48 / 102
47.マリアンヌの意外な過去
しおりを挟む
シャーロットはアーサーが帰って来るまでと決めてモルガリウス侯爵家に滞在していた。デュークとウルグス弁護士は祖父の遺産の整理に行くと言って旅の支度をはじめた。
「旦那様はご自身の事を《稀に見る放蕩者、希代の詐欺師》だと仰っておいででしたが、まさにその通りでして、幾つもの名前であちこちに資産を持っておられるのです。
今回はそれを纏めなくてはならないので各地を旅してまいらねばなりません」
「お祖父様がデュークに預けた物は?」
「わたくしが帰りましたらその時にはお渡しできるかと存じます」
デュークの目にはシャーロットがまだ自由だとは思えないらしい。
(あの人達の判決が出てないからか、アーサー様がお戻りになられてないからかしら?)
パーティーから一か月経った。
(あと二ヶ月で白い結婚が成立するんだわ⋯⋯)
ジェロームはパーティーの後も態度が変わらない。シャーロットが夜はあまり眠れない事に気づいてからは朝のソックス訪問は中止になったが、仕事から帰ると夕食を含めてずっとシャーロットの隣に座っている。
本を読んだり仕事の資料を読んでいたり⋯⋯。刺繍やレース編みをするシャーロットと並んでソファに座り時折声をかけてくるだけ。
(本当に男色家だったりして⋯⋯)
怪しい雰囲気にならないのは嬉しいが、その代わり何故隣にいつもいるのか不思議になる。毎日こうして並んでいるとそれがとても自然なことのような気がして、肩に力が入ったり小さな物音や動きにびくつく事もなくなった。
「ソックス、あなたのご主人様は何を考えてるのかしら?」
シャーロットの右のポケットに入った人参を狙うソックスに話しかけると『ブフン!』と相変わらずのつれない返事が返ってきた。
毎日運動を兼ねてソックスに会いに行くシャーロットは彼のお気に入りに認定されたらしく、馬房に入ってブラシをかけさせてくれるようになった。
考え事をしているシャーロットの手が止まると大きな身体をすり寄せて『ブフフン!』
「はいはい、でもご主人様にしてもらう方が好きって知ってるわよ」
ツンと顔を逸らすソックスの耳がピクピクと動いた。
「そんな態度をしてたら⋯⋯今日調教師のマックが池に落ちのはソックスがわざとやってたんだってバラしちゃうんだから」
ソックスがチラリとシャーロットの顔を見て荒い鼻息を吐いた途端⋯⋯ベロリと顔を舐めた。
マリアンヌに連れられて商人ギルドで手続きを済ませると予想以上の金額が貯まっていたので驚いた。
「こんなに?」
「はい、類似品が出てくれば数が減ってくるでしょうが、今のところはまだかなりの数の売り上げが報告されています」
場所によっては入荷待ちのところもあるらしく、人手を増やして対応していると言う。
「次の商品を考案していただきたいと職人達から期待が寄せられております。商人ギルドとしても是非お願いしたい」
職人ギルドが乱立するようになってから商人ギルドは厳しい立場に立たされていた。今回の商品の作成で一部の職人ギルドとの連携ができた商人ギルドはシャーロットに大きな期待を寄せた。
「今後も同じようにそれぞれの持ち味を活かした協力体制ができればと考えています。その為にもシャーロット様の自由な発想に期待しております」
前のめりで熱意を語るギルド長に腰のひけたシャーロットは、マリアンヌの手を引いて早々に退散することにした。
(無理無理、そんな期待されても⋯⋯あれは偶々だったんだもの)
馬車の中で手元の書類を見つめながらため息をついた。
「期待されるのは嫌い?」
「嫌い⋯⋯かもしれません。凄く苦手なんです。失敗したらどうしようとか期待外れだったらどうしようとか、そう言うことばかり考えてしまって頭が働かなくなります」
「そうよね、すごくわかる気がするわ。私は元平民なの、成り上がりの小説でよく見るパターンなんだけど知ってるかしら?」
「いえ、読んだ事ないと思います」
「平民の娘が男爵家に養女に行って、学園で知り合った侯爵家の嫡男に見初められるの。身分違いで虐められるんだけど『愛』を貫くって感じかしら。初めは『意地』を貫いたって言う方が合ってたわ。お義母様からダメ出しばかり貰ってしまうし、社交界は嫌味を言ったり馬鹿にしたりする敵ばかり」
「そんな風には全然見えなくて⋯⋯驚きました」
「ある時ね、お義母様に噛み付いたの」
『どうせ平民の娘が嫁なんて恥ずかしいですよねぇ。期待外れで申し訳ありませんね!』
『ええ、本当に期待外れだったわ。アンドリューからは愛し合って結婚するって聞いていたのに、貴女は仕方ないから結婚したって丸わかりなんですもの』
『え?』
『やっと娘が出来ると楽しみにしていたのに⋯⋯その娘は周りの目を気にしてばかりで、夫の事も家族になったはずの私達の事も本気で考える気なんてなくて、表面だけそれらしくするのに忙しいみたい。
身分違いの結婚をして姑に虐められるパターンはお気に召さないようだから、頑張ってるのに姑に無視される可哀想な嫁バージョンに致しましょう』
「頭をガツンってやられちゃった感じ。私は侯爵家の嫡男を好きになったんじゃなくて、好きになったのが侯爵家嫡男だっただけなの。周りの言葉に振り回されて大事なことを忘れてたって気付かされたわ。
だから、素直にごめんなさいって謝ったの」
何か思い出したのか少し顔を赤くしたマリアンヌがクスクスと笑った。
「そうしたら、アンドリューがね⋯⋯彼女が本音を口にする勇気を持てるまでもう少し待って欲しいってお義母に頼んでくれてたって教えてくれたの。
そうじゃなかったらとっくの昔に膝に乗せてお尻を叩いてましたよって」
「何というか、凄くお義母様らしいですね」
アンドリューの愛情表現が羨ましいような気がしたがそれには蓋をしておく。
「それからのお義母様の特訓のすごかった事。一番初めに覚えさせられたのは『ツンと顎を上げて歩け』だもの。元平民が高位貴族の中でそれをしろって、凄い無茶振りでしょう」
口元を扇子で隠しくすくすと笑うマリアンヌの顔に『さて、何故でしょうか?』と書いてある。
「⋯⋯舐められるなって事?」
「その通り! 初っ端でお義母様がシャーロットを気に入ったはずだわ。まさにそう言われたのよ、とやかく言う権利は貴方達にはないと態度で示しなさいって。それをしないから舐められてるだけ、例え王妃殿下の前でも堂々と出来るまであごを下げることは許しませんって」
まさにエカテリーナの言いそうな事だと思った。エカテリーナは先日のパーティーで最後までほとんど黙って見ていた。
戦うのは本人の仕事で、家族はそれを支えるだけ。
シャーロットが弱気にならずにいられたのは彼女の強さが後ろにあったから。彼女だけでなく、ジェローム達みんなが支えてくれていると信じられたから最後の最後まで戦い抜けた。
(少し前の私ならどうやれば逃げられるかばかり考えていたはず。そうだ、あの日お義母様はこう仰ったんだわ)
『モルガリウス侯爵家としてシャーロットの社交界デビューを全面的に補佐致します』
「凄い方ですね」
「ええ、女傑とか女丈夫って感じね。平民の言葉だと肝っ玉母さんって言うの」
「素敵な言葉で、お義母様にとても似合うわ」
屋敷の門を通り抜けた時、シャーロットのセンサーが反応した。
「旦那様はご自身の事を《稀に見る放蕩者、希代の詐欺師》だと仰っておいででしたが、まさにその通りでして、幾つもの名前であちこちに資産を持っておられるのです。
今回はそれを纏めなくてはならないので各地を旅してまいらねばなりません」
「お祖父様がデュークに預けた物は?」
「わたくしが帰りましたらその時にはお渡しできるかと存じます」
デュークの目にはシャーロットがまだ自由だとは思えないらしい。
(あの人達の判決が出てないからか、アーサー様がお戻りになられてないからかしら?)
パーティーから一か月経った。
(あと二ヶ月で白い結婚が成立するんだわ⋯⋯)
ジェロームはパーティーの後も態度が変わらない。シャーロットが夜はあまり眠れない事に気づいてからは朝のソックス訪問は中止になったが、仕事から帰ると夕食を含めてずっとシャーロットの隣に座っている。
本を読んだり仕事の資料を読んでいたり⋯⋯。刺繍やレース編みをするシャーロットと並んでソファに座り時折声をかけてくるだけ。
(本当に男色家だったりして⋯⋯)
怪しい雰囲気にならないのは嬉しいが、その代わり何故隣にいつもいるのか不思議になる。毎日こうして並んでいるとそれがとても自然なことのような気がして、肩に力が入ったり小さな物音や動きにびくつく事もなくなった。
「ソックス、あなたのご主人様は何を考えてるのかしら?」
シャーロットの右のポケットに入った人参を狙うソックスに話しかけると『ブフン!』と相変わらずのつれない返事が返ってきた。
毎日運動を兼ねてソックスに会いに行くシャーロットは彼のお気に入りに認定されたらしく、馬房に入ってブラシをかけさせてくれるようになった。
考え事をしているシャーロットの手が止まると大きな身体をすり寄せて『ブフフン!』
「はいはい、でもご主人様にしてもらう方が好きって知ってるわよ」
ツンと顔を逸らすソックスの耳がピクピクと動いた。
「そんな態度をしてたら⋯⋯今日調教師のマックが池に落ちのはソックスがわざとやってたんだってバラしちゃうんだから」
ソックスがチラリとシャーロットの顔を見て荒い鼻息を吐いた途端⋯⋯ベロリと顔を舐めた。
マリアンヌに連れられて商人ギルドで手続きを済ませると予想以上の金額が貯まっていたので驚いた。
「こんなに?」
「はい、類似品が出てくれば数が減ってくるでしょうが、今のところはまだかなりの数の売り上げが報告されています」
場所によっては入荷待ちのところもあるらしく、人手を増やして対応していると言う。
「次の商品を考案していただきたいと職人達から期待が寄せられております。商人ギルドとしても是非お願いしたい」
職人ギルドが乱立するようになってから商人ギルドは厳しい立場に立たされていた。今回の商品の作成で一部の職人ギルドとの連携ができた商人ギルドはシャーロットに大きな期待を寄せた。
「今後も同じようにそれぞれの持ち味を活かした協力体制ができればと考えています。その為にもシャーロット様の自由な発想に期待しております」
前のめりで熱意を語るギルド長に腰のひけたシャーロットは、マリアンヌの手を引いて早々に退散することにした。
(無理無理、そんな期待されても⋯⋯あれは偶々だったんだもの)
馬車の中で手元の書類を見つめながらため息をついた。
「期待されるのは嫌い?」
「嫌い⋯⋯かもしれません。凄く苦手なんです。失敗したらどうしようとか期待外れだったらどうしようとか、そう言うことばかり考えてしまって頭が働かなくなります」
「そうよね、すごくわかる気がするわ。私は元平民なの、成り上がりの小説でよく見るパターンなんだけど知ってるかしら?」
「いえ、読んだ事ないと思います」
「平民の娘が男爵家に養女に行って、学園で知り合った侯爵家の嫡男に見初められるの。身分違いで虐められるんだけど『愛』を貫くって感じかしら。初めは『意地』を貫いたって言う方が合ってたわ。お義母様からダメ出しばかり貰ってしまうし、社交界は嫌味を言ったり馬鹿にしたりする敵ばかり」
「そんな風には全然見えなくて⋯⋯驚きました」
「ある時ね、お義母様に噛み付いたの」
『どうせ平民の娘が嫁なんて恥ずかしいですよねぇ。期待外れで申し訳ありませんね!』
『ええ、本当に期待外れだったわ。アンドリューからは愛し合って結婚するって聞いていたのに、貴女は仕方ないから結婚したって丸わかりなんですもの』
『え?』
『やっと娘が出来ると楽しみにしていたのに⋯⋯その娘は周りの目を気にしてばかりで、夫の事も家族になったはずの私達の事も本気で考える気なんてなくて、表面だけそれらしくするのに忙しいみたい。
身分違いの結婚をして姑に虐められるパターンはお気に召さないようだから、頑張ってるのに姑に無視される可哀想な嫁バージョンに致しましょう』
「頭をガツンってやられちゃった感じ。私は侯爵家の嫡男を好きになったんじゃなくて、好きになったのが侯爵家嫡男だっただけなの。周りの言葉に振り回されて大事なことを忘れてたって気付かされたわ。
だから、素直にごめんなさいって謝ったの」
何か思い出したのか少し顔を赤くしたマリアンヌがクスクスと笑った。
「そうしたら、アンドリューがね⋯⋯彼女が本音を口にする勇気を持てるまでもう少し待って欲しいってお義母に頼んでくれてたって教えてくれたの。
そうじゃなかったらとっくの昔に膝に乗せてお尻を叩いてましたよって」
「何というか、凄くお義母様らしいですね」
アンドリューの愛情表現が羨ましいような気がしたがそれには蓋をしておく。
「それからのお義母様の特訓のすごかった事。一番初めに覚えさせられたのは『ツンと顎を上げて歩け』だもの。元平民が高位貴族の中でそれをしろって、凄い無茶振りでしょう」
口元を扇子で隠しくすくすと笑うマリアンヌの顔に『さて、何故でしょうか?』と書いてある。
「⋯⋯舐められるなって事?」
「その通り! 初っ端でお義母様がシャーロットを気に入ったはずだわ。まさにそう言われたのよ、とやかく言う権利は貴方達にはないと態度で示しなさいって。それをしないから舐められてるだけ、例え王妃殿下の前でも堂々と出来るまであごを下げることは許しませんって」
まさにエカテリーナの言いそうな事だと思った。エカテリーナは先日のパーティーで最後までほとんど黙って見ていた。
戦うのは本人の仕事で、家族はそれを支えるだけ。
シャーロットが弱気にならずにいられたのは彼女の強さが後ろにあったから。彼女だけでなく、ジェローム達みんなが支えてくれていると信じられたから最後の最後まで戦い抜けた。
(少し前の私ならどうやれば逃げられるかばかり考えていたはず。そうだ、あの日お義母様はこう仰ったんだわ)
『モルガリウス侯爵家としてシャーロットの社交界デビューを全面的に補佐致します』
「凄い方ですね」
「ええ、女傑とか女丈夫って感じね。平民の言葉だと肝っ玉母さんって言うの」
「素敵な言葉で、お義母様にとても似合うわ」
屋敷の門を通り抜けた時、シャーロットのセンサーが反応した。
4
お気に入りに追加
1,779
あなたにおすすめの小説
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

家から追い出された後、私は皇帝陛下の隠し子だったということが判明したらしいです。
新野乃花(大舟)
恋愛
13歳の少女レベッカは物心ついた時から、自分の父だと名乗るリーゲルから虐げられていた。その最中、リーゲルはセレスティンという女性と結ばれることとなり、その時のセレスティンの連れ子がマイアであった。それ以降、レベッカは父リーゲル、母セレスティン、義妹マイアの3人からそれまで以上に虐げられる生活を送らなければならなくなった…。
そんなある日の事、些細なきっかけから機嫌を損ねたリーゲルはレベッカに対し、今すぐ家から出ていくよう言い放った。レベッカはその言葉に従い、弱弱しい体を引きずって家を出ていくほかなかった…。
しかしその後、リーゲルたちのもとに信じられない知らせがもたらされることとなる。これまで自分たちが虐げていたレベッカは、時の皇帝であるグローリアの隠し子だったのだと…。その知らせを聞いて顔を青くする3人だったが、もうすべてが手遅れなのだった…。
※カクヨムにも投稿しています!

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。
夢草 蝶
恋愛
シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。
どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。
すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──
本編とおまけの二話構成の予定です。

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる