59 / 135
第四章
21.ミセス・メイベル登場
しおりを挟む
「おっ、もう起きてるんだぁ。早起きさんだねえ。ちゃんと栄養取らなきゃだからさ、食堂に行こうね」
元気いっぱいのルーナに連れられて、初めて食堂に足を踏み入れたエレーナは、グレーのドレスを着た細身の女性が立っているのに気付いて足を止めた。
年齢はジョーンズに近いだろう。後ろで一つの固いシニヨンにまとめた髪と、すっきりと伸びた背や揃えられた両手に、長年上級使用人を勤めているとすぐに分かる気品がある。
壁際にはメイドとフットマンが並んで立っているが、背をまっすぐに伸ばし、見た事もないほど緊張していた。
「エレーナ様、おはようございます。ビルワーツ侯爵家でミセス・ブラッツの前に家政婦長をしておりましたケイト・メイベルと申します。
お久しぶりでございますと申し上げたいところでございますが、恐らくエレーナ様は覚えておいでにはならないのではないかと存じます。長い間、何も気付かずにおりました事、心よりお詫び申し上げます」
ミセス・メイベルが深々と頭を下げると、壁際に立つメイド達やジェイクも一斉に頭を下げた。
(流石だわ、多分侯爵邸についてほんの数時間だと思うけど、既にメイドやフットマンを従えている)
日頃見かけていた、ダラダラしたり欠伸をしたり、お喋りに興じる姿からは想像もできない使用人等の仕草や表情で、エレーナの頭の中に『やればできる子』と言う文字が浮かんだ。
(お生まれになられた時より益々、セレナ様に似ておられる⋯⋯)
エレーナを見ながら、ミセス・メイベルがそんな事を考えているとも思わず。
「ミセス・メイベルは夜明け前に突然やって来たの。んで、暫く? 侯爵家で家政婦長をしてくれるって」
隣に並んでいたルーナに頭を撫でられたエレーナは、気付かないまま警戒して強張っていた背中の力が、ふっと抜けるのを感じた。
「昨夜ジョーンズより話を聞き、準備してまいりました。侯爵邸で務めるお許しをいただけますでしょうか?」
ミセス・メイベルの目に、怒りの炎がチラついていたのは気のせいではない。ジョーンズから話を聞いたミセス・メイベルは初めて人を殴りつけたのだから。
(1発で済ませたのは失敗でしたわ。まさかこれほど痩せ細っておられるなんて⋯⋯なのに、アメリア様の事故に関わっているはずだと言い募って責め立てたなど、決して許せません!)
(この人がいれば、侯爵家は大丈夫そうね。そのまま働くにしても、次の候補を見つけるまでにしても、ジェイクの指導と補佐ができそう)
「わたくしに物申す資格があるかは疑問ですが、ジェイクと共に侯爵家の現在の使用人についてや、今後の侯爵家の雇用について話し合ってください」
「畏まりました。エレーナ様のお許しをいただき感謝と共に、誠心誠意努めさせていただく事をお誓いいたします。
ルーナ様にも心からお礼申し上げます」
深々と頭を下げたミセス・メイベルはまさに家政婦長の鑑とでも言うべき⋯⋯鍵を腰につけているにも関わらず、全く音がしなかった。
「ただ、ひとつ⋯⋯わたくしはアメリア様をお母様とは認識していませんし、この屋敷を我が家だと思えた事は一度もありません。
アメリア様は、国と民の為に献身しておられる偉大なる建国王であり、心優しい当主⋯⋯わたくしにとってそれ以外ではありえず、今後も変わることはありません。
ミセス・メイベルが、今後に何を期待しようとも、使用人達はアメリア様とお会いしたことさえないわたくしに、仕える事など望んでもいないはずです。
わたくしの言動を、ミセス・メイベルやこの屋敷の使用人達が『アメリア様に対し不敬』と思ったとしても抗議も訂正もする事はありませんし、わたくしの考えを押し付けるつもりもありません。ここにいる間は適切な距離をあけ、お互いの考えを尊重し合えればと思っています。
わたくしは近々侯爵家を離れ、ビルワーツ侯爵家から離籍いたします。侯爵家に対し今現在もなんら権利を持っていないと認識していますし、将来もまた同じ。
わたくしの指示に従う理由も指示を仰ぐ理由もなく、わたくしに忖度する必要もございません。
使用人達には、今まで同様に放置で構わないけれど、失礼な言動は控えるようにとだけお伝えください」
エレーナが言葉を発するたびに、壁際の使用人達の顔が不快そうに歪む。
(彼等にどう思われようと、別に構わないわ。怯えて石になっていた、昔のわたくしは卒業したのだから)
「畏まりました。エレーナ様のお言葉は至極ごもっともでございます。一度だけ本心を口にする無礼をお許しください。
アメリア様のなさりようは、人の子の親として許されるものではございませんでした。アメリア様にどんな理由があろうともでございます。
エレーナ様はアメリア様と同じく、この屋敷で敬われるべきお方であり、紛れもない後継者であらせられます。
ミセス・ブラッツ以下、使用人達の言動は許されるものではなく、厳罰に処すと決めてここに参りました。
そして、不安を抱きながらも何もせずにおりましたわたくしも同罪。いえ、不安を抱いていただけに、罪はより重いと思っており、このような状況になる前に、手を打たなかった愚かしさに恥いるばかりでございます。
屋敷内で起きていたことを知り、エレーナ様が侯爵家に見切りをつけられたのは、当然だと思っております。わたくし達の行いが代々続いていたビルワーツの血を、この領地から去らせる理由になった事、決して忘れてはならないと肝に銘じて参ります」
長く続いたビルワーツ侯爵家の統治で栄え、安全で豊かな暮らしを享受していた事を忘れていた使用人達は、いずれ自分達のしでかした罪の重さを自覚することになるかもしれない。
「この豊かな地を狙うアルムヘイルや、その他の国からの脅威に晒されたことは一度もなく、平和と安寧の中で暮らしていたのは、ビルワーツ侯爵家の方々のお陰でございました」
「歴代のビルワーツ侯爵家の方々の偉業は、歴史書で読んでおりますが、わたくしとは別世界の方々ですわ。わたくしは過去の当主様方やアメリア様のような叡智も才覚もない、ただの凡夫にすぎません。
いずれアメリア様がお認めになられ、皆からも尊敬される後継者をお立てになることでしょう」
ミセス・ブラッツを雇い入れる前に不安を感じたのはミセス・メイベルだけだった。その時にもっと強く意見を言っていれば、その後屋敷の様子を一度でも確認にきていれば⋯⋯。
(5歳とは思えない痩せ細った小さな身体。お顔の色も優れず、髪やお肌のご様子も⋯⋯。お召し物が擦り切れたチュニックと、薄汚れて繕った跡のある部屋ばきだなどあり得ません。
一度でもお会いしようとしていれば、すぐに気付けましたのに)
「ここにいらっしゃる間だけは、エレーナ様を当主様のご令嬢として、侯爵家嫡子としてお仕えする事をお許しください」
「⋯⋯分かりました。無理のないように」
(家政婦長として信用できるならそれで十分。わたくしに対して気を使う必要はないし、わたくしも気にするつもりはないのに⋯⋯そんな事に一喜一憂している時間などないかもしれない)
ループ後のニールが何を考え何をしたのか、そしてこれから何をしようとしているのか。
ループ前のニールがエレーナに恨みを抱いていたのは間違いないが、エレーナをエドワードの婚約者にした理由は分かっていない。
連合王国内の動向とセルビアス⋯⋯調べるべきか、誰かに伝えるべきか。
(屋敷の金庫の中の遺言状がどうなっているのかも調べておきたいし)
ミセス・メイベルが合図すると、真顔で会話を聞いていたジェイクがエレーナに近付いてきた。
10人以上でも利用できそうな大きなダイニングテーブルには、2人分の朝食の準備ができており、その一つにルーナが腰掛け、エレーナ用の席には硬いクッションが置かれていた。
「新しい椅子を準備致しており、今日のお昼には間に合う予定でございます。今朝はご不便をおかけいたしますこと、大変申し訳ございません」
ジェイクが小さく頭を下げてからはじめの一皿を給仕し、エレーナの左後ろに立つと、フットマンが次の皿を準備しはじめた。
ルーナに給仕するのはメイド達で、エレーナの給仕がフットマンなのは、恐らくメイド達に虐められていたエレーナへの忖度だろう。誰がどのような態度を取っていたか判明していない今は、できる限りメイドを近付けないつもりのように見受けられた。
黴が生えたパンは料理長の差金だったに違いないが、踏み潰した形跡やスープに浮いていたゴミを入れたのが、誰かは分からないから。
(口に入るものだから、気を遣ってもらえたのは助かるわ⋯⋯そう言えば、こういう時に《鑑定》⋯⋯あ、できた! となるとカトラリーも? 誰にも気づかれていないし、こんな風に説明が出るなら今後は安心だわ)
料理名以外に使用している食材も表示され、カトラリーには『毒・バイケイソウ・嘔吐及び腹痛』と表示されていた。
「ジェイク、カトラリーを交換してくれるかしら」
少し後ろに顔を向けジェイクに声をかけると、メイドの一人が急いで駆け寄り、並んでいるカトラリーに手を伸ばした。
「ちょーっと待った! そんなに急ぐことはないんじゃないかしらぁ。昨日に比べて随分と機敏な動きだったけど、なんでなのか、是非とも説明してくれるかしら?」
エレーナの左後ろにはジェイクがおり、メイドよりフットマンの方がエレーナの近くにいたのだから、メイドがカトラリーを交換しに走る必要はない。
「あ、あの⋯⋯て、手が空いておりましたし。こ、こういったことは、その⋯⋯慣れてると言いますか」
元気いっぱいのルーナに連れられて、初めて食堂に足を踏み入れたエレーナは、グレーのドレスを着た細身の女性が立っているのに気付いて足を止めた。
年齢はジョーンズに近いだろう。後ろで一つの固いシニヨンにまとめた髪と、すっきりと伸びた背や揃えられた両手に、長年上級使用人を勤めているとすぐに分かる気品がある。
壁際にはメイドとフットマンが並んで立っているが、背をまっすぐに伸ばし、見た事もないほど緊張していた。
「エレーナ様、おはようございます。ビルワーツ侯爵家でミセス・ブラッツの前に家政婦長をしておりましたケイト・メイベルと申します。
お久しぶりでございますと申し上げたいところでございますが、恐らくエレーナ様は覚えておいでにはならないのではないかと存じます。長い間、何も気付かずにおりました事、心よりお詫び申し上げます」
ミセス・メイベルが深々と頭を下げると、壁際に立つメイド達やジェイクも一斉に頭を下げた。
(流石だわ、多分侯爵邸についてほんの数時間だと思うけど、既にメイドやフットマンを従えている)
日頃見かけていた、ダラダラしたり欠伸をしたり、お喋りに興じる姿からは想像もできない使用人等の仕草や表情で、エレーナの頭の中に『やればできる子』と言う文字が浮かんだ。
(お生まれになられた時より益々、セレナ様に似ておられる⋯⋯)
エレーナを見ながら、ミセス・メイベルがそんな事を考えているとも思わず。
「ミセス・メイベルは夜明け前に突然やって来たの。んで、暫く? 侯爵家で家政婦長をしてくれるって」
隣に並んでいたルーナに頭を撫でられたエレーナは、気付かないまま警戒して強張っていた背中の力が、ふっと抜けるのを感じた。
「昨夜ジョーンズより話を聞き、準備してまいりました。侯爵邸で務めるお許しをいただけますでしょうか?」
ミセス・メイベルの目に、怒りの炎がチラついていたのは気のせいではない。ジョーンズから話を聞いたミセス・メイベルは初めて人を殴りつけたのだから。
(1発で済ませたのは失敗でしたわ。まさかこれほど痩せ細っておられるなんて⋯⋯なのに、アメリア様の事故に関わっているはずだと言い募って責め立てたなど、決して許せません!)
(この人がいれば、侯爵家は大丈夫そうね。そのまま働くにしても、次の候補を見つけるまでにしても、ジェイクの指導と補佐ができそう)
「わたくしに物申す資格があるかは疑問ですが、ジェイクと共に侯爵家の現在の使用人についてや、今後の侯爵家の雇用について話し合ってください」
「畏まりました。エレーナ様のお許しをいただき感謝と共に、誠心誠意努めさせていただく事をお誓いいたします。
ルーナ様にも心からお礼申し上げます」
深々と頭を下げたミセス・メイベルはまさに家政婦長の鑑とでも言うべき⋯⋯鍵を腰につけているにも関わらず、全く音がしなかった。
「ただ、ひとつ⋯⋯わたくしはアメリア様をお母様とは認識していませんし、この屋敷を我が家だと思えた事は一度もありません。
アメリア様は、国と民の為に献身しておられる偉大なる建国王であり、心優しい当主⋯⋯わたくしにとってそれ以外ではありえず、今後も変わることはありません。
ミセス・メイベルが、今後に何を期待しようとも、使用人達はアメリア様とお会いしたことさえないわたくしに、仕える事など望んでもいないはずです。
わたくしの言動を、ミセス・メイベルやこの屋敷の使用人達が『アメリア様に対し不敬』と思ったとしても抗議も訂正もする事はありませんし、わたくしの考えを押し付けるつもりもありません。ここにいる間は適切な距離をあけ、お互いの考えを尊重し合えればと思っています。
わたくしは近々侯爵家を離れ、ビルワーツ侯爵家から離籍いたします。侯爵家に対し今現在もなんら権利を持っていないと認識していますし、将来もまた同じ。
わたくしの指示に従う理由も指示を仰ぐ理由もなく、わたくしに忖度する必要もございません。
使用人達には、今まで同様に放置で構わないけれど、失礼な言動は控えるようにとだけお伝えください」
エレーナが言葉を発するたびに、壁際の使用人達の顔が不快そうに歪む。
(彼等にどう思われようと、別に構わないわ。怯えて石になっていた、昔のわたくしは卒業したのだから)
「畏まりました。エレーナ様のお言葉は至極ごもっともでございます。一度だけ本心を口にする無礼をお許しください。
アメリア様のなさりようは、人の子の親として許されるものではございませんでした。アメリア様にどんな理由があろうともでございます。
エレーナ様はアメリア様と同じく、この屋敷で敬われるべきお方であり、紛れもない後継者であらせられます。
ミセス・ブラッツ以下、使用人達の言動は許されるものではなく、厳罰に処すと決めてここに参りました。
そして、不安を抱きながらも何もせずにおりましたわたくしも同罪。いえ、不安を抱いていただけに、罪はより重いと思っており、このような状況になる前に、手を打たなかった愚かしさに恥いるばかりでございます。
屋敷内で起きていたことを知り、エレーナ様が侯爵家に見切りをつけられたのは、当然だと思っております。わたくし達の行いが代々続いていたビルワーツの血を、この領地から去らせる理由になった事、決して忘れてはならないと肝に銘じて参ります」
長く続いたビルワーツ侯爵家の統治で栄え、安全で豊かな暮らしを享受していた事を忘れていた使用人達は、いずれ自分達のしでかした罪の重さを自覚することになるかもしれない。
「この豊かな地を狙うアルムヘイルや、その他の国からの脅威に晒されたことは一度もなく、平和と安寧の中で暮らしていたのは、ビルワーツ侯爵家の方々のお陰でございました」
「歴代のビルワーツ侯爵家の方々の偉業は、歴史書で読んでおりますが、わたくしとは別世界の方々ですわ。わたくしは過去の当主様方やアメリア様のような叡智も才覚もない、ただの凡夫にすぎません。
いずれアメリア様がお認めになられ、皆からも尊敬される後継者をお立てになることでしょう」
ミセス・ブラッツを雇い入れる前に不安を感じたのはミセス・メイベルだけだった。その時にもっと強く意見を言っていれば、その後屋敷の様子を一度でも確認にきていれば⋯⋯。
(5歳とは思えない痩せ細った小さな身体。お顔の色も優れず、髪やお肌のご様子も⋯⋯。お召し物が擦り切れたチュニックと、薄汚れて繕った跡のある部屋ばきだなどあり得ません。
一度でもお会いしようとしていれば、すぐに気付けましたのに)
「ここにいらっしゃる間だけは、エレーナ様を当主様のご令嬢として、侯爵家嫡子としてお仕えする事をお許しください」
「⋯⋯分かりました。無理のないように」
(家政婦長として信用できるならそれで十分。わたくしに対して気を使う必要はないし、わたくしも気にするつもりはないのに⋯⋯そんな事に一喜一憂している時間などないかもしれない)
ループ後のニールが何を考え何をしたのか、そしてこれから何をしようとしているのか。
ループ前のニールがエレーナに恨みを抱いていたのは間違いないが、エレーナをエドワードの婚約者にした理由は分かっていない。
連合王国内の動向とセルビアス⋯⋯調べるべきか、誰かに伝えるべきか。
(屋敷の金庫の中の遺言状がどうなっているのかも調べておきたいし)
ミセス・メイベルが合図すると、真顔で会話を聞いていたジェイクがエレーナに近付いてきた。
10人以上でも利用できそうな大きなダイニングテーブルには、2人分の朝食の準備ができており、その一つにルーナが腰掛け、エレーナ用の席には硬いクッションが置かれていた。
「新しい椅子を準備致しており、今日のお昼には間に合う予定でございます。今朝はご不便をおかけいたしますこと、大変申し訳ございません」
ジェイクが小さく頭を下げてからはじめの一皿を給仕し、エレーナの左後ろに立つと、フットマンが次の皿を準備しはじめた。
ルーナに給仕するのはメイド達で、エレーナの給仕がフットマンなのは、恐らくメイド達に虐められていたエレーナへの忖度だろう。誰がどのような態度を取っていたか判明していない今は、できる限りメイドを近付けないつもりのように見受けられた。
黴が生えたパンは料理長の差金だったに違いないが、踏み潰した形跡やスープに浮いていたゴミを入れたのが、誰かは分からないから。
(口に入るものだから、気を遣ってもらえたのは助かるわ⋯⋯そう言えば、こういう時に《鑑定》⋯⋯あ、できた! となるとカトラリーも? 誰にも気づかれていないし、こんな風に説明が出るなら今後は安心だわ)
料理名以外に使用している食材も表示され、カトラリーには『毒・バイケイソウ・嘔吐及び腹痛』と表示されていた。
「ジェイク、カトラリーを交換してくれるかしら」
少し後ろに顔を向けジェイクに声をかけると、メイドの一人が急いで駆け寄り、並んでいるカトラリーに手を伸ばした。
「ちょーっと待った! そんなに急ぐことはないんじゃないかしらぁ。昨日に比べて随分と機敏な動きだったけど、なんでなのか、是非とも説明してくれるかしら?」
エレーナの左後ろにはジェイクがおり、メイドよりフットマンの方がエレーナの近くにいたのだから、メイドがカトラリーを交換しに走る必要はない。
「あ、あの⋯⋯て、手が空いておりましたし。こ、こういったことは、その⋯⋯慣れてると言いますか」
21
お気に入りに追加
1,107
あなたにおすすめの小説

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~
八重
恋愛
【全32話+番外編】
「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」
伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。
ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。
しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。
そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。
マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。
※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております

王子からの縁談の話が来たのですが、双子の妹が私に成りすまして王子に会いに行きました。しかしその結果……
水上
恋愛
侯爵令嬢である私、エマ・ローリンズは、縁談の話を聞いて喜んでいた。
相手はなんと、この国の第三王子であるウィリアム・ガーヴィー様である。
思わぬ縁談だったけれど、本当に嬉しかった。
しかし、その喜びは、すぐに消え失せた。
それは、私の双子の妹であるヘレン・ローリンズのせいだ。
彼女と、彼女を溺愛している両親は、ヘレンこそが、ウィリアム王子にふさわしいと言い出し、とんでもない手段に出るのだった。
それは、妹のヘレンが私に成りすまして、王子に近づくというものだった。
私たちはそっくりの双子だから、確かに見た目で判断するのは難しい。
でも、そんなバカなこと、成功するはずがないがないと思っていた。
しかし、ヘレンは王宮に招かれ、幸せな生活を送り始めた。
一方、私は王子を騙そうとした罪で捕らえられてしまう。
すべて、ヘレンと両親の思惑通りに事が進んでいた。
しかし、そんなヘレンの幸せは、いつまでも続くことはなかった。
彼女は幸せの始まりだと思っていたようだけれど、それは地獄の始まりなのだった……。
※この作品は、旧作を加筆、修正して再掲載したものです。

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる