117 / 135
第五章
30.クームラがターニャを選んだのは
しおりを挟む
セルビアスは連合王国の中でもかなり地位が低い。
『魔女と呪術師なんか役立たずだよな』
『セルビアスが戦闘部族? 薬草を持って祈りでも捧げてくれるとかか? マジでウケるんだけど』
アルムヘイルの王位簒奪に加担したのは、連合王国の中でもかなり過激な部族ハザラスで、その時のセルビアスは相手にもしてもらえなかったが⋯⋯ハザラスが役に立つ前にアメリアに叩き潰された。
娘のダニアを国王の元へ送り込めた事もあり、国王やクレベルンのハントリー侯爵達と話ができるようになったクームラは、今が最大のチャンスだと盛り上がった。
『ハザラスのような脳筋なんかと違って、セルビアスは策も練れるし、暗殺はお手のものです』
『仲間になりたいなら実力を見せてみろ』
(国王はダニアに骨抜き、俺は帝国やクレベルンと同じテーブルについた⋯⋯侵略戦争を引き起こして、セルビアスの名前を広めてやる。魔法なんかより呪術の方が上だってな)
間者を忍び込ませ、順調に薬を蔓延させ軍を弱体化させていく作戦は順調に進んでいた。アメリアを暗殺したら、疫病に見せかけて毒をばら撒いて一気に攻め込む!
(上手く行っていたはずなのに何が起きた⋯⋯)
連合王国の使者は関税の大幅な引き下げを提案され、忍び込ませていた間者が片っ端から捕まりはじめた。洗脳した者は鑑定の魔導具で発見され、毒の中和剤が配られて⋯⋯。
その中で起きた出来事と言えば、アメリアの一人娘がオーレリアに引き取られた事。虐待されていたらしい。
呆然としていたクームラがエロイーズに呼び出された。
『エレーナが幸せを掴むのを待って、ここに連れて来なさい⋯⋯それが出来れば、無様な失敗には目を瞑ってあげるわ。
絶望したエレーナを見せたら、流石にあの女でも泣き叫んで、惨めに地べたに這いつくばるはず。わたくしの目の前で2人を嬲り殺しにしてやる!』
(ガキを一人誘拐するだけで首が繋がるなら儲けもんだ⋯⋯魔導士の目の前で掻っ攫ってやればスッキリするぜ!)
オーレリアに行ったエレーナは、すぐに幸せを掴むはずだとクームラは予想していたが、噂では殻に籠ることの方が多いと聞く。
(たかが5歳のガキのくせに⋯⋯さっさと甘えて贅沢三昧しろよ!)
常に魔導士達の目がありエレーナを拉致できず、運良く見かけても遠慮ばかりしているように見えて、連れ出されてもエレーナが泣き出しそうな気がしない。
(なんなんだ、あの娘は! 子供なら子供らしくしろってんだ)
エレーナがループ前の記憶のせいで新しい環境に戸惑い、溶け込めずにいるとは知らないクームラはエレーナに腹を立て、エレーナの周りを彷徨く魔導士達にも腹を立てた。
(クソ忌々しい魔導士めが! そうだ、良いことを思いついた。新しい環境に馴染めねえなら、家族に会えりゃ喜ぶよなあ)
エロイーズは『いつまでに』とは言っていない。なら、やり方を変えればいい。
クームラは少し前に『公国嫌いを口にする娼婦がいる』と言っている男を酒場で見かけ、後をつけた事があった。
(娼婦を買って公国の悪口を言い合うのも面白そうだな)
ちょっとした鬱憤ばらしのつもりだったが、その娼婦がベラム男爵夫人の知り合いだった。
娼婦の亭主は⋯⋯公国がオーレリアとの間に転移の魔法陣を常設した時、一発当ててやると息巻いて商人になったが、商才はなく貧乏一直線。夫人は娼婦の真似事をしながら、客に向かって『公国のせいで貧乏になった』と不満を漏らしていた。
『なあ、金になる話⋯⋯しばらく遊んで暮らせるくらいの金になる話があるんだが?』
『ベラム男爵夫人ってのがいるんだけどさあ。知り合いって言っても、真面目が一番みたいな顔したつまんない女で、子供がいないからちょうどいいんじゃない?
