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アルスター侯爵家
103.興奮しすぎたエレノア
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応接室に案内されたルカ達はソファに座りメイドが運んできた紅茶で人心地ついた。
「お帰りになられるなら先触れを頂きましたらお迎えに上がりましたのに。そのようなお姿では侯爵家嫡男には見えませんから」
((着替えて来れば良かった))
「俺はもうただの冒険者だからな堅苦しい格好は遠慮する。こっちはパーティーメンバーのミリアとカノン。エレノアはここに住んでるのか?」
「お初にお目にかかります、侯爵家執事ジョージ・リングライトと申します。失礼ですがお二人も冒険者様なのでございましょうか? 随分とお可愛らしい方々ですが」
ルカがぷっと吹き出しカノンは笑いを堪えて口を塞いだ。
「あっちのカノンはまだポーターだから冒険者じゃねえがこっちのミリアはこれでも18歳の優秀な冒険者だぜ」
「それは失礼致しました。エレノア様は離れの方に住んでおられます。お声をかけてまいりましょうか?」
「部屋は余りまくりなのに離れにか?」
ルカが眉間に皺を寄せて聞き返した。
「はい、ご本人のご希望でございます。因みに旦那様はお出かけになられておられますが夕方にはお帰りになられますのでルカ様のご帰還を急ぎお知らせ致します」
「いやー、ほっといても構わねえよ。あっちも興味ねえだろうしな。もしかしたら知らせないほうがいいかも知れねえし。んじゃ離れを覗いてみるとするか」
ルカが立ち上がると同時にミリアとカノンも立ち上がった。
「離れは母家から少し離れておりますのでご案内致します。それから、宜しければお嬢様方にお部屋のご準備を致しましょうか? そちらのペットはいかが致しましょう。引き綱をお使いではないようですし空いている犬小屋はございますが初めての場所では落ち着かないかもしれません。
ぼっちゃまのお部屋は以前のままになっております」
「ジョージ、ぼっちゃまはやめてくれ。俺はもう23になったんだ。それと部屋はエレノアと話をしてから決めるが、犬小屋だけは使わないから」
エレノアの住む離れは応接室からテラスに出て広い庭を横目に見ながら歩いた木立の中にあった。
「確かに案内がなきゃ迷子になってたな」
「ここはルカ様が家出された後にエレノア様専用に建てられました」
「引き取ったが母家には住ませたくねえって?」
怒りを抑えたルカの低い声を無視してジョージが話を続けた。
「エレノア様とお会いになられるのは初めてですのでわたくしが先にお声をかけてまいります。ここでお待ち頂けますでしょうか?」
ジョージが低い柵の扉を開けて玄関に向かって行った。
ジョージが玄関に辿り着くと中からドアが開き出て来たメイドと話をしているのが見えた。一度ドアが閉まり少し待っていると再び開いたドアから女性が走り出して来た。
「エレノアと申します。もしかしてお兄様でいらっしゃいますか?」
エメラルドグリーンのデイドレスを着た女性は少し背が高く、後ろで緩く結んだハニーブロンドが夏の日差しに輝き長い睫毛が翠眼を縁取っている。
「ルカだ。手紙が届いたんで様子を見に来た」
「お待ちしておりましたの。どうぞお入りになって」
人なつこい性格なのか初対面のルカの手を引き玄関に向けて歩き出す。
「仲間が一緒なんだが構わないかな」
振り向いたエレノアがルカの後ろを覗き込んで微笑んだ。
(綺麗な人・・お姫様みたいだわ)
「まあ、なんて可愛らしい方なのかしら! もしかしてお兄様のお子様?」
「げっ、俺まだ23だって。カノンが俺の子だったら・・15歳の時の・・あり得ねえ」
「申し訳ありません。わたくし嬉しすぎて舞い上がっておりますの。ですからどうかお許し下さいね。では、お兄様は小さなお子がお好きな方なんですのね、趣味趣向は人それぞれですものね。どうか是非いらっしゃってくださいまし。普段のお兄様の事や馴れ初めとかお話を伺わせて頂けたら嬉しいですわ」
「・・想像を上回る凄さだな。ちびすけ、すまんな」
「いえ、面白そうな方である意味ホッとしました」
ジョージは母家へ帰りルカ達は喜色満面なエレノアに連れられて離れの居間に落ち着いた。
「フレヤ、お茶の準備をお願いね。皆さん甘い物はお好きかしら。ワンちゃんには何をお出ししたら良いのでしょう。わたくしペットを飼ったことがないものですから存じませんの。
今日は本当に嬉しい日ですわ。お兄様にお会いできただけでなくお兄様の大切な人にもお会いできるなんて。しかもお二人も! わたくし存じておりますの、こう言うのをハーレムって言うのでしょう? お二人ともとてもお綺麗な方ですもの、お兄様のお気持ちとても良くわかります。大きいお姉様と小さいお姉様とお呼びして宜しいでしょうか?」
一気に喋り切ったエレノアは胸に手を当ててほおーっとため息をついた。
「エレノア、落ち着いて聞いてくれ。この2人は俺の冒険者仲間のミリア18歳とポーターのカノン8歳だ。それとその横に寝そべってるのがヴァン年齢不詳だ」
エレノアが理解できるようにルカはゆっくり話したが、キョトンとした顔のエレノアには通じなかった。
「・・冒険者と言うのはよくわからないのですが仲間ならやっぱりお兄様の特別な方ですよね。それとカノンさんは8歳でお仕事なさっているのですか? 素晴らしいですわ」
