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ホットスパー
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六月
ーーーーーー
ギータが、集まったメンバーを見回した。
「ウィルソン、見張りがいた場合、この大人数で移動するのは危険だ。目立ち過ぎる」
「わかってる。準備が出来次第、全員で一斉に別方向に出発する。出発して30分程度走って、追っ手がいないことが確認できたら、フォルスの丘に集まってくれ。そこで次の指示を出す。もし誰かにつけられていると分かったら、適当にその辺を流して相手を撹乱してくれ」
「撹乱した後はどうしますか?」ヘンリーが聞いてきた。
「そのまま屋敷に帰り、通常の仕事に戻ってくれ。もし俺達がフォルスの丘に来なかった場合は、バラバラで屋敷に戻るように。ソフィア、リリアみんなに毛布とフードを」
「こんなに沢山の毛布、何に使うんですか?」
「お前たちの抱き枕を作る。俺はアイラ様と一緒に騎乗する。見張りがいた時、誰がアイラ様と騎乗しているか、わからないようにしたいんだ」
それを聞いたエドムントが、
「ひゅー、ウィルソンさんの抱き枕は「黙れ」」ギータに頭を殴られた。
ウィルソンはそれを無視して言った。
「準備ができたら直ぐ出発する。急いでくれ」
「皆さん、毛布はちゃんと持って帰ってくださいね。屋敷中からかき集めたんですから」
「リリアちゃん、俺たちの心配してくれないの?」
「アイラ様とギータさん、どうかお気をつけて」
「多分見張りはいないと思うが。行くぞ」
それぞれが一斉に、別方向に向けて出発した。アイラは足が覗かないように、ウィルソンに抱きついているが、恥ずかしくて顔が上げられないでいる。
ウィルソンは思ったより筋肉質で、長く力強い腕でしっかりと、アイラを抱きしめていた。
少しスピードが落ちてきた。
「もう直ぐフォルスの丘です。アイラ様大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。もう足を伸ばしてもいいですか?」
「もう少しお待ち下さい。他の者たちと合流して、追跡者がいない事を確認するまでは」
後をつけられた人はいない様で、フォルスの丘には全員が揃っていた。
「今からホットスパー自警団のサブリーダー、ウォルターに大旦那様の事故について話を聞きに行く。ウォルターは猟師だ。不測の事態が起こらないよう、細心の注意を払って欲しい。何か質問のあるものはいるか?」
「それってやっぱり、あの事故には何かあるってことですか?」
「それを調べに行くんだ。向こうで聞いた事は一切他言無用だ、相手が誰であっても」
ホットスパーの街は、お昼過ぎの暖かい陽射しの中、薄紫色のライラックが甘い香りを漂わせていた。道端には色鮮やかなダイアンサスが咲き綻び、その向こうには亡くなったアイラの母が大好きだったブッシュローズも咲いている。
騎馬での移動は危険なので、馬を引いて移動しているが、アイラだけ未だにフードを被らされている。逆に目立っているようで、気になってしかたがない。
穏やかな田舎道を、馬を連れた複数の男達が歩いてきたので、道を行く人達は怪訝な表情で彼らを眺めていた。
ウォルターの家は、表通りより一つ山際の通りで教会の近くにあった。玄関横にはジニアの鉢植えが、半ば枯れた状態で置かれており、どこか裏ぶれた佇まいだった。
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ギータが、集まったメンバーを見回した。
「ウィルソン、見張りがいた場合、この大人数で移動するのは危険だ。目立ち過ぎる」
「わかってる。準備が出来次第、全員で一斉に別方向に出発する。出発して30分程度走って、追っ手がいないことが確認できたら、フォルスの丘に集まってくれ。そこで次の指示を出す。もし誰かにつけられていると分かったら、適当にその辺を流して相手を撹乱してくれ」
「撹乱した後はどうしますか?」ヘンリーが聞いてきた。
「そのまま屋敷に帰り、通常の仕事に戻ってくれ。もし俺達がフォルスの丘に来なかった場合は、バラバラで屋敷に戻るように。ソフィア、リリアみんなに毛布とフードを」
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「皆さん、毛布はちゃんと持って帰ってくださいね。屋敷中からかき集めたんですから」
「リリアちゃん、俺たちの心配してくれないの?」
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それぞれが一斉に、別方向に向けて出発した。アイラは足が覗かないように、ウィルソンに抱きついているが、恥ずかしくて顔が上げられないでいる。
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「ええ、大丈夫です。もう足を伸ばしてもいいですか?」
「もう少しお待ち下さい。他の者たちと合流して、追跡者がいない事を確認するまでは」
後をつけられた人はいない様で、フォルスの丘には全員が揃っていた。
「今からホットスパー自警団のサブリーダー、ウォルターに大旦那様の事故について話を聞きに行く。ウォルターは猟師だ。不測の事態が起こらないよう、細心の注意を払って欲しい。何か質問のあるものはいるか?」
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ウォルターの家は、表通りより一つ山際の通りで教会の近くにあった。玄関横にはジニアの鉢植えが、半ば枯れた状態で置かれており、どこか裏ぶれた佇まいだった。
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