19 / 102
18.掛け合いが良い感じに仕上がって
しおりを挟む
ジェロームの執務室を出たその足でシャーロットの元にやって来たディーン達は三階の一番広い部屋を借りシャーロットの仕事が終わるのを待っていた。
夜遅い時間になってエプロンをしたままのシャーロットが漸く部屋に上がってきた。
「お待たせしてすみません」
「いえいえ、とんでもございません。お仕事お疲れ様でした」
客のデュークがお茶の準備をしながらシャーロットを労った。
「ここに来てくださるとは思ってなくて本当に驚きました」
厨房で手伝いをしていたシャーロットの耳に、低くてよく響くデュークの声が聞こえてきた時には驚きすぎて持っていた皿を落としそうになった。
「コーネリア伯爵に会ってこられたんですよね。どんな話をされたんでしょうか?」
「今回は大したお話はしておりません。ウルグス弁護士が代理人になった事をお伝えしたくらいでしょうか。
コーネリア伯爵はかなりお怒りのようでしたが、心配もしておいででした」
簡単にまとめた話をウルグス弁護士から聞いたシャーロットは溜息をついた。
「やっぱり一度帰らないとダメそうですね」
「伯爵が離婚の届けを提出されたとしても難癖をつけて一時的にストップする事は可能です。それから現状のままだと、シャーロット様が白い結婚を申し立てた時『ずっと家出していたからだ』とこじつけられ話がこじれてしまう可能性があります」
宿屋は繁盛していて給金も他所と比べると悪くないらしいので、シャーロットが辞めても代わりはすぐに見つかるから心配はいらないと言われている。
(嬉しいのか悲しいのか複雑だわ)
迷惑をかけずに済むのは嬉しいが、シャーロットがいなくなっても困らないと言うのは少し寂しい。
「では、女将さん達と相談して何日に帰るのか決めます。長居はしたくないから伯爵家に何泊するのかも決めたいんですけど可能だと思われますか?」
「状況によるでしょうね。コーネリア伯爵もわたくし同様法律の専門家ですから、揚げ足を取られないよう一緒に行って見張って差し上げましょうか?
デュークはどうしますか?」
ウルグス弁護士がデュークに顔を向けて意向を確認した。
「わたくしもシャーロット様が望んでくださるなら勿論お供致しますとも」
「じゃあ、明日の朝女将さ⋯⋯」
トントンとドアがノックされてゲイルが顔を覗かせた。
「話し中すまんな。面倒なのが下にきて居座ってるがどうする?」
「え?」
真夜中だと言うのにクラバットもきっちり締めたままのジェロームが部屋に入ってきた。
「⋯⋯夜分遅くご苦労様です?」
「何ヶ月も家出しておいて謝罪の言葉もないとはね」
「謝るのはとても簡単ですけれど、嘘をつくのはあまり好きではありませんの」
「私がどれだけ捜していたか知っているんだろう?」
「調査員があちこちに顔を出されていたようですから、探しておられるんだなぁとは思っておりました」
「だったら申し訳ないと思うものではないのか!?」
「えーっと、体面を傷つけられたと仰るなら申し訳ないと思わなくもないですが、元々屋敷に軟禁されていましたでしょう? と言うことは居なくなっても対外的な問題はないでしょうし、大切な使用人達の心も安らいだのではないかと思いまして。
お互いに何の問題もなかったという事ではないかと思いますけど」
無表情が定番のシャーロットがまるで花が開くように艶やかな笑顔を見せると、初めてそれを見たジェロームが一瞬息を詰まらせた。
「⋯⋯き、貴族令嬢がどうやって暮らしているのか、心配するのが普通だろう?」
「この宿で裏方として働かせていただいておりましたから全然問題なかったですわ。宿のご亭主様達のお世辞でないのであれば、仕事ぶりに満足していただけていたようですし。ご当主様が予想しておられたような支援者を必要とせずに済んでおります」
さらりと嫌味を付け加えたシャーロットの汚れたエプロンとあかぎれだらけの手を見たジェロームは『ちっ』と舌打ちした。
「ご存知のように女子収容所帰りですから掃除・洗濯・調理補助、何でもできましたから。薪割りだけはやるたびに叱られましたけど」
「薪割り? 女のくせに出来るわけないだろ!?」
「いえ、男の仕事を取るなと言われただけで品質に問題はなかったようです」
表情の読めないアルカイックスマイルを浮かべたシャーロットはとても上手にジェロームを苛立たせる事に成功した。
高位貴族生まれのジェロームには想像できない宿屋の仕事を飄々とした態度で説明するシャーロットには、落ち込んで疲れ果てた様子も現状に不満があるような仕草もなかった。
「くそっ、何で屋敷で見た時より生き生きしてるんだ?」
「うーん、何でしょう。価値観の違いとかかしら? 人生において何に重きを置くか⋯⋯とても興味深い議題ですわ」
右手の人差し指を頬に当て首を傾げたシャーロットは間違いなくジェロームを小馬鹿にしている。
シャーロットとジェロームのやりとりをデュークとウルグス弁護士がお茶を楽しみながらのほほんと見ていた。
(意外といいコンビかもしれませんなあ)
(確かに、似合っておられるような)
デューク達二人が目で会話している事に気付かず口喧嘩するシャーロット達。
「帰るぞ」
「はい、夜道は危険ですのでどうぞお気をつけて」
「一緒に帰るに決まってるだろうが!?」
「わたくしは明日も朝から仕事ですの。外泊すると間に合わなくなってしまいますわ」
「コーネリア伯爵夫人が宿屋で働く必要はない! 必要な物は全て伯爵家で準備する」
「伯爵家では準備できないものもありますし、使用人が突然仕事を放棄していなくなれば雇い主は困るのではありませんか? 少なくともわたくしのような収容所帰りでもその程度にはこの宿で役に立っているつもりですの」
「くそ!⋯⋯なら、俺もここに泊まる。君が屋敷に帰る準備ができるまで部屋をとる」
「大変申し訳ございません。この時間からですとお部屋の準備が間に合いませんので、確か⋯⋯夜の9時以降は新規のお客様を受けない決まりだったように思います。宿の主人に聞いて参りますのでお待ち下さいませ」
ペコリと頭を下げて部屋を抜け出したシャーロットはこれ幸いと自分の部屋に逃げ帰るつもりだった。
いそいそと階段に向かうシャーロットの後ろにジェロームがぴたりと張り付いた。
「そんなに後ろにくっつかれるのは⋯⋯変質者のようですわね。それでしたら犯罪ですよ」
「逃げられないように。ここで見逃したら次に顔を合わせるのはいつになるかわからないからね」
「まあ、以前のパターンからですと2ヶ月後くらいでしょうか。あ、最初が一ヶ月で次にお会いしたのが二ヶ月後⋯⋯次は三ヶ月後に致しましょう」
小声で嫌味の応酬をしていると下の階から重たい足音が聞こえてきた。
「夜遅くに騒いでもらっちゃ他の客の迷惑になるんでね、帰ってもらえますか?」
「妻が逃げ出さない保証がなければ帰る気はないね」
「はぁ、いずれ帰ります。きちんと仕事のことを女将さんたちと話し合ってから何泊かは帰るつもりです。さっさと帰らないなら不法滞在か不法侵入で逮捕してもらうしかありませんね」
「俺は王宮の法務部に勤めてる。法律で言えばさっき宿の亭主に3階に上がる許可をもらった」
「帰れと言われて帰らないのは罪ではないのかしら?」
夜遅い時間になってエプロンをしたままのシャーロットが漸く部屋に上がってきた。
「お待たせしてすみません」
「いえいえ、とんでもございません。お仕事お疲れ様でした」
客のデュークがお茶の準備をしながらシャーロットを労った。
「ここに来てくださるとは思ってなくて本当に驚きました」
厨房で手伝いをしていたシャーロットの耳に、低くてよく響くデュークの声が聞こえてきた時には驚きすぎて持っていた皿を落としそうになった。
「コーネリア伯爵に会ってこられたんですよね。どんな話をされたんでしょうか?」
「今回は大したお話はしておりません。ウルグス弁護士が代理人になった事をお伝えしたくらいでしょうか。
コーネリア伯爵はかなりお怒りのようでしたが、心配もしておいででした」
簡単にまとめた話をウルグス弁護士から聞いたシャーロットは溜息をついた。
「やっぱり一度帰らないとダメそうですね」
「伯爵が離婚の届けを提出されたとしても難癖をつけて一時的にストップする事は可能です。それから現状のままだと、シャーロット様が白い結婚を申し立てた時『ずっと家出していたからだ』とこじつけられ話がこじれてしまう可能性があります」
宿屋は繁盛していて給金も他所と比べると悪くないらしいので、シャーロットが辞めても代わりはすぐに見つかるから心配はいらないと言われている。
(嬉しいのか悲しいのか複雑だわ)
迷惑をかけずに済むのは嬉しいが、シャーロットがいなくなっても困らないと言うのは少し寂しい。
「では、女将さん達と相談して何日に帰るのか決めます。長居はしたくないから伯爵家に何泊するのかも決めたいんですけど可能だと思われますか?」
「状況によるでしょうね。コーネリア伯爵もわたくし同様法律の専門家ですから、揚げ足を取られないよう一緒に行って見張って差し上げましょうか?
デュークはどうしますか?」
ウルグス弁護士がデュークに顔を向けて意向を確認した。
「わたくしもシャーロット様が望んでくださるなら勿論お供致しますとも」
「じゃあ、明日の朝女将さ⋯⋯」
トントンとドアがノックされてゲイルが顔を覗かせた。
「話し中すまんな。面倒なのが下にきて居座ってるがどうする?」
「え?」
真夜中だと言うのにクラバットもきっちり締めたままのジェロームが部屋に入ってきた。
「⋯⋯夜分遅くご苦労様です?」
「何ヶ月も家出しておいて謝罪の言葉もないとはね」
「謝るのはとても簡単ですけれど、嘘をつくのはあまり好きではありませんの」
「私がどれだけ捜していたか知っているんだろう?」
「調査員があちこちに顔を出されていたようですから、探しておられるんだなぁとは思っておりました」
「だったら申し訳ないと思うものではないのか!?」
「えーっと、体面を傷つけられたと仰るなら申し訳ないと思わなくもないですが、元々屋敷に軟禁されていましたでしょう? と言うことは居なくなっても対外的な問題はないでしょうし、大切な使用人達の心も安らいだのではないかと思いまして。
お互いに何の問題もなかったという事ではないかと思いますけど」
無表情が定番のシャーロットがまるで花が開くように艶やかな笑顔を見せると、初めてそれを見たジェロームが一瞬息を詰まらせた。
「⋯⋯き、貴族令嬢がどうやって暮らしているのか、心配するのが普通だろう?」
「この宿で裏方として働かせていただいておりましたから全然問題なかったですわ。宿のご亭主様達のお世辞でないのであれば、仕事ぶりに満足していただけていたようですし。ご当主様が予想しておられたような支援者を必要とせずに済んでおります」
さらりと嫌味を付け加えたシャーロットの汚れたエプロンとあかぎれだらけの手を見たジェロームは『ちっ』と舌打ちした。
「ご存知のように女子収容所帰りですから掃除・洗濯・調理補助、何でもできましたから。薪割りだけはやるたびに叱られましたけど」
「薪割り? 女のくせに出来るわけないだろ!?」
「いえ、男の仕事を取るなと言われただけで品質に問題はなかったようです」
表情の読めないアルカイックスマイルを浮かべたシャーロットはとても上手にジェロームを苛立たせる事に成功した。
高位貴族生まれのジェロームには想像できない宿屋の仕事を飄々とした態度で説明するシャーロットには、落ち込んで疲れ果てた様子も現状に不満があるような仕草もなかった。
「くそっ、何で屋敷で見た時より生き生きしてるんだ?」
「うーん、何でしょう。価値観の違いとかかしら? 人生において何に重きを置くか⋯⋯とても興味深い議題ですわ」
右手の人差し指を頬に当て首を傾げたシャーロットは間違いなくジェロームを小馬鹿にしている。
シャーロットとジェロームのやりとりをデュークとウルグス弁護士がお茶を楽しみながらのほほんと見ていた。
(意外といいコンビかもしれませんなあ)
(確かに、似合っておられるような)
デューク達二人が目で会話している事に気付かず口喧嘩するシャーロット達。
「帰るぞ」
「はい、夜道は危険ですのでどうぞお気をつけて」
「一緒に帰るに決まってるだろうが!?」
「わたくしは明日も朝から仕事ですの。外泊すると間に合わなくなってしまいますわ」
「コーネリア伯爵夫人が宿屋で働く必要はない! 必要な物は全て伯爵家で準備する」
「伯爵家では準備できないものもありますし、使用人が突然仕事を放棄していなくなれば雇い主は困るのではありませんか? 少なくともわたくしのような収容所帰りでもその程度にはこの宿で役に立っているつもりですの」
「くそ!⋯⋯なら、俺もここに泊まる。君が屋敷に帰る準備ができるまで部屋をとる」
「大変申し訳ございません。この時間からですとお部屋の準備が間に合いませんので、確か⋯⋯夜の9時以降は新規のお客様を受けない決まりだったように思います。宿の主人に聞いて参りますのでお待ち下さいませ」
ペコリと頭を下げて部屋を抜け出したシャーロットはこれ幸いと自分の部屋に逃げ帰るつもりだった。
いそいそと階段に向かうシャーロットの後ろにジェロームがぴたりと張り付いた。
「そんなに後ろにくっつかれるのは⋯⋯変質者のようですわね。それでしたら犯罪ですよ」
「逃げられないように。ここで見逃したら次に顔を合わせるのはいつになるかわからないからね」
「まあ、以前のパターンからですと2ヶ月後くらいでしょうか。あ、最初が一ヶ月で次にお会いしたのが二ヶ月後⋯⋯次は三ヶ月後に致しましょう」
小声で嫌味の応酬をしていると下の階から重たい足音が聞こえてきた。
「夜遅くに騒いでもらっちゃ他の客の迷惑になるんでね、帰ってもらえますか?」
「妻が逃げ出さない保証がなければ帰る気はないね」
「はぁ、いずれ帰ります。きちんと仕事のことを女将さんたちと話し合ってから何泊かは帰るつもりです。さっさと帰らないなら不法滞在か不法侵入で逮捕してもらうしかありませんね」
「俺は王宮の法務部に勤めてる。法律で言えばさっき宿の亭主に3階に上がる許可をもらった」
「帰れと言われて帰らないのは罪ではないのかしら?」
1
お気に入りに追加
1,779
あなたにおすすめの小説
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

家から追い出された後、私は皇帝陛下の隠し子だったということが判明したらしいです。
新野乃花(大舟)
恋愛
13歳の少女レベッカは物心ついた時から、自分の父だと名乗るリーゲルから虐げられていた。その最中、リーゲルはセレスティンという女性と結ばれることとなり、その時のセレスティンの連れ子がマイアであった。それ以降、レベッカは父リーゲル、母セレスティン、義妹マイアの3人からそれまで以上に虐げられる生活を送らなければならなくなった…。
そんなある日の事、些細なきっかけから機嫌を損ねたリーゲルはレベッカに対し、今すぐ家から出ていくよう言い放った。レベッカはその言葉に従い、弱弱しい体を引きずって家を出ていくほかなかった…。
しかしその後、リーゲルたちのもとに信じられない知らせがもたらされることとなる。これまで自分たちが虐げていたレベッカは、時の皇帝であるグローリアの隠し子だったのだと…。その知らせを聞いて顔を青くする3人だったが、もうすべてが手遅れなのだった…。
※カクヨムにも投稿しています!

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。
夢草 蝶
恋愛
シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。
どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。
すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──
本編とおまけの二話構成の予定です。

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる