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79.釣れた! 合図は⋯⋯
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グレーの石造りの二階建てのコテージは三角屋根に煙突が目立つ上品な作りで、窓枠が白く塗られ常緑樹の緑と季節に合わせた花々が建物の周りを彩っている。
明るい日差しの下で見れば周りの木立に溶け込む可愛らしいコテージの景観にシャーロットは大喜びしたことだろう。
出入り口は玄関の茶色い木の扉と厨房にある小さな裏口のみで、暖炉を使っている今は大人も通れそうなサイズの煙突は使えない。
だから、コテージに侵入できるのは二箇所のみ。
音がしたのは厨房の辺りからだった。全身を研ぎ澄まして耳をそば立てていると、僅かに木の軋む音が聞こえてきた。
(間違いない、人がいる⋯⋯一人じゃない)
ギシリと床のなる音と金属が擦れる音が重なって聞こえた。
普段なら護衛が玄関と裏口の両方に常駐するが今夜は誰もいない。シャーロットは護衛騎士と決めた合図をする為に立ち上がった。
手にしたランプを窓際に置くと、エカテリーナからのプレゼントを手に玄関脇の階段を登った。
(裏口から侵入してきた時は窓辺にランプを置いて、玄関から来た時はカーテンを閉める⋯⋯。きっと見ていてくれたはず)
四つあるうちの一番奥の寝室に入ると少し天井が低い部屋で嗅ぎ慣れた蜜蝋の香りが漂っていた。窓から入る月明かりだけを頼りに部屋の中を見回すと、話に聞いていた通りクインサイズのベッドが並んでいるのは分かったが人がいる気配がしない。
(ここに護衛が待機してくれているはずだったのに)
シャーロットは体術や剣が使えるわけではない。普段は不安を掻き立てる暗がりだが、怯えていたら敵の思う壺になってしまうと気を引き締めて声を出した。
「どなたかいらっしゃいますか?」
「ああ、角砂糖を切らしてるんだけど持ってるかな?」
なんとなく聞き覚えがあるような安心できる声だったが合図の言葉と違う。シャーロットはジリジリと後ろに下がりながら扇子を握りしめた。
(護衛の人じゃない! 約束していた言葉は『ここで鎧鼠を探してたんだ』だったはず)
二階には侵入できる方法はないから安心するようにと言われていた。一番奥の部屋は中から鍵をかければかなりの攻撃に耐えられるようになっているとも。
(いつの間に侵入したのかしら。どうやって外に知らせればいいのか⋯⋯)
まだ部屋の鍵は閉めていない。息を殺したシャーロットは後ろ手にドアを探りながら敵がベッドの陰にゆっくりと座り込む様を見つめていた。
(大声で叫ぶ? 部屋から逃げ出すならどこが安全? それとも不意をつけるなら、扇子で⋯⋯)
「ここの床ってめちゃくちゃ暖かいって知ってたかい? 耳をすましてたのに眠くなりそうでヤバかったよ。だからシャーロットがソックスから逃げ回ってる姿を想像して我慢してた」
ゴシゴシと顔を擦るその声は。
「ジェローム? どうしてここに」
「誰かさんに置いてけぼりにされたから、慌てて追いかけてきたってとこかな? 合言葉は鎧鼠を捜索中だった」
「先にそう言ってくれたらあんなに不安にならずに⋯⋯」
「仕返し成功だな。俺はもっと不安だったから、後でお仕置き確定。まだ全然信用されてないって分かってちょっと凹んでるし」
「そ、それよりも下に」
「うん、シャーロットはここに隠れててくれ。そろそろ行ってくるよ」
護衛が賊を捕まえるまでここに一緒に隠れていようと言いかけて気付いた。法務部の文官で父や兄と違って線の細いジェロームだからシャーロットは忘れていたけど⋯⋯。
(ジェロームもモルガリウスなんだわ)
普段や狐狩りの時のような穏やかな様子とは違いひどく禍々しいオーラを纏っている。
(顔が見えたら目を吊り上げてそう。穏やかな人ほど怒らせると怖いって⋯⋯)
ジェロームが鞘から抜いたのは飾りのないスモールソード。かつて決闘で使用されていたレイピアから発展し細く小さくなったスモールソードは刺突の攻撃に向いている。
紳士達の腰にあるステータスを誇示するための派手な装飾の剣ではなく、シンプルで攻撃に特化したもののように見えた。
「シャーロットは俺が守る。俺の担当は階段を上がってきた奴だから、鍵をかけた後は何があっても絶対に部屋を出るなよ」
ドアに手をかけたジェロームが外の様子を伺いながら念を押してきた。下では既に乱闘がはじまっているようで、大きな物音や叫び声が聞こえてきている。
「もしこのドアを開けたらお仕置き追加だからな」
細く開けたドアからジェロームが飛び出していき、シャーロットはベッドにペタンと座り込んだ。
(は! 鍵を!!)
