76 / 248
第一章
75.3匹がいないのは超絶寂しすぎる
しおりを挟む
あのボヤ騒ぎをヒントに漸く護符ができた。
相変わらず目を覚まさないグリモワールに『ねぼすけ』と文句を言い、ひと睨みしてからジェニの屋敷に向かった。
(今日もペラペラのまま、見事な薄さは知恵をどこかに置き忘れたからかも~。
あ、幼稚園で習った歌があったな~。歌い続けたら起きるかなぁ)
「起きよ~起きよ~おねんねしているグーリーちゃーん♬ ⋯⋯ダメだ、虚しすぎる」
いつも通り裏口からそろっと中庭に侵入したグロリアは、3匹が出迎えてくれない今の状況に馴染めないでいた。
(頑張って調べてるんだから、何もしてない私が文句なんて言っちゃダメなんだけどね。うーん、寂しいよう)
心の中だけならいいよねと自分に言い訳をしながら遠目に屋敷を見つめていると、テラスから出てきたセティが大きく手を振ってくれた。
(あっ、パパンのとこから帰って来たんだ!)
セティはヴァーリとヴィーザルの過去を詳しく知るために、キラキラに会いに行っていた。
「お帰り、セティ。キラキラさん元気だった?」
「うん、グロリアに謝ってたよ。フノスのことや今回の叔父上の事なんか」
テラスの階段に腰かけた二人は顔を見合わせて相手の動向を伺った。
「えーっと、どっちから報告する?」
「セティからにしない?」
「それってグロリアは時間がかかるって言う事?⋯⋯実験は却下だからね。今日はジェニがいないしヘルが来てくれる気配もないから」
先手を打たれたグロリアが顔をひきつらせた。
「えっ! そんな⋯⋯あっ、でもセティに確認してもらうだけでも勉強になるんだけどなぁ。ほら、グリちゃん寝てるから相談できる人がいなくてさあ」
「⋯⋯返事は話を聞いてからにしようかなあ。グロリアってとんでもないこと言い出すから」
媚を売るように下から見上げたがグロリアの上目遣いは逆効果になったことしかなく、今回もセティの顔を引き攣らせて終わった。
「えー、その評価は納得いかないなあ。私の周りのみんなと比べたら可愛いもんだと思うけどな」
「比べる対象を間違えてるよ。で、取り敢えず僕のほうの報告なんだけどね、大した情報がなくて申し訳ないって父様が謝っておられた。
ヴァーリはラグナロクの後も司法神としてとても誠実に仕事をしてたんだって。それから暫くして人間界に興味があるって言ってからはずっと人間界で人として生きているんだ」
仕事の種類はその時々で違うらしいが、一緒に人間界に降りたヴィーザルとはずっと一緒だと言う。
「それと、ヘズとの仲は特に問題はなかった。元々ヴァーリがヘズを手をかけたのは予言に従っただったって分かっているからヘズは気にしてなかったし、ヴァーリも同じだったみたいだからね。
だからと言って仲が良かったわけじゃなくて、他の人とおんなじ扱いって感じだったって」
(やっぱり神同士は『予言だからね~』で全て片付くんだ)
「ヴィーザルの方はヴァーリと仲が良かったから同行することにしたんだろうって仰ってた。彼は無口だから余程の事がない限り人と話さないんだ。だから直接聞いたわけではないって」
「そうか⋯⋯ヴァーリは人間界に興味かあ。仲良しの兄弟が突然人間界に行くってなったらヴィーザルが一緒に行ってやるってなってもおかしくはないよね」
話の内容からするとグロリアにとって非常に珍しい真面な元神族のように思える。
(でもなぁ、なんか胸がぞくぞくするんだよなぁ⋯⋯何でなのかわからないけど、すっごくイライラモヤモヤすると言うか。うーん、なんだろう)
「ヴァーリの母親ってそんな運命をもった子供を産むのって気にならなかったのかなぁ」
「あっ、それはやっぱり結構抵抗したんだって。それをお祖父様がごり押ししたって父様が他の神から聞いてた」
「やっぱり、普通はそうだよね。巨人族や神族と人間の考えは違うかもだけど、母親としては嫌だと思う。ってか、それってヴァーリは知ってたりするの?」
「うん勿論だよ。ヴァーリの使命はとても重要なものだからいろんなところで話されてるし、僕も何度も聞いたことがあるよ」
グロリアは何事もないように頷いたセティにまたしても違和感を覚えた。
(やっぱり神族の考え方って不思議。母親に『そんな子産みたくない』って言われたようなもんだよね。お役目を終わらせた後は真面目に仕事してたなら気にしてなかったのかな)
「なんかヴァーリがどんどんかわいそうな子に思えてきた。
産まれて一夜で育って復讐を果たしたんだっけ。で、ヘズはヴァーリに殺された後キラキラさんと一緒に復活したんだよね。それって何か意味があったのかなぁ」
「意味⋯⋯予言だからね。理由は分からないけど当然必要な事だったんだよ」
(予言だから必要ねえ)
「オーディン自らニヴルヘイムに下りて死んだ巫女からバルドルの運命を尋ねて齎された予言だから、僕には予想がつかないだけで大切な予言だったことは間違いない」
