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葬儀 Part 2
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二月
ーーーーーー
葬儀が終わった後、デイビッドがやってきた。
「遅くなって申し訳ない。侯爵家に用事で出向いていたから、一昨日はじめて知って慌てて飛び出してきたんだ。
馬車の事故だって聞いたんだけど、何があったんだい?」
「朝、街道で横転した馬車が見つかったんです。車軸が壊れたとか」
「御者はいなかったのかい?」
「はい、お父様がご自分で」
「そんな早い時間に、何故馬車を走らせたんだろう。
しかも御者もつけずに、ご自分で操縦するなんて。
そんな無茶をするからこんな事に」
その時は何気なく聞き流していたのだが、後から落ち着いて考えると、デイビッドの話の中にいくつか気になることが。
葬儀の後3週間、アイラは別宅に滞在した。
直ぐに両親の私物を片付ける気にはなれなかったが、訃報を聞いた近所の知り合いが訪れたり、使用人の今後の事など細々とした決め事もあり、落ち着いて座る事もできずにいた。
デイビッドはやってきた日に一泊した後、抜けられない用事があるからと帰って行った。
デイビッドへの愛情などすっかり無くなっていたアイラは、正直なところ帰ってくれてほっとしていた。
深夜の屋敷の中は静まりかえっていた。
領主館に帰る前日の夜、アイラは暖炉に火を燃やし、両親の事を一人ぼんやり考えていた。
その時ふとデイビッドの言葉を思い出した。
「一昨日侯爵家で?」
「そんな早い時間?」
侯爵家からここまで来るには、どんなに急いでも2日はかかるだろう。
確かに一昨日訃報を受け取り、馬を変えながら休みなく走り続ければ間に合う。
だがあの時のデイビッドは、二晩も徹夜で馬を走らせた人のようには見えなかった。
それに両親の訃報を侯爵家に出したのは、事故の連絡を受けた次の日。
アイラは紙を探し出し、日付け順に書いていった。
4日未明、事故
4日昼前、領主館に連絡が届く
4日夕方、別宅到着
5日、 侯爵家へ早馬
6日
7日午後、葬儀とデイビッド到着
侯爵家に出した早馬が、一番早いタイミングで着いたとしても、葬儀の日当日が限界だろう。
アイラは元々、デイビッドがどこにいるのか知らないので、彼に連絡出来るとは考えていなかった。
デイビッドが言うように、偶々侯爵家に居たのだとしたら、葬儀のあった7日に訃報を受け取ったはずなのだ。
それにデイビッドは両親の事故が、朝の早い時間だという事を知っていた。
アイラは〝朝″ としか言わなかったはずだと思い不信に思ったが、うろ覚えのことなので自信がない。
多分私には言いにくい場所にいたので、咄嗟に侯爵家に居たと嘘をついたのだろうと結論付けて、考えるのをやめた。
それよりもいったい、誰が両親を呼び出したのだろう。
メイドが聞いた話が聞き間違いでないなら、アイラが病気だと嘘をついたのは間違いないだろう。
両親が親しくしている親戚は、隣国に嫁いだ叔母だけ。
その他に近しい親戚はいない。
叔母や友人の病気であれば、夜中に慌てて飛び出すとは思えない。
自警団とももう一度話してみたけれど、車軸が折れた事故だからと相手にされなかった。
壊れた馬車を見せて欲しいと頼んだが、手違いで既に廃棄してしまったとのこと。
結局何もわからないままで終わってしまった。
夜遅く呼び出された時に、偶々馬車が壊れる? そんな偶然があるのだろうか。
それに両親を呼び出したのは、いったい誰だったのだろう。
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葬儀が終わった後、デイビッドがやってきた。
「遅くなって申し訳ない。侯爵家に用事で出向いていたから、一昨日はじめて知って慌てて飛び出してきたんだ。
馬車の事故だって聞いたんだけど、何があったんだい?」
「朝、街道で横転した馬車が見つかったんです。車軸が壊れたとか」
「御者はいなかったのかい?」
「はい、お父様がご自分で」
「そんな早い時間に、何故馬車を走らせたんだろう。
しかも御者もつけずに、ご自分で操縦するなんて。
そんな無茶をするからこんな事に」
その時は何気なく聞き流していたのだが、後から落ち着いて考えると、デイビッドの話の中にいくつか気になることが。
葬儀の後3週間、アイラは別宅に滞在した。
直ぐに両親の私物を片付ける気にはなれなかったが、訃報を聞いた近所の知り合いが訪れたり、使用人の今後の事など細々とした決め事もあり、落ち着いて座る事もできずにいた。
デイビッドはやってきた日に一泊した後、抜けられない用事があるからと帰って行った。
デイビッドへの愛情などすっかり無くなっていたアイラは、正直なところ帰ってくれてほっとしていた。
深夜の屋敷の中は静まりかえっていた。
領主館に帰る前日の夜、アイラは暖炉に火を燃やし、両親の事を一人ぼんやり考えていた。
その時ふとデイビッドの言葉を思い出した。
「一昨日侯爵家で?」
「そんな早い時間?」
侯爵家からここまで来るには、どんなに急いでも2日はかかるだろう。
確かに一昨日訃報を受け取り、馬を変えながら休みなく走り続ければ間に合う。
だがあの時のデイビッドは、二晩も徹夜で馬を走らせた人のようには見えなかった。
それに両親の訃報を侯爵家に出したのは、事故の連絡を受けた次の日。
アイラは紙を探し出し、日付け順に書いていった。
4日未明、事故
4日昼前、領主館に連絡が届く
4日夕方、別宅到着
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6日
7日午後、葬儀とデイビッド到着
侯爵家に出した早馬が、一番早いタイミングで着いたとしても、葬儀の日当日が限界だろう。
アイラは元々、デイビッドがどこにいるのか知らないので、彼に連絡出来るとは考えていなかった。
デイビッドが言うように、偶々侯爵家に居たのだとしたら、葬儀のあった7日に訃報を受け取ったはずなのだ。
それにデイビッドは両親の事故が、朝の早い時間だという事を知っていた。
アイラは〝朝″ としか言わなかったはずだと思い不信に思ったが、うろ覚えのことなので自信がない。
多分私には言いにくい場所にいたので、咄嗟に侯爵家に居たと嘘をついたのだろうと結論付けて、考えるのをやめた。
それよりもいったい、誰が両親を呼び出したのだろう。
メイドが聞いた話が聞き間違いでないなら、アイラが病気だと嘘をついたのは間違いないだろう。
両親が親しくしている親戚は、隣国に嫁いだ叔母だけ。
その他に近しい親戚はいない。
叔母や友人の病気であれば、夜中に慌てて飛び出すとは思えない。
自警団とももう一度話してみたけれど、車軸が折れた事故だからと相手にされなかった。
壊れた馬車を見せて欲しいと頼んだが、手違いで既に廃棄してしまったとのこと。
結局何もわからないままで終わってしまった。
夜遅く呼び出された時に、偶々馬車が壊れる? そんな偶然があるのだろうか。
それに両親を呼び出したのは、いったい誰だったのだろう。
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