48 / 135
第四章
11. ルーナ最強説に1票
しおりを挟む
「さあさあエレーナ様、こっちに座って~。んで、先ずは食事だけどさあ、その間に色々と教えてね」
会ったばかりの時と同じ⋯⋯ヒョイっと無造作にエレーナの脇に手を入れ、問答無用で椅子に座らせスプーンを押し付け、さっさとその正面の席についたルーナは、左手にフォークを持ちながら右手の羽ペンをインクに浸した。
(素早い⋯⋯素早すぎて抵抗する隙がないわ)
瞬く間に食事の準備ができたエレーナの前には、柔らかく煮た野菜がたっぷり入ったスープが置いてある。
「ジョーンズとジェイクは適当に座って、食べたかったら食べてね。
あっ、変質者と熊男は後から来る予定。狼男が脱走しようとしてさ、捕獲しに行ったの。ほら、食べて食べて⋯⋯でね、手負いの狼男はマジでヤバいんだよ。でもまあ、メスを構えた変質者がドアの前で見張って、熊男が捕獲する、このコンビを抜けれるのはほとんどいないからね~。それでもダメなら腹黒の登場だね。あっ、これも美味しいよ? ほらほら、しっかり食べないと。ちっこいだけならアレだけど、栄養失調は見逃せないからね~。んで、傷はどことどこにある? 背中は血が出てるよね⋯⋯んで、それっていつから? やったのは誰?」
(やっぱ、叔父さんが最恐かぁ。うん、すっげえ分かる⋯⋯⋯⋯へっ? 傷? なんだそれは⋯⋯エレーナ様が怪我してるって事?)
ルーナの話を聞きながら、シチューを口にしようとしていたジェイクの右手が止まり、ギギギっと音を立てるように頭をエレーナの方に向けた。
「き、傷って? エレーナ様、あのぉ、傷ってなんすか? 栄養失調も気になってるんすけど、どこで怪我を? お、お、俺、全然気付いてなかったんすけどぉ!」
「ジェイク、お黙り! あんた執事のくせにさあ、おかしいと思わなかったわけ? こーんなちっこくって、こーんな細っこくって。パッサパサの髪とかギザギザの爪とかアカギレだらけの手とか破れたドロワーズとか」
「さ、最後のは流石に見れないっすよ。けど、他はその⋯⋯子供ってこんな感じなのかなぁとか。好き嫌いが多いと聞いて、ちょーっと心配はし「お・だ・ま・り!! んなわけねえだろうがよ、このクソ執事! へっぽこ執事! 抜け作執事! ボコボコにすんぞ⋯⋯ポキッ⋯⋯あ、折れた! 殺るならジェイクとあのオバさんを殺りたいのに~」」
どんどん口が悪くなっていくルーナは、手の中で真っ二つに折れた羽ペンを、喋り方が素に戻ったジェイクに向かって投げつけた。
「こんの、ボケナス執事め! 次はその腐った目にザックザックと突き刺してやるからな!
子供を虐待する奴も、放置する奴も大っ嫌いなんだよ! てめえは、禿頭の宦官にしてやる、覚悟しやがれっ!」
顔面に向かって真っ直ぐに飛んできたナイフをジェイクが見事にキャッチすると、別のカトラリーが後に続く。
(ジェイクも頑張ってるけど、ルーナさんの投擲テクが凄すぎるわ⋯⋯うん、このスープ凄く美味しい)
「ひっ! す、すんません、でも殺るのは勘弁で。禿頭は許して欲しいっすけど、宦官はわかんないっす。あっ、ミセス・ブラッツなら治験でも解剖でも宦官でもお好きにどうぞなんで」
「ジェイク、ミセス・ブラッツは確かにあまり女性らしくはないけどね、宦官にするのは無理よ?」
「⋯⋯ん? あっ、そういう事!? うわぁ、ルーナ様! 俺それだけはぁぁ」
椅子の上で前屈みの内股になったジェイクがルーナに向かって手を合わせた。
「エレーナ様は子供らしくないっすけど、子供扱いで大切にするっす⋯⋯これからはちゃんと見張っ⋯⋯お守りしますぅぅ」
騒ぎが一段落した後、ルーナの脅し⋯⋯問診でエレーナは日々の暮らしぶり洗いざらい吐かされ、ジェイクは驚愕で目を見開き、ジョーンズはナイフとフォークを持ったまま固まっていた。
「マジ!? そんなだったの!?⋯⋯あ、だって、でも⋯⋯ええぇぇぇ! ぜんっぜん気付いてませんでしたぁぁ!」
ジェイクが椅子から飛び降りて土下座しはじめた。家令のいない侯爵家で、最高責任者のジェイクには、女主人やその子供の世話は家政婦長の職務だと言い訳する事もできない。
「ジェイクが未熟者だと知っていながら、ミセス・ブラッツの報告書を読むだけで⋯⋯何も気付かずにいた私も同罪です。エレーナ様、申し訳ありません」
土下座したままのジェイクの頭をゲシゲシと踏みつけながら、頭を下げ謝罪しているジョーンズ⋯⋯泣いている甥を表情を変えず踏みつける叔父に一層の恐怖心が募る。
(今日初めて会ったけど、ジョーンズさんって過激なのね⋯⋯手加減はしてるみたいだけど、やっぱり止めるべき?)
