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73.狐狩りがはじまる
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案内された部屋には寝室が二つあった。
助かったと思ったシャーロットと話し合うチャンスが減ったと凹むジェロームだったが、その日は疲れを理由に部屋で食事をしてそのままそれぞれの部屋に引き篭もった。
そして今、朝早くから張り切ってやって来たメイド達に磨き上げられているシャーロットは、器用に話の焦点をずらしてしまい狐狩りから逃がさないよう画策しているエカテリーナと今日に限って一切顔を見せなくなったマリアンヌのどちらに向けて悪態をつくべきか悩んでいた。
狐狩り当日に着る予定だとエカテリーナ達が張り切っていたジャケットは、確信犯達の手によってシャーロットの物も準備できていて風も通して皺がつかないように広げられている。
(あのデザインって、私が描いたものよね。王宮専属の仕立て屋が王妃殿下の為に持ち帰ったデザイン画の一つだったはず。
あれを着たら目立つこと間違いなしだわ)
髪を結い終わり化粧も済ませてからジャケットを羽織ると、腹が立つほどシャーロットのサイズにピッタリと合っていた。
初日の今日、猟全体の指揮を執る管理者の指示でハンツマンと呼ばれる猟犬の育成を任されている使用人は既に、狩猟場の中のキツネの巣穴を塞ぎに行っている。
夫人や令嬢がソワソワとしながら待っていると、騎乗した競技参加者や猟犬とその管理者が広場に続々と集まってきた。
優雅な態度を崩さないエカテリーナと柔らかい笑顔のマリアンヌ。その後ろに毅然として立つシャーロットは緊張を押し隠し上品な笑顔を浮かべていた。
「あ、あの方よ」
「冤罪だったと言っても、あの傷ですものねえ」
「堂々と参加されるなんて、図々しい」
ヒソヒソと噂する声と少し距離を置こうとする令嬢や夫人の態度に顔が引き攣りそうになるのを堪えてシャーロットは胸を張った。
エカテリーナとマリアンヌが何気なく近くに並んでくれたのがとても心強く感じられ、最後まで胸を張っていようと心に決めた。
(覚悟してたもの、大丈夫)
「ねえ、あれ素敵だわ!」
「見たことのないお衣装ですわね」
最初とは違う声が聞こえはじめシャーロットは少し肩の力を抜いた。
「ご覧になって、どこの仕立て屋が考えたのかしら?」
「是非お聞きしなくては」
ありがたい事にヒソヒソと交わされる噂話に気付かない者達も大勢いた。
少し顔を赤らめて血気に逸る若者の前で心配そうな婚約者が目を潤ませ、自信満々の騎士風の男は自信ありげな表情の夫人を抱き寄せて頬にキスをしている。
慣れた様子で蘊蓄を語る男はウィップをしならせながら周りの関心を集めようとし、興味なさそうな態度の男は馬の世話係に文句を言っていた。
扇子で口元を隠しながら隣に立つ令嬢に何やら囁いている婦人は婚約者候補の見定め中だろう。狙っている令息を見つけた令嬢の目が輝き慌てて髪に手をやって表情を作り上げていく様は古くからある芝居を見ているよう。
エカテリーナとマリアンヌの前にはいつもと変わらない笑顔のジェロームがソックスの手綱を持ってやって来たが、シャーロットは侍女のような佇まいでエカテリーナ達の後ろに立っていた。
「シャーロット、陰に隠れてないで前に来て応援してくれると嬉しいな」
夫人や令嬢達は参加する夫や恋人に自身が普段身につけているものを渡すのが習わしのようになっているらしい。
怪我をしないよう祈りを込めたり、優秀な成績を収められるよう願いを込めたり。
態々目の前で髪に結んだリボンを外して渡したりするパフォーマンスなども見られ、その後の話題作りに一役買っている。
(エカテリーナ様がご令息様に何か渡してくれれば良いんだけど⋯⋯やっぱり無理よね、どうしよう)
大勢の貴族の中で緊張しているシャーロットが立ち竦んでいると『きゃあ』と歓声が上がった。
どうやら派手なパフォーマンスをした者がいたらしく全員の目がシャーロット達とは別方向を向いている隙に、ジェロームの手に無理矢理ハンカチを押し込んだ。
「と、特に意味はないのですが。その、形式上このようなも⋯⋯きゃあ!」
目を逸らしたままもごもごと説明していたシャーロットをジェロームが抱き上げた。
「おろ、降ろしてよ!」
目立ちたくないシャーロットは小声で文句を言いながらジェロームの肩を叩いたが、舞い上がったジェロームは気にも留めずにその場でクルクルと回りはじめた。
「シャーロット、すごく嬉しい!」
「や、やめて。恥ずかしいから、ほんと⋯⋯ほんと無理」
恥ずかしがるシャーロットを降ろしたジェロームは彼女の頭に触れるか触れないかのキスをしてから右手を差し出した。
「ここに結んでくれる?」
両手で頭を押さえて真っ赤になったシャーロットは口をハクハクさせて狼狽えた。
「い、今な⋯⋯何を」
ほらほらと手を出してハンカチを手首に結んで欲しいと強請っていたジェロームは周りの態度に気が付いた。
「あれしきのことで大袈裟な」
「わざとらしい⋯⋯」
(俺がいる時でさえこんなふうに言われるなら、いない時はどれほど⋯⋯)
周りの声が聞こえる中でできる限り平然を装ったシャーロットはジェロームの手首にハンカチを結んだ。
(しっかりしなくちゃ、負けてなんていられない)
「どうぞお怪我などなさいませんように。醜態を晒してしまっては、アーサー様達が帰ってこられた時笑われてしまいますわ」
「ああ、尻尾を土産に持って帰ってくるよ」
「尻尾は⋯⋯耳とどちらがましだと思われます?」
後ろで陰口を叩いていた令嬢の方を向いたシャーロットが優雅に首を傾げると、『うっ』と声を詰まらせて逃げ出した。
(一回戦目はシャーロットの勝利だな)
「さあ、もう直はじまりそうね、ソックスが退屈そうにしていますよ」
エカテリーナに扇子で追い払われたジェロームは名残惜しそうにしながらソックスに声をかけた。
「さあ、今日はシャーロットに格好良いところを見せないとな」
「ブヒヒン」
「張り切って荒い鼻息を吐いてるソックスがモルガリウス一の戦闘狂かもな」
ジェロームがソックスに話しかけていると台に足をかけた国王が笑いを堪えたような顔で見ていた。
「ほう、其方は本当に馬と会話するのだな。今度余の愛馬に一番の好物は何か聞いてもらうとしよう」
壇上に立った国王の直ぐ下にはジャケットを着た王妃が颯爽と立ち、気合を入れて馬の手綱を握る紳士達を見渡していた。
国王の簡単な挨拶の後、猟犬達が放たれた。
キツネを発見した時に聞こえるはずの見張り役の叫び声に耳を澄ませる使用人と、その様子をソワソワとしながら見ている参加者達。
直ぐに騎馬できるよう馬の側で待機する者や、使用人に馬の状態を再確認させる者。既に騎馬している者も多い。
気合の入った参加者の中でジェロームだけが妙にのんびりして見えた。
「そんなに呑気にしておられて大丈夫ですの?」
「あー、うん。体力勝負だからね、温存?」
ヘラっと笑うジェロームのお陰で少し肩の力が抜けたシャーロットは『この人はほんとに不思議な人だわ』とほのかに笑顔を浮かべた。
「タリホー!」
獲物を確認したと言う声が聞こえた途端、追跡に向かった猟犬の後を競技参加者が一斉に追いかけていく。真剣な男達とは違う心から楽しそうな笑顔を見せたジェロームも彼等と一緒にかけて行った。
「仲の良い主従ね、すごく楽しそうな顔だったわ」
広場は一気に静かになり仲の良い人達が幾つかのグループになり話しはじめ、普段より少し興奮気味なのか賑やかな笑い声も聞こえてきた。
「あれほど多くの猟犬がいるとは思いませんでした」
「でしょう、わたくしも初めて見た時は驚いてしまったわ」
王妃の元にいるエカテリーナは仲の良い夫人に囲まれて、ジャケットの事を聞かれているらしい。チラチラとシャーロットの方を見る夫人がいたり、自慢げな王妃が後ろ姿を披露したりしている。
マリアンヌの元にも友人達がやって来て羨ましげにジャケットのことを聞いて来た。
助かったと思ったシャーロットと話し合うチャンスが減ったと凹むジェロームだったが、その日は疲れを理由に部屋で食事をしてそのままそれぞれの部屋に引き篭もった。
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(あのデザインって、私が描いたものよね。王宮専属の仕立て屋が王妃殿下の為に持ち帰ったデザイン画の一つだったはず。
あれを着たら目立つこと間違いなしだわ)
髪を結い終わり化粧も済ませてからジャケットを羽織ると、腹が立つほどシャーロットのサイズにピッタリと合っていた。
初日の今日、猟全体の指揮を執る管理者の指示でハンツマンと呼ばれる猟犬の育成を任されている使用人は既に、狩猟場の中のキツネの巣穴を塞ぎに行っている。
夫人や令嬢がソワソワとしながら待っていると、騎乗した競技参加者や猟犬とその管理者が広場に続々と集まってきた。
優雅な態度を崩さないエカテリーナと柔らかい笑顔のマリアンヌ。その後ろに毅然として立つシャーロットは緊張を押し隠し上品な笑顔を浮かべていた。
「あ、あの方よ」
「冤罪だったと言っても、あの傷ですものねえ」
「堂々と参加されるなんて、図々しい」
ヒソヒソと噂する声と少し距離を置こうとする令嬢や夫人の態度に顔が引き攣りそうになるのを堪えてシャーロットは胸を張った。
エカテリーナとマリアンヌが何気なく近くに並んでくれたのがとても心強く感じられ、最後まで胸を張っていようと心に決めた。
(覚悟してたもの、大丈夫)
「ねえ、あれ素敵だわ!」
「見たことのないお衣装ですわね」
最初とは違う声が聞こえはじめシャーロットは少し肩の力を抜いた。
「ご覧になって、どこの仕立て屋が考えたのかしら?」
「是非お聞きしなくては」
ありがたい事にヒソヒソと交わされる噂話に気付かない者達も大勢いた。
少し顔を赤らめて血気に逸る若者の前で心配そうな婚約者が目を潤ませ、自信満々の騎士風の男は自信ありげな表情の夫人を抱き寄せて頬にキスをしている。
慣れた様子で蘊蓄を語る男はウィップをしならせながら周りの関心を集めようとし、興味なさそうな態度の男は馬の世話係に文句を言っていた。
扇子で口元を隠しながら隣に立つ令嬢に何やら囁いている婦人は婚約者候補の見定め中だろう。狙っている令息を見つけた令嬢の目が輝き慌てて髪に手をやって表情を作り上げていく様は古くからある芝居を見ているよう。
エカテリーナとマリアンヌの前にはいつもと変わらない笑顔のジェロームがソックスの手綱を持ってやって来たが、シャーロットは侍女のような佇まいでエカテリーナ達の後ろに立っていた。
「シャーロット、陰に隠れてないで前に来て応援してくれると嬉しいな」
夫人や令嬢達は参加する夫や恋人に自身が普段身につけているものを渡すのが習わしのようになっているらしい。
怪我をしないよう祈りを込めたり、優秀な成績を収められるよう願いを込めたり。
態々目の前で髪に結んだリボンを外して渡したりするパフォーマンスなども見られ、その後の話題作りに一役買っている。
(エカテリーナ様がご令息様に何か渡してくれれば良いんだけど⋯⋯やっぱり無理よね、どうしよう)
大勢の貴族の中で緊張しているシャーロットが立ち竦んでいると『きゃあ』と歓声が上がった。
どうやら派手なパフォーマンスをした者がいたらしく全員の目がシャーロット達とは別方向を向いている隙に、ジェロームの手に無理矢理ハンカチを押し込んだ。
「と、特に意味はないのですが。その、形式上このようなも⋯⋯きゃあ!」
目を逸らしたままもごもごと説明していたシャーロットをジェロームが抱き上げた。
「おろ、降ろしてよ!」
目立ちたくないシャーロットは小声で文句を言いながらジェロームの肩を叩いたが、舞い上がったジェロームは気にも留めずにその場でクルクルと回りはじめた。
「シャーロット、すごく嬉しい!」
「や、やめて。恥ずかしいから、ほんと⋯⋯ほんと無理」
恥ずかしがるシャーロットを降ろしたジェロームは彼女の頭に触れるか触れないかのキスをしてから右手を差し出した。
「ここに結んでくれる?」
両手で頭を押さえて真っ赤になったシャーロットは口をハクハクさせて狼狽えた。
「い、今な⋯⋯何を」
ほらほらと手を出してハンカチを手首に結んで欲しいと強請っていたジェロームは周りの態度に気が付いた。
「あれしきのことで大袈裟な」
「わざとらしい⋯⋯」
(俺がいる時でさえこんなふうに言われるなら、いない時はどれほど⋯⋯)
周りの声が聞こえる中でできる限り平然を装ったシャーロットはジェロームの手首にハンカチを結んだ。
(しっかりしなくちゃ、負けてなんていられない)
「どうぞお怪我などなさいませんように。醜態を晒してしまっては、アーサー様達が帰ってこられた時笑われてしまいますわ」
「ああ、尻尾を土産に持って帰ってくるよ」
「尻尾は⋯⋯耳とどちらがましだと思われます?」
後ろで陰口を叩いていた令嬢の方を向いたシャーロットが優雅に首を傾げると、『うっ』と声を詰まらせて逃げ出した。
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エカテリーナに扇子で追い払われたジェロームは名残惜しそうにしながらソックスに声をかけた。
「さあ、今日はシャーロットに格好良いところを見せないとな」
「ブヒヒン」
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ヘラっと笑うジェロームのお陰で少し肩の力が抜けたシャーロットは『この人はほんとに不思議な人だわ』とほのかに笑顔を浮かべた。
「タリホー!」
獲物を確認したと言う声が聞こえた途端、追跡に向かった猟犬の後を競技参加者が一斉に追いかけていく。真剣な男達とは違う心から楽しそうな笑顔を見せたジェロームも彼等と一緒にかけて行った。
「仲の良い主従ね、すごく楽しそうな顔だったわ」
広場は一気に静かになり仲の良い人達が幾つかのグループになり話しはじめ、普段より少し興奮気味なのか賑やかな笑い声も聞こえてきた。
「あれほど多くの猟犬がいるとは思いませんでした」
「でしょう、わたくしも初めて見た時は驚いてしまったわ」
王妃の元にいるエカテリーナは仲の良い夫人に囲まれて、ジャケットの事を聞かれているらしい。チラチラとシャーロットの方を見る夫人がいたり、自慢げな王妃が後ろ姿を披露したりしている。
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