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リリア
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三月
ーーーーーー
ギータにリリアの迎えを頼んだ日のお昼過ぎ、執務室で郵便物の整理をしているとソフィアが声をかけてきた。
「アイラ様、リリアが来ました。いかがしますか?」
「談話室へお願い。疲れていると思うから、紅茶と一緒に甘いお茶菓子を。ウィルソンも呼んでちょうだい」
大急ぎで談話室に向かうと、ウィルソンがドアの所に待機していた。ウィルソンがドアを開け、ソフィアと3人で中に入った。
ソファに座っていたリリアが立ち上がって頭を下げた。
「お久しぶりです、お嬢様」
「リリア、無理をさせてごめんなさい。疲れたでしょう。座ってちょうだい」
アイラはリリアの正面に座った。ウィルソンはアイラの斜め後ろ、ソフィアは入り口近くに立っている。
「とんでもありません。私もずっと気になっていたので」
メイドが紅茶とお茶菓子を置いて下がるのを待って話をはじめた。
「あのね、あの日から今までの間におかしな事とかなかった?」
「いえ何もありませんでした。何かあったんですか?」
「いいえ、何もなかったのなら良かった。今はどうしているの?」
「今は知り合いのお店で手伝いをしています。店主が母の古くからの友人なので、あれから直ぐ雇ってもらえました。今日もすんなりお休みがもらえました」
アイラは心から安堵のため息を漏らした。
「あの、もう一度あの時の話がお聞きになりたいとか」
「そうなの、あの時はまだ気持ちの整理がついてなくて。今頃になって気になってきたの。もう一度話してもらえるかしら。」
「はい、夜かなり遅い時間でした。トイレに行こうとして玄関近くを通った時、玄関のドアを叩く音がして。覗き窓から見たら雪まみれの男の人が立っていて、大旦那様に急ぎの秘密の用があるって言いました。大旦那様はその男の人を直ぐ中に入れて、小声で話していました。話は全然聞こえなかったんですが、大旦那様が病気って仰ったのが聞こえたんです。その後男の人は出て行きました。大旦那様は大奥様と、馬車で出ていかれてそのまま」
「いくつか質問して良いかな? アイラ様も宜しいですか?」
「はい「ええ」」
「トイレに行く時灯りは持っていた?」
「はいランプを持っていました」
「なら覗き窓から外を見た時、ドアの向こうは見えたかな?」
「ぼんやりとですが見えました」
「どんな人だった?」
「よくわからないんです。雪まみれでフードを被っていて」
「背はどの位?」
「高かったです、覗き窓の方へ少し腰をかがめて話していたので」
「やってみよう、ちょっと立ってくれる?」
ソファの横に、ウィルソンとリリアが向かい合って立った。ウィルソンは少し前屈みになった。
「私がその男だと思って、こんな感じだった?」
「いえ、もう少し低かったです。そうそんな感じです」
「私の身長が6フィート2インチなので、多分6フィート弱位ですね。ありがとう、座っていいよ。覗き窓に近づいて話してたって言ってたよね、相手は正面を向いてた?」
「いえ、斜めの方を向いて、時々こっちを向いて話しました」
「どんな感じだった? 疲れてそうとか怒ってそうとか」
「イライラしているみたいで怖かったです」
「目つきとか睨んでる感じ?」
「はい、ドアは絶対開けたくないって思いました」
「ランプを持っていたなら相手の顔は見えた? ぼんやりとでもいいよ」
「そうですね、ぼんやりと見えてた気がします」
「目の色とか分かるかな、黒っぽいとか明るかったとか」
「明るかったと思います。あんまり濃い色じゃなかったような」
「口は? 大きかったとか小さかったとか、イメージで良いんだけど」
「そうですね、特に大きくはなかったような気がします。あと、ボソボソと話してましたけど割とはっきり言葉が聞き取れました」
「大旦那様を呼びに行く時、外に待たせてたんだよね」
「はい、夜遅い時間でしたし、なんだか怖そうな人だったから」
「でも大旦那様は直ぐ中に入れた」
「はい、覗き窓から見て直ぐにドアを開けられました」
「フードを被っていたんだよね。体型はどんな感じかな? 太ってるみたいとか痩せてそうとか」
「よく判りません、あっでも少し歩きにくそうにしてたから、いっぱい着てるからかなって思いました」
「もしいっぱい着てたら、太ってる人みたいになってたかも」
「いえ、そんな感じじゃなかったです。うーん、歩き方とか立ち方とか、少しカッコ良かった気がします。大旦那様と喋ってる時、結構手が動いてました。こんな感じで」