「⋯⋯お、叔父さん⋯⋯グヘェ⋯⋯それ、やめてください。叔父さんのそれ⋯⋯ア、グウッ⋯⋯怖すぎですから⋯⋯ほんと⋯⋯ゲホッ⋯⋯ごめんなさいってばぁ」
時々強く蹴られるのか、ジェイクの言葉に変な呻き声が入るのが少し面白い。
「ジョーンズさん、そろそろやめた方が宜しいと思いますわ。ジェイクが使い物にならなくなっては、侯爵家に執事がいなくなって領地管理に支障が出てしまいます」
「失礼しました。エレーナ様への謝罪として、廃品回収に出す寸前くらいには殺っておこうかと思ったのですが⋯⋯今日はこの辺で止めておきます」
「いえ、先日マーカス様とお話しできたのも、信じてもらえたのもジェイクのお陰ですから、そのお礼という事で半分くらいで止めておいてくださいませ」
(あの時ジェイクがマーカス様に話をしてくれたから、アメリア様は怪我で済んだのだと思うの。わたくしはマーカス様に納得していただくことができなかったし、他に実現できそうな方法も見つけられていなかったもの)
「これをきっかけに、ニール様の計画やミセス・ブラッツの犯罪を摘発できるかもしれませんしね」
公国の宰相職をアメリアから仰せつかったジョーンズは、建国時からずっと他の誰よりも多忙を極めていた。
『主要な役職は古くから知っている者だけで固めるわ。それ以外の人なんて絶対に信用できないもの』
レイモンドやセレナの死とその後の顛末を知るジョーンズ達には、アメリアの気持ちがよく理解できた。
同じ思いを抱えるジョーンズ達は、その日から不眠不休で人材確保と育成に走り回り、他国から侮られないように、足を引っ張られないようにと法の整備や体制づくりに頭を悩ませた。
唯一の救いはオーレリアからの支援を、アメリアが僅かながら受け入れた事だろう。
現国王のエリオット・オルシーニはアメリアと幼い頃から交流があった為、人材受け入れは拒否するが相談や質問程度なら⋯⋯と譲歩した。
ジェイクは経験不足な面は残っているが物覚えは良く、侯爵領の管理運営には支障がないだろうとジョーンズが判断できる程度には育ってくれた。
『宮殿へは侯爵邸とタウンハウスで勤めていた使用人全てを連れて行くわ』
『侯爵家に残るのはニールだけだから、ジェイクの邪魔をする人なんていないもの。
屋敷には新しく使用人を雇って、公国を軌道に乗せるのを最優先にしましょう』
『確かに⋯⋯意思疎通のできる使用人達がいるのは助かります』
政務と官僚の育成に手を取られている今、宮殿の運営を安心して任せられる使用人は有難い⋯⋯と思ったジョーンズ達の最大の失敗だった。
長年一緒に働いている家政婦長のミセス・メイベルは、新しく雇われたミセス・ブラッツを不安視していたが、他の者達はそれほど気にしていなかった。
『経歴書は完璧ですが⋯⋯家政婦長としては、少し強引すぎるところが見受けられます。偏見と申しますか、考え方が自己中心的な気が致します』
『しばらく様子を見て、報告書や帳簿に不審な点があれば即座に解雇しましょう。屋敷は今の状態を維持するように言っておいたから、大丈夫だと思うの。他に適任がいないしね』
ミセス・ブラッツが虚偽の報告や横領をしているのは間違いないだろう。それに加え、彼女の暴言は宮殿医師に対する不敬罪に問えるかもしれない。どれか一つでも罪に問われれば、彼女は二度と侯爵家には戻って来れない。
(次の家政婦長がどんな人になるか分からないけれど、取り敢えずミセス・ブラッツからの横暴はなくなるわ。それに⋯⋯もしかしたらニール様に虐待される未来もなくなるかも)
「エレーナ様! 俺、エレーナ様に忠誠を誓わせていただきます! エレーナ様の現状に今まで気付かなかった事を償う為にも、永遠にお仕えさせて下さい!」
人より頭一つ高い背と広い肩幅、ダークブロンドと碧眼で、メイド達が騒ぎ立てる見た目の良さ。ポロポロと素が出るところも親しみが持てる⋯⋯ 直立不動のジェイクが右手を胸に当てて宣言した。
「お断りいたします。ジェイクは侯爵家の立派な執事になってくださいませ、応援しておりますわ」
当然のように却下したエレーナはにっこりと微笑んで、別の料理の乗った皿を引き寄せた。
(このお魚は何かしら⋯⋯うーん、スパイスが効いててすごく美味しいわ)
年齢の問題がある為いつになるかわからないが、できるだけ早く侯爵家を出ていきたいエレーナは、ひとりで掃除するのに困らない程度の小さな家に住みたいと思っている。
仮に資金に余裕があったとしても使用人を雇うつもりはなく、執事は勿論不要⋯⋯ジェイクでもそれ以外の人でも。
会ったばかりの時と同じ⋯⋯ヒョイっと無造作にエレーナの脇に手を入れ、問答無用で椅子に座らせスプーンを押し付け、さっさとその正面の席についたルーナは、左手にフォークを持ちながら右手の羽ペンをインクに浸した。
(素早い⋯⋯素早すぎて抵抗する隙がないわ)
瞬く間に食事の準備ができたエレーナの前には、柔らかく煮た野菜がたっぷり入ったスープが置いてある。
「ジョーンズとジェイクは適当に座って、食べたかったら食べてね。
あっ、変質者と熊男は後から来る予定。狼男が脱走しようとしてさ、捕獲しに行ったの。ほら、食べて食べて⋯⋯でね、手負いの狼男はマジでヤバいんだよ。でもまあ、メスを構えた変質者がドアの前で見張って、熊男が捕獲する、このコンビを抜けれるのはほとんどいないからね~。それでもダメなら腹黒の登場だね。あっ、これも美味しいよ? ほらほら、しっかり食べないと。ちっこいだけならアレだけど、栄養失調は見逃せないからね~。んで、傷はどことどこにある? 背中は血が出てるよね⋯⋯んで、それっていつから? やったのは誰?」
(やっぱ、叔父さんが最恐かぁ。うん、すっげえ分かる⋯⋯⋯⋯へっ? 傷? なんだそれは⋯⋯エレーナ様が怪我してるって事?)
ルーナの話を聞きながら、シチューを口にしようとしていたジェイクの右手が止まり、ギギギっと音を立てるように頭をエレーナの方に向けた。
「き、傷って? エレーナ様、あのぉ、傷ってなんすか? 栄養失調も気になってるんすけど、どこで怪我を? お、お、俺、全然気付いてなかったんすけどぉ!」
「ジェイク、お黙り! あんた執事のくせにさあ、おかしいと思わなかったわけ? こーんなちっこくって、こーんな細っこくって。パッサパサの髪とかギザギザの爪とかアカギレだらけの手とか破れたドロワーズとか」
「さ、最後のは流石に見れないっすよ。けど、他はその⋯⋯子供ってこんな感じなのかなぁとか。好き嫌いが多いと聞いて、ちょーっと心配はし「お・だ・ま・り!! んなわけねえだろうがよ、このクソ執事! へっぽこ執事! 抜け作執事! ボコボコにすんぞ⋯⋯ポキッ⋯⋯あ、折れた! 殺るならジェイクとあのオバさんを殺りたいのに~」」
どんどん口が悪くなっていくルーナは、手の中で真っ二つに折れた羽ペンを、喋り方が素に戻ったジェイクに向かって投げつけた。
「こんの、ボケナス執事め! 次はその腐った目にザックザックと突き刺してやるからな!
子供を虐待する奴も、放置する奴も大っ嫌いなんだよ! てめえは、禿頭の宦官にしてやる、覚悟しやがれっ!」
顔面に向かって真っ直ぐに飛んできたナイフをジェイクが見事にキャッチすると、別のカトラリーが後に続く。
(ジェイクも頑張ってるけど、ルーナさんの投擲テクが凄すぎるわ⋯⋯うん、このスープ凄く美味しい)
「ひっ! す、すんません、でも殺るのは勘弁で。禿頭は許して欲しいっすけど、宦官はわかんないっす。あっ、ミセス・ブラッツなら治験でも解剖でも宦官でもお好きにどうぞなんで」
「ジェイク、ミセス・ブラッツは確かにあまり女性らしくはないけどね、宦官にするのは無理よ?」
「⋯⋯ん? あっ、そういう事!? うわぁ、ルーナ様! 俺それだけはぁぁ」
椅子の上で前屈みの内股になったジェイクがルーナに向かって手を合わせた。
「エレーナ様は子供らしくないっすけど、子供扱いで大切にするっす⋯⋯これからはちゃんと見張っ⋯⋯お守りしますぅぅ」
騒ぎが一段落した後、ルーナの脅し⋯⋯問診でエレーナは日々の暮らしぶり洗いざらい吐かされ、ジェイクは驚愕で目を見開き、ジョーンズはナイフとフォークを持ったまま固まっていた。
「マジ!? そんなだったの!?⋯⋯あ、だって、でも⋯⋯ええぇぇぇ! ぜんっぜん気付いてませんでしたぁぁ!」
ジェイクが椅子から飛び降りて土下座しはじめた。家令のいない侯爵家で、最高責任者のジェイクには、女主人やその子供の世話は家政婦長の職務だと言い訳する事もできない。
「ジェイクが未熟者だと知っていながら、ミセス・ブラッツの報告書を読むだけで⋯⋯何も気付かずにいた私も同罪です。エレーナ様、申し訳ありません」
土下座したままのジェイクの頭をゲシゲシと踏みつけながら、頭を下げ謝罪しているジョーンズ⋯⋯泣いている甥を表情を変えず踏みつける叔父に一層の恐怖心が募る。
(今日初めて会ったけど、ジョーンズさんって過激なのね⋯⋯手加減はしてるみたいだけど、やっぱり止めるべき?)
「⋯⋯お、叔父さん⋯⋯グヘェ⋯⋯それ、やめてください。叔父さんのそれ⋯⋯ア、グウッ⋯⋯怖すぎですから⋯⋯ほんと⋯⋯ゲホッ⋯⋯ごめんなさいってばぁ」
時々強く蹴られるのか、ジェイクの言葉に変な呻き声が入るのが少し面白い。
「ジョーンズさん、そろそろやめた方が宜しいと思いますわ。ジェイクが使い物にならなくなっては、侯爵家に執事がいなくなって領地管理に支障が出てしまいます」
「失礼しました。エレーナ様への謝罪として、廃品回収に出す寸前くらいには殺っておこうかと思ったのですが⋯⋯今日はこの辺で止めておきます」
「いえ、先日マーカス様とお話しできたのも、信じてもらえたのもジェイクのお陰ですから、そのお礼という事で半分くらいで止めておいてくださいませ」
(あの時ジェイクがマーカス様に話をしてくれたから、アメリア様は怪我で済んだのだと思うの。わたくしはマーカス様に納得していただくことができなかったし、他に実現できそうな方法も見つけられていなかったもの)
「これをきっかけに、ニール様の計画やミセス・ブラッツの犯罪を摘発できるかもしれませんしね」
公国の宰相職をアメリアから仰せつかったジョーンズは、建国時からずっと他の誰よりも多忙を極めていた。
『主要な役職は古くから知っている者だけで固めるわ。それ以外の人なんて絶対に信用できないもの』
レイモンドやセレナの死とその後の顛末を知るジョーンズ達には、アメリアの気持ちがよく理解できた。
同じ思いを抱えるジョーンズ達は、その日から不眠不休で人材確保と育成に走り回り、他国から侮られないように、足を引っ張られないようにと法の整備や体制づくりに頭を悩ませた。
唯一の救いはオーレリアからの支援を、アメリアが僅かながら受け入れた事だろう。
現国王のエリオット・オルシーニはアメリアと幼い頃から交流があった為、人材受け入れは拒否するが相談や質問程度なら⋯⋯と譲歩した。
ジェイクは経験不足な面は残っているが物覚えは良く、侯爵領の管理運営には支障がないだろうとジョーンズが判断できる程度には育ってくれた。
『宮殿へは侯爵邸とタウンハウスで勤めていた使用人全てを連れて行くわ』
『侯爵家に残るのはニールだけだから、ジェイクの邪魔をする人なんていないもの。
屋敷には新しく使用人を雇って、公国を軌道に乗せるのを最優先にしましょう』
『確かに⋯⋯意思疎通のできる使用人達がいるのは助かります』
政務と官僚の育成に手を取られている今、宮殿の運営を安心して任せられる使用人は有難い⋯⋯と思ったジョーンズ達の最大の失敗だった。
長年一緒に働いている家政婦長のミセス・メイベルは、新しく雇われたミセス・ブラッツを不安視していたが、他の者達はそれほど気にしていなかった。
『経歴書は完璧ですが⋯⋯家政婦長としては、少し強引すぎるところが見受けられます。偏見と申しますか、考え方が自己中心的な気が致します』
『しばらく様子を見て、報告書や帳簿に不審な点があれば即座に解雇しましょう。屋敷は今の状態を維持するように言っておいたから、大丈夫だと思うの。他に適任がいないしね』
ミセス・ブラッツが虚偽の報告や横領をしているのは間違いないだろう。それに加え、彼女の暴言は宮殿医師に対する不敬罪に問えるかもしれない。どれか一つでも罪に問われれば、彼女は二度と侯爵家には戻って来れない。
(次の家政婦長がどんな人になるか分からないけれど、取り敢えずミセス・ブラッツからの横暴はなくなるわ。それに⋯⋯もしかしたらニール様に虐待される未来もなくなるかも)
「エレーナ様! 俺、エレーナ様に忠誠を誓わせていただきます! エレーナ様の現状に今まで気付かなかった事を償う為にも、永遠にお仕えさせて下さい!」
人より頭一つ高い背と広い肩幅、ダークブロンドと碧眼で、メイド達が騒ぎ立てる見た目の良さ。ポロポロと素が出るところも親しみが持てる⋯⋯ 直立不動のジェイクが右手を胸に当てて宣言した。
「お断りいたします。ジェイクは侯爵家の立派な執事になってくださいませ、応援しておりますわ」
当然のように却下したエレーナはにっこりと微笑んで、別の料理の乗った皿を引き寄せた。
(このお魚は何かしら⋯⋯うーん、スパイスが効いててすごく美味しいわ)
年齢の問題がある為いつになるかわからないが、できるだけ早く侯爵家を出ていきたいエレーナは、ひとりで掃除するのに困らない程度の小さな家に住みたいと思っている。
仮に資金に余裕があったとしても使用人を雇うつもりはなく、執事は勿論不要⋯⋯ジェイクでもそれ以外の人でも。
7
お気に入りに追加
1,076
あなたにおすすめの小説
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
【完結】結婚してから三年…私は使用人扱いされました。
仰木 あん
恋愛
子爵令嬢のジュリエッタ。
彼女には兄弟がおらず、伯爵家の次男、アルフレッドと結婚して幸せに暮らしていた。
しかし、結婚から二年して、ジュリエッタの父、オリビエが亡くなると、アルフレッドは段々と本性を表して、浮気を繰り返すようになる……
そんなところから始まるお話。
フィクションです。
【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
【完結】婚約破棄されたので、全力で応援することにしました。ふふっ、幸せになってくださいね。~真実の愛を貫く代償~
新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。
1作品数話(5000文字程度)の予定です。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
星名柚花
恋愛
魔法が使えない伯爵令嬢セレスティアには美しい双子の妹・イノーラがいる。
国一番の魔力を持つイノーラは我儘な暴君で、セレスティアから婚約者まで奪った。
「もう無理、もう耐えられない!!」
イノーラの結婚式に無理やり参列させられたセレスティアは逃亡を決意。
「セラ」という偽名を使い、遠く離れたロドリー王国で侍女として働き始めた。
そこでセラには唯一無二のとんでもない魔法が使えることが判明する。
猫になる魔法をかけられた女性不信のユリウス。
表情筋が死んでいるユリウスの弟ノエル。
溺愛してくる魔法使いのリュオン。
彼らと共に暮らしながら、幸せに満ちたセラの新しい日々が始まる――
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる