【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ

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第一章 お花畑の作り方

12.リディアとマクベス

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 しっかりとカーテンをかけた馬車の中は、鯨蝋で作られた蝋燭の明かりが揺れて影を作り、無表情のレイモンドの口元が少し強張っているのが見えた。

「ふふっ⋯⋯あの方のお顔、ご覧になった?」

「うん。プチどころか見事な『ざまぁ』だったな。何人かは帰り際にサムズアップしておられたから、アレは今頃王宮で暴れてるんじゃないかな?」

 招待客を真似たのか、レイモンドもサムズアップしてみせた。

(まさかアレがあそこまでやるとは思わなかった。セレナはさぞ怖い思いをしただろうに⋯⋯)

 セレナの成功に水を差さないようにと、無理に笑ったレイモンドの頬を、セレナが軽くつまんだ。

「そんなに気にしないで。わたくしがお願いしたんだもの、レイのせいじゃないわ」

 セレナが傷つけられた時の事を思い出しているらしく、レイモンドの眉間に皺が寄ると、セレナが小さく溜め息を吐いた。

「あの程度、昔のアメリアの悪戯に比べたら可愛いもんだわ」

 幼い頃のアメリアは野生児のようで、屋根の上でお昼寝したり裸馬に乗ったり。階段の手すりから滑り降りてきたアメリアを捕まえて、お尻を叩いたのは数え切れない。

「アレがあそこまでやるなんて思わなくて⋯⋯俺の予測が甘かったせいで、セレナがあん「漸く自分の手でお仕置きができて喜んでるの。レイがそんなじゃ全然楽しめないわ」」

「⋯⋯そうだな。うん、すまん。でもな、セレナに任せると約束した時の自分に、蹴りを入れてやりたい気持ちは変わらん」

「前回はわたくしの出番がなかったでしょう? リディを傷付けた輩に、この手で一矢報いてやりたかったの。レイが我慢してくださったお陰で少し気が晴れたわ。16年分の利子付きで返せたかしら?」

「ああ、この話が社交界に広まれば、セレナと同じ思いをした方々の溜飲も下がること間違いなしだ」

「レイからのプレゼントを使わずに、別のアクセサリーにしようかとも思ったの。わざと奪わせて犯罪者にすればって。それか、無理矢理王宮に連れて行かれるとか⋯⋯。
でも、その程度じゃ王国からも王宮からも追い出せない。
今回の件なんて、ほんの少しでも気が晴れたって思ってくださる方がいれば、ラッキーってくらいだから⋯⋯」

 あまり役に立たないとしょげるセレナの肩を、レイモンドが抱きしめた。

「尊敬し大切に思う夫ってフレーズで、俺は天まで舞い上がってるんだが?」



 エロイーズから肩書きを奪い、王国から追い出すか、幽閉できるだけの証拠を手に入れようとしているが、エロイーズの周りのガードが固く上手くいかないでいる。

「特に宰相と法務大臣が邪魔なんだよな。アレが国庫に手をつけてるのは間違いないのに、財務大臣のところまで上がってくる前に、証拠を全部握り潰してやがる。
横領は間違いないしやり方も分かってるが、決定的な証拠がいまだに掴めん。クソ忌々しい」



「修道院に行くしかないと泣き暮らしていた頃のリディに、さっきのあの方の顔を見せてやりたいわ」

「リディは見た目と違って気が強いから『私もやりたかった』とか言いそうだな。さて、用事は終わったし。明日はどうする? 久しぶりに王都見物でもするか?」

「いいえ、久しぶりにリディに会いたいわ。それに、レイの硬いお尻を蹴るならアメリアが適任だしね」

「う、それは⋯⋯アメリアは手加減なしだから、ちょっと遠慮したいと言うか。気持ちだけで十分かな」



 後日、王家から謝罪の手紙が届いた。エロイーズは心から反省しており、セレナに直接会って謝罪したいと話していると言う。

「懲りてないのね。あの方のことだもの、顔なんて見たらまた、何をしでかすか分からないわ」

「なんとかは一生ものだからな。ほら、死ななきゃ治んないっていう不治の病⋯⋯あれに罹ってるから。いっその事幽閉するか、断罪するか出来れば良いんだがなあ」

「レイの話だと、今の皇太子が即位した後ならなんとかなりそうじゃないかしら」

「そうだな、それまでアレが我が家に関わらないでいてくれる事を祈るしかない」

 盛大なるフラグを立てたレイモンド。次なる戦いが勃発。

 次こそ仕留め切れるか!? 乞うご期待。




◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇

『兄様、王家と帝国から睨まれ、領民に迷惑をかけたわたくしを廃籍して下さいませ。ビルワーツ侯爵家にも領民にも、これ以上ご迷惑はかけられません』

 婚約破棄された上に、事実無根の悪評を流されたリディアは、修道院に行くか命を断つしかないと思い詰めていた。

 数ヶ月の説得が実り、リディアが身を寄せたのは侯爵兄妹の母の実家がある、魔法大国オーレリア。アルムヘイル王国から馬車で一月もかかるその国は、強力な魔法を使える魔導師が国を支え、魔導具の作成にも力を入れている。

 この国をリディアに勧めたのは、近隣諸国からの圧力に屈しない事と、母の実家からの熱烈なアピールがあったから。

 突然侯爵家に乗り込んできた祖母は挨拶もそこそこに、リディアの部屋を強襲した。

『あんなクソが治めているこの国など捨てておしまいなさい⋯⋯さあさあ、これから先泣くのは嬉し涙だけにしましょう。私の可愛いリディには、笑顔が一番似合うんだから。
こんなに素晴らしいリディと、一緒に暮らせたら最高だわ』

 祖母と一緒にやって来た祖父も同意見のようで、しきりに首を縦に振っていた。

『たかが帝国の戦狂いと売女に、ワシの孫を傷つける勇気があったとは思いもせなんだ。武力しか脳のない帝国が、唯一恐れている国でゆっくりと過ごして、彼奴らが自滅するのを高みの見物をするもよし、叩き潰すもよしじゃ』



 リディアが祖父母の家に引っ越す日、妹の幼馴染がトランクを抱えて屋敷にやって来た。

『時間がかかってしまいましたが、父上に廃嫡の手続きをしていただいてから参りました。これからは俺がリディアを守るお許しをいただきたい』

 オーレリアに渡ったリディアは数年後、幼馴染と結婚し2人の子供に恵まれ、幸せに暮らしている。




◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇

 建国当時は鉱山をいくつも所有し、鉱物と森林資源を主な税収としていたアルフヘイル王国。

 マクベス王から数えて六代前の王の時代、カーヴィング等の細工の入った家具が大流行しはじめた。オークよりも硬く加工に適したウォルナットの需要が高くなり、輸出以外にも繊細な細工をする家具職人を育てはじめ、手先の器用な職人達が作る精巧な家具は、時代の波に乗り有名になっていった。

 国王が逝去したタイミングで、北の国境を接するクレベルン王国からの侵略を受けて大敗し、領地の一部を失い国力が低下。

 ビルワーツ侯爵家を筆頭に、多くの貴族が多額の資金を援助し、戦禍に見舞われた領地の復興がはじまり、国は立ち直りはじめたかに見えたが⋯⋯。

『戦に備えよ!』

『国を守る為、兵の訓練を強化せよ』

 軍備を整えて領地を取り戻すべきだと言う気運が高まり、兵器の購入や兵士の増員・戦闘力の増強に、多額の資金が投入された。

 それを可能にしたのは、貴族達から集められていた寄付や支援金、貸付金と強引な採掘による鉱石。

『軍備に利用するなら二度と支援はしない』

 戦争反対を唱えたビルワーツ侯爵達は議会で宣言したが、国の方針は変わらなかった。

 それどころか、鉱山労働者の不足を補う為の強制労働と徴兵がはじまり、産業は停滞し貧しい者はより貧しく、老人や幼い子供は行き先を失っていった。

 過酷な労働で人的ミスが増え、安全を軽視した坑道では崩落事故が多発し、税収は激減し補償問題を抱え⋯⋯それでも軍備増強を諦めない代々の王と国王派の者達。

『国の危機を知りながら、高みの見物か!』

『目処は立っている。今を乗り切る資金さえあれば、国は建て直せるんだ』


『民のために使うと約束していただけないならば、支援などできかねる!』



 戦争推進を唱える国王派が議会を牛耳り、戦争反対を唱えた貴族派は、領地へ引き上げはじめた。

 国は荒れ果てスラムは広がるばかり。寂れた商人街には空き家が目立ち、残っている商店はドアを固く閉め、客を見定めてからドアを開ける。スリやひったくりが横行し、野盗に怯えて寝ずの番をする。

 乾き切った畑はひび割れて、行き場をなくした者達は雑草を口にし、行き倒れは埋葬される事なく穴に放り込まれた。

 貴族街では各屋敷の前に屈強な護衛が立ち、民の税で昔ながらの生活を続け、社交に明け暮れ⋯⋯。

『貴族派のせいで国が⋯⋯』

『大局を見ることもできぬ輩達が⋯⋯』



 マクベスの祖父王の代で、漸く国の現状に目を向けはじめた。マクベス国王の父は⋯⋯。

『過ちては則ち改むるに憚ること勿れ』

『議会の流れを変えねばならん⋯⋯』

『ビルワーツ侯爵領や他国に学ぶべき』

 国の建て直しに心血を注ぎ、国の建て直しに奔走していた国王が体調を崩しはじめたのは、マクベスが12歳の頃。

 マクベスと当時の婚約者リディアは、父王の政務を手伝いながら、時間を作っては図書館に向かった。

『ソールベリーで開発された技術なんだけど⋯⋯』

『ウォーレンシアで起きた災害の復興で行った政策が⋯⋯』

『ビルワーツ侯爵領で取り入れた掘削方法は⋯⋯』

 かつて、病弱の国王を支えながら切磋琢磨する若い二人は、王国の希望の星だった。







『マクベスよ、今からでもできることは必ず見つかる。知識を蓄え己を信じるのだ。曇りない眼を開き、その時までひたすら己を磨き続けよ。
其方が諦めねば、可能性は必ず残っておるのだから⋯⋯』

 マクベスの人生は順調満帆な時代の方が少なかったが、幼い頃の記憶と父の最後の言葉を胸に立ち上がるまであと少し。

(リディアは私の事を今でも恨んでいるかな⋯⋯どうか、幸せに。昔二人で話した国を目指すから)

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