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第四章
16.気持ち良いほど仕切るルーナ
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(あっ、本当に手がアカギレだらけで、引っ掻かれたような傷や痣も残ってる⋯⋯爪だってギザギザで⋯⋯細くて折れそうな。俺、何を見てたんだろう。侯爵家の執事になれて舞い上がってたのかも。領地経営でジェイク様とかジェイク殿とか言われて、いい気になって⋯⋯髪も肌も、何もかもがメイドの方が手入れしてあるなんて)
「エレーナ様、ほんとごめんなさい! これからは二度とこんな手はさせません」
「この手はわたくしの勲章で、頑張った証ですわ。ジェイクは侯爵家で立派な執事になるよう、頑張って。きっと領民がジェイクを待っているはずですもの」
侯爵家はジェイクの仕事場で、エレーナの家ではなかった。大きな家具がポツンポツンと置かれた部屋はエレーナの牢獄で、看守がわりのメイドの休憩場所。大量の本が並んだ図書室は唯一の避難場所で、知らない事を教えてくれる本は話し相手のいないエレーナの友達。
「ルーナ様、できれば屋敷にあるチュニックの持ち出しが許されるなら助かります。住むところや食事を甘えようとしておりますのに、買っていただくわけにはまいりませんから」
取り敢えず着る物さえあれば、あまり迷惑はかけずに済むはず。屋根の下で眠れてちょっぴりの食べ物があれば十分だから。
「そっかあ。買ってっておねだりしてあげたら、父ちゃんが喜びそうなんだけど。それが気兼ねなら⋯⋯うーん、そうだ! エレーナちゃんって贅沢三昧してるって冤罪かけられてたじゃん。
って事はさ、屋敷にはエレーナちゃん用の予算で買われてて、侯爵家の主人が許可のサインをしたやつ⋯⋯つまりエレーナちゃん所有の物が山盛りあるんじゃない?」
意外な事を言われたエレーナがキョトンと首を傾げると、何故かルーナが『うっ!』と呻いて顔を赤くした。
「わたくしの部屋にある、大量のドレスと小物と貴金属のことかもしれませんが⋯⋯あれはアメリア様が、メイド達へのプレゼント用に準備をしておられるのだと聞いております。
定期的にミセス・ブラッツが売りに行くと言って持ち出しておりましたから、わたくしのものではないはず。
既に次に貰う物を決めているメイドもおりますから、わたくしは触るのは禁止されていましたしね。
やっぱり大丈夫そうなのは、チュニックくらいですわ」
「自室以外は?」
「さあ、自室と図書室以外には入った事がないので⋯⋯先日コンサバトリーに一度入りましたが、その程度ですのでよく存じませんの」
「んじゃ、ポンコツに帳簿を調べさせよう。で、後からケチをつけられないように確認してから、持ち出せば大丈夫だね。
多分だけどさ、自室のやつは丸っとエレーナちゃん用の予算で買ってる。んで、メイドへのプレゼント用の予算やら、売り捌いた物の代金はオバさんの懐だね。
かの『心の広い愛されアメリア様』が一度お許しになった品々なら、エレーナちゃんの物だからね。
エレーナちゃんの今までの予算分はもぎ取ってやらなきゃ。だって、かの公明なるアメリア様のお優しい気持ちを理解しろって、腹黒ジジイが言ってたじゃん。優しさを受け取るのは理解したって事だからね~。受け取った後で、鼻紙に『ありがと』って書いて置いとけば◎だね。
ポンコツ、分かったらさっさと働けよ! 今までの罪を償いたいって言ってたよな~。
あっ、エレーナちゃんが壊したってなってるやつも調査だな。誰かが壊したのをエレーナちゃんのせいにしてる可能性もあるけど、嘘言って金だけもらってる可能性もある。
これだけ大掛かりにやってるなら、ダミー会社の一つくらい作ってると思うから、領収書も疑えよ。
その金だって、腹黒と愉快な仲間達に愛されて大切に守られてる素晴らしいアメリア様が、エレーナちゃんの為の費用だって許可したもんだからね。
大切な大切な大切な、超絶大切なアメリア様のお言葉にダメ出しするような、アンチアメリア教の奴もいないから大丈夫!
だって、お優しいお優しいお優しい、超絶お優しいアメリア様のお心を無視したら、めちゃめちゃ失礼じゃん!
守りたい守りたい守りたい、超絶守りたいアメリア様のお心遣いだもん、エレーナちゃんが受け取ったげないとね~。5年分かあ、収納バッグ持っていかないと⋯⋯アタシの持ってるやつで足りるかなあ。
あっ大事な事だからもっかい言うけどさ、ポンコツ、あんたさあ⋯⋯屋敷に帰ったら5年分の帳簿を大至急調べて! 廃籍の手続きもはじめなきゃ」
「あ、はい!」
「エレーナちゃんの予算で買った物だけを全部持ち出さなきゃだもんね。
いやいやいやいや、違った!! エレーナちゃんに割り振られた予算分をきちんと受け取ってあげないと、素晴らしい素晴らしい、超絶素晴らしいアメリア様のお気持ちを無視することになるな。不足分は銅貨一枚まで計算してちゃんと受け取りなさい。
無くなってる分は、着服した奴からポンコツと悪党を雇った奴らが責任持って回収するはずだし? エレーナちゃんには責任ないからね」
「うっ、銅貨一枚まで⋯⋯計算」
「ポンコツ、エレーナちゃんが間違って持ち出したらさ、ハンカチ一枚とか銅貨一枚でも腹黒ジジイが『冤罪で極刑だあ!』とか言いそうだから、よろしく~!」
昨日まで銅貨一枚も持っておらず、毎日食べる物にも事欠いていたエレーナは、近々相当な金持ちになる予定。
僅かな抵抗も許さないルーナの怒涛の指示と、たまに入るジェイクの合いの手が終わり、エレーナの手当を終わらせた。
新しく淹れ直した紅茶を飲んで一休憩していると⋯⋯。
「ただいま~って、あの塊は何かな? もしかして、解剖しても良いって言ってるのかな」
帰ってきた局長が嬉しそうに指の先で突いているのは、放心状態になって床に崩れ落ちているジョーンズ。
「麻酔なしでいけそう」
「お、熊男もその気? 狼男とオバさんのお世話で溜まった疲れを癒やせそうだね」
解剖で癒せる疲れ⋯⋯中々の変質者振りを見せた局長が、得意満面のルーナを見て首を傾げた。
「嫌な予感がしますね。ジョーンズをここまで叩き潰せるのはルーナくらいしかいませんし」
「ふっふっふ! 正解、ピンポン、ピンポン、ピンポーン! ボコボコにしてやったもんね~。幼児虐待野郎が威圧と恫喝で調子こくからさあ、大切な大切なアメリア様からエレーナちゃんをぶんどってオーレリアに帰るって決めたからね~。明日から来ないよ」
「「⋯⋯はあ? なんだそれは!」」
簡単な説明を聞いた熊男がジョーンズをゲシゲシと蹴るたびに、ゴロゴロと部屋を転げ回る。それを横目に見ながらメスを取り出した局長が⋯⋯。
「次は私だね。その前にジェイクかな?」
「ご、ごめんなさい! この後すぐ帳簿調べしますんで、切り取るのはやめて下さいぃぃ」
またもや前屈みの内股になったジェイクが、壁際まで後退りした。
「ここでの仕事は終わってるしさ、別に良いよね~」
ルーナはクロール石灰の共同研究員として公国に来ていた。魔法と魔導具で繁栄してきたオーレリアだが、科学や工業にも注目し、他国に引けを取らない研究機関や技術者を育ててもいる。
『いずれ魔法だけでは立ち行かなくなる。その時に慌てて方法を模索するのは、愚の骨頂だからな』
「さっさと借りてる部屋を片付けて、侯爵邸に乗り込むかな」
「⋯⋯ええぇぇぇっ! ルーナ様も侯爵家に来られるのですか!? な、な、なんで」
真っ青になって震え上がったジェイクに向けて、ルーナが林檎を投げた。
シュパッ!
「チッ! ポンコツって反射神経だけは良いのがムカつく。アタシはエレーナちゃんの侍女になる予定⋯⋯って触れ込みでついてくの。オバさんを絞めるのは局長達に任せるけどさ、ポンコツが帳簿調べを終わらせるまで暇なんだもん。巫山戯たメイド達とちょっと遊んでおこうと思って~」
ジェイクは死に物狂いで帳簿調べを終わらせようと心に決めた。
(ルーナ様の口撃⋯⋯全員殺られる)
魂が抜けたジョーンズを局長と熊男が抱えてどこかに連れて行き、豪快な滝から流された後のようなジェイクと不安そうなエレーナは、ルーナと一緒に侯爵邸へ向かった。
「オバさんの事は取り敢えず内緒で、ポンコツは帳簿。アタシは屋敷の中でメイド達とお喋りでもするかな」
ミセス・ブラッツの目がない時のメイド達の態度を思い出し、エレーナは遠い目になった。
メイドは家政婦長の管理下にいる女性使用人だが、侍女は女主人が直接雇用し家政婦長の指示に従う必要はない。
女主人より格下の貴族令嬢が行儀見習いを兼ねていることもあるが、大半の侍女は女主人の転居にも同行する。
侍女の仕事は女主人の寝室での世話・衣装選び・着付け・髪結い・旅行の準備など多岐に渡る。外出に際しては、荷物の準備から様々な予約や手配も行い、同じ馬車に乗って移動する事が多い。
メイドと違いお仕着せを着る必要がなく、女主人より少し型落ちのドレスを着用するが、女主人のお下がりのドレスなどを貰うこともあり、それらを身につける事は『優秀な侍女だと認められている』証になった。
(侯爵家のメイド達は『侍女は雑用をしない』って言うルールを知っているのかしら。知らなければ、ルーナ様とのバトルは激化しそうだわ)
「エレーナ様、ほんとごめんなさい! これからは二度とこんな手はさせません」
「この手はわたくしの勲章で、頑張った証ですわ。ジェイクは侯爵家で立派な執事になるよう、頑張って。きっと領民がジェイクを待っているはずですもの」
侯爵家はジェイクの仕事場で、エレーナの家ではなかった。大きな家具がポツンポツンと置かれた部屋はエレーナの牢獄で、看守がわりのメイドの休憩場所。大量の本が並んだ図書室は唯一の避難場所で、知らない事を教えてくれる本は話し相手のいないエレーナの友達。
「ルーナ様、できれば屋敷にあるチュニックの持ち出しが許されるなら助かります。住むところや食事を甘えようとしておりますのに、買っていただくわけにはまいりませんから」
取り敢えず着る物さえあれば、あまり迷惑はかけずに済むはず。屋根の下で眠れてちょっぴりの食べ物があれば十分だから。
「そっかあ。買ってっておねだりしてあげたら、父ちゃんが喜びそうなんだけど。それが気兼ねなら⋯⋯うーん、そうだ! エレーナちゃんって贅沢三昧してるって冤罪かけられてたじゃん。
って事はさ、屋敷にはエレーナちゃん用の予算で買われてて、侯爵家の主人が許可のサインをしたやつ⋯⋯つまりエレーナちゃん所有の物が山盛りあるんじゃない?」
意外な事を言われたエレーナがキョトンと首を傾げると、何故かルーナが『うっ!』と呻いて顔を赤くした。
「わたくしの部屋にある、大量のドレスと小物と貴金属のことかもしれませんが⋯⋯あれはアメリア様が、メイド達へのプレゼント用に準備をしておられるのだと聞いております。
定期的にミセス・ブラッツが売りに行くと言って持ち出しておりましたから、わたくしのものではないはず。
既に次に貰う物を決めているメイドもおりますから、わたくしは触るのは禁止されていましたしね。
やっぱり大丈夫そうなのは、チュニックくらいですわ」
「自室以外は?」
「さあ、自室と図書室以外には入った事がないので⋯⋯先日コンサバトリーに一度入りましたが、その程度ですのでよく存じませんの」
「んじゃ、ポンコツに帳簿を調べさせよう。で、後からケチをつけられないように確認してから、持ち出せば大丈夫だね。
多分だけどさ、自室のやつは丸っとエレーナちゃん用の予算で買ってる。んで、メイドへのプレゼント用の予算やら、売り捌いた物の代金はオバさんの懐だね。
かの『心の広い愛されアメリア様』が一度お許しになった品々なら、エレーナちゃんの物だからね。
エレーナちゃんの今までの予算分はもぎ取ってやらなきゃ。だって、かの公明なるアメリア様のお優しい気持ちを理解しろって、腹黒ジジイが言ってたじゃん。優しさを受け取るのは理解したって事だからね~。受け取った後で、鼻紙に『ありがと』って書いて置いとけば◎だね。
ポンコツ、分かったらさっさと働けよ! 今までの罪を償いたいって言ってたよな~。
あっ、エレーナちゃんが壊したってなってるやつも調査だな。誰かが壊したのをエレーナちゃんのせいにしてる可能性もあるけど、嘘言って金だけもらってる可能性もある。
これだけ大掛かりにやってるなら、ダミー会社の一つくらい作ってると思うから、領収書も疑えよ。
その金だって、腹黒と愉快な仲間達に愛されて大切に守られてる素晴らしいアメリア様が、エレーナちゃんの為の費用だって許可したもんだからね。
大切な大切な大切な、超絶大切なアメリア様のお言葉にダメ出しするような、アンチアメリア教の奴もいないから大丈夫!
だって、お優しいお優しいお優しい、超絶お優しいアメリア様のお心を無視したら、めちゃめちゃ失礼じゃん!
守りたい守りたい守りたい、超絶守りたいアメリア様のお心遣いだもん、エレーナちゃんが受け取ったげないとね~。5年分かあ、収納バッグ持っていかないと⋯⋯アタシの持ってるやつで足りるかなあ。
あっ大事な事だからもっかい言うけどさ、ポンコツ、あんたさあ⋯⋯屋敷に帰ったら5年分の帳簿を大至急調べて! 廃籍の手続きもはじめなきゃ」
「あ、はい!」
「エレーナちゃんの予算で買った物だけを全部持ち出さなきゃだもんね。
いやいやいやいや、違った!! エレーナちゃんに割り振られた予算分をきちんと受け取ってあげないと、素晴らしい素晴らしい、超絶素晴らしいアメリア様のお気持ちを無視することになるな。不足分は銅貨一枚まで計算してちゃんと受け取りなさい。
無くなってる分は、着服した奴からポンコツと悪党を雇った奴らが責任持って回収するはずだし? エレーナちゃんには責任ないからね」
「うっ、銅貨一枚まで⋯⋯計算」
「ポンコツ、エレーナちゃんが間違って持ち出したらさ、ハンカチ一枚とか銅貨一枚でも腹黒ジジイが『冤罪で極刑だあ!』とか言いそうだから、よろしく~!」
昨日まで銅貨一枚も持っておらず、毎日食べる物にも事欠いていたエレーナは、近々相当な金持ちになる予定。
僅かな抵抗も許さないルーナの怒涛の指示と、たまに入るジェイクの合いの手が終わり、エレーナの手当を終わらせた。
新しく淹れ直した紅茶を飲んで一休憩していると⋯⋯。
「ただいま~って、あの塊は何かな? もしかして、解剖しても良いって言ってるのかな」
帰ってきた局長が嬉しそうに指の先で突いているのは、放心状態になって床に崩れ落ちているジョーンズ。
「麻酔なしでいけそう」
「お、熊男もその気? 狼男とオバさんのお世話で溜まった疲れを癒やせそうだね」
解剖で癒せる疲れ⋯⋯中々の変質者振りを見せた局長が、得意満面のルーナを見て首を傾げた。
「嫌な予感がしますね。ジョーンズをここまで叩き潰せるのはルーナくらいしかいませんし」
「ふっふっふ! 正解、ピンポン、ピンポン、ピンポーン! ボコボコにしてやったもんね~。幼児虐待野郎が威圧と恫喝で調子こくからさあ、大切な大切なアメリア様からエレーナちゃんをぶんどってオーレリアに帰るって決めたからね~。明日から来ないよ」
「「⋯⋯はあ? なんだそれは!」」
簡単な説明を聞いた熊男がジョーンズをゲシゲシと蹴るたびに、ゴロゴロと部屋を転げ回る。それを横目に見ながらメスを取り出した局長が⋯⋯。
「次は私だね。その前にジェイクかな?」
「ご、ごめんなさい! この後すぐ帳簿調べしますんで、切り取るのはやめて下さいぃぃ」
またもや前屈みの内股になったジェイクが、壁際まで後退りした。
「ここでの仕事は終わってるしさ、別に良いよね~」
ルーナはクロール石灰の共同研究員として公国に来ていた。魔法と魔導具で繁栄してきたオーレリアだが、科学や工業にも注目し、他国に引けを取らない研究機関や技術者を育ててもいる。
『いずれ魔法だけでは立ち行かなくなる。その時に慌てて方法を模索するのは、愚の骨頂だからな』
「さっさと借りてる部屋を片付けて、侯爵邸に乗り込むかな」
「⋯⋯ええぇぇぇっ! ルーナ様も侯爵家に来られるのですか!? な、な、なんで」
真っ青になって震え上がったジェイクに向けて、ルーナが林檎を投げた。
シュパッ!
「チッ! ポンコツって反射神経だけは良いのがムカつく。アタシはエレーナちゃんの侍女になる予定⋯⋯って触れ込みでついてくの。オバさんを絞めるのは局長達に任せるけどさ、ポンコツが帳簿調べを終わらせるまで暇なんだもん。巫山戯たメイド達とちょっと遊んでおこうと思って~」
ジェイクは死に物狂いで帳簿調べを終わらせようと心に決めた。
(ルーナ様の口撃⋯⋯全員殺られる)
魂が抜けたジョーンズを局長と熊男が抱えてどこかに連れて行き、豪快な滝から流された後のようなジェイクと不安そうなエレーナは、ルーナと一緒に侯爵邸へ向かった。
「オバさんの事は取り敢えず内緒で、ポンコツは帳簿。アタシは屋敷の中でメイド達とお喋りでもするかな」
ミセス・ブラッツの目がない時のメイド達の態度を思い出し、エレーナは遠い目になった。
メイドは家政婦長の管理下にいる女性使用人だが、侍女は女主人が直接雇用し家政婦長の指示に従う必要はない。
女主人より格下の貴族令嬢が行儀見習いを兼ねていることもあるが、大半の侍女は女主人の転居にも同行する。
侍女の仕事は女主人の寝室での世話・衣装選び・着付け・髪結い・旅行の準備など多岐に渡る。外出に際しては、荷物の準備から様々な予約や手配も行い、同じ馬車に乗って移動する事が多い。
メイドと違いお仕着せを着る必要がなく、女主人より少し型落ちのドレスを着用するが、女主人のお下がりのドレスなどを貰うこともあり、それらを身につける事は『優秀な侍女だと認められている』証になった。
(侯爵家のメイド達は『侍女は雑用をしない』って言うルールを知っているのかしら。知らなければ、ルーナ様とのバトルは激化しそうだわ)
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