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第一章
52.ロキの帰還とちみっこ騒動
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慌てて駆け寄ったグロリアが回復の護符を手にすると、ジェニが首を横に振った。
「大丈夫⋯⋯それに回復はしねえって約束したんだ。ちょっくら風呂に入ってくる」
ヨロヨロとしながら屋敷に向かって歩き出したジェニの後ろ姿を見送っていると、グロリアの後ろから突風が吹いてきた。
「うわあ!」
バランスを崩し四つん這いになったグロリアが後ろを振り返ると⋯⋯。
ヒィーン、ブフー。ブルル⋯⋯ガツン、ガツン。
相手を威嚇するような甲高い鳴き声と、迫力のある前掻きの音。
【そのように派手に前肢を振り出して地面を掻いて⋯⋯蹄鉄が地面を抉っておるぞ。蹄鉄が擦れて削り落ちてしまっても良いのかえ?】
優雅に足を組んだままのヘルが閉じた扇子で巨大な馬の前足を指し示した。
スレイプニルが前掻きするたびに芝が抉れポッコリと穴ができる。じわりじわりとグロリアに近付くスレイプニルは目を吊り上げて歯を剥き出しにして威嚇し続けていた。
「馬⋯⋯8本足のスレイプニル? でか!象の何倍もある馬って凄い! あ、ちっこい子もいる」
スレイプニルの後ろの馬はかなり小さくスレイプニルの足の下を簡単にくぐれそうなサイズでぴょこぴょことついてきている。
(あ、ちっこい子が穴に落ちた!)
スレイプニルが掘った穴に前足から落ちた小さな馬がひょっこり出てくる姿が可愛い。
【おい、ちみっこ!! ここからさっさと出てけ!】
「へ? あ、あの」
ちっこい馬を見て和んでいたグロリアがスレイプニルを見上げた。
【聞こえたんだろ!? さっさと出てけ! でないと僕が出てく。そうしたらロキが泣くぞ】
【随分と居丈高な態度だねえ。何様のつもりか知らないが、あたしの客人に無礼な態度を取るなら覚悟するんだね!!】
バキバキと机が音を立てスレイプニルの周りに風が渦巻きはじめた。青空に突然雲が現れると一瞬光った後にゴロゴロ、ドカーンバリーンという音が聞こえた。
グロリアの背丈の何倍もありそうなスレイプニルがヘルの低い怒声と稲光に固まった。
(上げたままの左前足と硬直した顔がちょっとかわいいかも)
【ぼ、僕はロキにお願いされてここに来てやったんだぞ】
【だからなんだって言うんだい。挨拶もできなけりゃ礼儀も知らない、そんな馬鹿にはお帰り願おうかね。ロキがどう思おうと知るもんか、アタシは今と~っても楽しくグロリアとお茶をしてたんだ。
邪魔者は後から割り込んだアンタの方じゃないのかい!?】
【そ、そこまで言わなくても⋯⋯】
少し涙目になった巨大なスレイプニルがオロオロと目を泳がせると、巨体の後ろから小さな馬の頭がひょこっとのぞいた。
【あのー、はじめまちて。ぼくはグラネと言いまちゅ、こっちはぼくのおじーちゃん? でちゅ】
【おや、ちっこいのは礼儀正しいじゃないか。ほっほっほ、老いては子に従えってやつかねえ】
【お、老いてなんかないもん!】
【おじーちゃんはちょっとちゅかれてるの。しょれにロキとあえて、う、うかべてる?】
「浮かれてる?」
【ちょう、ちょれだー。おじーちゃんはロキがむかえにきてくれるのを、ずーっとずーっとまってたからねえ】
プイッと横を向いていたスレイプニルがモジモジとしながら、自分が抉った芝生を前足で埋めはじめた。
【だって、お家に連れてってくれるって言ったのに。先にこんなちみっこが来てるなんて狡いじゃん】
【はっはっは。アタシはヘル、アンタの姉ちゃんだよ。知ってると思うけど、アンタの母ちゃんとアタシの父ちゃんが同一人物さ。
ヤキモチなんぞ焼いてないで挨拶したらどうだい】
【⋯⋯知ってるもん⋯⋯スレイプニルだけど、名前はないからおじーちゃんって呼ばれてる】
「は、初めまして! グロリアと言います。勝手にお邪魔しててごめんなさい」
グロリアがペコリと頭を下げるとプイッと横を向いたスレイプニルにグラネが思い切り頭突きをした。
