぁ~『ゆるゆるで~キラキラの~バルドルゥ⋯⋯召喚!」

 グロリアが右手をまっすぐ上にあげるとキラキラと輝く光の中にキラキラしいバルドルが現れた。

 不思議そうな顔で辺りを見回すキラキラと『ブハッ』と吹き出したジェニ。グロリアはもちろん得意げな顔でサムズアップしていた。

「⋯⋯⋯⋯ええっ! こ、ここはなんでって人間界ですか!? 何故私がここに。まさかグロリア⋯⋯さっき召喚とか言いませんでしたか!?」

「言いましたよ? 最高神も召喚できちゃいました~、テヘッ」

「テ、テヘッじゃなくてですね。い、急いで帰らなくては!」

「その前に、やる事やって帰んなさいよ! さっき自分で言ってましたよね~、別の場所にあるから関与できないって。ささ、同じ場所にいる間に用事を済ませちゃって下さいね~。それともぉ、またまた嘘ついたんですかぁ」

「よ、用事ですか?」

 意味が分からず首を傾げたキラキラに向かってグロリアが両手を腰に当てて仁王立ちした。

「はい、現在の状況知ってますよね。だからティウ達4人に当分アルフヘイムに引っ込んでろと言って下さい」

「そそ、そんな事言えません。それでは人間界に関与し⋯⋯」

「大丈夫です。今、同じ世界にいますからね。何もせず帰ってもいいですけど、その時は召喚し続けますけどぉ? あ、どさくさに紛れて契約しちゃうかも~。
ほら、悪魔の召喚獣はゲットしてるんでぇ、次は最高神を⋯⋯わあ、バリエーション豊かで楽しそうじゃないですか!? 最高神を召喚獣扱いかぁ⋯⋯キラキラさんじゃあんまり役に立ちそうにないですけど、サンドバッグ代わりとかハニちゃんの遊び相手にして鍛え直すとかも楽しそうですね!」

「かか、勘弁して下さい。人間に使役される最高神とか聞いた事ないですから!」

「じゃあ、ひとつ聞きますけど⋯⋯キラキラはリンド医師の応援団ですか?」

「は? いえ、彼らの行動は問題だと思っています」

「では、簡単ですね~。ジェニ、学園の医務室に転移をお願い」

「おお、いいぜ~。バルドル、気合い入れろよ」

 ジェニがパチンと指を鳴らすとグワンと景色が歪み転移がはじまった。

(これ絶対わざとだよね~、普段こんなに気持ち悪くないもん)

 日頃の恨みをてんこ盛りにした特別製の転移で医務室に着いた時にはキラキラバルドルはキラキラを口から噴き出す直前だった。

(『キラキラが、口からキラキラ、吐きそうだ』⋯⋯帰ったらグリちゃんに披露しなくちゃね)

「ううっ! ぎ、ぎぼぢが⋯⋯うえぇぇ」



 盛大にキラキラを噴射したバルドルの目の前には呆然としたロズウェルが立っていた。

(うわぁ、日頃の行い? すごい位置にいたね~)

「な、なんじゃこりゃー! てめえ、よくもって⋯⋯へ?」

 慌てて部屋の隅に逃げ出したティウ達は壁に一列に並んで立っていた。

「ググ、グロリア、こ、ここでなななに⋯⋯あっ、漏れ⋯⋯」

「さ、最高神バルドル様?(ググゥ、プウッ)」

「いやぁ、見ないでぇぇ! 鼻からぁ⋯⋯ブツブツがぁ!」

「おい、てめえここで何してるのかしらぁ、いや~ん。(タ~リラリラ、リ~ラリ~ラ)」

「近くて見ると凄え迫力だな、トールのが一番笑える⋯⋯あれって、白鳥になって踊ってんのか?」

 あっけに取られた顔でバルドルを見つめていたロズウェルが正気に戻り慌てて浄化の魔法を自分とバルドルにかけたが、バルドルはそれに気付かずティウ達を見つめていた。

「怖すぎる⋯⋯元主神のテュールが吃ってお漏らし? 白いアース・光の神ヘイムダルが腹を鳴らしてオナラ⋯⋯。あれほど美しかった豊穣神のフレイに鼻毛とイボが! 雷神トールのアレはオネエ? しかも踊ってる。
聞いてたけど、見てたけど⋯⋯実物はすごいインパクト」

「反省したら元に戻るって聞いたんだが、全然変化ないみてえだな。またおかしな奴に利用されたくなけりゃしばらくの間アルフヘイムから出てくんな」

「キラキラさんもご意見ど~ぞ~」

「そ、その前に彼らを元⋯⋯」

「し・え・き!? 試しちゃおっかなぁ」

「4人とも、私が良いと言うまでアルフヘイムに行っていなさい。良いですね!! 返事は!?」

「「「「はいぃぃぃ!」」」」

「俺も行くぜ!」

「「「「嫌だぁぁぁ!」」」」

 ロズウェルの言葉にティウ達がエグエグと泣きはじめた。

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