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0.間抜けな王子、『前例に続け!』
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今年の社交シーズンの幕開けを飾る王家主催のパーティー。女性達にここ数年流行しているローブ・ア・ラ・フランセーズは去年より一段と華やかになり、男性達のコートの刺繍は益々豪華になっていた。
白いドレスを纏い会場入りしたデビュタント達は幼い頃に決まった婚約者や親族のエスコートで高位貴族達の厳しい目に晒されていた。
開会を宣言し貴族達の挨拶を受け終わった国王と王妃が会場を後にした時にそれはおきた。
「皆の者、聞いてくれ。私は真実の愛を見つけたのだ!! ミリセント・サブスレール侯爵令嬢と婚約破棄し、真実の愛の相手ターニャ・オータル男爵令嬢と婚約する事をここに宣言する!」
ひな壇に仁王立ちし芝居がかった仕草で両手を広げた第一王子は、呆然として固まる貴族達の中から飛び出してきた令嬢を抱きしめた。
「リチャードさま~! わたし、嬉しいです~」
「私の愛するターニャを漸く皆に紹介する時が来た。優秀なサブスレール侯爵令嬢が王妃となる為に努力を積み重ねていた事はよく知っているが、もう嫉妬に駆られた行いは慎んでくれたまえ。
君のこれまでの努力が何らかの形で役立つ未来を約束してやる。だから、今後は醜い嫉妬や欲望で我が最愛を傷つけるな!」
金髪碧眼を絵に描いたような『ザ・王子』は彼の色を全身に纏ったターニャの顳顬にキスを落としサブスレール侯爵令嬢を睨みつけた。
「態々王家主催のパーティーで婚約破棄をした理由を申してみよ」
「高位貴族の集まっている場所でやれば、貴族への告知なんて面倒なことをしなくて済むじゃないですか!? 時間と人手の無駄を省きました!!」
周りの空気を読めていないエルバルド王国第一王子がドヤ顔で国王に返答した。『褒めて褒めて!』と言わんばかりに幸せオーラを撒き散らす王子の左手は、華やかな衣装で着飾った男爵令嬢の腰にまわっている。
「大勢の前で婚約破棄された侯爵令嬢の立場を考えなんだのか!? この事で侯爵家が離反したらどうなると思っておるのじゃ!!」
「そんな~、父上は心配のしすぎですよ。暫く時間をおいてから側妃に召し上げてやればあいつの機嫌なんてすぐに戻りますよ。ちゃんと努力を役立ててやると言っておきましたからアイツは理解してます!
今から慌ててターニャに王子妃教育をさせるのは可哀想だし、俺達の婚姻が遅れてしまうのも嫌ですしね。
側妃にしてやるってアイツが理解出来てないと心配しておられるのなら侯爵には手紙を送っておきます」
青筋を立てている国王と真っ青になって今にも気絶しそうな王妃の前で、王子と男爵令嬢は顔を見合わせてにっこりと笑い二人だけの世界を作っていた。
「父上達もそうしたではありませんか。そのように怖い顔をされる意味がわかりません!」
怒りでプルプルと震える国王も幼い頃から決まっていた婚約者を捨てて隣に座る王妃と婚姻した。
「余と同じ事が出来るわけがあるまい!!」
困窮した子爵家に生まれた子爵令嬢は低位貴族としてのマナーもあやふやで後ろ盾がないどころか持参金も準備できなかった。その上貴族令嬢の割にかなり自由奔放に生きていた子爵令嬢の王太子妃教育は全くと言っていいほど進まなかった。
全ての費用を国費から賄っている上に教育が進まない事を議会から糾弾された王太子は、婚約破棄した侯爵令嬢を将来側妃に召し上げると確約し侯爵家から支援させた上に、側妃となった侯爵令嬢に王妃の政務を肩代わりさせ続けた。
哀れな側妃は今も⋯⋯。
そんな過去を持つ国王と王妃。その息子だから仕方ないのか⋯⋯。
「公務は優秀な側妃にさせて支援金も捻出させる。で、私は最愛の人を王妃にして二人で外遊に行きます。ですよね?」
キラキラと輝く目でリチャードが話す夢物語は現国王と王妃がやってきた事。
握りしめていた拳から力が抜けた国王と顔を覆い泣き出した王妃は自分たちのしでかした事と向き合わざるを得なくなった。
(余の治世はこれで終わった。側妃の家は権力に固執しておったからこそできた事じゃったが、それを押し通したせいで⋯⋯)
その当時、王太子達が行った非道は近隣諸国にもあっという間に広まった。外交の際に揶揄され小説や芝居になり、王国内でも他国でも【真実の愛】による婚約破棄が一大ブームになってしまった。
「貴様とは婚約破棄する!」
「悪いね、婚約は破棄させてもらうよ」
「今どき政略結婚なんてあり得ないよね」
「真実の愛を見つけたんだ!」
最低の前例を作った国だと各国から蔑まれ外交や輸出入でのトラブルもどんどん増えている。王家が率先して公然と非道を行う貞操観念の薄い国だと評判になり、それを喜ぶ評判の悪い輩が他国からやってくるようになってしまった。
「分かった。リチャードはそこにおる男爵令嬢と婚姻するが良い」
「やっぱり、父上ならわかってくださると思っていました!!」
「おとーさま、おかーさま。ターニャもお二人みたいにお芝居の主人公になりますね! あと、うちも貧乏なんでお小遣いとかよろしくでーす」
翌日には書類が準備されリチャードとターニャの婚姻が成立すると同時にリチャードの王位継承権を剥奪した。
ターニャの生家の爵位も剥奪し、国王は退位。王弟が即位後、王弟の第一子が立太子した。
幸せの絶頂から叩き落とされた二人は平民となり、婚約破棄した侯爵家への慰謝料支払いの為強制労働所に送られた。
新国王が即位後一番初めに行った法改正。
「今後、我が国で不貞を行った者は厳罰に処す!!」
婚約や結婚している者が不貞を行った場合には禁固刑が課される事になった。王弟時代から前国王の行いに再三抗議し、王国内や他国からの評価にハラワタが煮え繰り返る思いをしていた新国王。
「不貞を行うという事は婚約者や妻・夫の心を殺したと同義であろう。殺人犯と同じ扱いをされると覚悟せよ!!」
それ以降エルバルド王国では不貞を行うどころか疑いを持たれる事さえ恐れられるようになり、よく言えば貞淑な者達ばかり⋯⋯悪く言えば些細な言葉遊びも出来ない国に変貌していった。
今まで愛人を渡り歩いていた者達が公に開催される退屈なパーティーとは別の秘されたお楽しみを見つけるようになっていったのは当然の流れだったのかもしれない。
(だって、ダメって言われると益々やりたくならない?)
この法が確立された次代の王の治世。法の目をかいくぐる者に振り回された少女の奮闘記がはじまる。
白いドレスを纏い会場入りしたデビュタント達は幼い頃に決まった婚約者や親族のエスコートで高位貴族達の厳しい目に晒されていた。
開会を宣言し貴族達の挨拶を受け終わった国王と王妃が会場を後にした時にそれはおきた。
「皆の者、聞いてくれ。私は真実の愛を見つけたのだ!! ミリセント・サブスレール侯爵令嬢と婚約破棄し、真実の愛の相手ターニャ・オータル男爵令嬢と婚約する事をここに宣言する!」
ひな壇に仁王立ちし芝居がかった仕草で両手を広げた第一王子は、呆然として固まる貴族達の中から飛び出してきた令嬢を抱きしめた。
「リチャードさま~! わたし、嬉しいです~」
「私の愛するターニャを漸く皆に紹介する時が来た。優秀なサブスレール侯爵令嬢が王妃となる為に努力を積み重ねていた事はよく知っているが、もう嫉妬に駆られた行いは慎んでくれたまえ。
君のこれまでの努力が何らかの形で役立つ未来を約束してやる。だから、今後は醜い嫉妬や欲望で我が最愛を傷つけるな!」
金髪碧眼を絵に描いたような『ザ・王子』は彼の色を全身に纏ったターニャの顳顬にキスを落としサブスレール侯爵令嬢を睨みつけた。
「態々王家主催のパーティーで婚約破棄をした理由を申してみよ」
「高位貴族の集まっている場所でやれば、貴族への告知なんて面倒なことをしなくて済むじゃないですか!? 時間と人手の無駄を省きました!!」
周りの空気を読めていないエルバルド王国第一王子がドヤ顔で国王に返答した。『褒めて褒めて!』と言わんばかりに幸せオーラを撒き散らす王子の左手は、華やかな衣装で着飾った男爵令嬢の腰にまわっている。
「大勢の前で婚約破棄された侯爵令嬢の立場を考えなんだのか!? この事で侯爵家が離反したらどうなると思っておるのじゃ!!」
「そんな~、父上は心配のしすぎですよ。暫く時間をおいてから側妃に召し上げてやればあいつの機嫌なんてすぐに戻りますよ。ちゃんと努力を役立ててやると言っておきましたからアイツは理解してます!
今から慌ててターニャに王子妃教育をさせるのは可哀想だし、俺達の婚姻が遅れてしまうのも嫌ですしね。
側妃にしてやるってアイツが理解出来てないと心配しておられるのなら侯爵には手紙を送っておきます」
青筋を立てている国王と真っ青になって今にも気絶しそうな王妃の前で、王子と男爵令嬢は顔を見合わせてにっこりと笑い二人だけの世界を作っていた。
「父上達もそうしたではありませんか。そのように怖い顔をされる意味がわかりません!」
怒りでプルプルと震える国王も幼い頃から決まっていた婚約者を捨てて隣に座る王妃と婚姻した。
「余と同じ事が出来るわけがあるまい!!」
困窮した子爵家に生まれた子爵令嬢は低位貴族としてのマナーもあやふやで後ろ盾がないどころか持参金も準備できなかった。その上貴族令嬢の割にかなり自由奔放に生きていた子爵令嬢の王太子妃教育は全くと言っていいほど進まなかった。
全ての費用を国費から賄っている上に教育が進まない事を議会から糾弾された王太子は、婚約破棄した侯爵令嬢を将来側妃に召し上げると確約し侯爵家から支援させた上に、側妃となった侯爵令嬢に王妃の政務を肩代わりさせ続けた。
哀れな側妃は今も⋯⋯。
そんな過去を持つ国王と王妃。その息子だから仕方ないのか⋯⋯。
「公務は優秀な側妃にさせて支援金も捻出させる。で、私は最愛の人を王妃にして二人で外遊に行きます。ですよね?」
キラキラと輝く目でリチャードが話す夢物語は現国王と王妃がやってきた事。
握りしめていた拳から力が抜けた国王と顔を覆い泣き出した王妃は自分たちのしでかした事と向き合わざるを得なくなった。
(余の治世はこれで終わった。側妃の家は権力に固執しておったからこそできた事じゃったが、それを押し通したせいで⋯⋯)
その当時、王太子達が行った非道は近隣諸国にもあっという間に広まった。外交の際に揶揄され小説や芝居になり、王国内でも他国でも【真実の愛】による婚約破棄が一大ブームになってしまった。
「貴様とは婚約破棄する!」
「悪いね、婚約は破棄させてもらうよ」
「今どき政略結婚なんてあり得ないよね」
「真実の愛を見つけたんだ!」
最低の前例を作った国だと各国から蔑まれ外交や輸出入でのトラブルもどんどん増えている。王家が率先して公然と非道を行う貞操観念の薄い国だと評判になり、それを喜ぶ評判の悪い輩が他国からやってくるようになってしまった。
「分かった。リチャードはそこにおる男爵令嬢と婚姻するが良い」
「やっぱり、父上ならわかってくださると思っていました!!」
「おとーさま、おかーさま。ターニャもお二人みたいにお芝居の主人公になりますね! あと、うちも貧乏なんでお小遣いとかよろしくでーす」
翌日には書類が準備されリチャードとターニャの婚姻が成立すると同時にリチャードの王位継承権を剥奪した。
ターニャの生家の爵位も剥奪し、国王は退位。王弟が即位後、王弟の第一子が立太子した。
幸せの絶頂から叩き落とされた二人は平民となり、婚約破棄した侯爵家への慰謝料支払いの為強制労働所に送られた。
新国王が即位後一番初めに行った法改正。
「今後、我が国で不貞を行った者は厳罰に処す!!」
婚約や結婚している者が不貞を行った場合には禁固刑が課される事になった。王弟時代から前国王の行いに再三抗議し、王国内や他国からの評価にハラワタが煮え繰り返る思いをしていた新国王。
「不貞を行うという事は婚約者や妻・夫の心を殺したと同義であろう。殺人犯と同じ扱いをされると覚悟せよ!!」
それ以降エルバルド王国では不貞を行うどころか疑いを持たれる事さえ恐れられるようになり、よく言えば貞淑な者達ばかり⋯⋯悪く言えば些細な言葉遊びも出来ない国に変貌していった。
今まで愛人を渡り歩いていた者達が公に開催される退屈なパーティーとは別の秘されたお楽しみを見つけるようになっていったのは当然の流れだったのかもしれない。
(だって、ダメって言われると益々やりたくならない?)
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