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第四章
45.エレーナのいない世界
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《 ミセス・メイベルの独白 》
エレーナ様がニール様やジョーンズと最後の戦いをしておられた時、わたくしは同じ宮殿におりました。
ブラッツの傲岸不遜な態度は予想以上で、このような者に侯爵家を任せていたのかと唖然としつつ、背筋を伸ばしたのです。
エレーナ様が信頼し託してくださった使命でございます。失敗など許されない、二度と裏切らないと心に決めて⋯⋯。
『はあ? 部屋に入った!? なんの権利があって⋯⋯ええ、ええ、あなたが前の家政婦長だと知っておりますとも。でもね、今はもうわたくしが家政婦長ですわ! あの部屋に出入りする権利など、あなたにはありません!』
『横領ですって! 帳簿が? 証拠が揃って? あ、あれは資金運用のお手伝いですわ。だって、わたくしはそう聞いておりますからね。
エレーナの部屋を見たでしょう、エレーナが我儘を言い買い漁った贅沢な品が並んでいたはずですわ。アメリア様に厄介者だと蔑まれていると知りつつ、分不相応な暮らしをしていた証拠の品々が!』
『⋯⋯横領の主犯? 処刑? わたくしではありませんわ。あれはニール様のご指示で運用のお手伝いを⋯⋯』
『ニール様に聞いていただければ⋯⋯ニール様はエレーナの、エレーナ様の将来の為に資産を⋯⋯⋯⋯わたくしは利用された?』
『捨て駒? わたくしが? まさか、そんな⋯⋯』
『取り引きしません? わたくしは色々と知っておりますの。例えば、ニール様がエレーナの予算を利用しようとした理由とか。例えば、アメリア様が墓参に行かれて落馬された原因とか。他にも色々と⋯⋯ニール様はわたくしを信用しておられましたけれど、迂闊な方ですからねえ。
保険というのでしたかしら? 誰もご存知ない、ニール様の計画を存じておりますの』
『原因はセロリとケールですの。それを誰が植えたのか⋯⋯もちろん、ええ、もちろん誰が植えたのか、誰が何を狙って指示を出したのかも知っておりますわ』
『このままわたくしをここに閉じ込めておくなら、何も話しませんわ。その間に、公国は消えてしまうかも⋯⋯戦争に負けて属国にされるか、閉じ込められて潰れるか⋯⋯わたくしを助けるというなら、教えてさしあげなくもないんだけど?』
『ニール様はねえ、ご自身が頭が良いと思っておられるの。だから、自分が計画を立てたなんて絶対にバレないと思っておられるけれど、あの方こそ捨て駒⋯⋯途中から捨て駒に成り下がったと言うべきかしら』
『ニール様如きにあのような大掛かりな計画なんて立てられるわけがないんですもの。上手に誘導されている事さえ気付かない愚か者ですわ。わたくしは、結構早くに気付きましたけどね。でも、ニール様があまりにも自信満々で⋯⋯』
『知りたければ取引しましょう。本当の黒幕を教えてさしあげるわ。わたくしの自由と引き換えに』
エレーナ様が『予測でしかない』と仰っておられた事が、恐ろしいほど正確な情報だったと知り、かつて経験したことのないほどの恐怖を感じました。
ニール様が何年もかけて計画した陰湿な復讐計画。その計画を途中から奪い、ニール様を踏み台にしてさらに大きく悪の根を広げた方のこと⋯⋯。
侯爵家でわたくしが目にしたものなど氷山の一角⋯⋯エレーナ様が虐待された真の理由は、ニール様の八つ当たりどころではなかったのです。アメリア様に対するニール様の恨みを利用して、ご自分の恨みを晴らす。
ニール様は予算を横領し資金を蓄え、アルムヘイルへの凱旋を狙っておられたようです。その次に計画されたのは、アメリア様を亡き者にして侯爵家の全てをエレーナ様に引き継がせる事。それを私物化すれば、親権以外を奪われたニール様が全てを手にできます。