【ゴフッ! その、さっきはごめん】
小さなグラネの頭はスレイプニルの下から攻撃するのにちょうどいいサイズらしい。
「どういたしまして。あの、私はそろそろ失礼しようかと思ってたので。ヘルさん、今日はありがとう、それじゃあ」
せっかくの家族の再会に水を差したことを侘びながらグロリアはトテトテと歩き出した。
「おーい、まだ帰んなよ~」
屋敷のテラスからのそのそと出てきたジェニの声がした。
【そうだよねえ、久しぶりにグロリアの顔が見れたんだからさぁ。ハグのひとつもしたいよねえ】
ヘルの言葉にスレイプニルの目がギラリと光り、グロリアをキッと睨みつけた。
【やっぱ、敵!?】
「はあ? ハグなんてしたことねえし」
【チューはしたけどねえ】
「人工呼吸だろうが。大体アレだってヘルが魔力回復させてくれりゃ済んだ話だったんだぜ?」
「は! そう言えば、ヘルさんって魔力回復できたんだった!!」
【テヘ! 今頃気付くなんてさ、グロリアの間抜けっぷりはテッパンだねえ】
【久しいの】
ポーチから出てきたグリちゃんがスレイプニルに挨拶をすると、スレイプニルが目をまん丸に見開いてあんぐりと口を開けた。
【オッチャン、ずっとロキと一緒にいたの? だったら教えてくれたら良かったのに】
【貴様がどこにおるかなどつい最近まで知らなんだわ】
(グリちゃんってば今日はカッコつけモードなんだね。そっか、オーディン専属だったスレイプニルとグリちゃんは昔馴染みなんだ。
最近はずっと田舎のおじちゃんモードだったから笑っちゃいそう)
座り込んでグスグスと鼻を鳴らすスレイプニルの腹にもたれて寝ているグラネはピスピスと鼻ちょうちんを作っていた。
「こいつはグラネを守ってたんだ。よく頑張ったな」
ヨシヨシと頭を撫でられてご機嫌になったスレイプニルがロキのお腹に頭を擦り付けようとして吹っ飛ばしてしまった。
「ぐほっ!」
【あ、またやっちゃった】
ロキを探して世界中を飛び回っていたスレイプニルは自分の子孫のグラネが飼い主に虐待されているのを見かけたと言う。
「グラネの父ちゃんは短い時間なら空を飛ぶ力があったんだが、コイツはいつまで経ってもちっこいままだし。空を飛ぶどころか足も遅いし力も弱いんで『騙された』ってな」
【間違いなく僕の血を引いてるけど人間には分かんないから。グラネは凄い力があるのにさあ、虐めるなんて酷いよね】
「それでお前は旅をやめてグラネの側にいたんだよな」
大きな身体で甘えん坊にしか見えなかったスレイプニルが恥ずかしそうにモジモジと身をくねらせると、グラネがコロコロと転がっていった。
(家族思いで優しいんだね。ジェニの子供達ってみんなめちゃめちゃ良い子ばっか)
幸せな家族の風景にグロリアがニコニコしているとスレイプニルにキッと睨まれた。
(あー、久しぶりに家族が顔を合わせられたのに、私ったら異分子じゃん。ごめんね)
グロリアは少し寂しくなりながら小さく肩を落とした。
「大丈夫⋯⋯それに回復はしねえって約束したんだ。ちょっくら風呂に入ってくる」
ヨロヨロとしながら屋敷に向かって歩き出したジェニの後ろ姿を見送っていると、グロリアの後ろから突風が吹いてきた。
「うわあ!」
バランスを崩し四つん這いになったグロリアが後ろを振り返ると⋯⋯。
ヒィーン、ブフー。ブルル⋯⋯ガツン、ガツン。
相手を威嚇するような甲高い鳴き声と、迫力のある前掻きの音。
【そのように派手に前肢を振り出して地面を掻いて⋯⋯蹄鉄が地面を抉っておるぞ。蹄鉄が擦れて削り落ちてしまっても良いのかえ?】
優雅に足を組んだままのヘルが閉じた扇子で巨大な馬の前足を指し示した。
スレイプニルが前掻きするたびに芝が抉れポッコリと穴ができる。じわりじわりとグロリアに近付くスレイプニルは目を吊り上げて歯を剥き出しにして威嚇し続けていた。
「馬⋯⋯8本足のスレイプニル? でか!象の何倍もある馬って凄い! あ、ちっこい子もいる」
スレイプニルの後ろの馬はかなり小さくスレイプニルの足の下を簡単にくぐれそうなサイズでぴょこぴょことついてきている。
(あ、ちっこい子が穴に落ちた!)
スレイプニルが掘った穴に前足から落ちた小さな馬がひょっこり出てくる姿が可愛い。
【おい、ちみっこ!! ここからさっさと出てけ!】
「へ? あ、あの」
ちっこい馬を見て和んでいたグロリアがスレイプニルを見上げた。
【聞こえたんだろ!? さっさと出てけ! でないと僕が出てく。そうしたらロキが泣くぞ】
【随分と居丈高な態度だねえ。何様のつもりか知らないが、あたしの客人に無礼な態度を取るなら覚悟するんだね!!】
バキバキと机が音を立てスレイプニルの周りに風が渦巻きはじめた。青空に突然雲が現れると一瞬光った後にゴロゴロ、ドカーンバリーンという音が聞こえた。
グロリアの背丈の何倍もありそうなスレイプニルがヘルの低い怒声と稲光に固まった。
(上げたままの左前足と硬直した顔がちょっとかわいいかも)
【ぼ、僕はロキにお願いされてここに来てやったんだぞ】
【だからなんだって言うんだい。挨拶もできなけりゃ礼儀も知らない、そんな馬鹿にはお帰り願おうかね。ロキがどう思おうと知るもんか、アタシは今と~っても楽しくグロリアとお茶をしてたんだ。
邪魔者は後から割り込んだアンタの方じゃないのかい!?】
【そ、そこまで言わなくても⋯⋯】
少し涙目になった巨大なスレイプニルがオロオロと目を泳がせると、巨体の後ろから小さな馬の頭がひょこっとのぞいた。
【あのー、はじめまちて。ぼくはグラネと言いまちゅ、こっちはぼくのおじーちゃん? でちゅ】
【おや、ちっこいのは礼儀正しいじゃないか。ほっほっほ、老いては子に従えってやつかねえ】
【お、老いてなんかないもん!】
【おじーちゃんはちょっとちゅかれてるの。しょれにロキとあえて、う、うかべてる?】
「浮かれてる?」
【ちょう、ちょれだー。おじーちゃんはロキがむかえにきてくれるのを、ずーっとずーっとまってたからねえ】
プイッと横を向いていたスレイプニルがモジモジとしながら、自分が抉った芝生を前足で埋めはじめた。
【だって、お家に連れてってくれるって言ったのに。先にこんなちみっこが来てるなんて狡いじゃん】
【はっはっは。アタシはヘル、アンタの姉ちゃんだよ。知ってると思うけど、アンタの母ちゃんとアタシの父ちゃんが同一人物さ。
ヤキモチなんぞ焼いてないで挨拶したらどうだい】
【⋯⋯知ってるもん⋯⋯スレイプニルだけど、名前はないからおじーちゃんって呼ばれてる】
「は、初めまして! グロリアと言います。勝手にお邪魔しててごめんなさい」
グロリアがペコリと頭を下げるとプイッと横を向いたスレイプニルにグラネが思い切り頭突きをした。
【ゴフッ! その、さっきはごめん】
小さなグラネの頭はスレイプニルの下から攻撃するのにちょうどいいサイズらしい。
「どういたしまして。あの、私はそろそろ失礼しようかと思ってたので。ヘルさん、今日はありがとう、それじゃあ」
せっかくの家族の再会に水を差したことを侘びながらグロリアはトテトテと歩き出した。
「おーい、まだ帰んなよ~」
屋敷のテラスからのそのそと出てきたジェニの声がした。
【そうだよねえ、久しぶりにグロリアの顔が見れたんだからさぁ。ハグのひとつもしたいよねえ】
ヘルの言葉にスレイプニルの目がギラリと光り、グロリアをキッと睨みつけた。
【やっぱ、敵!?】
「はあ? ハグなんてしたことねえし」
【チューはしたけどねえ】
「人工呼吸だろうが。大体アレだってヘルが魔力回復させてくれりゃ済んだ話だったんだぜ?」
「は! そう言えば、ヘルさんって魔力回復できたんだった!!」
【テヘ! 今頃気付くなんてさ、グロリアの間抜けっぷりはテッパンだねえ】
【久しいの】
ポーチから出てきたグリちゃんがスレイプニルに挨拶をすると、スレイプニルが目をまん丸に見開いてあんぐりと口を開けた。
【オッチャン、ずっとロキと一緒にいたの? だったら教えてくれたら良かったのに】
【貴様がどこにおるかなどつい最近まで知らなんだわ】
(グリちゃんってば今日はカッコつけモードなんだね。そっか、オーディン専属だったスレイプニルとグリちゃんは昔馴染みなんだ。
最近はずっと田舎のおじちゃんモードだったから笑っちゃいそう)
座り込んでグスグスと鼻を鳴らすスレイプニルの腹にもたれて寝ているグラネはピスピスと鼻ちょうちんを作っていた。
「こいつはグラネを守ってたんだ。よく頑張ったな」
ヨシヨシと頭を撫でられてご機嫌になったスレイプニルがロキのお腹に頭を擦り付けようとして吹っ飛ばしてしまった。
「ぐほっ!」
【あ、またやっちゃった】
ロキを探して世界中を飛び回っていたスレイプニルは自分の子孫のグラネが飼い主に虐待されているのを見かけたと言う。
「グラネの父ちゃんは短い時間なら空を飛ぶ力があったんだが、コイツはいつまで経ってもちっこいままだし。空を飛ぶどころか足も遅いし力も弱いんで『騙された』ってな」
【間違いなく僕の血を引いてるけど人間には分かんないから。グラネは凄い力があるのにさあ、虐めるなんて酷いよね】
「それでお前は旅をやめてグラネの側にいたんだよな」
大きな身体で甘えん坊にしか見えなかったスレイプニルが恥ずかしそうにモジモジと身をくねらせると、グラネがコロコロと転がっていった。
(家族思いで優しいんだね。ジェニの子供達ってみんなめちゃめちゃ良い子ばっか)
幸せな家族の風景にグロリアがニコニコしているとスレイプニルにキッと睨まれた。
(あー、久しぶりに家族が顔を合わせられたのに、私ったら異分子じゃん。ごめんね)
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