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15.マリアンヌ・モルガリウス
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「さっきチラッとお会いしたのだけど、覚えていらっしゃらないかしら?」
髪飾りを買ったお店の前で声をかけてきた人だと気が付いた。わかったと言うべきかシラを切るべきか悩んでいるとタニアが返事を返した。
「多分、アクセサリー屋さんの前でお見かけした方だと思いますけど、あたし達何もしてません」
警戒心で毛を逆立てたタニアを心配したケビンが一歩前に出た。
「あの、ご用件をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「ああ、ごめんなさいね。わたくしはマリアンヌ・モルガリウスと申します。あなたのストールに惹かれて追いかけてきたの」
(モルガリウス? どこかで聞いたような気が⋯⋯クラスメイトとかにいた?)
ボッチだった学園生活なので学園生の名前をあまり覚えていないシャーロットは、図書室で暇つぶしに覚えた貴族年鑑に記載されていた貴族の名前を思い出そうとしていた。
(モルガリウス⋯⋯聞いたことがあった気がする。確か⋯⋯えっと⋯⋯)
焦れば焦るほど思い出せなくなっていくのと比例して、関わってはダメだという警戒警報が強くなる。目の前の女性は紛れもなく高位貴族としか思えない、つまりシャーロットが最も関わってはいけない人のはず。
(貴族なんてどこでどう繋がっているかわからないもの。今のところは珍しい銀髪の街娘だと思ってるはずだから、そのまま記憶から消してもらわなくちゃ)
「ロ、ロッティと申します。このストールは随分前に買ったものなので⋯⋯」
「そうなの? あなたの作品かと思いましたの⋯⋯どこのお店かお聞きしても?」
「サルバートルの商店街にあるマーサと言う人のお店です」
「まあ、義弟の街だわ! この後伺う予定なのよ、場所を教えてくださるかしら」
シャーロットの顔が蒼白になった。ミリアが咄嗟に機転を効かせてタニアとシャーロットを追い払ってくれた。
「あたしが説明するからあんた達は手を洗って着替えておいで。宿の掃除が間に合わなくて困ってたのよ」
タニアに手を引かれ二階に駆け上がったシャーロットはベッドに座り込んで呆然としていた。
(バレた⋯⋯バレるかも。ああ、どうしよう⋯⋯まだ五ヶ月もあるのに)
「シャーロット、大丈夫? あの人、知ってる人だったの?」
「⋯⋯⋯⋯ごめん、何?」
タニアの言葉が耳に届いていなかったシャーロットが聞き返すとタニアが顔を歪めて泣き出した。
「あたしが無理に誘ったからだよね⋯⋯まさか、知ってる人に会うなんて思わなくて」
「ごめんね。あの人とは初めて会ったの、だから気にしないで。タニアは何にも悪くないわ」
「でも、出てくつもりでしょう? 顔に書いてあるもん」
タニアが言う通りシャーロットはここを出ていくつもりでいた。
「そう言う時期だったのよ。元々この街に長居をするつもりはなかったの。マーサさんに紹介してもらって、ここが居心地良すぎたからつい居座ってしまっただけだから」
コンコンとノックの音がしてミリアが入ってきた。
「さっきの人は帰ったからもう大丈夫だよ」
「母さん、シャーロットが出ていくって。あたしのせいだ」
「違うの、本当にタニアのせいじゃないから」
シャーロットの隣に座りポロポロと涙を流すタニアの頭を撫でたミリアがシャーロットの前にしゃがみ込んだ。
「事情を話す気になった?」
「⋯⋯」
「逃げたいなら一緒に手を考えてあげるし、ここに居たいならそれも一緒に考えるよ?」
ミリアの優しい言葉にシャーロットはポツリポツリと話しはじめた。
大講堂での断罪からコーネリア伯爵家を逃げ出すまで⋯⋯。女子収容所にいたことも含めて全てを話し終えた時、ミリアが大きな溜め息を吐いた。
「シャーロットは何一つ悪い事はしてないじゃないの。でも、後5ヶ月逃げたいってのもわかる。さて、どうしたいのかゆっくり考えようね。だけど⋯⋯先ずは腹ごしらえしなくちゃ、腹が減ってはろくな考えは浮かばないからさ」
3人で一階に降りると心配そうな顔のゲイルとケビンがカウンターで話し込んでいた。
「お騒がせしてすみません」
頭を下げたシャーロットにゲイルが首を横に振った。
「シャーロットのせいじゃねえよ。何があったのか知らなくても、それくらいはわかるぜ」
ゲイル達の部屋で女性3人で食事をした後、シャーロットは部屋に戻った。ベッドと小さい机と椅子があるだけの狭い部屋だが、今まで生きてきた中で一番居心地のいい部屋だった。
逃げるとしたら作りかけの作品と裁縫セットがあるだけ。着替えも何もないシャーロットはいつでも肩掛け鞄一つあれば荷造りが終えられる。
(ここにいたいけどなぁ⋯⋯探してない⋯⋯とかってことはないか)
貴族のプライドを考えるとそのまま放置しているとは思えない。それが例え何ヶ月も屋敷に放置していた妻であっても知らん顔は拙いと思っている可能性が高い。
あの夫人が銀髪の娘のことを義弟に話す可能性はどのくらいあるだろう。街娘が持っていたストールが気に入ったから⋯⋯それで終わるなら何の問題もないはず。
伯爵はシャーロットの作品を見たことも作っていた事も知らないはずだから。
(アマンダとか使用人は作ってる事は知ってたか⋯⋯でも、見たことないからわからないはずだし)
シャーロットの離婚にはタイミングが肝心になる。2度と同じことが起きないようにしなくては⋯⋯。
(そう言えば、もしコーネリア伯爵の方から離婚するって言い出したらどうなる?)
伯爵は一番にアルフォンス公爵家に行くだろう。金銭問題で揉める可能性はあるが、それさえなければ離婚の手続きは簡単に終わる。シャーロットはいつ離婚が確定したのか分からないまま離籍手続きが遅れたら⋯⋯。
(コーネリア伯爵にとって私との結婚なんか大した問題じゃなくて、しかも逃げ出すなんて手間をかけさせるような奴なら要らないってとっくの昔に思ってたらどうしよう。
伯爵が考えてる条件に合う女性なら掃いて捨てるほどいそうだし、性格はともかく見てくれだけは良かったもの。それに釣られて騙される人ってきっと多いわよね。
コーネリア伯爵が離婚を望んだ時支度金や慰謝料の話になるはず。そうなれば公爵家は離婚には間違いなく反対すると思うけど、まだ別の金蔓を見つけたら?)
公爵家ではなく自分の方に話を持ってきてもらわなくてはならないがどうやればそんな芸当ができるのかシャーロットには皆目見当もつかない。
離婚しているかどうかは役所に行けばわかるだろうが身元を聞かれるのは拙い。離婚が確定しているか離婚の話し合いが持たれているとしたら、アルフォンス公爵家が次の獲物を見つける前に動かなければ⋯⋯。
(一体どうすれば良いの⋯⋯戻ったとしても前みたいに監禁されたらご当主様の行動なんて把握できないし話し合いのできるような人じゃなかったし⋯⋯)
髪飾りを買ったお店の前で声をかけてきた人だと気が付いた。わかったと言うべきかシラを切るべきか悩んでいるとタニアが返事を返した。
「多分、アクセサリー屋さんの前でお見かけした方だと思いますけど、あたし達何もしてません」
警戒心で毛を逆立てたタニアを心配したケビンが一歩前に出た。
「あの、ご用件をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「ああ、ごめんなさいね。わたくしはマリアンヌ・モルガリウスと申します。あなたのストールに惹かれて追いかけてきたの」
(モルガリウス? どこかで聞いたような気が⋯⋯クラスメイトとかにいた?)
ボッチだった学園生活なので学園生の名前をあまり覚えていないシャーロットは、図書室で暇つぶしに覚えた貴族年鑑に記載されていた貴族の名前を思い出そうとしていた。
(モルガリウス⋯⋯聞いたことがあった気がする。確か⋯⋯えっと⋯⋯)
焦れば焦るほど思い出せなくなっていくのと比例して、関わってはダメだという警戒警報が強くなる。目の前の女性は紛れもなく高位貴族としか思えない、つまりシャーロットが最も関わってはいけない人のはず。
(貴族なんてどこでどう繋がっているかわからないもの。今のところは珍しい銀髪の街娘だと思ってるはずだから、そのまま記憶から消してもらわなくちゃ)
「ロ、ロッティと申します。このストールは随分前に買ったものなので⋯⋯」
「そうなの? あなたの作品かと思いましたの⋯⋯どこのお店かお聞きしても?」
「サルバートルの商店街にあるマーサと言う人のお店です」
「まあ、義弟の街だわ! この後伺う予定なのよ、場所を教えてくださるかしら」
シャーロットの顔が蒼白になった。ミリアが咄嗟に機転を効かせてタニアとシャーロットを追い払ってくれた。
「あたしが説明するからあんた達は手を洗って着替えておいで。宿の掃除が間に合わなくて困ってたのよ」
タニアに手を引かれ二階に駆け上がったシャーロットはベッドに座り込んで呆然としていた。
(バレた⋯⋯バレるかも。ああ、どうしよう⋯⋯まだ五ヶ月もあるのに)
「シャーロット、大丈夫? あの人、知ってる人だったの?」
「⋯⋯⋯⋯ごめん、何?」
タニアの言葉が耳に届いていなかったシャーロットが聞き返すとタニアが顔を歪めて泣き出した。
「あたしが無理に誘ったからだよね⋯⋯まさか、知ってる人に会うなんて思わなくて」
「ごめんね。あの人とは初めて会ったの、だから気にしないで。タニアは何にも悪くないわ」
「でも、出てくつもりでしょう? 顔に書いてあるもん」
タニアが言う通りシャーロットはここを出ていくつもりでいた。
「そう言う時期だったのよ。元々この街に長居をするつもりはなかったの。マーサさんに紹介してもらって、ここが居心地良すぎたからつい居座ってしまっただけだから」
コンコンとノックの音がしてミリアが入ってきた。
「さっきの人は帰ったからもう大丈夫だよ」
「母さん、シャーロットが出ていくって。あたしのせいだ」
「違うの、本当にタニアのせいじゃないから」
シャーロットの隣に座りポロポロと涙を流すタニアの頭を撫でたミリアがシャーロットの前にしゃがみ込んだ。
「事情を話す気になった?」
「⋯⋯」
「逃げたいなら一緒に手を考えてあげるし、ここに居たいならそれも一緒に考えるよ?」
ミリアの優しい言葉にシャーロットはポツリポツリと話しはじめた。
大講堂での断罪からコーネリア伯爵家を逃げ出すまで⋯⋯。女子収容所にいたことも含めて全てを話し終えた時、ミリアが大きな溜め息を吐いた。
「シャーロットは何一つ悪い事はしてないじゃないの。でも、後5ヶ月逃げたいってのもわかる。さて、どうしたいのかゆっくり考えようね。だけど⋯⋯先ずは腹ごしらえしなくちゃ、腹が減ってはろくな考えは浮かばないからさ」
3人で一階に降りると心配そうな顔のゲイルとケビンがカウンターで話し込んでいた。
「お騒がせしてすみません」
頭を下げたシャーロットにゲイルが首を横に振った。
「シャーロットのせいじゃねえよ。何があったのか知らなくても、それくらいはわかるぜ」
ゲイル達の部屋で女性3人で食事をした後、シャーロットは部屋に戻った。ベッドと小さい机と椅子があるだけの狭い部屋だが、今まで生きてきた中で一番居心地のいい部屋だった。
逃げるとしたら作りかけの作品と裁縫セットがあるだけ。着替えも何もないシャーロットはいつでも肩掛け鞄一つあれば荷造りが終えられる。
(ここにいたいけどなぁ⋯⋯探してない⋯⋯とかってことはないか)
貴族のプライドを考えるとそのまま放置しているとは思えない。それが例え何ヶ月も屋敷に放置していた妻であっても知らん顔は拙いと思っている可能性が高い。
あの夫人が銀髪の娘のことを義弟に話す可能性はどのくらいあるだろう。街娘が持っていたストールが気に入ったから⋯⋯それで終わるなら何の問題もないはず。
伯爵はシャーロットの作品を見たことも作っていた事も知らないはずだから。
(アマンダとか使用人は作ってる事は知ってたか⋯⋯でも、見たことないからわからないはずだし)
シャーロットの離婚にはタイミングが肝心になる。2度と同じことが起きないようにしなくては⋯⋯。
(そう言えば、もしコーネリア伯爵の方から離婚するって言い出したらどうなる?)
伯爵は一番にアルフォンス公爵家に行くだろう。金銭問題で揉める可能性はあるが、それさえなければ離婚の手続きは簡単に終わる。シャーロットはいつ離婚が確定したのか分からないまま離籍手続きが遅れたら⋯⋯。
(コーネリア伯爵にとって私との結婚なんか大した問題じゃなくて、しかも逃げ出すなんて手間をかけさせるような奴なら要らないってとっくの昔に思ってたらどうしよう。
伯爵が考えてる条件に合う女性なら掃いて捨てるほどいそうだし、性格はともかく見てくれだけは良かったもの。それに釣られて騙される人ってきっと多いわよね。
コーネリア伯爵が離婚を望んだ時支度金や慰謝料の話になるはず。そうなれば公爵家は離婚には間違いなく反対すると思うけど、まだ別の金蔓を見つけたら?)
公爵家ではなく自分の方に話を持ってきてもらわなくてはならないがどうやればそんな芸当ができるのかシャーロットには皆目見当もつかない。
離婚しているかどうかは役所に行けばわかるだろうが身元を聞かれるのは拙い。離婚が確定しているか離婚の話し合いが持たれているとしたら、アルフォンス公爵家が次の獲物を見つける前に動かなければ⋯⋯。
(一体どうすれば良いの⋯⋯戻ったとしても前みたいに監禁されたらご当主様の行動なんて把握できないし話し合いのできるような人じゃなかったし⋯⋯)
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