24 / 135
第二章 育ったお花から採れた種
11.次の問題発生、今度はもしかして解決不可能?
しおりを挟む
「あの⋯⋯正直に申し上げて宜しいでしょうか? ジュリエッタ様についてでございます」
少し離れた場所で話を聞いていた侍女長が、小さく手を上げた。
「皆も分かっていると思うが時間もなければ金もない今、例えどんな内容であっても、事実を知るところからはじめなければならない。忖度などする余裕はないと言ったところだな。
ここにいる者達の中でジュリエッタ嬢の事は、侍女長が一番詳しいのだから、この二ヶ月で見知った事を全て忌憚なく話してくれ」
マクベスの言葉に安心した侍女長は、しっかりと一礼してから話しはじめた。
「ありがとうございます。ジュリエッタ様は現在ランドルフ王太子殿下のお客様として滞在しておられますが、すでに王太子妃だと思っておられるようです。
身分に相応しいドレスやアクセサリーなどを準備するようにと、毎日のように仰られますし、王都で最高級の仕立て屋と貴族御用達の宝石商を呼ぶようにと、メイド達に命令されます。
食事の内容や茶菓子に至るまでお気に召していただけず⋯⋯リネン類は総入換しましたが、お部屋の移動や家具の入れ替えはお断り致しております。
少しでもお気に召さないことがあると、使用人達に手を出したり物が飛んできますので、怪我人も出ており、メイド達は担当を変えて欲しいと言っております。
それ以上に問題なのは⋯⋯ジュリエッタ様が王太子妃教育をおはじめになられる時は、その前に淑女教育の初級からはじめねばならないでしょう」
侍女長の前に、あんぐりと口を開けた間抜けな顔が並んだ。ジュリエッタは数日監禁された日以外は、常に王太子と一緒にいる。
「ラ、ランドルフは何をしておるのだ!?」
「一緒になってメイド達に抗議をしておられます。と申しましても、ジュリエッタ様は王太子殿下の前ではかなり態度が変わられますので、手が出る事はございませんし、口調も令嬢らしくなられます」
それはつまり、男の前では可愛らしく本性を隠し、影では言いたい放題やり放題の女狐タイプ⋯⋯。
「エロイーズは悪逆非道を貫く暴君で、メアリーは凶暴化した野生の猿。ジュリエッタは⋯⋯擬態した令嬢か詐欺師と言うことか⋯⋯最悪だ」
淑女教育の初級と言えば、殆どの貴族の家庭で5歳か6歳ではじめるもの。立ち方や歩き方からはじまり、座り方とカーテシーや言葉遣いから学ぶ。
「それほどまで酷いのですか?」
ランドルフとジュリエッタが、天気のいい日に庭でお茶会をするのは見慣れた光景になっている。
天使のような笑顔を浮かべ、優しそうな声で囁くように話すジュリエッタしかイメージになかったデクスターが首を傾げた。
「そう言えば⋯⋯ジュリエッタ嬢が笑顔でお礼を言っているのに、メイド達の顔が引き攣ってるなぁと思った事があります。人数を減らされて忙しいせいだとばかり⋯⋯」
「デクスター様、客人の前で不満を態度に出すような使用人は、殆どクビになっており、残っている者達は忙しい中でも最善を尽くそうと、頑張っている者達ばかりです。顔に出てしまったのは反省するところではありますが⋯⋯。
周りの目がある時とない時の、ジュリエッタ様の態度に乖離が大きすぎて、わたくしでも驚いて挙動不審になりかけたことが何回もございます」
目を吊り上げてメイドを殴りつけた直後に、ランドルフの気配を察知してシナを作り⋯⋯。
『あぁ、なんて酷いの! メイドがどこかで顔をぶつけたみたいなの。助けてあげてくださる?』
淹れたての紅茶の入ったカップをメイドに投げつけて罵声を浴びせた直後、デクスターを見つけて⋯⋯。
『この子、手が滑ったみたいで⋯⋯火傷してないかしら。可哀想に疲れ過ぎてるのね」
ポロリと涙を流す追加演技は標準装備で、男性に向かってしなだれかかる動きはオートで起動する。
「ジュリエッタ嬢は笑顔の間に、結構エグい目をする時があるからね。気付かれていないと思ってるみたいだが、ちょくちょく見かけるよ。デクスターは女を見る目がないなぁ」
「それ、王太子に言ってません? アメリア嬢を捨ててジュリエッタ嬢とか⋯⋯俺からしたらどんな罰ゲームかって感じですよ」
宰相のマーチャント伯爵が揶揄うと、デクスターが禁断の一言を口にした。
この口の悪さで、良く外国との交渉ができていたものだと感心するが、『正直でいい⋯⋯気に入った!』となるのだから人の心は奥が深い。デクスター自身は人徳ですねと開き直っている。
「良く見積もっても、平民と入学前の低位貴族の間くらいでしょう。引き受けてくださる方がおられるのかは分かりませんが、メアリー様とご一緒で構わないとジュリエッタ様が仰られるのであれば、家庭教師は一人分の費用で済むかもしれません。
引き受けてくれる方がおられるかどうかという問題はございますが(大事な事なので2回言っておきます) 」
癇癪を起こして突き飛ばしたり、お茶をかけてクビにするのを繰り返してきたメアリーには、現在家庭教師がいない⋯⋯頼んでも誰も引き受けてくれない。
「あぁ、メアリーの問題もあったな。財政問題より頭の痛い奴が増殖しているなんて⋯⋯」
メアリー王女達と初めて一緒に食事をした夜、驚きすぎて目が点になったのを思い出したマクベスは頭を抱えた。
ギギッと椅子を引く音、カチャカチャと食器の音、ズズっと音を立ててスープを飲む音、くちゃくちゃとものを噛む音 ⋯⋯実に騒がしかった。
その上、口にものが入ったまま平気で話し、嫌いな料理が出てきたと言ってメイドを叱りつけ、気に入ったものはおかわりを持ってこさせる。
「もしかして⋯⋯いや、もしかしなくても⋯⋯食堂にやって来た時にカーテシーをしなかったのは、作法を知らなかったからか?」
「知らないと言うより、やる必要がないので覚える気にならないと言ったご様子です。ランドルフ様やご友人と市井に行かれるのがお好きで、平民の言葉遣いの中でも、特にくだけた話し方がお気に入りのようです」
この部屋にいるのはマクベス・侍従長・侍女長・全大臣・最高裁判所長官。外務大臣から宰相に取り立てられたマーチャント伯爵、側近のひとりに抜擢されたデクスター子爵という錚々たるメンバー。
全員揃って大きな溜め息を吐いた。
「もしかしてだが⋯⋯本当は聞きたくないが⋯⋯ランドルフも?」
「それほど大差ないと思います。少し前、コーヒーテーブルには足を乗せないよう注意させていただきました」
これは侍従長の言葉。先代の王に仕えていたが、エロイーズの勘気を被りクビになっていたのを、マクベスが頭を下げて呼び戻した。
「だよな⋯⋯食事のマナーはメアリーと同じ。王太子教育どころかランドルフも初級からか。夏には王立学園の入学試験が待っていると言うのに、試験に落ちる未来しか見えてこん。この状況では廃嫡してやった方が幸せになりそうな気がしてきた」
「ご安心下さい。現在の学園では試験結果はクラス分けに使うのみ。名前を書くことさえできればどのような点を取っても、入学できるようになりましたので」
「な、名前は流石に書ける⋯⋯よな?」
ランドルフの綴りは『Randolph』
「phをfと書かれることはございますね。因みにメアリー様の名前の綴りはMaryでございますが、Mearyと書くのがお気に入りです。eの形がお好きだそうで」
侍従長の真顔が怖い。
家庭教師から逃げ回ってばかりで、貴族の特権を利用することだけを覚えているランドルフとメアリーが、市井で生きていけるはずもないが、婿や嫁に出してもプライドの高い二人は恥をかくばかりだろう。
持参金もなく問題ばかりの二人では、引き取り手もなさそう⋯⋯。
「市井に放てば揉め事を起こす危険がございますが、大金を払いさえれば引き受けてくれる修道院はございます」