「ん? 態々ニヴルヘイムの巫女に聞きに行ったの? 巫女って沢山いたはずだよね、なのに態々罪人が送られるニヴルヘイムにいる巫女をご指名?」
「そう聞いてる。オーディンだから行けたし戻ってこれたんだと思う。普通は行ったり来たりできるとこじゃないからね」
グロリアの質問の意図を勘違いしているセティが少し自慢げに頷いた。
(手間暇かけて罪人だった巫女を選んで予言させたとか)
『自分の望む答えだけをくれる運命の女神を探す術式は成功率が中々上がらなくて、相手を洗脳する術式に切り替えたのはかなり早い段階だった』
(自分の望む答えをくれる巫女がその人だけだったから態々そんなとこまで遠征したとは考えられないかな? それでもやっぱりそこまでする意味が分かんないけど。
今はヴァーリよね。罪人の巫女の予言で無理やり孕まされたお母さんから産まれて、翌日には予言の実行じゃ~とかってロキに騙されて兄ちゃんを殺した異母兄を殺させられた。んでその後は真面目に司法神やってたと。これが人間の話なら『解せぬ』って言う、間違いなく言う)
「司法神としてもそれなりに優秀で、評判も悪くなかったんだって。罪に問われた奴から二つ名をディスられることはあったらしいけど、正しく生きてたから⋯⋯ラグナロクを生き残った神の一人なんだ」
『復讐者、ヘズの敵で殺し手』
(母親に望まれずに産まれて、司法神としてはそれなりの評価? 正義を司る復讐者ってディスられる?)
グロリアはセティの顔をじっと見つめた。
(オーディンの息子でそれなり評価を貰ってるヴァーリと、孫で最高の司法神と言われたセティ。予言によって強制的に作られた子供がそれをディスられる⋯⋯それでも健気に心正しく生きる。⋯⋯うーん、ありえん。その辺がもやもやの原因かな? それとも私の心が澱んでるだけ?)
「キラキラさんはヴァーリ達の異母兄弟でしょ? 近況だとかフレイヤの窃盗の件とか話したりしてないの?」
「叔父上達がいるのもフレイヤの魔剣があるのも人間界でしょ? 父様は人間界には干渉しないって言うルールに縛られてる。だから、叔父上達やフレイヤの件には関われないんだ」
「⋯⋯はあ?」
相変わらず目を覚まさないグリモワールに『ねぼすけ』と文句を言い、ひと睨みしてからジェニの屋敷に向かった。
(今日もペラペラのまま、見事な薄さは知恵をどこかに置き忘れたからかも~。
あ、幼稚園で習った歌があったな~。歌い続けたら起きるかなぁ)
「起きよ~起きよ~おねんねしているグーリーちゃーん♬ ⋯⋯ダメだ、虚しすぎる」
いつも通り裏口からそろっと中庭に侵入したグロリアは、3匹が出迎えてくれない今の状況に馴染めないでいた。
(頑張って調べてるんだから、何もしてない私が文句なんて言っちゃダメなんだけどね。うーん、寂しいよう)
心の中だけならいいよねと自分に言い訳をしながら遠目に屋敷を見つめていると、テラスから出てきたセティが大きく手を振ってくれた。
(あっ、パパンのとこから帰って来たんだ!)
セティはヴァーリとヴィーザルの過去を詳しく知るために、キラキラに会いに行っていた。
「お帰り、セティ。キラキラさん元気だった?」
「うん、グロリアに謝ってたよ。フノスのことや今回の叔父上の事なんか」
テラスの階段に腰かけた二人は顔を見合わせて相手の動向を伺った。
「えーっと、どっちから報告する?」
「セティからにしない?」
「それってグロリアは時間がかかるって言う事?⋯⋯実験は却下だからね。今日はジェニがいないしヘルが来てくれる気配もないから」
先手を打たれたグロリアが顔をひきつらせた。
「えっ! そんな⋯⋯あっ、でもセティに確認してもらうだけでも勉強になるんだけどなぁ。ほら、グリちゃん寝てるから相談できる人がいなくてさあ」
「⋯⋯返事は話を聞いてからにしようかなあ。グロリアってとんでもないこと言い出すから」
媚を売るように下から見上げたがグロリアの上目遣いは逆効果になったことしかなく、今回もセティの顔を引き攣らせて終わった。
「えー、その評価は納得いかないなあ。私の周りのみんなと比べたら可愛いもんだと思うけどな」
「比べる対象を間違えてるよ。で、取り敢えず僕のほうの報告なんだけどね、大した情報がなくて申し訳ないって父様が謝っておられた。
ヴァーリはラグナロクの後も司法神としてとても誠実に仕事をしてたんだって。それから暫くして人間界に興味があるって言ってからはずっと人間界で人として生きているんだ」
仕事の種類はその時々で違うらしいが、一緒に人間界に降りたヴィーザルとはずっと一緒だと言う。
「それと、ヘズとの仲は特に問題はなかった。元々ヴァーリがヘズを手をかけたのは予言に従っただったって分かっているからヘズは気にしてなかったし、ヴァーリも同じだったみたいだからね。
だからと言って仲が良かったわけじゃなくて、他の人とおんなじ扱いって感じだったって」
(やっぱり神同士は『予言だからね~』で全て片付くんだ)
「ヴィーザルの方はヴァーリと仲が良かったから同行することにしたんだろうって仰ってた。彼は無口だから余程の事がない限り人と話さないんだ。だから直接聞いたわけではないって」
「そうか⋯⋯ヴァーリは人間界に興味かあ。仲良しの兄弟が突然人間界に行くってなったらヴィーザルが一緒に行ってやるってなってもおかしくはないよね」
話の内容からするとグロリアにとって非常に珍しい真面な元神族のように思える。
(でもなぁ、なんか胸がぞくぞくするんだよなぁ⋯⋯何でなのかわからないけど、すっごくイライラモヤモヤすると言うか。うーん、なんだろう)
「ヴァーリの母親ってそんな運命をもった子供を産むのって気にならなかったのかなぁ」
「あっ、それはやっぱり結構抵抗したんだって。それをお祖父様がごり押ししたって父様が他の神から聞いてた」
「やっぱり、普通はそうだよね。巨人族や神族と人間の考えは違うかもだけど、母親としては嫌だと思う。ってか、それってヴァーリは知ってたりするの?」
「うん勿論だよ。ヴァーリの使命はとても重要なものだからいろんなところで話されてるし、僕も何度も聞いたことがあるよ」
グロリアは何事もないように頷いたセティにまたしても違和感を覚えた。
(やっぱり神族の考え方って不思議。母親に『そんな子産みたくない』って言われたようなもんだよね。お役目を終わらせた後は真面目に仕事してたなら気にしてなかったのかな)
「なんかヴァーリがどんどんかわいそうな子に思えてきた。
産まれて一夜で育って復讐を果たしたんだっけ。で、ヘズはヴァーリに殺された後キラキラさんと一緒に復活したんだよね。それって何か意味があったのかなぁ」
「意味⋯⋯予言だからね。理由は分からないけど当然必要な事だったんだよ」
(予言だから必要ねえ)
「オーディン自らニヴルヘイムに下りて死んだ巫女からバルドルの運命を尋ねて齎された予言だから、僕には予想がつかないだけで大切な予言だったことは間違いない」
「ん? 態々ニヴルヘイムの巫女に聞きに行ったの? 巫女って沢山いたはずだよね、なのに態々罪人が送られるニヴルヘイムにいる巫女をご指名?」
「そう聞いてる。オーディンだから行けたし戻ってこれたんだと思う。普通は行ったり来たりできるとこじゃないからね」
グロリアの質問の意図を勘違いしているセティが少し自慢げに頷いた。
(手間暇かけて罪人だった巫女を選んで予言させたとか)
『自分の望む答えだけをくれる運命の女神を探す術式は成功率が中々上がらなくて、相手を洗脳する術式に切り替えたのはかなり早い段階だった』
(自分の望む答えをくれる巫女がその人だけだったから態々そんなとこまで遠征したとは考えられないかな? それでもやっぱりそこまでする意味が分かんないけど。
今はヴァーリよね。罪人の巫女の予言で無理やり孕まされたお母さんから産まれて、翌日には予言の実行じゃ~とかってロキに騙されて兄ちゃんを殺した異母兄を殺させられた。んでその後は真面目に司法神やってたと。これが人間の話なら『解せぬ』って言う、間違いなく言う)
「司法神としてもそれなりに優秀で、評判も悪くなかったんだって。罪に問われた奴から二つ名をディスられることはあったらしいけど、正しく生きてたから⋯⋯ラグナロクを生き残った神の一人なんだ」
『復讐者、ヘズの敵で殺し手』
(母親に望まれずに産まれて、司法神としてはそれなりの評価? 正義を司る復讐者ってディスられる?)
グロリアはセティの顔をじっと見つめた。
(オーディンの息子でそれなり評価を貰ってるヴァーリと、孫で最高の司法神と言われたセティ。予言によって強制的に作られた子供がそれをディスられる⋯⋯それでも健気に心正しく生きる。⋯⋯うーん、ありえん。その辺がもやもやの原因かな? それとも私の心が澱んでるだけ?)
「キラキラさんはヴァーリ達の異母兄弟でしょ? 近況だとかフレイヤの窃盗の件とか話したりしてないの?」
「叔父上達がいるのもフレイヤの魔剣があるのも人間界でしょ? 父様は人間界には干渉しないって言うルールに縛られてる。だから、叔父上達やフレイヤの件には関われないんだ」
「⋯⋯はあ?」
0
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話
Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」
「よっしゃー!! ありがとうございます!!」
婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。
果たして国王との賭けの内容とは――

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる