4 / 89
Sideデイビッド
しおりを挟む
登場人物みんな胸糞です。ご注意下さい。
ーーーーーー
ー 四年前(結婚二年前) ー
「全く、お嬢様の相手は疲れるよ」
デイビッドは馴染みのクラブで、カードゲームを楽しみながら、仲間達に愚痴をこぼしていた。
「そのおかげで将来は伯爵様だろう? しかもエジャートン伯爵家は、かなりの資産家だ。
由緒正しい伯爵家、豊かな領地。
しかも現伯爵は年寄りときた。最高の結婚相手じゃないか」
「取り敢えず乾杯しようぜ。
おいブランデーを持ってこい、最高級のやつだ。
未来の伯爵様の奢りだぜ! しかし上手くやったよな。
貴族の3男なんて、爵位も財産も何もなしで追い出される運命だったんだぞ。
それが今じゃ、金のなる木を手にしたんだ。
文句を言ったらバチが当たるよな」
「しかもエジャートン伯爵令嬢は、かなりの美人なんだろ。
領地経営の勉強とやらが忙しくて、お茶会や夜会には出て来ないが、なんでも流れるようなブロンドと紫の瞳で、妖精姫って言われてるとか」
「金貨を敷き詰めたベッドで、妖精姫を組み敷くとか最高じゃん。
なんなら俺が代わってやろうか?」
「あいつは俺に惚れてるからな、お前なんか目じゃないさ」
「なら結婚しても今まで通り遊びまくり?」
「当たり前だろう。惚れた男と結婚出来るんだ。しっかり貢いでもらうさ」
「結婚しちまえばこっちのもんってか、最低だな。ちくしょう、代わりてぇ」
「最初にしっかり躾けてやれば、これからも俺の言うままさ。
あいつは、伯爵が歳をとって出来た子供だから甘ちゃんだし、ちょっと優しくしてやったら、すっかり俺の言いなりだしな。
結婚してやるんだから、しっかり働いてもらうさ」
「ひゅ~、すげ~自信だな」
初めての顔合わせから、お嬢様の喜びそうなネタを見つけては、ご機嫌を取ってきた。
お陰で今じゃあいつは俺に惚れ込んで、何でも俺の言いなりだ。
年寄りの伯爵達も、俺達の結婚を諸手をあげて歓迎してるしな。
あいつが領地に引っ込んだら、こんな面倒くさい事しなくて済むようになるんだ。さっさと領地に行ってくれないかな。
まぁもう暫くの辛抱ってやつか。
ー 三年前 ー
漸く領地に引っ込んだと思ったのに、手紙が届くようになった。
無視してやろうかと思ったが、結婚するまで今の状態をキープする必要もあるし、さてどうするか?
そう言えば、執事のジェイスンは字が綺麗だって、誰かが言ってた気がする。
あいつにやらせるか。高い給料払ってやってるんだから、偶には役に立って貰わないとな。
ー 結婚式当日 ー
結婚式の後、予定通り伯爵達は親戚の家に出かけて行った。
その後は領地の南にある別宅に住むんだが、そこは領主館から馬車で半日近くかかる。
新婚夫婦に遠慮して、そんな所に住むのかも知れないが、こっちとしては大助かりだ。
しょっちゅうやって来て、監視されたら面倒くさいしな。
エジャートン伯爵領は、南北に長くて飛び地が幾つもある。
俺がいない時に伯爵達がやって来たら、領地の視察に出掛けていると言うよう、あいつに根回ししとかないとな。
ー 結婚式翌日 ー
「新婚生活が落ち着くまではこのままにしよう。これから時間はいくらでもあるんだ、焦らずいこうじゃないか」
あんな女抱くなんて、冗談じゃない。ああ言う女はベッドでも、ただ寝てるだけで面白くも何ともないんだ。
特に初めての時なんて面倒なだけで、ちっとも気持ちよくないしな。
随分期待してたみたいで笑える。伯爵になったら、もっといい女を愛人にして連れてきてやる。
さて、とっととあいつのとこに行くとするか。
「新婚さんがこんなとこいていいのぉ?」
「だったら帰るか?」
「やだぁ、そんなこと言ってないってば。会いにきてくれて、すっごく嬉しいのにぃ。貴族の奥様じゃつまんなかったんでしょ。ふふ」
「ふふん、あいつは一晩中待ちぼうけだ。今朝はおろおろしてて、笑いを堪えるのが大変だったぜ」
「じゃ今日はあたしが、いっぱい楽しませてあげるね」
ーーーーーー
ー 四年前(結婚二年前) ー
「全く、お嬢様の相手は疲れるよ」
デイビッドは馴染みのクラブで、カードゲームを楽しみながら、仲間達に愚痴をこぼしていた。
「そのおかげで将来は伯爵様だろう? しかもエジャートン伯爵家は、かなりの資産家だ。
由緒正しい伯爵家、豊かな領地。
しかも現伯爵は年寄りときた。最高の結婚相手じゃないか」
「取り敢えず乾杯しようぜ。
おいブランデーを持ってこい、最高級のやつだ。
未来の伯爵様の奢りだぜ! しかし上手くやったよな。
貴族の3男なんて、爵位も財産も何もなしで追い出される運命だったんだぞ。
それが今じゃ、金のなる木を手にしたんだ。
文句を言ったらバチが当たるよな」
「しかもエジャートン伯爵令嬢は、かなりの美人なんだろ。
領地経営の勉強とやらが忙しくて、お茶会や夜会には出て来ないが、なんでも流れるようなブロンドと紫の瞳で、妖精姫って言われてるとか」
「金貨を敷き詰めたベッドで、妖精姫を組み敷くとか最高じゃん。
なんなら俺が代わってやろうか?」
「あいつは俺に惚れてるからな、お前なんか目じゃないさ」
「なら結婚しても今まで通り遊びまくり?」
「当たり前だろう。惚れた男と結婚出来るんだ。しっかり貢いでもらうさ」
「結婚しちまえばこっちのもんってか、最低だな。ちくしょう、代わりてぇ」
「最初にしっかり躾けてやれば、これからも俺の言うままさ。
あいつは、伯爵が歳をとって出来た子供だから甘ちゃんだし、ちょっと優しくしてやったら、すっかり俺の言いなりだしな。
結婚してやるんだから、しっかり働いてもらうさ」
「ひゅ~、すげ~自信だな」
初めての顔合わせから、お嬢様の喜びそうなネタを見つけては、ご機嫌を取ってきた。
お陰で今じゃあいつは俺に惚れ込んで、何でも俺の言いなりだ。
年寄りの伯爵達も、俺達の結婚を諸手をあげて歓迎してるしな。
あいつが領地に引っ込んだら、こんな面倒くさい事しなくて済むようになるんだ。さっさと領地に行ってくれないかな。
まぁもう暫くの辛抱ってやつか。
ー 三年前 ー
漸く領地に引っ込んだと思ったのに、手紙が届くようになった。
無視してやろうかと思ったが、結婚するまで今の状態をキープする必要もあるし、さてどうするか?
そう言えば、執事のジェイスンは字が綺麗だって、誰かが言ってた気がする。
あいつにやらせるか。高い給料払ってやってるんだから、偶には役に立って貰わないとな。
ー 結婚式当日 ー
結婚式の後、予定通り伯爵達は親戚の家に出かけて行った。
その後は領地の南にある別宅に住むんだが、そこは領主館から馬車で半日近くかかる。
新婚夫婦に遠慮して、そんな所に住むのかも知れないが、こっちとしては大助かりだ。
しょっちゅうやって来て、監視されたら面倒くさいしな。
エジャートン伯爵領は、南北に長くて飛び地が幾つもある。
俺がいない時に伯爵達がやって来たら、領地の視察に出掛けていると言うよう、あいつに根回ししとかないとな。
ー 結婚式翌日 ー
「新婚生活が落ち着くまではこのままにしよう。これから時間はいくらでもあるんだ、焦らずいこうじゃないか」
あんな女抱くなんて、冗談じゃない。ああ言う女はベッドでも、ただ寝てるだけで面白くも何ともないんだ。
特に初めての時なんて面倒なだけで、ちっとも気持ちよくないしな。
随分期待してたみたいで笑える。伯爵になったら、もっといい女を愛人にして連れてきてやる。
さて、とっととあいつのとこに行くとするか。
「新婚さんがこんなとこいていいのぉ?」
「だったら帰るか?」
「やだぁ、そんなこと言ってないってば。会いにきてくれて、すっごく嬉しいのにぃ。貴族の奥様じゃつまんなかったんでしょ。ふふ」
「ふふん、あいつは一晩中待ちぼうけだ。今朝はおろおろしてて、笑いを堪えるのが大変だったぜ」
「じゃ今日はあたしが、いっぱい楽しませてあげるね」
38
お気に入りに追加
1,944
あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

元カレの今カノは聖女様
abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」
公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。
婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。
極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。
社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。
けれども当の本人は…
「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」
と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。
それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。
そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で…
更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。
「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。

氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる