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第一章 お花畑の作り方

02.お花をせっせと育てた次なる悪魔

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 祖母と同時にエドワードの情緒に大きく影響したのは勿論⋯⋯両親で、彼等がエドワードの恋愛観・結婚観・人生観を形作っていった。

 エドワードの両親は近隣諸国にも有名になった熱烈な恋愛結婚で、これこそが真実の愛だと言う者と、これ以上恥晒しな婚姻はないと言う者⋯⋯意見は人によって様々だが、他国の王まで巻き込んだ一連の出来事は、少なくとも『これ以上話題性のある婚姻はない』だろうと言われている。

 エロイーズのしでかした婚姻騒動は『口にすれば呪われる』『藪を突くのは自殺行為』だと言われ(表立っては)話のネタには上がらない。

 そしてあれに比べれば『ランドルフの話だけならギリセーフ』だとなっている位の騒動だったが、エドワード達にはその上澄⋯⋯子供に聞かせても問題ないと思われる部分だけが教えられた。

 エドワードの父が王太子だった頃、夜会で出会ったジュリエッタ嬢と電撃結婚を果たした二人は、今でも熱愛続行中⋯⋯嘘ではないが事実かと問われると悩ましい。

 エドワードと妹のアデルが知っているのはこの部分のみ。



『一目会った時にすぐに解ったんだ。ジュリエッタが魂の片割れだと』

『あの時はね、片時も離したくないって思ったんだ。そうしたら、天上におられる司法の神暴虐の魔女・エロイーズから、離さなくていいよって言う声が聞こえたんだ』

『ジュリエッタはね、エドワードとアデルと言う天使まで与えてくれた僕の女神なんだ』

『僕が国王となるべく生まれたのは、ジュリエッタを幸せにする為なんだ』



 母のジュリエッタは低位貴族の娘だったが、その当時から今も変わらない美しさを保ち、傾国の美女と讃えられている。

 10代の令嬢達と遜色ない愛らしさに加えて、子供がいるとは思えないスタイル。天使と見紛う微笑みに、年齢性別を問わず魅了される。

 精霊の加護を受けたかの如く輝く淡いピンクブロンドと、女神の煌めきに等しい澄んだ碧眼。鈴を鳴らしたような魅惑の声がこぼれ落ちる可憐な唇。

 母は全てが完璧で、多くの令嬢の中から母上を見つけ出した父も、凄い人だと信じてエドワードは育った。

『お茶をするのも演劇に行くのもいつも一緒だし、商人を呼んだ時も仲良くお互いの物を選んでる。いつ見ても楽しそうにお喋りしてて、僕まで幸せな気持ちになるんだ。
母上のような素晴らしい女の子を見つけて妃にする!』

 国王だよね? 国の王が毎日優雅に遊び暮らすってアリなの? と言う声はエドワードには届かない。

 執務をしているのは官僚達だけ、外交に出かけるのも大臣達だけ⋯⋯うふふといちゃつき、きゃきゃきゃと遊び呆け、ウハウハと買い物をし続ける両親しか見たことがないエドワード達の目には『あれが正しい国王の暮らし』だと刷り込まれていった。

 疑問が湧かないのは、幼さ故か間違った教育の賜物か。



 エドワードの将来の夢(本人的には確定している予定)は⋯⋯。

【曽祖父のようなかっこいい男になり、愚王である伯祖父を倒してアルムヘイル皇帝として君臨する。
その横に立つのは、自力で見つけた『真実の愛』で結ばれた、この世の誰よりも美しい妃。
職務に忠実な家臣を従えて、僕は妃への愛に生きる!】

 万能感に満たされた幼児の読む絵本か、めでたしめでたしで終わる物語の中なら許される⋯⋯奇想天外な妄想を信じ抜く心の強さを持つエドワード。

 百人いれば百人が『ないない』と首を横に振る予定だが、叶って当然だと信じ続けている。

 脳内をお花畑で埋め尽くすだけでは飽き足らず、溢れ出した花びらが降り積もり、全身を埋め尽くしている感が否めないが、祖母と言う毒花が曽祖父と言う毒薬を混ぜ込んだ土を運び入れ、両親という雑草を肥料に育ったエドワードの花畑。そこに咲くのがどんな花になるのか⋯⋯。





 ところで、エドワードの両親が何をやらかしたのかと言うと⋯⋯。

 エドワードの父ランドルフが、王太子だった頃に開催された夜会でのこと。

 近隣諸国の王侯貴族も参列し華やかに開催された夜会のメインは、ランドルフ王太子の婚約発表だと大々的に発表されていた。

 派手に飾り付けられた大広間には南方から運ばれた大量の花が飾られ、大きく開かれたテラスから流れ込む爽やかな夜の風と共に、甘い香りを漂わせている。

 天井を飾る目新しいシャンデリアは、この夜会の為に取り寄せたと言われている特注品で、高名な画家の手による天井画も今回初披露。

 他国から輸入された珍しい食材で作られた料理や酒が準備され、夜会がはじまったばかりにも関わらず既に舌鼓を打つ者もいた。



 予定では国王による開会の挨拶の後、ランドルフ王太子の婚約発表が行われる事になっていたが。

「⋯⋯そして、今日の夜会では我が国にとって非常にめでたい報告をしたいと思っておる⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん? ランドルフ⋯⋯おい、ランドルフいかがした?」

 国王の話が終わっても微動だにしないランドルフに、会場中の視線が集まった。

「何をしておる? ランドルフ、かの令嬢をエスコートせよ」

 ランドルフがふわふわと壇を降りるのを見たマクベス国王が、ホッと胸を撫で下ろしていると⋯⋯。

 王太子妃の内定を貰い『今から婚約者として正式に発表される』と緊張して佇んでいた令嬢の前を、目を向けることもなく通り過ぎたランドルフは、ひとりの令嬢の前で片膝をついた。

「うそ!」

「ええっ! だって婚約者はビルワ⋯⋯」

 会場内に聞こえる阿鼻叫喚も、凍りつく視線も無視して、ランドルフは目の前の令嬢を見上げた。

「この世界に舞い降りた女神の如きかんばせ⋯⋯叶う事などあり得ないと思い込んでいた奇跡に、出逢えた事を神に感謝致します。
麗しきご令嬢、憐れな恋の虜と成り下がった私に、貴女のお名前をお教えいただけませんでしょうか」

 ダンビール子爵家令嬢ジュリエッタ嬢に一目惚れした瞬間だった。

「ジュリエッタです! あの⋯⋯えーっと⋯⋯あ! ダンビール子爵家の長女です」

 貴族のマナーとしては有り得ない挨拶だったが、ランドルフは気にも留めていないらしく、そのままジュリエッタの手を取って大広間の中央へ。

 何が起きたのか。呆然として立ち尽くしている楽団に目も向けず、ジュリエッタだけを見つめ続けたランドルフの明瞭な声が聞こえてきた。

「音楽を」

 指示したのが王太子であっても、この状況で演奏をはじめる勇気があるはずもなく。右手に持った指揮棒を捧げた指揮者は、左手を大きく振り上げた状態で固まっていた。

 青褪めた国王が固まる横から、会場中に響き渡る大声で指示を出したのは、笑いを堪えたエロイーズ。

「何をモタモタとしてるの! ランドルフが『音楽を』と言ったのが聞こえなかったのかしら!?」



 煌びやかな衣装を纏う他の令嬢に比べると、かなり見劣りするジュリエッタ嬢のドレスは、ジュリエッタ嬢の婚約者の色。

 ランドルフ王太子の衣装は、王命を出して無理矢理王太子妃に内定させた令嬢の色。

 それだけなら『非常識な行い』ではあるがどこかで見たことがある『恥知らずな行い』程度で終わっていたが⋯⋯。



 全面改修した大広間の費用から、夜会に関わるすべての費用を負担させられたのは、ランドルフ王太子の婚約者に内定していたビルワーツ侯爵家。

 王族全ての衣装も、他国からやって来た招待客の宿泊・移動・護衛や世話をする使用人の手配や費用も、ビルワーツ侯爵家に負担するよう指示を出し、あり得ないほどの豪華なパーティーにしたのはエロイーズ王妃殿下。

 この時とばかりに、王宮の全ての使用人のお仕着せや護衛の制服まで一新し、食器や厨房の器具まで新しくさせたのは有名な話。

 その挙句にこの仕打ちとは。ビルワーツ侯爵家がどう動くか⋯⋯王家はこれをどうするつもりなのか。

 幸せそうなのはランドルフとジュリエッタとエロイーズだけ⋯⋯と言う世にも恐ろしい夜会で、ダンスや食事を楽しめる勇気のある者はいなかった。



 そんな結婚秘話など知らないエドワードは『僕の両親は真実の愛で結ばれた!』と、その部分だけを切り取ってピンクのお花を咲かせている。

『エドワードはね、わたくし達の愛の結晶なの』

『この国を統べるに相応しい優秀な頭脳と、美しい容姿を引き継いでるわ』

『私達二人の行いを見ておられた神が祝福してくださったんだよ。最愛の妻が産んでくれたエドワードには、次期国王としての全てが揃っているんだから』



 傲慢で自分勝手、何かにつけ権力でゴリ押しする母親エロイーズと、手も口も出させてもらえない父親マクベスを両親に持つランドルフもまた、無責任極まりないお花畑さんに育っていた。

 その横に立つのは見た目だけは一級品で、知性も常識もどこかに置き忘れ、欲望に忠実なだけのお花畑令嬢。

 実にお似合いの二人⋯⋯罪なき人を踏みつけにし、何もかも人任せにして幸せを手に入れた二人を模範として、エドワードは育っていく。

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