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エピローグ
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結局、新作のドレスはウォーカー商会の新部門として発足し担当は、擦った揉んだの挙句クロエになった。
「貴族の御令嬢や強面のおばさまの担当なんてぜーったい無理! ドレスなんてね、遠くから見てるのが一番よ。あんたがその顔で誑してくれば良いじゃん」
文句を言って逃げ回っていたクロエは、傍聴席の一件でアーリントン公爵夫人に気に入られてしまい、なし崩しに担当にさせられてしまった。
クロエの抜けた穴は、古くから商会に勤めている年配の商会員が担当している。
シエナは暫くの間、紳士服の刺繍・婦人服全般の両方のデザインを手がける事になった。
ルカが見つけてきてくれた画家が、捺染布とドレスのデザイン画の一部を担当してくれる事になり、自分の時間が出来るようになるまで、寝る間も惜しんで働いていた。
シエナは来年の春を待ってルカと挙式を挙げるので、暇を見てはウエディングドレスのデザインに余念がない。
クロエの最近の口癖は⋯⋯。
「ルカ~、あんた
棚からぼた餅
って知ってる? ぼーっと見てただけのあんたがいちばーん得してるわ。チョコレートトルテ買ってきて!」
顔を合わせるたびにルカにケーキを奢らせていたお陰か、忙しいと走り回ってる割には少しふっくらしてきたようで、ますますルカに当たり散らしている。
ルカに買ってこさせたチョコレートトルテを食べているクロエは、フォークとは反対の手に時計を握りしめている。
「この後、アーリントン公爵夫人のとこでしょ? そんなに食べて大丈夫?」
「大丈夫じゃない。どこのお宅に行っても美味しいケーキや糖菓を出してくれるんだもん。最近マジでヤバいの」
「なら食わなきゃ良いじゃん」
「ルカに奢らせるチャンスを逃すわけないじゃん。はらほら、あんたも食べなさいよ。美味し~わよ~」
シエナは二人の掛け合い漫才を見ながら⋯⋯。
(この調子だと、クロエのブライトメイドのドレスは大きめに作った方が良さそうね)
その後のキャンベル伯爵と言えば、ウォーカー商会への弁済で破産した彼は、妻に三行半を叩きつけられ、爵位剥奪の上鉱山送りとなった。
因みにオスカーの恋人の実家は行政官僚としての一代限りの子爵位だった為、婿入りして貴族⋯⋯と言う当ては外れ、恋人もにも逃げられた。
妊娠? ウォーカー商会と共に霧散したらしい。
今は平民として仕事を探しながら、新しく購入していた馬車の支払いに追い回されている。
そんなオスカーが先日商会で仕事をしているシエナを訪ねて来た。
「シエナ、やっぱりやり直さないか?俺達きっと上手くやっていけるよ。商会の仕事も手伝うしさ」
「やり直す? 結婚して12年一度も会ったことありませんけど?」
「貴族の御令嬢や強面のおばさまの担当なんてぜーったい無理! ドレスなんてね、遠くから見てるのが一番よ。あんたがその顔で誑してくれば良いじゃん」
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クロエの抜けた穴は、古くから商会に勤めている年配の商会員が担当している。
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「なら食わなきゃ良いじゃん」
「ルカに奢らせるチャンスを逃すわけないじゃん。はらほら、あんたも食べなさいよ。美味し~わよ~」
シエナは二人の掛け合い漫才を見ながら⋯⋯。
(この調子だと、クロエのブライトメイドのドレスは大きめに作った方が良さそうね)
その後のキャンベル伯爵と言えば、ウォーカー商会への弁済で破産した彼は、妻に三行半を叩きつけられ、爵位剥奪の上鉱山送りとなった。
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「シエナ、やっぱりやり直さないか?俺達きっと上手くやっていけるよ。商会の仕事も手伝うしさ」
「やり直す? 結婚して12年一度も会ったことありませんけど?」
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