「ちびすけ、任せた。女同士よろしく頼む」
「お帰りになられるなら先触れを頂きましたらお迎えに上がりましたのに。そのようなお姿では侯爵家嫡男には見えませんから」
((着替えて来れば良かった))
「俺はもうただの冒険者だからな堅苦しい格好は遠慮する。こっちはパーティーメンバーのミリアとカノン。エレノアはここに住んでるのか?」
「お初にお目にかかります、侯爵家執事ジョージ・リングライトと申します。失礼ですがお二人も冒険者様なのでございましょうか? 随分とお可愛らしい方々ですが」
ルカがぷっと吹き出しカノンは笑いを堪えて口を塞いだ。
「あっちのカノンはまだポーターだから冒険者じゃねえがこっちのミリアはこれでも18歳の優秀な冒険者だぜ」
「それは失礼致しました。エレノア様は離れの方に住んでおられます。お声をかけてまいりましょうか?」
「部屋は余りまくりなのに離れにか?」
ルカが眉間に皺を寄せて聞き返した。
「はい、ご本人のご希望でございます。因みに旦那様はお出かけになられておられますが夕方にはお帰りになられますのでルカ様のご帰還を急ぎお知らせ致します」
「いやー、ほっといても構わねえよ。あっちも興味ねえだろうしな。もしかしたら知らせないほうがいいかも知れねえし。んじゃ離れを覗いてみるとするか」
ルカが立ち上がると同時にミリアとカノンも立ち上がった。
「離れは母家から少し離れておりますのでご案内致します。それから、宜しければお嬢様方にお部屋のご準備を致しましょうか? そちらのペットはいかが致しましょう。引き綱をお使いではないようですし空いている犬小屋はございますが初めての場所では落ち着かないかもしれません。
ぼっちゃまのお部屋は以前のままになっております」
「ジョージ、ぼっちゃまはやめてくれ。俺はもう23になったんだ。それと部屋はエレノアと話をしてから決めるが、犬小屋だけは使わないから」
エレノアの住む離れは応接室からテラスに出て広い庭を横目に見ながら歩いた木立の中にあった。
「確かに案内がなきゃ迷子になってたな」
「ここはルカ様が家出された後にエレノア様専用に建てられました」
「引き取ったが母家には住ませたくねえって?」
怒りを抑えたルカの低い声を無視してジョージが話を続けた。
「エレノア様とお会いになられるのは初めてですのでわたくしが先にお声をかけてまいります。ここでお待ち頂けますでしょうか?」
ジョージが低い柵の扉を開けて玄関に向かって行った。
ジョージが玄関に辿り着くと中からドアが開き出て来たメイドと話をしているのが見えた。一度ドアが閉まり少し待っていると再び開いたドアから女性が走り出して来た。
「エレノアと申します。もしかしてお兄様でいらっしゃいますか?」
エメラルドグリーンのデイドレスを着た女性は少し背が高く、後ろで緩く結んだハニーブロンドが夏の日差しに輝き長い睫毛が翠眼を縁取っている。
「ルカだ。手紙が届いたんで様子を見に来た」
「お待ちしておりましたの。どうぞお入りになって」
人なつこい性格なのか初対面のルカの手を引き玄関に向けて歩き出す。
「仲間が一緒なんだが構わないかな」
振り向いたエレノアがルカの後ろを覗き込んで微笑んだ。
(綺麗な人・・お姫様みたいだわ)
「まあ、なんて可愛らしい方なのかしら! もしかしてお兄様のお子様?」
「げっ、俺まだ23だって。カノンが俺の子だったら・・15歳の時の・・あり得ねえ」
「申し訳ありません。わたくし嬉しすぎて舞い上がっておりますの。ですからどうかお許し下さいね。では、お兄様は小さなお子がお好きな方なんですのね、趣味趣向は人それぞれですものね。どうか是非いらっしゃってくださいまし。普段のお兄様の事や馴れ初めとかお話を伺わせて頂けたら嬉しいですわ」
「・・想像を上回る凄さだな。ちびすけ、すまんな」
「いえ、面白そうな方である意味ホッとしました」
ジョージは母家へ帰りルカ達は喜色満面なエレノアに連れられて離れの居間に落ち着いた。
「フレヤ、お茶の準備をお願いね。皆さん甘い物はお好きかしら。ワンちゃんには何をお出ししたら良いのでしょう。わたくしペットを飼ったことがないものですから存じませんの。
今日は本当に嬉しい日ですわ。お兄様にお会いできただけでなくお兄様の大切な人にもお会いできるなんて。しかもお二人も! わたくし存じておりますの、こう言うのをハーレムって言うのでしょう? お二人ともとてもお綺麗な方ですもの、お兄様のお気持ちとても良くわかります。大きいお姉様と小さいお姉様とお呼びして宜しいでしょうか?」
一気に喋り切ったエレノアは胸に手を当ててほおーっとため息をついた。
「エレノア、落ち着いて聞いてくれ。この2人は俺の冒険者仲間のミリア18歳とポーターのカノン8歳だ。それとその横に寝そべってるのがヴァン年齢不詳だ」
エレノアが理解できるようにルカはゆっくり話したが、キョトンとした顔のエレノアには通じなかった。
「・・冒険者と言うのはよくわからないのですが仲間ならやっぱりお兄様の特別な方ですよね。それとカノンさんは8歳でお仕事なさっているのですか? 素晴らしいですわ」
「ちびすけ、任せた。女同士よろしく頼む」
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