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23.首の皮一枚で
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「なんだろう、シャーロットの言葉にはもの凄い説得力がある。自分でも気付いているのに認めてはいけないと思っていたことだったり、言われて『確かにそうだった』って思う事だったり」
部屋の隅で話を聞いていたジョージやアマンダが苦虫を噛み潰したような顔でジェロームの呟きを聞いていた。
(自分達は皆、旦那様が一日も早く理性を取り戻してくれるのを願っているのに。一体どうすれば旦那様の目を覚ますことができるんだ!? そうだ、モルガリウスの奥様なら分かってくださるに違いない! 王都へあの女を連れて行くのなら奥様が引導を渡してくださるはず⋯⋯それまで耐えれば)
(このままじゃ旦那様があの女の口八丁に絆されて懐柔されてしまう。あんなの詭弁だって誰だって分かるのに! 男を誑かして犯罪者になったのよ。その手口に敬愛する旦那様が絡め取られてしまう)
デュークとウルグス弁護士はジョージとアマンダの心の声に気付いたようだが無表情で朝食を終えジェロームの次の言葉を待っていた。彼等はジェロームの言動によってはコーネリア伯爵家を見限るつもりでいる。
アルフォンス公爵に横槍を入れさせず、妻を虐待した事を理由に離婚訴訟を進めるのは簡単だとウルグス弁護士は言う。アルフォンス公爵家とコーネリア伯爵家の行った虐待の証拠は既に集め終わっている。
亡くなったとは言えディーン・ボルトレーンの影響力を使えばコーネリア伯爵家やモルガリウス侯爵家など簡単に潰せるし準備は既に出来ているとデュークも言う。
『旦那様がコーネリア卿に興味を持たれていなければとうの昔に切り捨てていますが、もう暫く様子を見ましょう』
ディーンの遺言に近い願いを知っているデュークとウルグス弁護士は自分達の中の苦々しい思いに蓋をしてジェロームの成長を眺めていた。
二人にとって幼い頃から見てきたシャーロットは可愛い孫や娘のような立ち位置。その娘を苦しめる公爵家と伯爵家に関わる全ての者達はデューク達にとって完全なる敵で、いつでも徹底的に潰せるよう家族構成から友人関係まで全て調べ上げている。
(今日の様子ではコーネリア卿だけは首の皮が一枚から二枚⋯⋯いや、一枚半位は繋がったかもしれませんね)
シャーロットが出所する二ヶ月前にアルフォンス公爵が勝手に婚姻を結んだ相手がジェローム・コーネリア伯爵だと知った時ディーンはとても楽しそうに笑った。
『シャーロットのバカ親は自分が何を抱え込んだか気付いてもおらん。モルガリウスには絶対に手を出してらならん史上最強の⋯⋯いや、史上最恐の三人がおる。しかも背後にも面倒な女が控えておるしな。
そうは言ってもシャーロットに敵対するならコーネリアとモルガリウスなどわしが簡単に潰してやるが⋯⋯。いずれにせよ、バカ親如きでは瞬殺されるのがオチじゃろう。
それから、暫くはジェローム・コーネリアの成長をみてみようじゃないか。彼奴はまだ芽も出ておらず土の中で燻っておる種のままじゃからなぁ。どのような葉を広げるか久しぶりに楽しみができた⋯⋯シャーロットなら彼奴を無理矢理芽吹かせるじゃろうし、シャーロットの成長にも役立つじゃろうて』
デュークとウルグス弁護士はまだ、その言葉を忠実に守っている。
「デューク、シャーロットの言い分は正しいと思う。それなのに自分の頭を整理すればするほど離婚するのは間違いだと思ってる事にも気付かされる」
「目新しい理論を展開した研究者に対する感動みたいなものでしょうか。大学などで『ほう!』と思えるような物珍しい講義を行った教授に尊敬の念を感じるような⋯⋯」
その程度のことですよと、デュークはさらっと話しを流した。
「社交界に行けば何かが分かるんだろうか」
「さあ、それはどうでしょうか? 年齢はコーネリア卿の方が上でいらっしゃいますが、人生経験はシャーロット様の方が上でいらっしゃいますので」
「女子収容所か⋯⋯」
「まあ、それも含めて」
それから直ぐに王都へ向かって出発した。デューク達はまだ荷解きしておらずシャーロットは荷物そのものが殆どない。ジェロームは王都に必要なものが揃っているので準備自体必要なかった。
「途中の休憩で何か食べようと思うんだ」
「わたくしの為でしたらお気遣いなく。さほどお腹は空いておりませんし」
「葡萄でか?」
「はい、葡萄で」
シャーロットは物珍しそうに窓から外を眺めている。その様子は何も知らない子供が初めて馬車に乗った時のようで目が輝き少しワクワクしているように見えた。
「俺は本当にシャーロットのことを知らないんだな」
「⋯⋯気になさるほどのことなどありませんから」
「王都に着いたらまず最初にドレスを仕立てよう。そのままでは母上と義姉上に殺される」
「大丈夫ですよ。お会いすることはないと思いますから」
窓から外を眺めたまま明らかに適当に返事をしているシャーロット。
「いや、それが⋯⋯義姉上のマリアンヌを覚えているかい?」
「⋯⋯やっぱり」
ジェロームが銀の仔馬亭に辿りついた理由はやっぱりそれだったのかとシャーロットはガックリ肩を落とした。
「家族で食事している時にシャーロットを連れてこいと責められて、仕方なく家出してると⋯⋯」
銀の仔馬亭に辿り着いた話を聞いたシャーロットは顔を顰めた。
(ストールでバレたことより態々新作を探してマリアンヌ様が何度も王都から通って来られてたっていう方が驚きだわ)
「折角気に入って下さったストールを作ったのが私のような者だとお知りになったならさぞがっかりなさったことでしょう。なんだか申し訳ないですわ⋯⋯」
久しぶりにジェロームが満面の笑みを浮かべた。
「いや、家族はみんな過去を引っくるめてシャーロットを受け入れてるんだ」
「は?」
「母上もマリアンヌもシャーロットを社交界に連れて行くと張り切ってる。父上もさっさと連れてこない俺が悪いと言っておられた」
シャーロットはとんでもない話に真っ青になった。
(社交界になんて絶対に行けないわ。似ている事がバレる前に離籍とアルフォンス公爵やフォルスト侯爵家からの影響を受けない状況を作らなくちゃいけないのに!)
何年も会っていないが、化粧をして身だしなみを整えたら今でもテレーザと似ている自信がある。
過去の恋人達の前でテレーザ達がなんと言い繕っているのか知らないが、そこにそっくりな顔でシャーロットが現れたら彼等は何を言い出すのだろうか。
社交界を鬼門だと思っていたシャーロットは頭が混乱してきた。
(そう言えばあの時の『カ』なんとかさんとかどうなったのかしら。カ⋯⋯カン? カンさんはテレーザそっくりの私と不倫したつもりでいるのよね)
テレーザは既に社交界にデビューし侯爵夫人にもなっている。瓜二つとは言え話をしていれば違和感を感じたりしないのだろうか。
シャーロットが突然百面相をはじめたのをジェロームが興味津々で見ていた。
(何を考えているんだろう。聞いたら教えてくれないかな?)
「あの、つかぬ事を伺うんですが⋯⋯」
部屋の隅で話を聞いていたジョージやアマンダが苦虫を噛み潰したような顔でジェロームの呟きを聞いていた。
(自分達は皆、旦那様が一日も早く理性を取り戻してくれるのを願っているのに。一体どうすれば旦那様の目を覚ますことができるんだ!? そうだ、モルガリウスの奥様なら分かってくださるに違いない! 王都へあの女を連れて行くのなら奥様が引導を渡してくださるはず⋯⋯それまで耐えれば)
(このままじゃ旦那様があの女の口八丁に絆されて懐柔されてしまう。あんなの詭弁だって誰だって分かるのに! 男を誑かして犯罪者になったのよ。その手口に敬愛する旦那様が絡め取られてしまう)
デュークとウルグス弁護士はジョージとアマンダの心の声に気付いたようだが無表情で朝食を終えジェロームの次の言葉を待っていた。彼等はジェロームの言動によってはコーネリア伯爵家を見限るつもりでいる。
アルフォンス公爵に横槍を入れさせず、妻を虐待した事を理由に離婚訴訟を進めるのは簡単だとウルグス弁護士は言う。アルフォンス公爵家とコーネリア伯爵家の行った虐待の証拠は既に集め終わっている。
亡くなったとは言えディーン・ボルトレーンの影響力を使えばコーネリア伯爵家やモルガリウス侯爵家など簡単に潰せるし準備は既に出来ているとデュークも言う。
『旦那様がコーネリア卿に興味を持たれていなければとうの昔に切り捨てていますが、もう暫く様子を見ましょう』
ディーンの遺言に近い願いを知っているデュークとウルグス弁護士は自分達の中の苦々しい思いに蓋をしてジェロームの成長を眺めていた。
二人にとって幼い頃から見てきたシャーロットは可愛い孫や娘のような立ち位置。その娘を苦しめる公爵家と伯爵家に関わる全ての者達はデューク達にとって完全なる敵で、いつでも徹底的に潰せるよう家族構成から友人関係まで全て調べ上げている。
(今日の様子ではコーネリア卿だけは首の皮が一枚から二枚⋯⋯いや、一枚半位は繋がったかもしれませんね)
シャーロットが出所する二ヶ月前にアルフォンス公爵が勝手に婚姻を結んだ相手がジェローム・コーネリア伯爵だと知った時ディーンはとても楽しそうに笑った。
『シャーロットのバカ親は自分が何を抱え込んだか気付いてもおらん。モルガリウスには絶対に手を出してらならん史上最強の⋯⋯いや、史上最恐の三人がおる。しかも背後にも面倒な女が控えておるしな。
そうは言ってもシャーロットに敵対するならコーネリアとモルガリウスなどわしが簡単に潰してやるが⋯⋯。いずれにせよ、バカ親如きでは瞬殺されるのがオチじゃろう。
それから、暫くはジェローム・コーネリアの成長をみてみようじゃないか。彼奴はまだ芽も出ておらず土の中で燻っておる種のままじゃからなぁ。どのような葉を広げるか久しぶりに楽しみができた⋯⋯シャーロットなら彼奴を無理矢理芽吹かせるじゃろうし、シャーロットの成長にも役立つじゃろうて』
デュークとウルグス弁護士はまだ、その言葉を忠実に守っている。
「デューク、シャーロットの言い分は正しいと思う。それなのに自分の頭を整理すればするほど離婚するのは間違いだと思ってる事にも気付かされる」
「目新しい理論を展開した研究者に対する感動みたいなものでしょうか。大学などで『ほう!』と思えるような物珍しい講義を行った教授に尊敬の念を感じるような⋯⋯」
その程度のことですよと、デュークはさらっと話しを流した。
「社交界に行けば何かが分かるんだろうか」
「さあ、それはどうでしょうか? 年齢はコーネリア卿の方が上でいらっしゃいますが、人生経験はシャーロット様の方が上でいらっしゃいますので」
「女子収容所か⋯⋯」
「まあ、それも含めて」
それから直ぐに王都へ向かって出発した。デューク達はまだ荷解きしておらずシャーロットは荷物そのものが殆どない。ジェロームは王都に必要なものが揃っているので準備自体必要なかった。
「途中の休憩で何か食べようと思うんだ」
「わたくしの為でしたらお気遣いなく。さほどお腹は空いておりませんし」
「葡萄でか?」
「はい、葡萄で」
シャーロットは物珍しそうに窓から外を眺めている。その様子は何も知らない子供が初めて馬車に乗った時のようで目が輝き少しワクワクしているように見えた。
「俺は本当にシャーロットのことを知らないんだな」
「⋯⋯気になさるほどのことなどありませんから」
「王都に着いたらまず最初にドレスを仕立てよう。そのままでは母上と義姉上に殺される」
「大丈夫ですよ。お会いすることはないと思いますから」
窓から外を眺めたまま明らかに適当に返事をしているシャーロット。
「いや、それが⋯⋯義姉上のマリアンヌを覚えているかい?」
「⋯⋯やっぱり」
ジェロームが銀の仔馬亭に辿りついた理由はやっぱりそれだったのかとシャーロットはガックリ肩を落とした。
「家族で食事している時にシャーロットを連れてこいと責められて、仕方なく家出してると⋯⋯」
銀の仔馬亭に辿り着いた話を聞いたシャーロットは顔を顰めた。
(ストールでバレたことより態々新作を探してマリアンヌ様が何度も王都から通って来られてたっていう方が驚きだわ)
「折角気に入って下さったストールを作ったのが私のような者だとお知りになったならさぞがっかりなさったことでしょう。なんだか申し訳ないですわ⋯⋯」
久しぶりにジェロームが満面の笑みを浮かべた。
「いや、家族はみんな過去を引っくるめてシャーロットを受け入れてるんだ」
「は?」
「母上もマリアンヌもシャーロットを社交界に連れて行くと張り切ってる。父上もさっさと連れてこない俺が悪いと言っておられた」
シャーロットはとんでもない話に真っ青になった。
(社交界になんて絶対に行けないわ。似ている事がバレる前に離籍とアルフォンス公爵やフォルスト侯爵家からの影響を受けない状況を作らなくちゃいけないのに!)
何年も会っていないが、化粧をして身だしなみを整えたら今でもテレーザと似ている自信がある。
過去の恋人達の前でテレーザ達がなんと言い繕っているのか知らないが、そこにそっくりな顔でシャーロットが現れたら彼等は何を言い出すのだろうか。
社交界を鬼門だと思っていたシャーロットは頭が混乱してきた。
(そう言えばあの時の『カ』なんとかさんとかどうなったのかしら。カ⋯⋯カン? カンさんはテレーザそっくりの私と不倫したつもりでいるのよね)
テレーザは既に社交界にデビューし侯爵夫人にもなっている。瓜二つとは言え話をしていれば違和感を感じたりしないのだろうか。
シャーロットが突然百面相をはじめたのをジェロームが興味津々で見ていた。
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