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51.愚かな使用人達の末路
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ー パーティー翌日の王都の屋敷 ー
パーティーで起きた断罪は瞬く間に貴族街に広がり、市場から青い顔で帰ってきたメイドが執事に泣きついた。
「冤罪って、嘘だろ!」
「間違いないみたいですよ、どうしますか? あたしクビは困るんです!」
「どうするって⋯⋯料理を出さなかっただけです⋯⋯じゃあ済まないよな」
「冤罪だって一言教えてくれてればあんな事しなかったのに、酷くないですか!?」
「そ、そうですよね。それに食事の件だって領主館からの報告に従ったまでの事だし」
「⋯⋯それで通りますかね。今はモルガリウス侯爵家にいらっしゃるそうですよ」
唯一僅かに理性が残っていてクビになる覚悟を決めた従者がデュークを部屋に案内した時の様子を思い出して呟いた。
(この状況になって考えてみたら、あの時のお客様の目には嫌悪と軽蔑しかなかったな)
「あ、あたし。奥様を部屋に案内した時⋯⋯ああ、どうしよう!」
部屋のドアを開けただけでシャーロットを放置したメイドは床に座り込んだ。
「だって⋯⋯だって、荷物も持ってない収容所帰りのお世話なんて嫌だったんだもん」
「とにかく侯爵家に行ってくる。それで謝って⋯⋯領主館からの報告書を読んで誤解していたと言えば、お優しいジェローム様なら分かってくださるはずだ」
使用人全員の期待を背負った執事が侯爵家に着いた。門番に声をかけると通用門を開けてくれはしたが、いつものような笑顔も軽口もなく執事の顔に苛立ちがよぎった。
(どうなってるんだ? 侯爵家の門番如きが伯爵家の執事にあのような態度を取るなんて! ジェファーソンの躾も乱れてきてるなあ)
屋敷の裏口から声をかけると料理長がチラリと見たあと手を止めた。
「ご用件は?」
「え、ジェローム様にお会いしたい。リンクスが来たと伝えてくれないか?」
「おい、ジェファーソン殿に連絡してくれ」
料理長がジェロームではなく執事のジェファーソンを呼びに行くよう下働きの少女に声をかけると、小さく頷いた少女が手を拭きながらパタパタと走り出した。
「いやー、全く驚いたよ。君達は知っていたのかい?」
「⋯⋯何をですかね?」
「ジェローム様の奥様の件だよ。全く、冤罪なら冤罪だと先に教えてくださっていれば我々もそれなりにおもてなしして差し上げたのにねえ」
この屋敷でもシャーロットに対して自分達と同じ扱いをしていたと信じているリンクスがこれ見よがしに溜息をついた。
「人が悪いと言うか、悪趣味な人だよ。そんなタチの悪いことをするような方だから陥れられたとかかな、君は詳しいことを何か知ってるかい?」
「おもてなしして差し上げたじゃなくて⋯⋯ご当主様の奥様ですからさせていただくものではありませんか?」
「ジェファーソン殿! ええ、勿論ですとも。さっきのは言葉の綾と言うか⋯⋯」
調理台にもたれかかり呑気に愚痴を言っていたリンクスがジェファーソンの声を聞いて慌てて背筋を伸ばした。
(くそ! 料理人相手だと思って気を抜いてたぜ)
「シャーロット様が冤罪であってもそうでなくてもジェローム様の奥様である事に変わりはありません」
「勿論、その通りです。我々もそのように思っておりました。領主館からきた報告書に惑わされてしまいましたが、誠心誠意お仕え致す所存でお帰りの日程をお聞きしようと伺った次第です」
「では何故冤罪の話が広まるまで一度も顔を出さなかったのですか?」
「いや、それは⋯⋯私はコーネリア伯爵家の執事ですからモルガリウス侯爵家の執事にとやかく言われるのは筋違いですぞ?」
「リンクス、それがお前の本心か?」
「ジェローム様! 中々お戻りになられないので使用人一同心配致しておりました。その、お戻りのご予定は決まられましたでしょうか?」
「いや、今のところあんな屋敷に帰る予定はないな。人が悪いと悪趣味⋯⋯後はタチが悪いだったか?」
「ほんの冗談と言いますか、言葉の使い方を間違っておりました。申し訳ございません」
「今後の事は決定し次第連絡をするが、長年随分と贅沢をしていたようだな。これまでの帳簿も全て調べるよう手配したから、今頃は屋敷に着いているだろう」
「そ、それはどう言う意味でしょうか?」
「この屋敷では冤罪が判る前からシャーロットを俺の妻として扱ってくれた。王都の屋敷と領地の使用人のレベルの低さが俺の能力不足を教えてくれたから、領主としての勉強のやり直しをしているところだ」
今までに見たことのない冷ややかなジェロームの態度にもう取り返しがつかないと気付いたリンクスが膝をついてジェロームの足にしがみついた。
「申し訳ございません。二度とあのような愚かな真似はしないとお約束いたしますから、わたくし達の思い違いをどうかお許し下さい!」
「財務調査で屋敷は落ち着かなくなっているだろうから、早く帰るといい。ただし、アレコレ持ち出したり隠蔽するのはやめておいた方がいいと皆に伝えてくれ、これでも法務部務めなんでそれなりのつてはあるからね」
クビになる前に金目の物を持ち出して逃げる使用人が出るのはよくある事だがと念を押したジェロームは、泣き縋るリンクスを無視して踵を返した。
ー パーティー翌々日の領地の屋敷 ー
ジェロームの代理人が領主館に現れた。
「旦那様の代理人が来るなんて⋯⋯一体何が⋯⋯どう言う事でしょうか?」
ジェローム・コーネリア伯爵の印の押された書類を手に玄関ホールで立ち尽くすジョージをアマンダ達は離れた場所から不安げに覗いていた。
「書類に記載されている通りです。当分の間コーネリア卿はここには戻られないので屋敷内の財産及び帳簿の確認を行い、全てを凍結します」
「ま、待って下さい! そんな事をされたら我々はどうやって生活していけば⋯⋯旦那様とお話しさせて頂きますので、それまでお待ち下さい!!」
「王都へ行かれるならモルガリウス侯爵家へ行かれるとよろしいでしょうな。コーネリア卿と夫人はそちらに滞在しておいでです」
「夫人と?」
「ご夫婦が共におられるのは自然な事ではありませんかな?」
「それは、まあ」
「コーネリア卿から財産目録をお預かり致しておりますし、執務室は現時点より立ち入り禁止とさせていただきます。その他にも調理場など経費のかかる場所への出入り、蝋燭や薪の使用なども全て禁止となります。
外出時の手荷物の確認以外に、退職希望の方がいれば勿論荷物を全て確認致します」
「そんな、旦那様とのお話がつくまでの食事はどうすればいいんですか!?」
「この季節に蝋燭も薪もなしなんて死んでしまいます!」
「そうそう、食事に関しては使用人から希望があった場合の但し書きがありましたな。
硬いパン若しくは黴たパンと汚水を混ぜたスープのみは提供しても良いそうですが、それ以外を所望する場合は商店街で自費による購入をするよう。
井戸の水は使用できますが、当然湯や石鹸などもありません」
「あの女のせいだ!」
「腹いせですか! なんであたし達がそんな目に合わなくちゃいけないんですか!? あの女は犯罪者ですよ!」
「「そうだそうだ!」」
「旦那様と話して目を覚ましていただかなくては⋯⋯」
「シャーロット様はあなた方の言うところの旦那様の奥方では?」
「そんなの認められるわけないでしよう!?」
「犯罪者の使用人なんて恥ずかしくてやってられません!」
「では、退職希望ですね。荷物を纏めたら声をかけて下さい。中身を調べさせていただきますので」
「なんで! あたし達が犯罪者扱いをされる理由なんてないわよ!!」
「皆さんもそうお思いで?」
「勿論!」
「犯罪者と関わるとこっちまで犯罪者扱いされるって言うじゃない。まさかそれとおんなじ? 旦那様はあの女に感化されたんだ、そんな人じゃなかったのに!」
「⋯⋯旦那様は立派な方ですから、話し合えば理解していただけると信じております。みんな、しばらくの間辛抱してくれ。必ず旦那様に目を覚ましていただくから」
ジョージがアマンダ達に向かって決意表明をしアマンダ達が強く頷いたのを見た代理人がゲラゲラと笑いはじめた。
パーティーで起きた断罪は瞬く間に貴族街に広がり、市場から青い顔で帰ってきたメイドが執事に泣きついた。
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「あ、あたし。奥様を部屋に案内した時⋯⋯ああ、どうしよう!」
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「だって⋯⋯だって、荷物も持ってない収容所帰りのお世話なんて嫌だったんだもん」
「とにかく侯爵家に行ってくる。それで謝って⋯⋯領主館からの報告書を読んで誤解していたと言えば、お優しいジェローム様なら分かってくださるはずだ」
使用人全員の期待を背負った執事が侯爵家に着いた。門番に声をかけると通用門を開けてくれはしたが、いつものような笑顔も軽口もなく執事の顔に苛立ちがよぎった。
(どうなってるんだ? 侯爵家の門番如きが伯爵家の執事にあのような態度を取るなんて! ジェファーソンの躾も乱れてきてるなあ)
屋敷の裏口から声をかけると料理長がチラリと見たあと手を止めた。
「ご用件は?」
「え、ジェローム様にお会いしたい。リンクスが来たと伝えてくれないか?」
「おい、ジェファーソン殿に連絡してくれ」
料理長がジェロームではなく執事のジェファーソンを呼びに行くよう下働きの少女に声をかけると、小さく頷いた少女が手を拭きながらパタパタと走り出した。