「⋯⋯うっ、それは最後の手段にとっておこう。デクスター、ランドルフには試験に向けて勉強するように伝えてくれ。メアリーには、初級の教本を渡して覚えるように伝えろ。
で、目下の問題はジュリエッタだったな。ジュリエッタは婚約者がいたはずだが、それはどうなってる?」
「夜会当日に婚約者様が両親と共に子爵家を訪れ、その場で本人不在のまま婚約解消となっております」
本来ならジュリエッタ有責で婚約破棄になるはずだが、相手側の忖度があり婚約解消で良いと言ってもらえたらしい。
王太子様の願いを叶える為ならばと言われたそうだが、婚約者達の行動の素早さからして⋯⋯不良債権を押し付ける先が見つかって大喜びし、すぐさま行動を起こした気がしてきた。
「あれだけの騒ぎを起こしたのだから切り捨てるわけにはいかんが⋯⋯この度の子は相続権を持たないからまだしも⋯⋯このままというわけにはいくまい。
ランドルフの現状を考えると、王位につけるのは危険すぎるし、しかもジュリエッタがその様子では⋯⋯王妃になった途端エロイーズJr.となりかねんな」
王家の血を持つ令嬢を娶とり、子供を作ることができれば⋯⋯その子を次の王位につければランドルフの托卵問題は解決する。
「ジュリエッタを婚約者候補にして時間を稼ぎ、真面な令嬢を探して王太子妃にできれば⋯⋯」
最高なのは⋯⋯王家の血を持ち高位貴族令嬢としての教養と品性、後ろ盾になれるだけの財力がある令嬢。その令嬢が産んだ子を次期王にする。
それがダメなら⋯⋯王家の血か財力のどちらかを持ち、高位貴族令嬢としての教養と品性を持つ令嬢の子供を次期王に。
最低でも⋯⋯高位貴族令嬢としての教養と品性を持つ令嬢の子供を、次期王にしなければ国は終わる。
いや、高位貴族でなくても構わない。それ相応の教養と真面な品性があれば⋯⋯。
「大勢の前であんな醜態を晒したランドルフを引き受けてくれる⋯⋯果たしてそんな奇特な令嬢がいるだろうか」
少し離れた場所で話を聞いていた侍女長が、小さく手を上げた。
「皆も分かっていると思うが時間もなければ金もない今、例えどんな内容であっても、事実を知るところからはじめなければならない。忖度などする余裕はないと言ったところだな。
ここにいる者達の中でジュリエッタ嬢の事は、侍女長が一番詳しいのだから、この二ヶ月で見知った事を全て忌憚なく話してくれ」
マクベスの言葉に安心した侍女長は、しっかりと一礼してから話しはじめた。
「ありがとうございます。ジュリエッタ様は現在ランドルフ王太子殿下のお客様として滞在しておられますが、すでに王太子妃だと思っておられるようです。
身分に相応しいドレスやアクセサリーなどを準備するようにと、毎日のように仰られますし、王都で最高級の仕立て屋と貴族御用達の宝石商を呼ぶようにと、メイド達に命令されます。
食事の内容や茶菓子に至るまでお気に召していただけず⋯⋯リネン類は総入換しましたが、お部屋の移動や家具の入れ替えはお断り致しております。
少しでもお気に召さないことがあると、使用人達に手を出したり物が飛んできますので、怪我人も出ており、メイド達は担当を変えて欲しいと言っております。
それ以上に問題なのは⋯⋯ジュリエッタ様が王太子妃教育をおはじめになられる時は、その前に淑女教育の初級からはじめねばならないでしょう」
侍女長の前に、あんぐりと口を開けた間抜けな顔が並んだ。ジュリエッタは数日監禁された日以外は、常に王太子と一緒にいる。
「ラ、ランドルフは何をしておるのだ!?」
「一緒になってメイド達に抗議をしておられます。と申しましても、ジュリエッタ様は王太子殿下の前ではかなり態度が変わられますので、手が出る事はございませんし、口調も令嬢らしくなられます」
それはつまり、男の前では可愛らしく本性を隠し、影では言いたい放題やり放題の女狐タイプ⋯⋯。
「エロイーズは悪逆非道を貫く暴君で、メアリーは凶暴化した野生の猿。ジュリエッタは⋯⋯擬態した令嬢か詐欺師と言うことか⋯⋯最悪だ」
淑女教育の初級と言えば、殆どの貴族の家庭で5歳か6歳ではじめるもの。立ち方や歩き方からはじまり、座り方とカーテシーや言葉遣いから学ぶ。
「それほどまで酷いのですか?」
ランドルフとジュリエッタが、天気のいい日に庭でお茶会をするのは見慣れた光景になっている。
天使のような笑顔を浮かべ、優しそうな声で囁くように話すジュリエッタしかイメージになかったデクスターが首を傾げた。
「そう言えば⋯⋯ジュリエッタ嬢が笑顔でお礼を言っているのに、メイド達の顔が引き攣ってるなぁと思った事があります。人数を減らされて忙しいせいだとばかり⋯⋯」
「デクスター様、客人の前で不満を態度に出すような使用人は、殆どクビになっており、残っている者達は忙しい中でも最善を尽くそうと、頑張っている者達ばかりです。顔に出てしまったのは反省するところではありますが⋯⋯。
周りの目がある時とない時の、ジュリエッタ様の態度に乖離が大きすぎて、わたくしでも驚いて挙動不審になりかけたことが何回もございます」
目を吊り上げてメイドを殴りつけた直後に、ランドルフの気配を察知してシナを作り⋯⋯。
『あぁ、なんて酷いの! メイドがどこかで顔をぶつけたみたいなの。助けてあげてくださる?』
淹れたての紅茶の入ったカップをメイドに投げつけて罵声を浴びせた直後、デクスターを見つけて⋯⋯。
『この子、手が滑ったみたいで⋯⋯火傷してないかしら。可哀想に疲れ過ぎてるのね」
ポロリと涙を流す追加演技は標準装備で、男性に向かってしなだれかかる動きはオートで起動する。
「ジュリエッタ嬢は笑顔の間に、結構エグい目をする時があるからね。気付かれていないと思ってるみたいだが、ちょくちょく見かけるよ。デクスターは女を見る目がないなぁ」
「それ、王太子に言ってません? アメリア嬢を捨ててジュリエッタ嬢とか⋯⋯俺からしたらどんな罰ゲームかって感じですよ」
宰相のマーチャント伯爵が揶揄うと、デクスターが禁断の一言を口にした。
この口の悪さで、良く外国との交渉ができていたものだと感心するが、『正直でいい⋯⋯気に入った!』となるのだから人の心は奥が深い。デクスター自身は人徳ですねと開き直っている。
「良く見積もっても、平民と入学前の低位貴族の間くらいでしょう。引き受けてくださる方がおられるのかは分かりませんが、メアリー様とご一緒で構わないとジュリエッタ様が仰られるのであれば、家庭教師は一人分の費用で済むかもしれません。
引き受けてくれる方がおられるかどうかという問題はございますが(大事な事なので2回言っておきます) 」
癇癪を起こして突き飛ばしたり、お茶をかけてクビにするのを繰り返してきたメアリーには、現在家庭教師がいない⋯⋯頼んでも誰も引き受けてくれない。
「あぁ、メアリーの問題もあったな。財政問題より頭の痛い奴が増殖しているなんて⋯⋯」
メアリー王女達と初めて一緒に食事をした夜、驚きすぎて目が点になったのを思い出したマクベスは頭を抱えた。
ギギッと椅子を引く音、カチャカチャと食器の音、ズズっと音を立ててスープを飲む音、くちゃくちゃとものを噛む音 ⋯⋯実に騒がしかった。
その上、口にものが入ったまま平気で話し、嫌いな料理が出てきたと言ってメイドを叱りつけ、気に入ったものはおかわりを持ってこさせる。
「もしかして⋯⋯いや、もしかしなくても⋯⋯食堂にやって来た時にカーテシーをしなかったのは、作法を知らなかったからか?」
「知らないと言うより、やる必要がないので覚える気にならないと言ったご様子です。ランドルフ様やご友人と市井に行かれるのがお好きで、平民の言葉遣いの中でも、特にくだけた話し方がお気に入りのようです」
この部屋にいるのはマクベス・侍従長・侍女長・全大臣・最高裁判所長官。外務大臣から宰相に取り立てられたマーチャント伯爵、側近のひとりに抜擢されたデクスター子爵という錚々たるメンバー。
全員揃って大きな溜め息を吐いた。
「もしかしてだが⋯⋯本当は聞きたくないが⋯⋯ランドルフも?」
「それほど大差ないと思います。少し前、コーヒーテーブルには足を乗せないよう注意させていただきました」
これは侍従長の言葉。先代の王に仕えていたが、エロイーズの勘気を被りクビになっていたのを、マクベスが頭を下げて呼び戻した。
「だよな⋯⋯食事のマナーはメアリーと同じ。王太子教育どころかランドルフも初級からか。夏には王立学園の入学試験が待っていると言うのに、試験に落ちる未来しか見えてこん。この状況では廃嫡してやった方が幸せになりそうな気がしてきた」
「ご安心下さい。現在の学園では試験結果はクラス分けに使うのみ。名前を書くことさえできればどのような点を取っても、入学できるようになりましたので」
「な、名前は流石に書ける⋯⋯よな?」
ランドルフの綴りは『Randolph』
「phをfと書かれることはございますね。因みにメアリー様の名前の綴りはMaryでございますが、Mearyと書くのがお気に入りです。eの形がお好きだそうで」
侍従長の真顔が怖い。
家庭教師から逃げ回ってばかりで、貴族の特権を利用することだけを覚えているランドルフとメアリーが、市井で生きていけるはずもないが、婿や嫁に出してもプライドの高い二人は恥をかくばかりだろう。
持参金もなく問題ばかりの二人では、引き取り手もなさそう⋯⋯。
「市井に放てば揉め事を起こす危険がございますが、大金を払いさえれば引き受けてくれる修道院はございます」
「⋯⋯うっ、それは最後の手段にとっておこう。デクスター、ランドルフには試験に向けて勉強するように伝えてくれ。メアリーには、初級の教本を渡して覚えるように伝えろ。
で、目下の問題はジュリエッタだったな。ジュリエッタは婚約者がいたはずだが、それはどうなってる?」
「夜会当日に婚約者様が両親と共に子爵家を訪れ、その場で本人不在のまま婚約解消となっております」
本来ならジュリエッタ有責で婚約破棄になるはずだが、相手側の忖度があり婚約解消で良いと言ってもらえたらしい。
王太子様の願いを叶える為ならばと言われたそうだが、婚約者達の行動の素早さからして⋯⋯不良債権を押し付ける先が見つかって大喜びし、すぐさま行動を起こした気がしてきた。
「あれだけの騒ぎを起こしたのだから切り捨てるわけにはいかんが⋯⋯この度の子は相続権を持たないからまだしも⋯⋯このままというわけにはいくまい。
ランドルフの現状を考えると、王位につけるのは危険すぎるし、しかもジュリエッタがその様子では⋯⋯王妃になった途端エロイーズJr.となりかねんな」
王家の血を持つ令嬢を娶とり、子供を作ることができれば⋯⋯その子を次の王位につければランドルフの托卵問題は解決する。
「ジュリエッタを婚約者候補にして時間を稼ぎ、真面な令嬢を探して王太子妃にできれば⋯⋯」
最高なのは⋯⋯王家の血を持ち高位貴族令嬢としての教養と品性、後ろ盾になれるだけの財力がある令嬢。その令嬢が産んだ子を次期王にする。
それがダメなら⋯⋯王家の血か財力のどちらかを持ち、高位貴族令嬢としての教養と品性を持つ令嬢の子供を次期王に。
最低でも⋯⋯高位貴族令嬢としての教養と品性を持つ令嬢の子供を、次期王にしなければ国は終わる。
いや、高位貴族でなくても構わない。それ相応の教養と真面な品性があれば⋯⋯。
「大勢の前であんな醜態を晒したランドルフを引き受けてくれる⋯⋯果たしてそんな奇特な令嬢がいるだろうか」
12
お気に入りに追加
1,084
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる