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22.大司教参戦

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 試験薬を入れたエリンの作った回復薬は、透明で鮮やかな赤い色に変色した。
 試験薬は、回復薬の効果が高いほど透明度を増し濃い鮮やかな色を示す。


「素晴らしい透明度ですな」

「色も鮮やかでとても美しい」


「他にも治療薬を持ってきたと申されましたな」


 エリンが大きく深呼吸して返答を返した。

「はい、ローダナムと言う治療薬で咳止め・鎮痛の作用がございます。
材料は、アヘン・砕いた真珠・麝香・琥珀・サフラン・その他の材料で作ります。
それ以外に、火の薬という名の強く爆発する粉を持ってまいりましたが、これは危険ですので事前に騎士団長殿に預けて参りました」


「その薬の効果が真であれば、王宮医師団が泣いて喜びましょうな」


「火の薬とはどのような使い方を?」

「量によりますが、岩を砕いたり硬い木に穴を開けたり出来るかと」


「そっ、それほどのものが出来るならば王宮錬金術師として力を振るわせてやろうではないか」


「お断り申し上げます」


「なんじゃと? なんたる不敬。陛下、これは許されざる事態ですぞ。
聖なる龍の力を王家の為に役立てず、私物化するつもりとは」


「サリスト伯爵家の娘、スールベリー侯爵の妻。この二つの名前に聞き覚えはございませんか?
王宮錬金術師の方々は、母の元に何度も見えられていたそうですね。
そして母が亡くなった直後、亡骸がまだ温もりを失わないうちに連れ去り火葬されたとか。
その理由をお聞かせくださいませ」


「火葬されたのならば魔女だったのであろう。そうか、お前は魔女の血を引いておるのだな」


「母が魔女だったならば、何故異端審問会の方ではなく王宮錬金術師の方が火葬したのでしょうか?
錬金術師では魔女裁判は行えないはずではありませんか?

もしや教会と親密な関係なのでしょうか?」



 今まで黙っていた大司教が声を荒げた。

「聞き捨てなりませんぞ! 今の言葉は教会を侮辱したも同じ。
陛下この者も魔女かもしれませぬ」

「私の母も龍の印を持つ錬金術師でしたが、教会での祝福に参りませんでした。
そして私は簡単には見えないところに印がございます。
教会の祝福に行った錬金術師達が短命であることは周知の事実。
理由をお聞かせくださいませ」


「まさか」

「祝福の時右手を出しますな」


「証拠は? 証拠を見せるのじゃ、それもなく我らを誹謗中傷するなどただで済むと思うなよ」


 ずっと黙っていたジェイクが話しはじめた。

「教会では祝福の際右腕に印を持つものを見つけると、司教様に連絡をするよう指示されているそうです。
それとは別に王宮錬金術師の金庫から大司教様に、大金が渡っているという証拠を手に入れました。

この二つはどの様に繋がるのかご説明願えますか?」

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