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11.チョコレートトルテはホールで頼む
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シエナとクロエ、ルカの三人はクラリッサの店でコーヒーとチョコレートトルテを注文した。
「結局、ウォーカー商会手放さずに済んで良かったじゃん。あの判事殿なかなかやるわね」
「お前が傍聴席から叫び始めた時はビックリしたよ。お前ら二人ほんと考え方似てるよな」
「そりゃ、幼馴染だもん。シエナとはこーんなちっちゃな頃から友達だもん」
クロエは親指と人差し指を3センチくらい離してルカに見せた。
「はいはい、そんなにちっちゃくてもクロエなら大声で騒いでそうだよ」
「あれは助かった。あそこでオスカーに嘘つかれたら、証明するのが大変だったもの」
「だよね、シエナ一人暮らしだからさ。家に遊びに行ってましたとか、なんでも言えるもんねぇ」
店主のクラリッサが、コーヒーとチョコレートトルテをホールで運んできた。
「お待たせー。てか、今日は何かのお祝いなの? チョコレートトルテをホールで注文されたのってうちの店でも初めてなんだけど?」
「今までの人生の中で最高の記念日なの。だからホールケーキ」
取り皿が3枚置かれたのを見たルカが青褪め、シエナとクロエは全く気にせず目をキラキラさせている。
「まさかと思うけど、俺も食うの?」
「そりゃそうでしょ。今日を祝わずいつお祝いするのよ」
「いやー、お祝いはコーヒーで十分できるっしょ」
「無理、女の子のお祝いといえばケーキでしょ? 嫌なら帰る? 甘いもの嫌い克服したらシエナが⋯⋯
“ルカ、すごーい ♪ ”
とか言ってくれるかもよ?」
シエナは棒読みで『ルカ、すごーい』
「はあ、今日だけな。次はワインとか大人のお祝いしようぜ」
「きゃー、ルカったらやらしー。シエナが独身に戻った途端、超張り切っちゃって~」
「クロエがやばくなってる。ルカったら、傍聴席でクロエに変なもの食べさせたの?」
「クロエがおかしいのは昔からだな。俺もお前らの事、こーんな時から知ってるからな」
ルカがクロエの真似をして、親指と人差し指を3センチ位広げて見せた。
「うーん、確かにあの頃のルカのはそのくらいだったわ」
クロエが態とらしく腕を組み、したり顔で頷いている。
「・・ばっ馬鹿野郎、そんなにちっちゃくねえよ」
「えーっ、そうだっけ? 忘れちゃったぁ」
「はぁ、駄目だ。シエナ、この状態のクロエにチョコなんて食べさせたらヤバいんじゃないか?」
「ヤバいのはあんたでしょ? 妄想膨らみすぎて鼻血が・・ふがっ・・」
クロエの暴走を止めようと、ルカがチョコレートトルテをフォークで突き刺してクロエの口に突っ込んだ。
「ごほっごほっ、喉に詰まるじゃん。でも美味し~。シエナ食べよう、ルカあんたもね」
「おっおう」
甘いものが苦手なルカはチョコレートトルテと睨み合っていたが、意を決してフォークに突き刺し口に入れた。
「シエナは離婚じゃなくて、婚姻の無効になったのよね。だったら直ぐにでも結婚できるって事?」
「ぶーっ」
ルカがクロエに向かって、チョコレートトルテを思いっきり吐き出した。
「結局、ウォーカー商会手放さずに済んで良かったじゃん。あの判事殿なかなかやるわね」
「お前が傍聴席から叫び始めた時はビックリしたよ。お前ら二人ほんと考え方似てるよな」
「そりゃ、幼馴染だもん。シエナとはこーんなちっちゃな頃から友達だもん」
クロエは親指と人差し指を3センチくらい離してルカに見せた。
「はいはい、そんなにちっちゃくてもクロエなら大声で騒いでそうだよ」
「あれは助かった。あそこでオスカーに嘘つかれたら、証明するのが大変だったもの」
「だよね、シエナ一人暮らしだからさ。家に遊びに行ってましたとか、なんでも言えるもんねぇ」
店主のクラリッサが、コーヒーとチョコレートトルテをホールで運んできた。
「お待たせー。てか、今日は何かのお祝いなの? チョコレートトルテをホールで注文されたのってうちの店でも初めてなんだけど?」
「今までの人生の中で最高の記念日なの。だからホールケーキ」
取り皿が3枚置かれたのを見たルカが青褪め、シエナとクロエは全く気にせず目をキラキラさせている。
「まさかと思うけど、俺も食うの?」
「そりゃそうでしょ。今日を祝わずいつお祝いするのよ」
「いやー、お祝いはコーヒーで十分できるっしょ」
「無理、女の子のお祝いといえばケーキでしょ? 嫌なら帰る? 甘いもの嫌い克服したらシエナが⋯⋯
“ルカ、すごーい ♪ ”
とか言ってくれるかもよ?」
シエナは棒読みで『ルカ、すごーい』
「はあ、今日だけな。次はワインとか大人のお祝いしようぜ」
「きゃー、ルカったらやらしー。シエナが独身に戻った途端、超張り切っちゃって~」
「クロエがやばくなってる。ルカったら、傍聴席でクロエに変なもの食べさせたの?」
「クロエがおかしいのは昔からだな。俺もお前らの事、こーんな時から知ってるからな」
ルカがクロエの真似をして、親指と人差し指を3センチ位広げて見せた。
「うーん、確かにあの頃のルカのはそのくらいだったわ」
クロエが態とらしく腕を組み、したり顔で頷いている。
「・・ばっ馬鹿野郎、そんなにちっちゃくねえよ」
「えーっ、そうだっけ? 忘れちゃったぁ」
「はぁ、駄目だ。シエナ、この状態のクロエにチョコなんて食べさせたらヤバいんじゃないか?」
「ヤバいのはあんたでしょ? 妄想膨らみすぎて鼻血が・・ふがっ・・」
クロエの暴走を止めようと、ルカがチョコレートトルテをフォークで突き刺してクロエの口に突っ込んだ。
「ごほっごほっ、喉に詰まるじゃん。でも美味し~。シエナ食べよう、ルカあんたもね」
「おっおう」
甘いものが苦手なルカはチョコレートトルテと睨み合っていたが、意を決してフォークに突き刺し口に入れた。
「シエナは離婚じゃなくて、婚姻の無効になったのよね。だったら直ぐにでも結婚できるって事?」
「ぶーっ」
ルカがクロエに向かって、チョコレートトルテを思いっきり吐き出した。
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