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婚約式
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二月
ーーーーーー
婚約式当日。ドレスを着替えて部屋を出ると、廊下に満面の笑顔の使用人達が並んでいた。応接室に入ると、5人の訪問客が揃っている。第二王子殿下とトマス。ポーレット公爵夫妻とアルフレッド。
「アイラ、おめでとう」
「ありがとうございます。あの皆さんは? それに第二王子殿下まで」
「陛下と王妃の代理で参りました。私が一番お二人の負担にならないだろうと」
ウィルソンは顔を引き攣らせている。
「教会まで、皆さんもいらっしゃるのですか?」
「勿論、ウィルソンの緊張した姿なぞ滅多に見られんからな。ウィルソン? 何なら交代するか? 今からでも候補は色々準備できるが?」
「お断りします。アイラ様、教会に参りましょう」
錚々たるメンバーが、それぞれの馬車に乗り込み出発した。
グランディ教会の戸口には、ストラとシュルプリを身につけた司祭が既に待機していた。本人確認と幾つかの質問が終わり、婚約が成立した。
その後は、40日の婚約掲示期間があり結婚式となる。
屋敷では、お祝いの準備ができていた。短期間で、良くこれほどの準備ができたと、感心するほどの料理が並んでいる。使用人達は皆ニコニコとしており、エドムントやトスティがウィルソンを見てにやけている。
「掲示期間の間、ウィルソンはどこに住むのかな?」
「近くの宿を予約してあります」
「うちに来れば良かったのに」
「ずっと揶揄われ続けるのが、目に見えておりますので」
「陛下と王妃が、とても残念がっておられました。出来ればお祝いに参加したかったのでしょう」
「ごほっ」ウィルソンが咽せた。
食事が終わる頃、ギータ達が幾つもの荷物を運んできた。
「これは私達からのお祝いの品だ。取り敢えずと言ったところだがね」
「正式な物は、領地の方へ送らせて頂くつもりよ」
「ありがとうございます」
「それからこれは、必要がなければ処分してもらって構わないんだが、私達としては是非使って欲しいと思っている」
そう言って、ポーレット公爵がウィルソンに封筒を手渡した。
「開けても宜しいですか?」
「勿論」
「!」ウィルソンが絶句した。
「これは、どちらかと言うと私たちの為なんだ。アイラにはこれからもしょっちゅう会いたいと思っているし、それがあれば煩い奴らに煩わされずに済むだろう?」
アイラがウィルソンの手元を覗き込んだ。
「もしかして、アルフレッド様のあれも養子縁組の?」
アイラはポケットから、手紙を取り出した。
「持っていたのかい?」
「はい、開けてはいないのですが。お守り代わりと言うか」
「みんな同じ事を考えたようだね」
「私も陛下から言われて参りました。もし2人が王宮に遊びに来にくいと思うなら、それなりの地位を準備すると」
「私も公国に連絡を入れていた。向こうで授爵出来るようにね」
「少しお時間を頂けますか? 考えてみます」
今夜もアイラは、暖炉の前に座っている。目の前には二通の封筒が置かれ、暖炉の火で淡いオレンジ色に染まっている。
「アイラ様、今日はこれで下がらせて頂きます」
「ウィルソン、これどうしたい?」
「アイラ様の良い様に」
「うーん、私は別にこのままで構わないの。でもウィルソンは気にしてるでしょう?」
「皆さん、アイラ様の事が大切なのですね」
「他の方のお言葉もびっくりだったけど、まさか陛下から授爵の話が出るとは思わなかったわ」
「無茶な話で唖然としました」
「理由もなく授爵とか。どうやるおつもりなのかしら」
「先日の裁判の報酬として、ストックトン侯爵領の一部と男爵位を賜ると」
「もう、頭がついていかないわ」
「今日はもうお休み下さい。明日の朝参ります」
ウィルソンをじっと見つめていたアイラが小声で、
「・・ウィルソン? あの時のあれ、ファーストキスだったのよ?」
ウィルソンの顔が赤くなっていく。ウィルソンはアイラの頬に手を当てて、
「では、仕切り直し致しましょう」
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婚約式当日。ドレスを着替えて部屋を出ると、廊下に満面の笑顔の使用人達が並んでいた。応接室に入ると、5人の訪問客が揃っている。第二王子殿下とトマス。ポーレット公爵夫妻とアルフレッド。
「アイラ、おめでとう」
「ありがとうございます。あの皆さんは? それに第二王子殿下まで」
「陛下と王妃の代理で参りました。私が一番お二人の負担にならないだろうと」
ウィルソンは顔を引き攣らせている。
「教会まで、皆さんもいらっしゃるのですか?」
「勿論、ウィルソンの緊張した姿なぞ滅多に見られんからな。ウィルソン? 何なら交代するか? 今からでも候補は色々準備できるが?」
「お断りします。アイラ様、教会に参りましょう」
錚々たるメンバーが、それぞれの馬車に乗り込み出発した。
グランディ教会の戸口には、ストラとシュルプリを身につけた司祭が既に待機していた。本人確認と幾つかの質問が終わり、婚約が成立した。
その後は、40日の婚約掲示期間があり結婚式となる。
屋敷では、お祝いの準備ができていた。短期間で、良くこれほどの準備ができたと、感心するほどの料理が並んでいる。使用人達は皆ニコニコとしており、エドムントやトスティがウィルソンを見てにやけている。
「掲示期間の間、ウィルソンはどこに住むのかな?」
「近くの宿を予約してあります」
「うちに来れば良かったのに」
「ずっと揶揄われ続けるのが、目に見えておりますので」
「陛下と王妃が、とても残念がっておられました。出来ればお祝いに参加したかったのでしょう」
「ごほっ」ウィルソンが咽せた。
食事が終わる頃、ギータ達が幾つもの荷物を運んできた。
「これは私達からのお祝いの品だ。取り敢えずと言ったところだがね」
「正式な物は、領地の方へ送らせて頂くつもりよ」
「ありがとうございます」
「それからこれは、必要がなければ処分してもらって構わないんだが、私達としては是非使って欲しいと思っている」
そう言って、ポーレット公爵がウィルソンに封筒を手渡した。
「開けても宜しいですか?」
「勿論」
「!」ウィルソンが絶句した。
「これは、どちらかと言うと私たちの為なんだ。アイラにはこれからもしょっちゅう会いたいと思っているし、それがあれば煩い奴らに煩わされずに済むだろう?」
アイラがウィルソンの手元を覗き込んだ。
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アイラはポケットから、手紙を取り出した。
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「はい、開けてはいないのですが。お守り代わりと言うか」
「みんな同じ事を考えたようだね」
「私も陛下から言われて参りました。もし2人が王宮に遊びに来にくいと思うなら、それなりの地位を準備すると」
「私も公国に連絡を入れていた。向こうで授爵出来るようにね」
「少しお時間を頂けますか? 考えてみます」
今夜もアイラは、暖炉の前に座っている。目の前には二通の封筒が置かれ、暖炉の火で淡いオレンジ色に染まっている。
「アイラ様、今日はこれで下がらせて頂きます」
「ウィルソン、これどうしたい?」
「アイラ様の良い様に」
「うーん、私は別にこのままで構わないの。でもウィルソンは気にしてるでしょう?」
「皆さん、アイラ様の事が大切なのですね」
「他の方のお言葉もびっくりだったけど、まさか陛下から授爵の話が出るとは思わなかったわ」
「無茶な話で唖然としました」
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「もう、頭がついていかないわ」
「今日はもうお休み下さい。明日の朝参ります」
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「・・ウィルソン? あの時のあれ、ファーストキスだったのよ?」
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「では、仕切り直し致しましょう」
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