前世が勝手に追いかけてきてたと知ったので

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第二章

60.仲間と作戦会議はちょっとだけ嬉しい

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「例のネックレスには《クルクルパァ混乱》を刻んでおいたから、効果を発動しようとしたら誤動作して神族の血を正確に判別出来ないはず。それに⋯⋯ちょっとした意趣返しも追加で入れといたしね」

【相変わらずのネーミングセンスだねぇ。まあ、わかりやすくて面白いけどグリモワールがよく許してるって感心してるさね】

【許しとらんわい! 言う事聞いてくれんのじゃもん、仕方ないじゃろ?】

「寝た子とグロリアには勝てねえってな」

(ふふん、なんとでも言うがいい! 今日の私は心が海よりも空よりも広いんだからね~)

 一人でヘラヘラと笑うグロリアの髪に妖精達がせっせと運んで来た花を刺していた。

「ブハッ! 頭ん中も外も花が咲いてら」



 あまり大胆にルーン文字を刻んでマルデルにバレてしまわないようにネックレスの加工は最小限に留めた。

マーウォルスティウ達には其々に合う護符を作ったの。それを使ってからマルデルにネックレスを返せば⋯⋯。
ちゃんと発動したら面白いことになるはずなんだ~」

【えー、なになに? 僕、こっちに帰ってきて良かった~】

【すっごい面白そう! 俺っち超楽しみ~】

「5人の性格とかに合わせた仕様にしてみたの。護符の効果がある間は男としての尊厳にも問題が起きる予定でーす」

【やだぁ、それ最高じゃん! 今回の実験がうまくいったらさあ、誰にでも使えるやつにしてからアタシにもちょうだいね。丁度試したい奴がいるんだよねえ】

 ジェニ達全員が顔を引き攣らせ作り笑いを浮かべた。

「いやー、そういうのを出回らせるのは良くないと思うぞ。うん、断固反対だな」

 うんうんと大きく首を振っている中にヴァンもいる。

「ヴァンも?」

【我も反対に決まっておろう】

「浮気したり不純異性交遊しなかったら問題ないじゃん⋯⋯って、ロキは奥さんいるのに別の人と子供作ったんだっけ」

【その通りだよ~!】

【めちゃくちゃ遊び回ってたのを俺っち知ってるぞ】

 ジト目になったグロリアがジェニを見上げると慌てて目を逸らして言い訳をはじめた。

「その、過去をほじくり返すのは良くないと思うぞ! 今はほら健全な12歳の少年だし。それよりもどうやるかを考えるんじゃねえの?」

「目が覚めた時私が目の前にいるのはまずいと思うから、エイル先生が本当に信用できるなら頼めば良いのかもって気もするんだけど⋯⋯決めきれなくて」

 理論的には問題ないとグリモワールから太鼓判を押されたが不測の事態が起こらないとは言い切れないのが魔術の恐ろしさ。

【実験するわけにはいかないのかい?】

「神族の血を引く女性と男性が必要だし体液のゴニョゴニョはねぇ。それは置いといても、ネックレスの効果が出た後で実験ってなると結構な時間がかりそうだし」

【なら一発勝負でいいだろうさね? 少しくらい誤作動したってお仕置きが増えて良いじゃないか】

「おー、それ名案! ざまぁって笑ってやるね!!」



 その後、ジェニに呼び出された⋯⋯無理矢理転移させられたエイルが仁王立ちして怒鳴り声をあげた。

「こんなことしてタダで済むと思ってないでしょうね、アタシはまだ仕事中だったんだからね! 女たらしでロクデナシで嘘つ⋯⋯」

【エイル~、落ち着きなって。可愛い~生徒の目を覚まさせてやりたいんだろ?】

「あれが可愛い? 冗談じゃないわよ。昔も今もフレイヤなんかに騙される愚図でボケなエロガキなんか、一生寝てりゃいいのよ。
ゆるゆるお股に何度も騙されるお間抜け様御一行ってプレートつけて、一番目立つ広場がなんかに吊るしてさ、標本みたいな磔にでもすりゃいいって思ってるんだから!」

【んでも、アンタ何回も奴等んとこ行って薬草とか試してんじゃん】

「当然じゃない! ロズウェルのクソ野郎の鑑定でも分からない状態異常なんてめちゃめちゃ面白いじゃない!
原因さえ特定できないこの状況⋯⋯あの傲慢なクソウェルロズウェルが机に齧り付いてちまちま調べ物してんだよ!? も~笑っちゃうったらないわよ。
それにさぁこんな機会二度とないんだもの、何がなんでも実験しなくちゃ。
ねえ、ヘルなら何か思いつくんじゃない? 奴等なら少しくらい壊れてもいいからさあ、試してみたい薬草があるの。ヘルヘイムにしかないアレ、あの薬草を少し分けてよ。お願い!」

【えー、アンタちっとも役に立ってくんなかったのにぃ。アタシのちびちゃん虐められまくってたじゃん】

「あんま役に立ててなかったのは認める。でもさあ、極端に口を出してクビになったらいざって時そばにいてあげられないじゃん。クソ学園長が厄介だったし、何よりあのクソエロガキ共がクソビッチに今世でも籠絡されるなんて思わなかったんだもん。
ちびちゃんの盾くらいにはなるかと思ったのに、お股ゆるゆるの『使いっぱ』なんかになりやがって! だから男なんて嫌いなのよ!!
その上、今はもっと変態が来たし。兎に角これからはもっと頑張るからお願い! フウェルゲルミルの泉んとこに生えてるアレをちょうだ~い」

 ニブルヘイムの中央にある煮えたぎるフウェルゲルミルの泉には怪物ニーズホッグが住んでおり、ユグドラシルの根を齧っている。

 エイルが欲しがっているのはその足元にしか生えていない効果も毒性も最強の薬草。

【アレはニーズホッグの出したク◯を栄養にして育った草だよ。毒性が強すぎて外には出せないって言ったろ? 流石にアレを使ったら元神族の身体だって持たないかもだよ?】

「少しくらいの毒なんて我慢させるわよ。奴等はさ『尊い犠牲』『生命を差し出すくらい当然』『新しい技術に犠牲はつきもの』『もう少し真面な人間になれる』なんて言ったのよ! なら犠牲になってもいいって事でしょ?
もうアレを試すくらいしか残ってないの~」

 パチンと手を合わせたエイルの後ろでこっそりと話を聞いていたグロリアが思わず呟いた。

「エイル先生ってこんなキャラだったっけ」

 パッと振り向いたエイルがグロリアと目があった途端目を泳がせながら言い訳をはじめた。

「あ~、えーっとぉ。シビュレー、今のはその⋯⋯生徒をなんとかしてあげたいなーとか、熱い教師魂が暴走?⋯⋯ちょっと、ちびちゃんがいるなら先に言ってよ! 教師の仮面おっことしてきたじゃん!」

 言い逃れできそうにないと分かったエイルが途中から振り向いてヘルに抗議しはじめた。

【グロリア、これが薬草オタクのエイルの真実の顔だよ~】

「えーっと、そう言われても⋯⋯リアクション取りづらいかも」


 
「じゃあ、役立たずだったエイル先生にちょっくら手伝ってもらうかな~」

「転入してきたのがロキだった時点で観念したわよ⋯⋯煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」

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