「いやー、全く驚いたよ。君達は知っていたのかい?」
「⋯⋯何をですかね?」
「ジェローム様の奥様の件だよ。全く、冤罪なら冤罪だと先に教えてくださっていれば我々もそれなりにおもてなしして差し上げたのにねえ」
この屋敷でもシャーロットに対して自分達と同じ扱いをしていたと信じているリンクスがこれ見よがしに溜息をついた。
「人が悪いと言うか、悪趣味な人だよ。そんなタチの悪いことをするような方だから陥れられたとかかな、君は詳しいことを何か知ってるかい?」
「おもてなしして差し上げたじゃなくて⋯⋯ご当主様の奥様ですからさせていただくものではありませんか?」
「ジェファーソン殿! ええ、勿論ですとも。さっきのは言葉の綾と言うか⋯⋯」
調理台にもたれかかり呑気に愚痴を言っていたリンクスがジェファーソンの声を聞いて慌てて背筋を伸ばした。
(くそ! 料理人相手だと思って気を抜いてたぜ)
「シャーロット様が冤罪であってもそうでなくてもジェローム様の奥様である事に変わりはありません」
「勿論、その通りです。我々もそのように思っておりました。領主館からきた報告書に惑わされてしまいましたが、誠心誠意お仕え致す所存でお帰りの日程をお聞きしようと伺った次第です」
「では何故冤罪の話が広まるまで一度も顔を出さなかったのですか?」
「いや、それは⋯⋯私はコーネリア伯爵家の執事ですからモルガリウス侯爵家の執事にとやかく言われるのは筋違いですぞ?」
「リンクス、それがお前の本心か?」
「ジェローム様! 中々お戻りになられないので使用人一同心配致しておりました。その、お戻りのご予定は決まられましたでしょうか?」
「いや、今のところあんな屋敷に帰る予定はないな。人が悪いと悪趣味⋯⋯後はタチが悪いだったか?」
「ほんの冗談と言いますか、言葉の使い方を間違っておりました。申し訳ございません」
「今後の事は決定し次第連絡をするが、長年随分と贅沢をしていたようだな。これまでの帳簿も全て調べるよう手配したから、今頃は屋敷に着いているだろう」
「そ、それはどう言う意味でしょうか?」
「この屋敷では冤罪が判る前からシャーロットを俺の妻として扱ってくれた。王都の屋敷と領地の使用人のレベルの低さが俺の能力不足を教えてくれたから、領主としての勉強のやり直しをしているところだ」
今までに見たことのない冷ややかなジェロームの態度にもう取り返しがつかないと気付いたリンクスが膝をついてジェロームの足にしがみついた。
「申し訳ございません。二度とあのような愚かな真似はしないとお約束いたしますから、わたくし達の思い違いをどうかお許し下さい!」
「財務調査で屋敷は落ち着かなくなっているだろうから、早く帰るといい。ただし、アレコレ持ち出したり隠蔽するのはやめておいた方がいいと皆に伝えてくれ、これでも法務部務めなんでそれなりのつてはあるからね」
クビになる前に金目の物を持ち出して逃げる使用人が出るのはよくある事だがと念を押したジェロームは、泣き縋るリンクスを無視して踵を返した。
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「ま、待って下さい! そんな事をされたら我々はどうやって生活していけば⋯⋯旦那様とお話しさせて頂きますので、それまでお待ち下さい!!」
「王都へ行かれるならモルガリウス侯爵家へ行かれるとよろしいでしょうな。コーネリア卿と夫人はそちらに滞在しておいでです」
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「あの女のせいだ!」
「腹いせですか! なんであたし達がそんな目に合わなくちゃいけないんですか!? あの女は犯罪者ですよ!」
「「そうだそうだ!」」
「旦那様と話して目を覚ましていただかなくては⋯⋯」
「シャーロット様はあなた方の言うところの旦那様の奥方では?」
「そんなの認められるわけないでしよう!?」
「犯罪者の使用人なんて恥ずかしくてやってられません!」
「では、退職希望ですね。荷物を纏めたら声をかけて下さい。中身を調べさせていただきますので」
「なんで! あたし達が犯罪者扱いをされる理由なんてないわよ!!」
「皆さんもそうお思いで?」
「勿論!」
「犯罪者と関わるとこっちまで犯罪者扱いされるって言うじゃない。まさかそれとおんなじ? 旦那様はあの女に感化されたんだ、そんな人じゃなかったのに!」
「⋯⋯旦那様は立派な方ですから、話し合えば理解していただけると信じております。みんな、しばらくの間辛抱してくれ。必ず旦那様に目を覚ましていただくから」
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