あの女、結構鼻についてるんだよね~。あんた、なんか悪巧みしてそうだけど、あたしは子供を紹介するだけで、他の事は聞かないけどね』
オーレリアへの入出国はどこの国より厳しく、長期間宿に泊まるだけでも、理由を証明する必要がある。
(ターニャを入国させるにはそれなりの方法が必要になる。知り合いから教えてもらった男爵家が、子供を引き取った⋯⋯これならエレーナを拉致するまでにいくら時間がかかっても問題ねえ)
娼婦と約束を取り交わしたクームラは次に公国へ向かった。ニールが捕まり収入源を絶たれたイライザは、小金持ちの商人や鉱山夫を捕まえて日銭を稼いでいたが、金をちらつかせるとあっさりと誘いに乗ってきた。
イライザを誘き出し、馬車の事故に見せかけて殺した後、ターニャをオーレリアに送り込むのは簡単だった。
『このおばちゃんについてけば、もっとおいしいものを食べられるの? やったあ。
あたしのなまえはクラリスで~、りょうしんが、ばしゃのじこでしんで、ひとりぼっちになった! あってる?』
ターニャをオーレリアに送り込む事に成功したクームラは、再びエレーナを誘拐するべく策を練ろうとしていたが⋯⋯連合王国の国王の元に送り込み公妾になっていたダニアが、国王の代替わりと共に送り返されてきた。
『侵略戦争の準備としてセルビアスがやっていた事が全部バレておったわ! 失敗は貴様らのせいじゃ。そのせいで、わしが国王の座を奪われるなど⋯⋯』
責任を取れと迫られたクームラは、ダニアに全てを擦り付けて嬲り殺しにした。
それと同時期に『エレーナへの手出しは中止』だとエロイーズから連絡が来た。今回の作戦が実行前に潰された理由は判明していないが、エレーナの行動が関係しているらしいと言う。
そんなバカな、たかだか5歳のガキに何の力がある!? クームラだけでなく、クレベルン達もそんなはずはないと思ったが、調べるうちに『エレーナが動いた』『エレーナが言い出した』と言う報告が上がってくるばかり。
エレーナが知っていたとしたらどうやって⋯⋯その原因が判明するまで、エレーナに手を出すのは危険だと言うのがハントリー侯爵達の総意になった。
(くそ! マズい、マズいぞ。国王が変わったなら、俺の立場はますます⋯⋯。そうだ! 新しい国王は魔導具の製造方法を独占したがってる⋯⋯それを献上すれば)
作戦はいくつも頭に浮かぶが、どれも実行には至らない。それはクレベルン達も同じだと安心しているうちに月日は経ち⋯⋯。
他国の使者との会談の途中で、アメリアが血を吐いて倒れた。
その報告を聞いて帝国やハントリー侯爵達は『ざまあ』と呟いたが、エロイーズだけが慌てはじめた。
『病で死ぬなど許すわけにはいかぬ! あの女は妾の目の前で⋯⋯妾の策で苦しみ抜いて殺さねばならんのじゃ!』
10年近く前の作戦の失敗で、警戒を強めたアメリアを拉致するのは難しい⋯⋯頭を悩ませるハントリー侯爵達の前で、クームラは嬉しさのあまり、飛び上がりそうになった。
(ターニャ⋯⋯クラリスだ! あの娘を使ってエレーナを誘い出して、エロイーズ様に差し出せば!)
クラリスに誘いをかけるのは簡単だった。男爵家の暮らしに飽き飽きしていたクラリスに、無理矢理魔法属性を植え付けて魔法学園に送り込んだ。
(金はかかったが、この作戦が上手くいけば簡単に元がとれる。次の連合王国の国王は俺になるかもな)
ちまちまと違法薬物の密売で稼ぐより、国王としてクレベルン王国達と渡り合う方が金になる。
(エロイーズ様の覚えがめでたいとなりゃ、帝国もアルムヘイルも俺を丁重に扱うしかなくなるしな)
クームラの思惑が外れたのは、クラリスの強欲さだったかもしれない。
セルビアスの領地で遺体から魔法属性を奪ったクラリスは、腹立ち紛れに『戦禍の魔女』から魔女の糸巻き棒と、魅了をかける呪具を盗んだ。
禁術を使った反動で、記憶に齟齬がではじめたのも、クームラの計画の邪魔をした。
クームラの指示に従うよりも己の欲望を優先させはじめ⋯⋯ 時間が経つうちに、指示そのものを忘れはじめたから。
アイザック王子に纏わりつこうとするばかりで、エレーナを誘い出そうとしない。それどころか、敵対しようとしている。
(警戒されているクラリスに近付くのは危険すぎる。一体どうなってんだ!? 『戦禍の魔女』はなんも言ってね⋯⋯え?)
『魔女の禁術はねえ、真面な人間には耐えられないんだよ。まあ、あんたが連れ来たあの娘なら⋯⋯欲望まみれで自分だけが幸せならそれでいい⋯⋯ああいう、腐れ切った娘ならしばらくは持ちそうさね。
時間は有限。あんまり長くは持たないと思うさね。楽しむなら、お早めに⋯⋯いーっひっひ』
そして、エドワードの婚約披露パーティーが開催された。
『魔女と呪術師なんか役立たずだよな』
『セルビアスが戦闘部族? 薬草を持って祈りでも捧げてくれるとかか? マジでウケるんだけど』
アルムヘイルの王位簒奪に加担したのは、連合王国の中でもかなり過激な部族ハザラスで、その時のセルビアスは相手にもしてもらえなかったが⋯⋯ハザラスが役に立つ前にアメリアに叩き潰された。
娘のダニアを国王の元へ送り込めた事もあり、国王やクレベルンのハントリー侯爵達と話ができるようになったクームラは、今が最大のチャンスだと盛り上がった。
『ハザラスのような脳筋なんかと違って、セルビアスは策も練れるし、暗殺はお手のものです』
『仲間になりたいなら実力を見せてみろ』
(国王はダニアに骨抜き、俺は帝国やクレベルンと同じテーブルについた⋯⋯侵略戦争を引き起こして、セルビアスの名前を広めてやる。魔法なんかより呪術の方が上だってな)
間者を忍び込ませ、順調に薬を蔓延させ軍を弱体化させていく作戦は順調に進んでいた。アメリアを暗殺したら、疫病に見せかけて毒をばら撒いて一気に攻め込む!
(上手く行っていたはずなのに何が起きた⋯⋯)
連合王国の使者は関税の大幅な引き下げを提案され、忍び込ませていた間者が片っ端から捕まりはじめた。洗脳した者は鑑定の魔導具で発見され、毒の中和剤が配られて⋯⋯。
その中で起きた出来事と言えば、アメリアの一人娘がオーレリアに引き取られた事。虐待されていたらしい。
呆然としていたクームラがエロイーズに呼び出された。
『エレーナが幸せを掴むのを待って、ここに連れて来なさい⋯⋯それが出来れば、無様な失敗には目を瞑ってあげるわ。
絶望したエレーナを見せたら、流石にあの女でも泣き叫んで、惨めに地べたに這いつくばるはず。わたくしの目の前で2人を嬲り殺しにしてやる!』
(ガキを一人誘拐するだけで首が繋がるなら儲けもんだ⋯⋯魔導士の目の前で掻っ攫ってやればスッキリするぜ!)
