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第一章
73.腐った奴でも情報くれたから感謝? しないけどね
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捨て台詞を吐いてジェイソンが部屋を出て行ったが、グロリアはジェイソンの最後の言葉が気に掛かり食器が置きっぱなしになっていることにも気づいていなかった。
(私の為に資金援助してくれてる人? ジジイなら年配のひとよね⋯⋯誰だろう、全然思いつかない。
でももし本当なら伯爵家への援助分を生活費としてくれたりしないかな。そうなればこの状況をなんとかできるのに)
グロリアが魔法適性なしと判断されたのは6歳の時で、シグルド親子に会ったのは8歳だった。それから10ヶ月経っているので3年弱になるが、伯爵夫妻はグロリアを追い出しもせず家に住まわせている。
(今まで考えたことなかったけど、あの伯爵夫妻が何のメリットもなく私を追い出さなかったなんておかしな話だったんだよね。だって、元がとれるくらい支払ってくれる『役立たず』の販売先を見つける手間より捨てる方が楽とか言いそうだもん。
ジェイソンが言うように私の事を気にかけてくれてる人から資金援助があるから捨ててないって事なら分かるかも。
貪欲な伯爵夫妻が納得する金額が出せて伯爵夫妻にそれなりの影響力のある人かぁ。会いにも来ないでお金だけ出す⋯⋯足長おじさんってやつかな? うん、寝よう!)
取り敢えず今夜は寝た方が良さそうだと、グロリアは着替えを準備しはじめた。
(先ずは護符の完成が先ね。足長おじさん探しはその後⋯⋯。明日、叱られるんだろうなあ。ボヤ騒ぎを見に行って『商品に傷がついたらどうするの!?』とか言いそうだよね~)
「昨日は使用人に混じって裏庭に行ったんですって?」
予想していた事だが、昼食の時に会ったルイーザの機嫌が悪い。
「(きたきた、ヤバーい)はい、偶々見かけたので」
「傷がついたらどうするの!? 貴族令嬢はほんの少しの瑕疵でも価値が下がるのよ!」
「申し訳ありませんでした」
「いい事、よくお聞きなさい。あなたの価⋯⋯」
その後もルイーザのお小言は延々と続き食事どころではなくなったが、家庭教師が来て漸く解放されたグロリアは空腹のまま午後の勉強に突入することになった。
(はぁ、お腹すいた。部屋に戻ったら何か食べよう。ポーチに入ってるのって何があったっけ)
ラテン語の名詞や動詞の変化の多さに辟易しながら部屋のドアに手をかけた。
(名詞が、第1変化・第2変化・第3変化って⋯⋯変化しすぎ~。はぁ、日本語が恋しい)
ガチャリとドアを開けると机の上にクローシュの被せられた皿が置いてあった。
(ん? 誰だろう。まあ、いいか⋯⋯)
いそいそと椅子に座ってクローシュを持ち上げるとサンドイッチと果物が綺麗に並べられていた。早速手を伸ばしかけたグロリアはインクだらけの手に気がついた。
(あ、これはマズイ)
部屋の隅に置いた甕から水を汲んで手を洗い、改めて椅子に座った。
(では、いただきます!)
パチンと手を合わせてサンドイッチを手に取り、大きな口を開けて固まった。
(⋯⋯そうだった《チェック》⋯⋯おお、問題ないじゃん! いっただきまーす!)
モグモグ⋯⋯ごっくん⋯⋯シャリシャリ。
(誰なのか知らないけど助かった~。いつも思うんだけど、午後のお茶の時間をすこーし過ぎた辺りで授業終わりとか鬼畜の所業だよね。おやつにありつけない時間までって事でしょ? まあ、おやつなんて出てきた事ないけどね!)
家庭教師が増やされてから今日のように昼食を食べ損ねると夜まで何も食べられないグロリアは、チャンスを見つけては果物やパンをくすね⋯⋯貰ってポーチに常備している。
昼ごはんをしっかり食べた日でも午後のお茶の時間辺りでおやつとして何か食べておかなければ空腹で倒れそうになる。
(ルーン魔術の勉強ってガチでお腹すくんだもん。あー、今日は幸せ~! ご馳走様でした!!)
手をパチンと合わせたまま空になったお皿に向かって頭を下げた。
グロリアの部屋には家具も物もあまり置いていない。作り付けのクローゼットには着古した数枚のデイドレスがかかり、屋外用の靴が一足とタオルやシーツの予備が収められている。
何年も磨いていないがグロリアが毎日丁寧に掃除をしている床には屋根裏で見つけた端の擦り切れた古いラグが敷かれ、ほんの少し寒さを和らげる役に立っている⋯⋯はず。
飛び乗るとギシギシ文句を言うベッドと、護符を書く時は用心しないとペン先が穴に引っかかる傷だらけの勉強机、前の左足が少し短い椅子が一脚。フノーラのお下がりのドレッサーは子供用なので、鏡の周りにはとても可愛らしい装飾の名残がついている。
(ソファ欲しいなぁ。ベッドの悲鳴が日に日に大きくなってるから、いつ壊れるか⋯⋯あ、飛び乗らなきゃいいのか)
フカフカのソファに座ってローテーブルに並んだお菓子を吟味しながら、美味しい紅茶かコーヒーを堪能する妄想でニヘラと笑った。
(毛足の長いラグを足の指でグニグニして⋯⋯ヒート◯ックの靴下も欲しいかも。それにふわっふわのガウンとかあったら最高~! クッションにもたれて『あら、今日は珍しいお菓子だわ』なーんて言ってさぁ。いかにも貴族のお嬢様って感じじゃん。ムフフ)
部屋の隅に置かれた無骨な甕を見て溜息をついた。
(これのお陰で便利になったもん。毎回水をもらいに行かなくて済むようになったんだから、ありがたやぁありがたやぁ~)
グロリアの脳内がアラサーよりおばさん臭かったり男らしかったりするのは前世の実家の影響かもしれない。お参りに来るお年寄りと日向ぼっこをしながら雑談したり、道場で父親に扱かれたり⋯⋯普通の子供より超絶幅広い年齢層のお友達がいたから。
『あ、お爺ちゃん久しぶり~。腰は良くなったの?』
『お婆ちゃんお婆ちゃん、草むしりはしなくていいから! それより、大福食べる?』
『と、父さん! 私女の子だからね! 回し蹴りとかやめ⋯⋯くっそお!』
『ふっふっふ! あし○のジョーで覚えたんだ~。サイドステップとダッキングに⋯⋯極め付けはコークスクリュー・ブロー。父さんは『金的』がオススメって言うんだけどね~』
父親と対峙するとスイッチが入るように調教された花梨は、母親と姉から『普段はポヤポヤ・ボケっとしてるのに、二重人格みたいねぇ』と感心されるようになってしまった。
パンチが当る瞬間に肩と肘と手首を内側に捻り込むことでダメージを大きくするコークスクリュー・ブローの効果はジェニ達が一番よく知っている。
水を出す魔術はかなり上手くなったグロリアは毎朝この甕に水を溜めて、洗顔や手洗いに使っている。
(水を捨てる時が大変だからなー、その術式を考え⋯⋯はっ! 便利でゴージャスな生活よりまずは打倒シグルドだよ!)
そっとドアを開け廊下に誰もいないのを確認した後、コソコソと厨房に皿を運んだ。
(この後は夜までフリーだから頑張らなくちゃ。グリちゃんってまだ寝てるのかなぁ)
厨房の入り口からそっと中を覗くと料理人や下働き達がのんびりとお喋りをしていた。
(これ持って入ったらヤバいのかなあ。持ってきた人も分かってないし⋯⋯バレたらその人が叱られるとかアリ? どうすっかなー)
気配を殺したまま悶々と悩んでいたグロリアの手元でフォークがカチャンと小さな音を立てた。
(あ、ヤバ!)
(私の為に資金援助してくれてる人? ジジイなら年配のひとよね⋯⋯誰だろう、全然思いつかない。
でももし本当なら伯爵家への援助分を生活費としてくれたりしないかな。そうなればこの状況をなんとかできるのに)
グロリアが魔法適性なしと判断されたのは6歳の時で、シグルド親子に会ったのは8歳だった。それから10ヶ月経っているので3年弱になるが、伯爵夫妻はグロリアを追い出しもせず家に住まわせている。
(今まで考えたことなかったけど、あの伯爵夫妻が何のメリットもなく私を追い出さなかったなんておかしな話だったんだよね。だって、元がとれるくらい支払ってくれる『役立たず』の販売先を見つける手間より捨てる方が楽とか言いそうだもん。
ジェイソンが言うように私の事を気にかけてくれてる人から資金援助があるから捨ててないって事なら分かるかも。
貪欲な伯爵夫妻が納得する金額が出せて伯爵夫妻にそれなりの影響力のある人かぁ。会いにも来ないでお金だけ出す⋯⋯足長おじさんってやつかな? うん、寝よう!)
取り敢えず今夜は寝た方が良さそうだと、グロリアは着替えを準備しはじめた。
(先ずは護符の完成が先ね。足長おじさん探しはその後⋯⋯。明日、叱られるんだろうなあ。ボヤ騒ぎを見に行って『商品に傷がついたらどうするの!?』とか言いそうだよね~)
「昨日は使用人に混じって裏庭に行ったんですって?」
予想していた事だが、昼食の時に会ったルイーザの機嫌が悪い。
「(きたきた、ヤバーい)はい、偶々見かけたので」
「傷がついたらどうするの!? 貴族令嬢はほんの少しの瑕疵でも価値が下がるのよ!」
「申し訳ありませんでした」
「いい事、よくお聞きなさい。あなたの価⋯⋯」
その後もルイーザのお小言は延々と続き食事どころではなくなったが、家庭教師が来て漸く解放されたグロリアは空腹のまま午後の勉強に突入することになった。
(はぁ、お腹すいた。部屋に戻ったら何か食べよう。ポーチに入ってるのって何があったっけ)
ラテン語の名詞や動詞の変化の多さに辟易しながら部屋のドアに手をかけた。
(名詞が、第1変化・第2変化・第3変化って⋯⋯変化しすぎ~。はぁ、日本語が恋しい)
ガチャリとドアを開けると机の上にクローシュの被せられた皿が置いてあった。
(ん? 誰だろう。まあ、いいか⋯⋯)
いそいそと椅子に座ってクローシュを持ち上げるとサンドイッチと果物が綺麗に並べられていた。早速手を伸ばしかけたグロリアはインクだらけの手に気がついた。
(あ、これはマズイ)
部屋の隅に置いた甕から水を汲んで手を洗い、改めて椅子に座った。
(では、いただきます!)
パチンと手を合わせてサンドイッチを手に取り、大きな口を開けて固まった。
(⋯⋯そうだった《チェック》⋯⋯おお、問題ないじゃん! いっただきまーす!)
モグモグ⋯⋯ごっくん⋯⋯シャリシャリ。
(誰なのか知らないけど助かった~。いつも思うんだけど、午後のお茶の時間をすこーし過ぎた辺りで授業終わりとか鬼畜の所業だよね。おやつにありつけない時間までって事でしょ? まあ、おやつなんて出てきた事ないけどね!)
家庭教師が増やされてから今日のように昼食を食べ損ねると夜まで何も食べられないグロリアは、チャンスを見つけては果物やパンをくすね⋯⋯貰ってポーチに常備している。
昼ごはんをしっかり食べた日でも午後のお茶の時間辺りでおやつとして何か食べておかなければ空腹で倒れそうになる。
(ルーン魔術の勉強ってガチでお腹すくんだもん。あー、今日は幸せ~! ご馳走様でした!!)
手をパチンと合わせたまま空になったお皿に向かって頭を下げた。
グロリアの部屋には家具も物もあまり置いていない。作り付けのクローゼットには着古した数枚のデイドレスがかかり、屋外用の靴が一足とタオルやシーツの予備が収められている。
何年も磨いていないがグロリアが毎日丁寧に掃除をしている床には屋根裏で見つけた端の擦り切れた古いラグが敷かれ、ほんの少し寒さを和らげる役に立っている⋯⋯はず。
飛び乗るとギシギシ文句を言うベッドと、護符を書く時は用心しないとペン先が穴に引っかかる傷だらけの勉強机、前の左足が少し短い椅子が一脚。フノーラのお下がりのドレッサーは子供用なので、鏡の周りにはとても可愛らしい装飾の名残がついている。
(ソファ欲しいなぁ。ベッドの悲鳴が日に日に大きくなってるから、いつ壊れるか⋯⋯あ、飛び乗らなきゃいいのか)
フカフカのソファに座ってローテーブルに並んだお菓子を吟味しながら、美味しい紅茶かコーヒーを堪能する妄想でニヘラと笑った。
(毛足の長いラグを足の指でグニグニして⋯⋯ヒート◯ックの靴下も欲しいかも。それにふわっふわのガウンとかあったら最高~! クッションにもたれて『あら、今日は珍しいお菓子だわ』なーんて言ってさぁ。いかにも貴族のお嬢様って感じじゃん。ムフフ)
部屋の隅に置かれた無骨な甕を見て溜息をついた。
(これのお陰で便利になったもん。毎回水をもらいに行かなくて済むようになったんだから、ありがたやぁありがたやぁ~)
グロリアの脳内がアラサーよりおばさん臭かったり男らしかったりするのは前世の実家の影響かもしれない。お参りに来るお年寄りと日向ぼっこをしながら雑談したり、道場で父親に扱かれたり⋯⋯普通の子供より超絶幅広い年齢層のお友達がいたから。
『あ、お爺ちゃん久しぶり~。腰は良くなったの?』
『お婆ちゃんお婆ちゃん、草むしりはしなくていいから! それより、大福食べる?』
『と、父さん! 私女の子だからね! 回し蹴りとかやめ⋯⋯くっそお!』
『ふっふっふ! あし○のジョーで覚えたんだ~。サイドステップとダッキングに⋯⋯極め付けはコークスクリュー・ブロー。父さんは『金的』がオススメって言うんだけどね~』
父親と対峙するとスイッチが入るように調教された花梨は、母親と姉から『普段はポヤポヤ・ボケっとしてるのに、二重人格みたいねぇ』と感心されるようになってしまった。
パンチが当る瞬間に肩と肘と手首を内側に捻り込むことでダメージを大きくするコークスクリュー・ブローの効果はジェニ達が一番よく知っている。
水を出す魔術はかなり上手くなったグロリアは毎朝この甕に水を溜めて、洗顔や手洗いに使っている。
(水を捨てる時が大変だからなー、その術式を考え⋯⋯はっ! 便利でゴージャスな生活よりまずは打倒シグルドだよ!)
そっとドアを開け廊下に誰もいないのを確認した後、コソコソと厨房に皿を運んだ。
(この後は夜までフリーだから頑張らなくちゃ。グリちゃんってまだ寝てるのかなぁ)
厨房の入り口からそっと中を覗くと料理人や下働き達がのんびりとお喋りをしていた。
(これ持って入ったらヤバいのかなあ。持ってきた人も分かってないし⋯⋯バレたらその人が叱られるとかアリ? どうすっかなー)
気配を殺したまま悶々と悩んでいたグロリアの手元でフォークがカチャンと小さな音を立てた。
(あ、ヤバ!)
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