横領した資金でビルワーツを憎む者達と交流をはじめ、少しずつマインドコントロールされていったらしく⋯⋯さりげないヒントを与えられて計画を練り、知らず知らずのうちに相手の望み通りに下準備をさせられ。
ビルワーツの一人娘として産まれたエレーナ様がどれほど運がいいのか、ニール様が奪われた物を全て受け継ぐのはエレーナ様だと囁き、ニール様の中の怒りをエレーナ様にも向けさせたようです⋯⋯それもが真犯人の狙いの一つでございました。
あの方は、誰よりもビルワーツを憎んでおられるのです。そして、誰よりもビルワーツの財を欲しがっておられる。
わたくしにはエレーナ様への申し訳なさに涙する資格もないと気を引き締めて、マーカス様を探しに参りました。
もちろん、凝り固まったジョーンズの尻に蹴りを入れる為でございます。真のアメリア教信者、男尊女卑の権化に喝を入れるのですから、わたくしだけでは力不足でございます。
運良くマーカス様と共にオリバーを捕まえることができました。ブラッツから聞いた話とエレーナ様からお教えいただいた話を伝え終わる頃には、空には月が昇っておりました。
ビルワーツ侯爵家にも公国にも、エレーナ様はおられず、二度とお会いする事は叶わないでしょう。
危険の中に身を置きながら、わたくし達に道標を残して下さったエレーナ様に、心からの感謝を捧げながら、わたくし達は動き続けなくてはなりません。
わたくしの時間はセレナ様がアルムヘイルの王宮へ向かわれた、あの日から止まっていた⋯⋯それを気付かせて下さったのもエレーナ様でございます。
マーカス様や護衛と共に王宮へ向かうセレナ様は、わたくしの手を握りしめて仰いました。
『ミセス・メイベル、わたくしはあなたを心から信用しています。わたくしがここを任せられるのはミセス・メイベルだけ⋯⋯目先のことにとらわれず、曇りなき眼で正しき道を、大局を見据えなさい。
ジョーンズは少しアメリアに甘すぎるから、いざという時はお尻を蹴っ飛ばしておやりなさい。例え何が起きようと冷静な者が一人でもいれば道は必ず開けるのですから、その一人になりなさい。
ビルワーツは代々、詰めが甘いところがあります。わたくし達の代でそれを変えたいと思っていたのですが⋯⋯。
これはわたくしからの命令です⋯⋯必ず前に進むのですよ、例え何が起きようとも』
もう戻ってこれないと覚悟しておいでだと気付き涙を堪えた事を覚えております。それなのに⋯⋯エレーナ様とお話をするまで、わたくしはセレナ様からいただいた大切なお言葉を忘れていたのです。
ジョーンズは先代当主ご夫妻が亡くなられた時に時間を止め、わたくしはセレナ様のお言葉で時を止めた。
わたくしの時間を止めてくださったセレナ様と、教えてくださったエレーナ様に心から感謝しております。
エレーナ様やオーレリア国王陛下のご助力で、ニール様とブラッツの言動が公国との同盟を脅かす⋯⋯そこまではジョーンズにも理解できていたので、話が早くて助かりました。ニール様を客室から貴族牢へ移し、ブラッツも地下牢へ。
ジョーンズの濁った頭に分かったことを全て(時々マーカス様の実力行使も使って)叩き込み、対策を練りました。
エレーナ様が集めて下さった証拠と情報がなければ、何一つ前に進めなかったでしょう。
ジョーンズは6カ国同盟など知らないそぶりで連合王国の使者と会談を行い、関税率の引き下げを提案。
『以前より、過去の遺恨にいつまでも囚われていてはならないと言う意見が出ておりまして、今回は良いきっかけではないかと。ナスタリアとメイベルンの関税率も引き下げる予定で、既に使者を送っておりますし』
狸親父は早々に連合王国と話を纏めてしまいました。頭がアメリア様一色にならなければ、優秀な宰相なのは間違いありませんから。
関税率を最低ラインに引き下げられた連合王国の使者はすごすごと国に帰るしかなく、ナスタリアとメイベルンの2カ国は6カ国同盟から離脱したそうでございます。
マーカス様やオリバー達は軍や宮殿内を徹底的に調査、セルビアス以外にも帝国やクレベルンの手の者⋯⋯アルムヘイルの間諜も発見したのです。
公国がどれほど危険な状態だったのか、初めて思い知らされたマーカス様は、エレーナ様の親権取り上げの裁判に、代理として向かうと仰られました。
『俺はエレーナ様に謝りたい。その最後の機会を譲って欲しい』
アメリア様の落馬事故が起きると教えられた時に疑い、信用しきれず事前準備を怠り事故を回避できなかった事。軍内部に間諜や薬が蔓延していた事にさえ気付いていなかった事。
『マーカス様が代表になられるのは一番良い選択だと思います。ジョーンズはエレーナ様に合わす顔などないはずですから』
公国はエレーナ様のお陰で戦争を回避、鎖国状態に追い込まれる事なく過ごしております。
ニール様⋯⋯ニールとブラッツは新薬の実験室送りと決まり、彼等の犯行の詳細を知っている変質者と熊男が嬉しそうに連れて行きました。
『ゆっくりじっくり切り刻んでやれますね。最低でも5年はかけないと』
ジェイクはジョーンズの手を借りず領地経営を行う事と、使用人達の統率が取れるようになる事を使命に頑張っております。その為に役職を執事から家令と致しました。
名前だけですけれど、家令なら家政婦長を意見する事も命令する事もできますから⋯⋯弱い兵士に頑丈な鎧を着せるようなものですね。
ビルワーツ侯爵領の安定は公国にとっての命綱。侯爵領の税収が公国を支えておりますから、今後の為にジェイクにはしっかりと働いてもらわねばなりません。
わたくし達の仕事はまだ途中⋯⋯最大の敵と戦わなくてはなりません。
脱アメリア教のジョーンズやマーカス様達と策を練っておりますが、アメリア様の参加は様子を伺っている最中と言うところでございます。
最悪、何も方法が見つからなければ、エレーナ様が仰っておられた策を実行すると決めておりますけれど。
『わたくしならアメリアさまがお持ちの攻撃用魔導具を手に、アルムヘイルへ乗り込みますわ』
マーカス様もわたくしも本気です。やる時は2人で別方向から侵入すると決めておりますから。
エレーナ様がニール様やジョーンズと最後の戦いをしておられた時、わたくしは同じ宮殿におりました。
ブラッツの傲岸不遜な態度は予想以上で、このような者に侯爵家を任せていたのかと唖然としつつ、背筋を伸ばしたのです。
エレーナ様が信頼し託してくださった使命でございます。失敗など許されない、二度と裏切らないと心に決めて⋯⋯。
『はあ? 部屋に入った!? なんの権利があって⋯⋯ええ、ええ、あなたが前の家政婦長だと知っておりますとも。でもね、今はもうわたくしが家政婦長ですわ! あの部屋に出入りする権利など、あなたにはありません!』
『横領ですって! 帳簿が? 証拠が揃って? あ、あれは資金運用のお手伝いですわ。だって、わたくしはそう聞いておりますからね。
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『⋯⋯横領の主犯? 処刑? わたくしではありませんわ。あれはニール様のご指示で運用のお手伝いを⋯⋯』
『ニール様に聞いていただければ⋯⋯ニール様はエレーナの、エレーナ様の将来の為に資産を⋯⋯⋯⋯わたくしは利用された?』
『捨て駒? わたくしが? まさか、そんな⋯⋯』
『取り引きしません? わたくしは色々と知っておりますの。例えば、ニール様がエレーナの予算を利用しようとした理由とか。例えば、アメリア様が墓参に行かれて落馬された原因とか。他にも色々と⋯⋯ニール様はわたくしを信用しておられましたけれど、迂闊な方ですからねえ。
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『原因はセロリとケールですの。それを誰が植えたのか⋯⋯もちろん、ええ、もちろん誰が植えたのか、誰が何を狙って指示を出したのかも知っておりますわ』
『このままわたくしをここに閉じ込めておくなら、何も話しませんわ。その間に、公国は消えてしまうかも⋯⋯戦争に負けて属国にされるか、閉じ込められて潰れるか⋯⋯わたくしを助けるというなら、教えてさしあげなくもないんだけど?』
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侯爵家でわたくしが目にしたものなど氷山の一角⋯⋯エレーナ様が虐待された真の理由は、ニール様の八つ当たりどころではなかったのです。アメリア様に対するニール様の恨みを利用して、ご自分の恨みを晴らす。
ニール様は予算を横領し資金を蓄え、アルムヘイルへの凱旋を狙っておられたようです。その次に計画されたのは、アメリア様を亡き者にして侯爵家の全てをエレーナ様に引き継がせる事。それを私物化すれば、親権以外を奪われたニール様が全てを手にできます。
横領した資金でビルワーツを憎む者達と交流をはじめ、少しずつマインドコントロールされていったらしく⋯⋯さりげないヒントを与えられて計画を練り、知らず知らずのうちに相手の望み通りに下準備をさせられ。
ビルワーツの一人娘として産まれたエレーナ様がどれほど運がいいのか、ニール様が奪われた物を全て受け継ぐのはエレーナ様だと囁き、ニール様の中の怒りをエレーナ様にも向けさせたようです⋯⋯それもが真犯人の狙いの一つでございました。
あの方は、誰よりもビルワーツを憎んでおられるのです。そして、誰よりもビルワーツの財を欲しがっておられる。
わたくしにはエレーナ様への申し訳なさに涙する資格もないと気を引き締めて、マーカス様を探しに参りました。
もちろん、凝り固まったジョーンズの尻に蹴りを入れる為でございます。真のアメリア教信者、男尊女卑の権化に喝を入れるのですから、わたくしだけでは力不足でございます。
運良くマーカス様と共にオリバーを捕まえることができました。ブラッツから聞いた話とエレーナ様からお教えいただいた話を伝え終わる頃には、空には月が昇っておりました。
ビルワーツ侯爵家にも公国にも、エレーナ様はおられず、二度とお会いする事は叶わないでしょう。
危険の中に身を置きながら、わたくし達に道標を残して下さったエレーナ様に、心からの感謝を捧げながら、わたくし達は動き続けなくてはなりません。
わたくしの時間はセレナ様がアルムヘイルの王宮へ向かわれた、あの日から止まっていた⋯⋯それを気付かせて下さったのもエレーナ様でございます。
マーカス様や護衛と共に王宮へ向かうセレナ様は、わたくしの手を握りしめて仰いました。
『ミセス・メイベル、わたくしはあなたを心から信用しています。わたくしがここを任せられるのはミセス・メイベルだけ⋯⋯目先のことにとらわれず、曇りなき眼で正しき道を、大局を見据えなさい。
ジョーンズは少しアメリアに甘すぎるから、いざという時はお尻を蹴っ飛ばしておやりなさい。例え何が起きようと冷静な者が一人でもいれば道は必ず開けるのですから、その一人になりなさい。
ビルワーツは代々、詰めが甘いところがあります。わたくし達の代でそれを変えたいと思っていたのですが⋯⋯。
これはわたくしからの命令です⋯⋯必ず前に進むのですよ、例え何が起きようとも』
もう戻ってこれないと覚悟しておいでだと気付き涙を堪えた事を覚えております。それなのに⋯⋯エレーナ様とお話をするまで、わたくしはセレナ様からいただいた大切なお言葉を忘れていたのです。
ジョーンズは先代当主ご夫妻が亡くなられた時に時間を止め、わたくしはセレナ様のお言葉で時を止めた。
わたくしの時間を止めてくださったセレナ様と、教えてくださったエレーナ様に心から感謝しております。
エレーナ様やオーレリア国王陛下のご助力で、ニール様とブラッツの言動が公国との同盟を脅かす⋯⋯そこまではジョーンズにも理解できていたので、話が早くて助かりました。ニール様を客室から貴族牢へ移し、ブラッツも地下牢へ。
ジョーンズの濁った頭に分かったことを全て(時々マーカス様の実力行使も使って)叩き込み、対策を練りました。
エレーナ様が集めて下さった証拠と情報がなければ、何一つ前に進めなかったでしょう。
ジョーンズは6カ国同盟など知らないそぶりで連合王国の使者と会談を行い、関税率の引き下げを提案。
『以前より、過去の遺恨にいつまでも囚われていてはならないと言う意見が出ておりまして、今回は良いきっかけではないかと。ナスタリアとメイベルンの関税率も引き下げる予定で、既に使者を送っておりますし』
狸親父は早々に連合王国と話を纏めてしまいました。頭がアメリア様一色にならなければ、優秀な宰相なのは間違いありませんから。
関税率を最低ラインに引き下げられた連合王国の使者はすごすごと国に帰るしかなく、ナスタリアとメイベルンの2カ国は6カ国同盟から離脱したそうでございます。
マーカス様やオリバー達は軍や宮殿内を徹底的に調査、セルビアス以外にも帝国やクレベルンの手の者⋯⋯アルムヘイルの間諜も発見したのです。
公国がどれほど危険な状態だったのか、初めて思い知らされたマーカス様は、エレーナ様の親権取り上げの裁判に、代理として向かうと仰られました。
『俺はエレーナ様に謝りたい。その最後の機会を譲って欲しい』
アメリア様の落馬事故が起きると教えられた時に疑い、信用しきれず事前準備を怠り事故を回避できなかった事。軍内部に間諜や薬が蔓延していた事にさえ気付いていなかった事。
『マーカス様が代表になられるのは一番良い選択だと思います。ジョーンズはエレーナ様に合わす顔などないはずですから』
公国はエレーナ様のお陰で戦争を回避、鎖国状態に追い込まれる事なく過ごしております。
ニール様⋯⋯ニールとブラッツは新薬の実験室送りと決まり、彼等の犯行の詳細を知っている変質者と熊男が嬉しそうに連れて行きました。
『ゆっくりじっくり切り刻んでやれますね。最低でも5年はかけないと』
ジェイクはジョーンズの手を借りず領地経営を行う事と、使用人達の統率が取れるようになる事を使命に頑張っております。その為に役職を執事から家令と致しました。
名前だけですけれど、家令なら家政婦長を意見する事も命令する事もできますから⋯⋯弱い兵士に頑丈な鎧を着せるようなものですね。
ビルワーツ侯爵領の安定は公国にとっての命綱。侯爵領の税収が公国を支えておりますから、今後の為にジェイクにはしっかりと働いてもらわねばなりません。
わたくし達の仕事はまだ途中⋯⋯最大の敵と戦わなくてはなりません。
脱アメリア教のジョーンズやマーカス様達と策を練っておりますが、アメリア様の参加は様子を伺っている最中と言うところでございます。
最悪、何も方法が見つからなければ、エレーナ様が仰っておられた策を実行すると決めておりますけれど。
『わたくしならアメリアさまがお持ちの攻撃用魔導具を手に、アルムヘイルへ乗り込みますわ』
マーカス様もわたくしも本気です。やる時は2人で別方向から侵入すると決めておりますから。
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