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4.作戦会議はサクサクと
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眉間に皺を寄せたルカが聞いてきた。
「新しく商会を立ち上げても、奴ら同じことをしてくるんじゃないか?」
「間違いなく何か仕掛けてくると思う。だから、今作ってるドレスとデザイン画で勝負をかけるわ」
「俺はずっと蚊帳の外だったんだぞ? 詳しく話してくれないと⋯⋯」
シエナは商会用の店舗を購入したところから、ドレスの注文を出した今日までを順を追って話した。
「今までルカに話さなかったのは、伯爵が接触するとしたらルカだと思ったからなの。客先で会った時に声をかけやすいし、あの人達はガチガチの男尊女卑だし」
ルカは何か思い出したらしく、眉間に皺を寄せた。
「確かに、感じの悪いことを言われたことが何度かあるよ。しかし、女性の服飾なあ。ヤバい。俺、役に立てる自信がない」
「大丈夫よ、あんたって無駄に顔とスタイルだけは良いから。直ぐにお得意様がうじゃうじゃ出来るわよ」
「無駄にとか、クロエ酷え」
「アーリントン公爵夫人がもしデザイン画を気に入ってくれたら、私の刺繍を気に入ってくれてる他の貴族にも声をかけるわ」
クロエが手をパンと叩いた。
「そうか、今まで刺繍のデザインを手がけている事を誰にも話さなかったのは・・」
「その通りよ。今のウォーカー商会の屋台骨は生地の質と仕立てと刺繍。離婚と同時にキャンベル伯爵はそのうちの一つをなくすの」
「間違いなく、織り工と刺繍工も引き抜けるわ。タイミングを合わせて話を持ちかけましょう。
契約書の契約更新時期を変更したら1番スムーズなんだけど、向こうの弁護士にバレたら突っ込まれるわよね」
「俺は顧客だな。今いる顧客の奥さんや娘を紹介してもらうか」
「ルカにはその前にやって欲しいことがあるの」
「アーリントン公爵夫人への伝手を探すんだろ?」
「「流石!」」
「今でも何人か思いつくから、シエナの準備が出来るまでには話を纏められる。同時にシエナについてきそうな貴族も見繕っておく。
任せとけ」
「それともう一つ、売れない風景画家を探して欲しいの」
「デザイン?」
「アルバイトで下絵を描いてくれるような、柔軟性のある人を探したいんだけど難しいかしら?」
ルカが腕を組み首を捻った。
「そいつは少し時間がかかるなもな。画家ってプライドが高い奴が多いから」
「分かってる、商会が立ち上がった後からの参加で構わないの。当面のデザイン画は作ってあるから、それを使えば良いし。
ただ、いずれ私一人じゃ行き詰まってしまうと思うの」
「クロエ、捺染職人は必要数集まってる?」
「出来ればもう少し増やしたいんだけど、いないの。だから、当面はデザイン画を見せてからのフルオーダーのみでやっていくつもり。腕の良い捺染職人が増えてくればその時考えるって感じかなぁ。
それより心配なのは仕立て屋の人達なの。紳士服専門の人は婦人服の仕立てには難色を示すと思うから、そう言う人の中で希望者があれば、次の職場を見つけてあげたい」
「それは何とかなると思う。ウォーカー商会と同じ扱いとまでは行かないかもしれないけど、仕立て屋もギルドがあるからな」
「順調にいったらどの職人も足りなくなるわね」
「一番の心配はね、クロエなの」
「私? なんで?」
「キャンベル伯爵が何か企むとしたら、クロエを誘拐とかかも。ルカは男だから難しいって考えて、クロエを狙うんじゃないかと思うの。
以前人質にしたのも女の人ばかりだったから。離婚と同時にルカと終日一緒に行動して欲しいの」
クロエとルカは顔を見合わせため息をついた。
「喧嘩だらけになりそうだが、仕方ないか」
「さっき同じ部屋で寝ても大丈夫って言ってたし」
「「げっ!」」
「新しく商会を立ち上げても、奴ら同じことをしてくるんじゃないか?」
「間違いなく何か仕掛けてくると思う。だから、今作ってるドレスとデザイン画で勝負をかけるわ」
「俺はずっと蚊帳の外だったんだぞ? 詳しく話してくれないと⋯⋯」
シエナは商会用の店舗を購入したところから、ドレスの注文を出した今日までを順を追って話した。
「今までルカに話さなかったのは、伯爵が接触するとしたらルカだと思ったからなの。客先で会った時に声をかけやすいし、あの人達はガチガチの男尊女卑だし」
ルカは何か思い出したらしく、眉間に皺を寄せた。
「確かに、感じの悪いことを言われたことが何度かあるよ。しかし、女性の服飾なあ。ヤバい。俺、役に立てる自信がない」
「大丈夫よ、あんたって無駄に顔とスタイルだけは良いから。直ぐにお得意様がうじゃうじゃ出来るわよ」
「無駄にとか、クロエ酷え」
「アーリントン公爵夫人がもしデザイン画を気に入ってくれたら、私の刺繍を気に入ってくれてる他の貴族にも声をかけるわ」
クロエが手をパンと叩いた。
「そうか、今まで刺繍のデザインを手がけている事を誰にも話さなかったのは・・」
「その通りよ。今のウォーカー商会の屋台骨は生地の質と仕立てと刺繍。離婚と同時にキャンベル伯爵はそのうちの一つをなくすの」
「間違いなく、織り工と刺繍工も引き抜けるわ。タイミングを合わせて話を持ちかけましょう。
契約書の契約更新時期を変更したら1番スムーズなんだけど、向こうの弁護士にバレたら突っ込まれるわよね」
「俺は顧客だな。今いる顧客の奥さんや娘を紹介してもらうか」
「ルカにはその前にやって欲しいことがあるの」
「アーリントン公爵夫人への伝手を探すんだろ?」
「「流石!」」
「今でも何人か思いつくから、シエナの準備が出来るまでには話を纏められる。同時にシエナについてきそうな貴族も見繕っておく。
任せとけ」
「それともう一つ、売れない風景画家を探して欲しいの」
「デザイン?」
「アルバイトで下絵を描いてくれるような、柔軟性のある人を探したいんだけど難しいかしら?」
ルカが腕を組み首を捻った。
「そいつは少し時間がかかるなもな。画家ってプライドが高い奴が多いから」
「分かってる、商会が立ち上がった後からの参加で構わないの。当面のデザイン画は作ってあるから、それを使えば良いし。
ただ、いずれ私一人じゃ行き詰まってしまうと思うの」
「クロエ、捺染職人は必要数集まってる?」
「出来ればもう少し増やしたいんだけど、いないの。だから、当面はデザイン画を見せてからのフルオーダーのみでやっていくつもり。腕の良い捺染職人が増えてくればその時考えるって感じかなぁ。
それより心配なのは仕立て屋の人達なの。紳士服専門の人は婦人服の仕立てには難色を示すと思うから、そう言う人の中で希望者があれば、次の職場を見つけてあげたい」
「それは何とかなると思う。ウォーカー商会と同じ扱いとまでは行かないかもしれないけど、仕立て屋もギルドがあるからな」
「順調にいったらどの職人も足りなくなるわね」
「一番の心配はね、クロエなの」
「私? なんで?」
「キャンベル伯爵が何か企むとしたら、クロエを誘拐とかかも。ルカは男だから難しいって考えて、クロエを狙うんじゃないかと思うの。
以前人質にしたのも女の人ばかりだったから。離婚と同時にルカと終日一緒に行動して欲しいの」
クロエとルカは顔を見合わせため息をついた。
「喧嘩だらけになりそうだが、仕方ないか」
「さっき同じ部屋で寝ても大丈夫って言ってたし」
「「げっ!」」
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