【完結】真実の行方 悠々自適なマイライフを掴むまで

との

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手紙

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九月 一部不快な表現と暴力表現があります

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 デイビッド達が出掛けて5日後、ストックトン侯爵家から手紙が届いた。中には侯爵家主催の夜会の招待状が入っていた。
 手紙には、ブリジットが長逗留していた事へのお詫びをしたいと書かれていた。

「ウィルソン、このタイミングって何かあると思う?」
「そうですね、何かあると疑ってかかった方が良いかと」
「今まではずっとお断りしていたけど、今回は行ってみようかしら。侯爵家が関わっているか分かるかもしれないし、少なくともブリジットの事は何とか出来るかも」

「もし侯爵家が関わっていたとしたら、危険が大きすぎます。私は反対です」
「でもねこの間の報告でも何も分からなかったし、リューベックの下働きの男も行方が分からない。何か手を打たなくちゃ」


 3日後、アイラ達は留守をギータに任せて王都へと出発した。王都へ行くには途中一泊する必要がある為、ヘンリーに先行させ宿の確保をさせた。

「いつもご贔屓頂きましてありがとうございます」
と言った亭主が、アイラを見て青ざめた。
 不審に思ったウィルソンが声をかけた。
「もしかして当家の主人がよく此処を利用しているのでしょうか?」
「あっはい、あの申し訳ありません。その」
「構いませんよ。どうぞお気になさらず」
「どうもありがとうございます」

 ウィルソンが小声で、
「後でお話を聞かせて頂いても宜しいでしょうか?」
と聞くと亭主はアイラを気にしながら、
「はい、暫くは忙しくしてますが大丈夫だと思います」
と渋々答えた。

 アイラとソフィアが部屋に落ち着いたのを確認した後、ウィルソンは亭主の所に戻った。

「主人の此処での様子を教えて欲しいんだが」
「いや、それはあの本当すみません。余計なことを言っちまって」
 ウィルソンが金貨を1枚手渡した。亭主は金貨を見つめながら、暫く考え込んでいた。

「ここだけの話ですよ、奥方様には秘密でお願いします」
「勿論です、誰にも話しません。デイビッド様は何時もお一人でこちらに?」
「はい、お一人です。入ってきて直ぐ酒とその、あれです」
「女?」
「まぁそのお気に入りというか」
「後で会えるかな? その子からも話を聞きたいんだけど」
「メリッサにですか? 今その仕事中なんで、その後だったら」

「デイビッド様は何時もどんな様子かな?」
「あんまりご機嫌のいい時はありませんねぇ。大概何かしらに怒ってる感じですね」
「どんな話を?」
「酔っ払ってくると色々、イカサマされたとか騙されたとか。後は奥方様の文句とか」
「メリッサ以外に誰かと会ったり話したりは?」
「いや、ないっすね。そういやぁ一度気味の悪い奴と話してた事が」
「どんな奴だった?」
「フード被っててよく見えなかったんすけど、旦那はそいつに気がついた途端すっごい慌てて。けっこう長く話してたっすね。後、旦那に会う前メリッサがそいつの相手したんですけどね、暫く使いもんにならなくなって大変だったんで」

 暫くしてメリッサがやってきた。

「メリッサ、こちらの方がお前に聞きたい事があるって」
「へぇ、いい男じゃん。はじめまして、聞きたいことって?」
 隣に座ったメリッサは、ウィルソンにしなだれかかり上目遣いで見つめてきた。

「デイビッドって言ったらわかる?」
「あぁ、伯爵様ね。なんだあの人の知り合い?」
「彼のお気に入りだって聞いたから、話を聞かせて欲しいんだけど」
「何が聞きたいのぉ? 上で2人っきりでさ、ゆっくり話す?」
「彼はいつもどんな話をしてるのかなって」
 ウィルソンはメリッサに金貨を1枚握らせた。

「うーん、ぶつぶつ文句ばっか言ってるよ。口煩い奥さんのこととか、頭の悪い友達の事とか?」
「一度彼の友達がここに来たって聞いたんだけど?」
「あいつ! 最低のクソ野郎」
「どんな奴だったとか教えてくれるかな?」
「すっごい気持ち悪い奴だった。無茶苦茶されてさ、あん時はまじで死ぬかと思った。アイツにだけは二度と会いたくない」
「見た目とか覚えてる?」
「忘れるもんか、茶髪で薄いグレーの目。ずーっとニヤニヤ笑っててさ、アレの最中首締めながら笑ってやんの。苦しくって暴れたら殴ってくるし」
「何か他に覚えてることないかな?」

「・・指? 顔に手を当てた時、薬指だけ曲げてた。その後ニヤニヤ笑ってさ、楽しいだろ? とか言って殴ってきた。あのクソ野郎、思い出したらまた腹が立ってきた」

 ウィルソンはメリッサに、こっそりと金貨を握らせて小声で言った。
「後でまた、もう少し・・時間? もらえるかな? 誰にも内緒で」
「へぇ・・いいよ。あんたって、そういう事には興味ないのかと思ってた」
「ここってうちの旦那様の定宿みたいだし、秘密に出来る?」
「私の部屋は2階の一番右の奥。たっぷりサービスしたげるよ」


(大切な目撃者だ、どこか安全なところに)
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