【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ

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第五章

35.変わって行く景色の中に

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「オーレリアは変わってるって分かったの! で、考えたんだけど⋯⋯私、教師になろうと思うんだ」

「⋯⋯え?」

 頭はいいが勉強嫌いで、集中力と持続力に不安の残るローラの意外な選択に、エレーナの目が点になった。

「教師! 科目とかはこれから考えるけどね~」

 オーレリアの緩い貴族社会で暮らしてきたローラには、常に言葉の端々まで意識して暮らすのは辛すぎるが⋯⋯。

「オーレリアは大好きだし、家族や友達と離れるのは寂しいから、他の国に長期で行くのは却下。となると、国で仕事を探さなくちゃって思ったの。だから、私は大学に行こうと思うんだ。
エレーナはどうするか考えてるの?」

「わたくしの⋯⋯将来の目標?」

(何も考えてないかも。なんとなく学園に入って、気が付いたら5年生。来年は最上級生になるんだわ)

 学園の卒業までに将来について、決めておかなくてはならない。ローラのように大学に行くなら、入学試験用の勉強が必要で、仕事をするなら職種をはっきり決めないと準備ができない。

 婚結婚相手でさえ、卒業までに決める人が殆どだと今頃気が付いた。

(結婚は関係ないけど⋯⋯仕事⋯⋯昔はなんでもやるって言ってたのに、いざとなると悩むわ)



 5歳の時は、雇ってくれさえすればなんでもいいと思っていたが、選択できるとなると決められないのは不思議な気がする。

(5年生での最大の課題になりそう)

 エレーナの前には決められたレールは一つもない。オーレリアに留まる必要性もないし、他国へ行かなければならない理由もない。

(簡単に頭に浮かぶ職種の中に、できそうな仕事はいくつも見つかるけど、一つに決めなきゃって思うと⋯⋯)



 話し込んでいるうちに午前の授業が終わったらしく、部屋のドアが開いてアイザックと側近が入ってきた。

「お部屋を勝手に使用させていただいており、申し訳ありません」

「構わないよ。セドリックとジェラルドもそろそろくるはずだし、私達だけより賑やかで楽しくなるからね」

 今年度からとうとう『食堂デビュー』するアイザック王子は、まず学食の料理に慣れるため、特別室で『学食体験』する事にした。

「セドリックとジェラルドなら2人の食事も持って来るんじゃないかな。特にジェラルドは鼻が利くから」

「ジェラルド・センサーですね」

「わあ、やらかし君アイザックの側近も知ってるんだ! ジェラルドの変態センサーの事」

「ヘンリー・タウンゼントです。できれば名前で覚えていただけると嬉しいです」

 クラリスの髪留めをうっかり拾って、『助かりました~』の攻撃を受けたヘンリー君は、本名よりも可哀想な名前が定着しそうな予感。

「ジェラルドのセンサーは有名ですから、別名『マウント・センサー』とも言われてます。『変態センサー』は『やらかし君』と同じくらい最高のネーミングですね」

 初登場のネイサン・フィッツバーグは、アイザックのもう一人の側近。ヘンリーのやらかしで盛大に被害を受けたにも関わらず、名前も出てこなかった影の薄い侯爵家次男。



「ど~も~、お届けで~す」

 ディスられていたと知らないジェラルドと、笑いを堪えているセドリックがやって来た。

 収納から出した7人分の料理を並べていたジェラルドは、全員が『ブハッ』と吹き出したのを見て首を傾げた。

「ん、どした?」

「お前が当たり前のように、ローラとエレーナの食事も買ってきたから笑われてんの」

「はあ? 訳がわからん。冷めないうちに食お⋯⋯食べましょう。ほら、エレーナ」

「やっぱり、変態センサーで決まりですね」

「そのようだね」



 食事しながら魔法談義に花を咲かせるのは、アイザックとセドリック。アイザックは『集中転移魔法訓練』でのセドリックの教え方が分かりやすかったと、懐きまくっている。

 ギリギリまで泳がしておいたクラリスを確実に捕獲する為には、アイザックを囮にするのが一番確実だが、問題はアイザックは転移魔法が苦手なところ。

 転移はできるが転移先が大幅にズレる事が多いアイザックは、転移魔法をほぼほぼ封印していた。

『転移先によっては危険になるから、練習するのも怖くてね』

『もしもヤバいとこに転移したら⋯⋯がないとは言い切れないから』


 そこで、エレーナはセドリックに訓練を依頼した。

『アイザックで誘い出して、隙を見てアレックスに捕獲してもらいたいの。魅了もどきがなければアレックスだけに頼むんだけど、どんな悪さをするか分からないから不安で⋯⋯』

 本番当日、セドリックとジェラルドはライナスターニャの兄を捕獲して、アルムヘイルでエレーナ達と落ち合う。

 学園に現れたアイザックに狙いを定め、近寄る隙を狙っているクラリスの背後から、アレックスに捕縛してもらった。

 

「転移魔法は苦手だったけど、ミリアに褒められたんだ。エレーナに囮役を振って貰えたお陰だね」

 今は転移魔法でミリアがアイザックに会いにくるが、アイザックがミリアのいる場所に転移できるようになっていれば、将来必ず役に立つ。

 将来、ミリアの里帰り出産で、アイザックが転移魔法を使いまくる事になるのは、まだ誰も知らない。




 グループの中心だったアレックスは卒業後、勉強のため公爵領に行き、半年は帰ってこない予定だと言う。

 セレナはシェイラードのクロムウェル伯爵家へ花嫁修行に行き、ギルバードとの仲も深まる一方だとミリアが笑いながら教えてくれた。

 生徒会長はセドリックが引き継ぎ、ジェラルドは魔導塔の使者から逃げ回っている。

 ローラは本気で教師になる気のようで、放課後や休日も机に齧り付き、涙目になりながらも奮闘中。

 アイザックの留学は残り1年。シェイラードに帰るまでに、少しでも多くの知識を蓄えようと、魔法実技教師のロベルト・ベイルズに張り付いている。




 11月、学園の中庭を歩いていたエレーナは、アップルパイが焼けた時の、シナモンと甘酸っぱい香りを嗅いだ気がした。

(食堂からかしら⋯⋯違う⋯⋯そうか⋯⋯とうとう⋯⋯)

 空を見上げるといつもより晴れ渡り、爽やかな風が木の葉を揺らしている。キラキラと輝く木漏れ日は、ダイヤモンドリリーを思い出させた。

 陽の光が当たると、花弁が宝石のようにキラキラと輝くことから、ダイヤモンドリリーと名付けられた花。誰よりもこの花を愛した人をエレーナは知っている。


 ビルワーツ公国の建国王、アメリア・ビルワーツ。


 あの断罪劇の翌日、アメリアはその日を待っていたかのように、ベッドから起きられなくなった。

 懸命の治療が行われる中で初の国王選抜選挙が行われ、マーカス・パンフィールが第二代公国王となったが、政務の引き継ぎやビルワーツ侯爵家の領地問題など、全ての手配が終わっていた。

 治療薬の開発は続けられているが、かなり前から延命治療に近い状態になっている。

 アメリアの最後の言葉は⋯⋯。

「ごめ⋯⋯ん⋯⋯エレ⋯⋯」







 公国のよく晴れた空に、建国王逝去を知らせる鐘が鳴り響いた。

 良き母でなかった事は誰もが知っていた⋯⋯まだ政務を行っていた頃のアメリア自身が公にしたから。

『わたくしは母として、最低の行いをしました。ネグレクトは直接の暴力と同じ傷を子供の心に与える⋯⋯その程度のことさえ思い浮かばず、我が子を傷つけてしまったのです。
わたくしの失敗を皆の心に留め、苦しむ子に、悲しむ子に手を差し伸べて下さい』

 すでに準備を終えていたビルワーツ財団は、アメリアと代替わりするように活動を開始した。

 孤児院や修道院への寄付や救貧院の設立と運営は、公国内だけでなく他国への支援も行う⋯⋯この考えに賛同する団体が出てくるのはまだ遠い未来。



 アメリアの願いで国葬は行われない予定だったが、初代公王の葬儀に国中から集まった参列者が列をなしはじめ、急遽 セレモニアル・フューネラル準国葬の準備が進められた。

 軍服を着た兵士が整列し儀仗兵に守られたアメリアの棺が運ばれていく。鉱山労働者が馴染みの歌を歌い、弔砲が打ち上げられた。

 ループ前と何もかもが同じだと気付く人はいない。たった一つ違っているのは⋯⋯儀仗兵と並んで歩くエレーナがいないことだけ。









「本当に近くまで行かなくて良かったのか?」

「わたくしは母を捨てたから⋯⋯」

 ジェラルドがエレーナの頭を撫でた。ジェラルドの少し骨ばった温かい手は、エレーナにエレーナ自身が気付いていない気持ちを教えてくれる。

 エレーナが自分の気持ちに疎いのは相変わらずで、ジェラルドの行動で気がつくと言う、摩訶不思議なこの関係はもう何年も続いている。

『わたくしは落ち込んでたんだわ』

『そうか、悲しかったんだ』



 弔砲の音が遠くから聞こえてくる。

(あの場ではきっと、鉱山労働者が馴染みの歌を歌ってる)

 エレーナはループ前の景色を思い出していた。

 厳しい顔をした男性に連れて行かれた先には、低い声で打ち合わせては走り回る多くの男性に紛れて、泣き腫らした目の女性が数人いた。

 街道を埋め尽くす人の波、正装し整列した参加者⋯⋯。


 エレーナとジェラルドがいるのはビルワーツ侯爵邸の⋯⋯アメリアが登っては両親に心配をかけたと言うあの屋根。

(一度だけやってみたいと思っていたの。どんな景色が見えるのかしらって⋯⋯)

 街の商店は軒並み扉を閉め、街を歩く人はいない。遠くに見える山との間には、広々とした畑が広がっているはず。



「最近⋯⋯たまにだけど⋯⋯逃げ出さないで話をして⋯⋯怖くても待ってたらって⋯⋯もう遅いけどね」

「アメリア様の意識、なかったんだろ?」

「うん」

「なら、しょうがなくね? 緊急事態だったから、待てなかった。会えて話せたしな」

「うん」

「ちゃんと呼べたんだろ?」

「う、ん⋯⋯なんで知ってるの?」

「なんとなく。ジェラルドセンサーはエレーナだけに反応するんだ。ローラには変態センサーとか言われてるけどな~。なんかこう、ピピって⋯⋯あ、今泣けないでいるぞとか、へこんでるぞとか、笑ってるぞとか。
どっか深いとこで繋がってるんじゃないかなぁ。ずっと」

「かな⋯⋯多分、他の人の「いや、それは無理。10年以上前のプロポーズから反応してるセンサーだぞ? 今更別の奴に反応するほど、俺の執着心はやわじゃねえからな」

「ふふっ、ルーナ様に負けたアレの事ね」

「それそれ! 今なら勝てそうだから、挑戦権もらってこようかなぁ⋯⋯⋯⋯なぁ、ルーナ様に勝てたら、来年の卒業パーティーで、エスコートさせてくれないか?」

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