慌ててドアに飛びついて震える手で鍵を閉めたが、『ぐわぁ!』と言うおかしな声と共にどさりと鈍い音が聞こえて思わず後ずさった。
(階段から何か落ちた? ジェロームは大丈夫かしら)
ドアに耳をつけて外の様子を伺うが戦いを知らないシャーロットには状況が全く分からない。
「そっちに行ったぞ!」
「ぐへぇ!」
「貴様!」
金属同士がぶつかる音や物が壊れる音、永遠にも思える時間が過ぎ階段を駆け降りていく音が聞こえた。
(ジェロームが一階に降りた? 戦いが終わったのかしら?)
部屋から出てみたい気持ちを押し殺し益々ドアに耳を押し付けていたシャーロットはチリチリする背中と部屋の臭いに違和感を感じた。
(一人じゃない⋯⋯まさか、部屋に誰かいる?)
いつもの幻覚か妄想ではなく間違いなく先ほどまでとは違う臭いがしている。ギシリと鳴った床の音はベッドの奥から聞こえてきたし、わずかな衣擦れの音も聞こえる。
シャーロットは気づいていないそぶりでドアに耳をつけたまま頭をフル回転させた。
(さっきまでここには私しかいなかったはずよ。なのに何故?)
シャーロットがパーティー会場を抜け出した時ジェロームはまだそこにいた。その後エカテリーナに捕まったはずのジェロームがどうやってこのコテージの二階にやって来れたのか⋯⋯。
(もしかして隠し通路のようなものがある? 二階のこの部屋を指定された理由が『隠し通路の出入り口になっているから』なら、ジェロームの後から誰かが来た可能性もあるわ。敵の可能性が高いけど、味方の可能性もある?
違う、味方ならとっくに何かリアクションをとってるはずだもの)
ゆっくりとドアから耳を離して背をドアに押しつけた。
「誰かいるの?」
平静を装って声をかけながらそっと鍵を開けた。ジェロームがまだ階段の所にいるとしたら部屋の外には絶対に飛び出せないが、密室のままにしておくのは怖い。
(ジェロームが驚いて敵に隙を見せることになれば怪我をしてしまうかもしれないもの)
シャーロットはエカテリーナがバスケットに入れてくれた扇子⋯⋯鉄扇をしっかりと握りしめた。
一階の戦いは終わりかけているのか益々音や声が減ってきて、その分シャーロットのいる寝室の緊張感が増してきた。
薄暗い部屋に獲物を狙うようなねっとりとした視線を感じる。浅い息遣いと足を踏み締めた時の僅かな軋む音、何日も風呂に入っていないような饐えた臭いがする。
(あ、あの女が⋯⋯追いかけてきた)
ゆっくりと歩き出した影がシャーロットに向けて手を伸ばした。
「漸く楽しめるぜ」
(違う! アイツじゃない!!)
明るい日差しの下で見れば周りの木立に溶け込む可愛らしいコテージの景観にシャーロットは大喜びしたことだろう。
出入り口は玄関の茶色い木の扉と厨房にある小さな裏口のみで、暖炉を使っている今は大人も通れそうなサイズの煙突は使えない。
だから、コテージに侵入できるのは二箇所のみ。
音がしたのは厨房の辺りからだった。全身を研ぎ澄まして耳をそば立てていると、僅かに木の軋む音が聞こえてきた。
(間違いない、人がいる⋯⋯一人じゃない)
ギシリと床のなる音と金属が擦れる音が重なって聞こえた。
普段なら護衛が玄関と裏口の両方に常駐するが今夜は誰もいない。シャーロットは護衛騎士と決めた合図をする為に立ち上がった。
手にしたランプを窓際に置くと、エカテリーナからのプレゼントを手に玄関脇の階段を登った。
(裏口から侵入してきた時は窓辺にランプを置いて、玄関から来た時はカーテンを閉める⋯⋯。きっと見ていてくれたはず)
四つあるうちの一番奥の寝室に入ると少し天井が低い部屋で嗅ぎ慣れた蜜蝋の香りが漂っていた。窓から入る月明かりだけを頼りに部屋の中を見回すと、話に聞いていた通りクインサイズのベッドが並んでいるのは分かったが人がいる気配がしない。
(ここに護衛が待機してくれているはずだったのに)
シャーロットは体術や剣が使えるわけではない。普段は不安を掻き立てる暗がりだが、怯えていたら敵の思う壺になってしまうと気を引き締めて声を出した。
「どなたかいらっしゃいますか?」
「ああ、角砂糖を切らしてるんだけど持ってるかな?」
なんとなく聞き覚えがあるような安心できる声だったが合図の言葉と違う。シャーロットはジリジリと後ろに下がりながら扇子を握りしめた。
(護衛の人じゃない! 約束していた言葉は『ここで鎧鼠を探してたんだ』だったはず)
二階には侵入できる方法はないから安心するようにと言われていた。一番奥の部屋は中から鍵をかければかなりの攻撃に耐えられるようになっているとも。
(いつの間に侵入したのかしら。どうやって外に知らせればいいのか⋯⋯)
まだ部屋の鍵は閉めていない。息を殺したシャーロットは後ろ手にドアを探りながら敵がベッドの陰にゆっくりと座り込む様を見つめていた。
(大声で叫ぶ? 部屋から逃げ出すならどこが安全? それとも不意をつけるなら、扇子で⋯⋯)
「ここの床ってめちゃくちゃ暖かいって知ってたかい? 耳をすましてたのに眠くなりそうでヤバかったよ。だからシャーロットがソックスから逃げ回ってる姿を想像して我慢してた」
ゴシゴシと顔を擦るその声は。
「ジェローム? どうしてここに」
「誰かさんに置いてけぼりにされたから、慌てて追いかけてきたってとこかな? 合言葉は鎧鼠を捜索中だった」
「先にそう言ってくれたらあんなに不安にならずに⋯⋯」
「仕返し成功だな。俺はもっと不安だったから、後でお仕置き確定。まだ全然信用されてないって分かってちょっと凹んでるし」
「そ、それよりも下に」
「うん、シャーロットはここに隠れててくれ。そろそろ行ってくるよ」
護衛が賊を捕まえるまでここに一緒に隠れていようと言いかけて気付いた。法務部の文官で父や兄と違って線の細いジェロームだからシャーロットは忘れていたけど⋯⋯。
(ジェロームもモルガリウスなんだわ)
普段や狐狩りの時のような穏やかな様子とは違いひどく禍々しいオーラを纏っている。
(顔が見えたら目を吊り上げてそう。穏やかな人ほど怒らせると怖いって⋯⋯)
ジェロームが鞘から抜いたのは飾りのないスモールソード。かつて決闘で使用されていたレイピアから発展し細く小さくなったスモールソードは刺突の攻撃に向いている。
紳士達の腰にあるステータスを誇示するための派手な装飾の剣ではなく、シンプルで攻撃に特化したもののように見えた。
「シャーロットは俺が守る。俺の担当は階段を上がってきた奴だから、鍵をかけた後は何があっても絶対に部屋を出るなよ」
ドアに手をかけたジェロームが外の様子を伺いながら念を押してきた。下では既に乱闘がはじまっているようで、大きな物音や叫び声が聞こえてきている。
「もしこのドアを開けたらお仕置き追加だからな」
細く開けたドアからジェロームが飛び出していき、シャーロットはベッドにペタンと座り込んだ。
(は! 鍵を!!)
慌ててドアに飛びついて震える手で鍵を閉めたが、『ぐわぁ!』と言うおかしな声と共にどさりと鈍い音が聞こえて思わず後ずさった。
(階段から何か落ちた? ジェロームは大丈夫かしら)
ドアに耳をつけて外の様子を伺うが戦いを知らないシャーロットには状況が全く分からない。
「そっちに行ったぞ!」
「ぐへぇ!」
「貴様!」
金属同士がぶつかる音や物が壊れる音、永遠にも思える時間が過ぎ階段を駆け降りていく音が聞こえた。
(ジェロームが一階に降りた? 戦いが終わったのかしら?)
部屋から出てみたい気持ちを押し殺し益々ドアに耳を押し付けていたシャーロットはチリチリする背中と部屋の臭いに違和感を感じた。
(一人じゃない⋯⋯まさか、部屋に誰かいる?)
いつもの幻覚か妄想ではなく間違いなく先ほどまでとは違う臭いがしている。ギシリと鳴った床の音はベッドの奥から聞こえてきたし、わずかな衣擦れの音も聞こえる。
シャーロットは気づいていないそぶりでドアに耳をつけたまま頭をフル回転させた。
(さっきまでここには私しかいなかったはずよ。なのに何故?)
シャーロットがパーティー会場を抜け出した時ジェロームはまだそこにいた。その後エカテリーナに捕まったはずのジェロームがどうやってこのコテージの二階にやって来れたのか⋯⋯。
(もしかして隠し通路のようなものがある? 二階のこの部屋を指定された理由が『隠し通路の出入り口になっているから』なら、ジェロームの後から誰かが来た可能性もあるわ。敵の可能性が高いけど、味方の可能性もある?
違う、味方ならとっくに何かリアクションをとってるはずだもの)
ゆっくりとドアから耳を離して背をドアに押しつけた。
「誰かいるの?」
平静を装って声をかけながらそっと鍵を開けた。ジェロームがまだ階段の所にいるとしたら部屋の外には絶対に飛び出せないが、密室のままにしておくのは怖い。
(ジェロームが驚いて敵に隙を見せることになれば怪我をしてしまうかもしれないもの)
シャーロットはエカテリーナがバスケットに入れてくれた扇子⋯⋯鉄扇をしっかりと握りしめた。
一階の戦いは終わりかけているのか益々音や声が減ってきて、その分シャーロットのいる寝室の緊張感が増してきた。
薄暗い部屋に獲物を狙うようなねっとりとした視線を感じる。浅い息遣いと足を踏み締めた時の僅かな軋む音、何日も風呂に入っていないような饐えた臭いがする。
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