間違いない、デイビッドです(だ)。
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ギータにリリアの迎えを頼んだ日のお昼過ぎ、執務室で郵便物の整理をしているとソフィアが声をかけてきた。
「アイラ様、リリアが来ました。いかがしますか?」
「談話室へお願い。疲れていると思うから、紅茶と一緒に甘いお茶菓子を。ウィルソンも呼んでちょうだい」
大急ぎで談話室に向かうと、ウィルソンがドアの所に待機していた。ウィルソンがドアを開け、ソフィアと3人で中に入った。
ソファに座っていたリリアが立ち上がって頭を下げた。
「お久しぶりです、お嬢様」
「リリア、無理をさせてごめんなさい。疲れたでしょう。座ってちょうだい」
アイラはリリアの正面に座った。ウィルソンはアイラの斜め後ろ、ソフィアは入り口近くに立っている。
「とんでもありません。私もずっと気になっていたので」
メイドが紅茶とお茶菓子を置いて下がるのを待って話をはじめた。
「あのね、あの日から今までの間におかしな事とかなかった?」
「いえ何もありませんでした。何かあったんですか?」
「いいえ、何もなかったのなら良かった。今はどうしているの?」
「今は知り合いのお店で手伝いをしています。店主が母の古くからの友人なので、あれから直ぐ雇ってもらえました。今日もすんなりお休みがもらえました」
アイラは心から安堵のため息を漏らした。
「あの、もう一度あの時の話がお聞きになりたいとか」
「そうなの、あの時はまだ気持ちの整理がついてなくて。今頃になって気になってきたの。もう一度話してもらえるかしら。」
「はい、夜かなり遅い時間でした。トイレに行こうとして玄関近くを通った時、玄関のドアを叩く音がして。覗き窓から見たら雪まみれの男の人が立っていて、大旦那様に急ぎの秘密の用があるって言いました。大旦那様はその男の人を直ぐ中に入れて、小声で話していました。話は全然聞こえなかったんですが、大旦那様が病気って仰ったのが聞こえたんです。その後男の人は出て行きました。大旦那様は大奥様と、馬車で出ていかれてそのまま」
「いくつか質問して良いかな? アイラ様も宜しいですか?」
「はい「ええ」」
「トイレに行く時灯りは持っていた?」
「はいランプを持っていました」
「なら覗き窓から外を見た時、ドアの向こうは見えたかな?」
「ぼんやりとですが見えました」
「どんな人だった?」
「よくわからないんです。雪まみれでフードを被っていて」
「背はどの位?」
「高かったです、覗き窓の方へ少し腰をかがめて話していたので」
「やってみよう、ちょっと立ってくれる?」
ソファの横に、ウィルソンとリリアが向かい合って立った。ウィルソンは少し前屈みになった。
「私がその男だと思って、こんな感じだった?」
「いえ、もう少し低かったです。そうそんな感じです」
「私の身長が6フィート2インチなので、多分6フィート弱位ですね。ありがとう、座っていいよ。覗き窓に近づいて話してたって言ってたよね、相手は正面を向いてた?」
「いえ、斜めの方を向いて、時々こっちを向いて話しました」
「どんな感じだった? 疲れてそうとか怒ってそうとか」
「イライラしているみたいで怖かったです」
「目つきとか睨んでる感じ?」
「はい、ドアは絶対開けたくないって思いました」
「ランプを持っていたなら相手の顔は見えた? ぼんやりとでもいいよ」
「そうですね、ぼんやりと見えてた気がします」
「目の色とか分かるかな、黒っぽいとか明るかったとか」
「明るかったと思います。あんまり濃い色じゃなかったような」
「口は? 大きかったとか小さかったとか、イメージで良いんだけど」
「そうですね、特に大きくはなかったような気がします。あと、ボソボソと話してましたけど割とはっきり言葉が聞き取れました」
「大旦那様を呼びに行く時、外に待たせてたんだよね」
「はい、夜遅い時間でしたし、なんだか怖そうな人だったから」
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「はい、覗き窓から見て直ぐにドアを開けられました」
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「いえ、そんな感じじゃなかったです。うーん、歩き方とか立ち方とか、少しカッコ良かった気がします。大旦那様と喋ってる時、結構手が動いてました。こんな感じで」
間違いない、デイビッドです(だ)。
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