オーレリアに行ったエレーナは、すぐに幸せを掴むはずだとクームラは予想していたが、噂では殻に籠ることの方が多いと聞く。
(たかが5歳のガキのくせに⋯⋯さっさと甘えて贅沢三昧しろよ!)
常に魔導士達の目がありエレーナを拉致できず、運良く見かけても遠慮ばかりしているように見えて、連れ出されてもエレーナが泣き出しそうな気がしない。
(なんなんだ、あの娘は! 子供なら子供らしくしろってんだ)
エレーナがループ前の記憶のせいで新しい環境に戸惑い、溶け込めずにいるとは知らないクームラはエレーナに腹を立て、エレーナの周りを彷徨く魔導士達にも腹を立てた。
(クソ忌々しい魔導士めが! そうだ、良いことを思いついた。新しい環境に馴染めねえなら、家族に会えりゃ喜ぶよなあ)
エロイーズは『いつまでに』とは言っていない。なら、やり方を変えればいい。
クームラは少し前に『公国嫌いを口にする娼婦がいる』と言っている男を酒場で見かけ、後をつけた事があった。
(娼婦を買って公国の悪口を言い合うのも面白そうだな)
ちょっとした鬱憤ばらしのつもりだったが、その娼婦がベラム男爵夫人の知り合いだった。
娼婦の亭主は⋯⋯公国がオーレリアとの間に転移の魔法陣を常設した時、一発当ててやると息巻いて商人になったが、商才はなく貧乏一直線。夫人は娼婦の真似事をしながら、客に向かって『公国のせいで貧乏になった』と不満を漏らしていた。
『なあ、金になる話⋯⋯しばらく遊んで暮らせるくらいの金になる話があるんだが?』
『ベラム男爵夫人ってのがいるんだけどさあ。知り合いって言っても、真面目が一番みたいな顔したつまんない女で、子供がいないからちょうどいいんじゃない?
あの女、結構鼻についてるんだよね~。あんた、なんか悪巧みしてそうだけど、あたしは子供を紹介するだけで、他の事は聞かないけどね』
オーレリアへの入出国はどこの国より厳しく、長期間宿に泊まるだけでも、理由を証明する必要がある。
(ターニャを入国させるにはそれなりの方法が必要になる。知り合いから教えてもらった男爵家が、子供を引き取った⋯⋯これならエレーナを拉致するまでにいくら時間がかかっても問題ねえ)
娼婦と約束を取り交わしたクームラは次に公国へ向かった。ニールが捕まり収入源を絶たれたイライザは、小金持ちの商人や鉱山夫を捕まえて日銭を稼いでいたが、金をちらつかせるとあっさりと誘いに乗ってきた。
イライザを誘き出し、馬車の事故に見せかけて殺した後、ターニャをオーレリアに送り込むのは簡単だった。
『このおばちゃんについてけば、もっとおいしいものを食べられるの? やったあ。
あたしのなまえはクラリスで~、りょうしんが、ばしゃのじこでしんで、ひとりぼっちになった! あってる?』
ターニャをオーレリアに送り込む事に成功したクームラは、再びエレーナを誘拐するべく策を練ろうとしていたが⋯⋯連合王国の国王の元に送り込み公妾になっていたダニアが、国王の代替わりと共に送り返されてきた。
『侵略戦争の準備としてセルビアスがやっていた事が全部バレておったわ! 失敗は貴様らのせいじゃ。そのせいで、わしが国王の座を奪われるなど⋯⋯』
責任を取れと迫られたクームラは、ダニアに全てを擦り付けて嬲り殺しにした。
それと同時期に『エレーナへの手出しは中止』だとエロイーズから連絡が来た。今回の作戦が実行前に潰された理由は判明していないが、エレーナの行動が関係しているらしいと言う。
そんなバカな、たかだか5歳のガキに何の力がある!? クームラだけでなく、クレベルン達もそんなはずはないと思ったが、調べるうちに『エレーナが動いた』『エレーナが言い出した』と言う報告が上がってくるばかり。
エレーナが知っていたとしたらどうやって⋯⋯その原因が判明するまで、エレーナに手を出すのは危険だと言うのがハントリー侯爵達の総意になった。
(くそ! マズい、マズいぞ。国王が変わったなら、俺の立場はますます⋯⋯。そうだ! 新しい国王は魔導具の製造方法を独占したがってる⋯⋯それを献上すれば)
作戦はいくつも頭に浮かぶが、どれも実行には至らない。それはクレベルン達も同じだと安心しているうちに月日は経ち⋯⋯。
他国の使者との会談の途中で、アメリアが血を吐いて倒れた。
その報告を聞いて帝国やハントリー侯爵達は『ざまあ』と呟いたが、エロイーズだけが慌てはじめた。
『病で死ぬなど許すわけにはいかぬ! あの女は妾の目の前で⋯⋯妾の策で苦しみ抜いて殺さねばならんのじゃ!』
10年近く前の作戦の失敗で、警戒を強めたアメリアを拉致するのは難しい⋯⋯頭を悩ませるハントリー侯爵達の前で、クームラは嬉しさのあまり、飛び上がりそうになった。
(ターニャ⋯⋯クラリスだ! あの娘を使ってエレーナを誘い出して、エロイーズ様に差し出せば!)
クラリスに誘いをかけるのは簡単だった。男爵家の暮らしに飽き飽きしていたクラリスに、無理矢理魔法属性を植え付けて魔法学園に送り込んだ。
(金はかかったが、この作戦が上手くいけば簡単に元がとれる。次の連合王国の国王は俺になるかもな)
ちまちまと違法薬物の密売で稼ぐより、国王としてクレベルン王国達と渡り合う方が金になる。
(エロイーズ様の覚えがめでたいとなりゃ、帝国もアルムヘイルも俺を丁重に扱うしかなくなるしな)
クームラの思惑が外れたのは、クラリスの強欲さだったかもしれない。
セルビアスの領地で遺体から魔法属性を奪ったクラリスは、腹立ち紛れに『戦禍の魔女』から魔女の糸巻き棒と、魅了をかける呪具を盗んだ。
禁術を使った反動で、記憶に齟齬がではじめたのも、クームラの計画の邪魔をした。
クームラの指示に従うよりも己の欲望を優先させはじめ⋯⋯ 時間が経つうちに、指示そのものを忘れはじめたから。
アイザック王子に纏わりつこうとするばかりで、エレーナを誘い出そうとしない。それどころか、敵対しようとしている。
(警戒されているクラリスに近付くのは危険すぎる。一体どうなってんだ!? 『戦禍の魔女』はなんも言ってね⋯⋯え?)
『魔女の禁術はねえ、真面な人間には耐えられないんだよ。まあ、あんたが連れ来たあの娘なら⋯⋯欲望まみれで自分だけが幸せならそれでいい⋯⋯ああいう、腐れ切った娘ならしばらくは持ちそうさね。
時間は有限。あんまり長くは持たないと思うさね。楽しむなら、お早めに⋯⋯いーっひっひ』
そして、エドワードの婚約披露パーティーが開催された。
16
お気に入りに追加
1,109
あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた
向原 行人
恋愛
精霊の加護を受け、普通の人には見る事も感じる事も出来ない精霊と、会話が出来る少女リディア。
聖女として各地の精霊石に精霊の力を込め、国を災いから守っているのに、突然第四王女によって追放されてしまう。
暫くは精霊の力も残っているけれど、時間が経って精霊石から力が無くなれば魔物が出て来るし、魔導具も動かなくなるけど……本当に大丈夫!?
一先ず、この国に居るとマズそうだから、元聖女っていうのは隠して、別の国で趣味を活かして生活していこうかな。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話
彩伊
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。
しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。
彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。
............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。
招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。
送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。
そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。
『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』
一日一話
14話完結
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる